子どもは「ことば」を食べてゆたかに育ちます。
テープやテレビなどの機械音ではなく、
お母様や身近な人の口から出る言葉を聞いてすべてのことをわかっていくのです。
子どもたちに、たくさん話しかけてあげてください。
おはなしをしてあげてください。
そして、絵本をたくさんよんであげましょう。
絵本は子どもが「読む本」ではなく「読んでもらうもの」です。
やさしい音声とことばの中で、子どもは絵本の世界に入り込んで心を遊ばせ養っていくのです。
2001年の絵本の紹介

1月

「てぶくろ」
ウクライナ民話
ラチョフ 絵
森に落ちていた手袋にネズミが住み込んで、
カエルやうさぎもやってきてもう手袋は、
はじけそう。




小さい動物から大きい動物まで次々にやってきて
かけ合いをしながら一緒にくらし始めます。
こどもの好きなくりかえしと、リズミカルなことばのかけ合い、
そして最後のどんでん返しのスリル。
昔から語り継がれてきた民話性と絵の個性が
たくさんのファンを魅了するベストセラーです。
2月


しんせつなともだち」

ゆきがたくさんふって、野も山もすっかり冬になりました。
こうさぎは食べものをさがしにでかけて雪のなかにかぶを2つみつけました。こうさぎはかぶを1つだけ食べるともう1つのかぶをもってろばの家にでかけました。ろばは、るすでした。こうさぎはそのかぶをそっとおいて帰りました。家に帰ったろばは、かぶをみつけました。

さて、ろばはそのかぶをどうするのでしょう。
かぶはどうなっていくでしょう。

このかぶをめぐっていろいろな動物がおはなしを展開していきます。動物たちのほかを思いやるやさしさが、寒さのなかにほっと暖かいものを感じさせてくれます。

3月


はなを くんくん
ルース・クラウス ぶん  マーク・シーモント え
きじま はじめ やく

雪の積もった寒い冬、
森の動物たちはその長い冬の間を
それぞれのすあなで眠っています。
みんなみんな眠っています。
おや、みんな目をさましましたよ。
みんなみんな目をさました。
みんな、はなをくんくん。
くんくん、 くんくん。
そして、かけだす、かけだす。
みんなかけてく。
動物たちが集まった。
みんな「うわぁい!」
さぁ動物たちの見たものは?

長い長い冬の間、
じっと息をひそませていた動物たちが、
ささやかな春の香りをかぎとって
喜び勇んで駆け出していきます。
春を待つ思い、春の訪れのよろこばしさが
私たちの心と一緒になって
うれしくなってくるお話です。


4月



「とんことり」
筒井 頼子さく   林 明子え    福音館書店

山の見える町にひっこしてきた<かなえ>が
引越しの荷物の整理をしていると玄関で小さな音がしました。
玄関に急いでいってみると、郵便受けの下に
すみれの花束がおちていました。
ドアを開けて見ましたがだれもいません。
次の日もまた音がして、こんどはたんぽぽが
郵便受けにはさんでありました。
誰が届けてくれたんだろう。
次の日、とんことりとまたあの音がしてとんでいってみると、
郵便受けに手紙がとどいていました。
わたしにきた手紙だ。でもだれなんだろう。
そして、またとんことりと音がした時、
<かなえ>は大きな声で「待って!」と叫んで
外に飛び出しました。
<かなえ>はとんことりの主に会えたでしょうか。


知らない土地に引っ越してきた不安、お友だちのいない寂しさ、
心細さ、そしてそんな子どもが、届く素敵なプレゼントに
次第に心を開き期待をふくらませていく姿が
スリル感とあいまって見事に伝わってきます。
子どもが友だちを得ていく過程を丁寧に描いていて
子どもの心を忘れかけている大人にも
なんとなくなつかしく、そして新鮮さをもって
共感できる絵本です。


5月


「ぐりとぐらのえんそく」

なかがわりえこ と やまわきゆりこ   福音館書店

ぐりとぐらがリュックサックをしょって
すいとうをさげてえんそくにでかけます。


えんそくのたのしみはリュックのなかのおべんとう。

でもまだまだおひるには時間があります。


そこでふたりはのはらでたいそうをしたり
マラソンをはじめました。

ところがなにかにつまづいて、よくみるとそれはけいと。

ふたりがそのけいとをたどっていくと……。



こどもたちのだいすきなぐりとぐらが
えんそくにでかけてまたまた、
ふしぎなものをみつけます。

それがいったいなんなのか、
ぐりとぐらといっしょに探検する気分が
もりあがっていき、そして、さいごに あぁよかった
 うれしいね とまんぞくしたおもいになれる
たのしい絵本です。

6月


「おじさんのかさ」
さく・え  さの ようこ 銀河社

りっぱな黒いかさをもったおじさんは、
そのかさが大事で大事で
一度も開いて使ったことがありません。
どんなに雨がふってもかさがぬれるからといっては
きちんと巻いたまま自分がぬれて歩きます。
ところがある雨の日、子どもが二人かさをさして
「あめがふったらポンポロロン、
あめがふったらピッチャンチャン」
と歌っているのを聞いて、
そのあまりのたのしそうなようすに
自分もかさを開いて確かめてみようとします。
雨の中、ついにかさを開いたおじさんが耳にしたものは?

