2月の絵本の紹介

 子どもは「ことば」を食べてゆたかに育ちます。
 テープやテレビなどの機械音ではなく、
お母様や身近な人の口から出る言葉を聞いて
すべてのことをわかっていくのです。
子どもたちに、たくさん話しかけてあげてください。
おはなしをしてあげてください。
 そして、絵本をたくさんよんであげましょう。
絵本は子どもが「読む本」ではなく「読んでもらうもの」です。
やさしい音声とことばの中で、
子どもは絵本の世界に入り込んで心を遊ばせ養っていくのです。

1冊の絵本の紹介  
「しーっ! ひみつのさくせん」
作 クリス ホートン
訳 木坂 涼
BL出版



鳥を捕獲しようと捜し歩くあやしい男三人、それに子ども一人。
きれいな鳥を見つけた男たち。
挨拶しようとする子どもを制して作戦を立て、鳥を囲んで一二の三!逃げて木の上に止まった鳥を3人で一二の三!どんなことをしても鳥は捕まえられません。
子どもが「ハロー!」と挨拶して餌をあげると、まぁ鳥たちが何羽も集まってきました。
男たちは今度こそと網を振り下ろそうとすると、鳥たちに追いかけられて「にげろー!」。
でもこの男たち、ちっとも懲りなくて次はリスを捕まえる作戦を立てるんですって。

アイルランドの作家クリス・ホートンの絵本です。
さすがにデザイナーのクリス・ホートンらしく、その色合い、造形、画面構成がとてもしゃれていて、美しい。
また、少ない言葉がなおさらその絵を際立たせながら、感性ですべてのことを語ってくれます。物語りの運びも子どもの感性にぴったり。
子どもが持ちやすいように15センチ四方の装丁、これは子どもの小さい手に持ちやすく、厚手の紙質(ボードブック)は丈夫で子どもがめくりやすく考えられています。
そして、裏表紙にはこんな言葉が書いてあります。

平和は力ずくでは保てない。
理解しあうことでのみ得られる。
アルバート・アインシュタイン

「あぁ、このことをクリス・ホートンさんは云いたかったんだね。」「確かにそうなんだよね。平和って力ずくでは創れないし、保てないんだよね」と深く納得します。
この美しい小さな絵本の中に、重い深いメッセージがあったのですね。
大人にも平和を分かりやすく伝えてくれている絵本です。

クリス・ホートンは1978年アイルランド、ダブリンに生まれ、デザイナーであり、イラストレーターであり絵本作家として活躍し世界各地を旅した人です。2007年にはアメリカ・タイム誌によるデザイン100に選ばれ、絵本デビュー作「ちょっとだけまいご」は19の言語に翻訳されています。2011年にはアイルランドを代表する児童書に贈られるビスト最優秀児童図書賞とエイリース・ディロン賞を受けました。
力のある若手作家ですね。これからの活躍に期待しています。