6月の絵本の紹介

 子どもは「ことば」を食べてゆたかに育ちます。
 テープやテレビなどの機械音ではなく、
お母様や身近な人の口から出る言葉を聞いて
すべてのことをわかっていくのです。
子どもたちに、たくさん話しかけてあげてください。
おはなしをしてあげてください。
 そして、絵本をたくさんよんであげましょう。
絵本は子どもが「読む本」ではなく「読んでもらうもの」です。
やさしい音声とことばの中で、
子どもは絵本の世界に入り込んで心を遊ばせ養っていくのです。

1冊の絵本の紹介  
「パパとドライブ」

山口 稔子 文
まるやま あやこ 絵
福音館書店




☆2017年福音館こどものとも6月号の絵本です。配本されたばかりの絵本です。

ものがたりは、酒屋さんちのみかちゃんが、パパと一緒に軽トラックに乗っていろいろなお家に配達をしていくお話です。みかちゃんは、パパと車に乗っておでかけするこのドライブが大好きです。重い醤油やお酒も運ぶのも手伝います。初めてのお家もあれば、いつものお得意さんもいて、お駄賃をもらったりいろいろな人たちと関わりながらの配達です。そして、最後の配達先の小さなレストランでみかちゃんはいつものようにプリンを食べるのです。

このドライブしながらのパパとみかちゃんとのやりとりが何ともいえずあたたかく、パパとみかちゃんの大好きな関係が溢れています。
作者の山口稔子さんは、子どもの頃、自営だったお父様に仕事の得意先周りに車でいろいろなところに連れてもらったそうです。お父様と二人だけのお出掛けは「パパを独り占め」できる特別な時間」で大好きだったと言っています。
今、みかちゃんのように、おとうさんの働いている姿を日常的に見たり、一緒に関わったりすることのできる子どもはなかなかいません。
みかちゃんのおとうさんだって普段は忙しくてみかちゃんと遊ぶ暇もなく働いておられるのでしょう。でも配達には一緒におでかけができ、みかちゃんはおとうさんを独り占めできるとてもうれしい時なのです。
そしてそんな中でみかちゃんは他の人との大切な関わり方や、社会のありようを体で学んでいきます。
「おとうさん」は子どもにとって社会への扉として大切な働きをする存在だと思いますが、みかちゃんは本当に大好きなパパから広い社会への入り口を一緒に手を繋いでもらいながらくぐり抜け逞しく歩いていく力を育てられているように思います。
みかちゃんが、どこにでもいる、隣にでもいる女の子のようなイメージに、またどのページも臨場感ある場面や表現で描いている まるやま あやこさんの絵もこのお話にぴったりだと思います。