自分の大切にしているものはつい抱え込んで
自分だけのものにしておきたいと思うのは
大人も子どもも同じですが、
自分の腕のなかに抱え込んでいるだけでは
世界が広がっていかないことが多くあります。
また、それ以上の喜びがあるということも
みえなくなってしまうことがあります。
「もの」がただのものではなく
「自分にとって意味のあるもの」になったとき
その「もの」がいきいきと生命をふきかえし、
生きたものとなって自分の世界をふくらませ
新しい視点を与えてくれるようになるのではないでしょうか。


7月



「ぐりとぐらのかいすいよく」
なかがわりえこ と やまわきゆりこ  福音館 


のねずみのぐりとぐらがなみうちぎわであそんでいると、
びんが流れ着きました。
中には てがみ と ちず と うきぶくろが入っています。
てがみには「しんせつなともだちへ
 しんじゅとうだいへきてください。うみぼうずより」
と書かれていました。

ぐりとぐらは地図をみながらしんじゅとうだいにむけて
出発することにしました。

しんじゅとうだいにはしんじゅのランプをみがくのがしごとの
うみぼうずがぐりとぐらの到着を待っていました。

うみぼうずは2人に大事なしんじゅを
あなにおとしてしまったことを話しました。

それをきいたぐりとぐらは
早速うすぐらい岩穴の奥に入っていき
落し物の見事なしんじゅを運び出しました。

おおよろこびのうみぼうずは、二人にお礼をしたいといいました。
さて、ぐりとぐらはなにをお礼にもらったと思いますか。
おなじみのぐりとぐらのお話です。

広い海と小さなのねずみ、
大きなうみぼうずと小さな真珠灯台、
の不思議なコントラスト。
波に乗って泳ぎ回るうみぼうずとぐりぐらの楽しい泳ぎ、
うみぼうずとぐりぐらの小気味いいかけあいと友情、
などが躍動的なリズムで描かれていて
ぐいぐいと話のなかに引き込まれていきます。
そして、自分もぐりとぐらと一緒に
ドキドキしながら冒険をしたり、
広い海で気持ちよく波に寝そべったり
名人のように泳げるようになったような気持ち
にさせてくれるのです。

夏の日にふさわしい1冊です。

8月 調整中

9月



「ガンピーさんのドライブ」
ジョン・バーニンガムさく みつよし なつややく ほるぷ出版

ガンピーさんはじどうしゃに乗ってドライブにでかけます。
「いっしょにいっていい?」とこどもたちがいいました。
うさぎとねこといぬとぶたとひつじと
にわとりとこうしとやぎもいいました。

ぎゅうぎゅうづめでごきげんでドライブ。
でもとちゅうで大雨になりました。

みちがぬかってタイヤがからまわりを始めました。
ガンピーさん
「だれかがおりてくるまをおさなくちゃあなるまいよ」
といいますが、さぁみんなはどうするでしょうか。

ジョン・バーニンガムのガンピーさんシリーズです。

ほのぼのとした絵と物語は読む者にほんわかとした
いい気持ちにさせてくれます。

それぞれ個性のある動物たちが
みんなその持ち味と力を出し合って
危機を乗り切っていくという物語ですが、
それがじつにユーモラスに描かれていて
肩に力が入りすぎず、しかしだれもが楽しい思いを
共有していくというストーリーには、
思わずファンになってしまうのです。


10月


「おおきなおおきなおいも」
赤羽末吉さく・え   福音館書店


あおぞらようちえんのおいもほり。

子どもたちがあんなに楽しみにしていたのに雨。
「雨がふってはしかたありませんね。
1週間のばしましょう」という先生のことばに
「あ〜あ」と残念がる子どもたち。

でも「だいじょうぶ。
おいもはひとつねるとむくっとおおきくなって、
2つねるとむくむくっとおおきくなって、
3つ、4つ5つ6つ7つねると
いっぱいおおきくなってまっていてくれるよ」
という先生ことばに子どもたちの想像は
限りなく広がっていって…。  

実際にあった保育の記録を赤羽さんが絵本にしました。

子どもたちの姿が無駄のない線描きで描かれ、
全体を子どものリズミカルなことばで覆っています。
1回読んでもらった子はそのリズムのとりこになってしまって、
何回も読んでとせがむでしょう。
そして、すぐにことばをうたのように空でおぼえてしまって、
生活のなかでふっと口をついて出てきたりすることでしょう。

おいもという子どもにとって親しみやすい題材が、
宇宙規模の空想の世界に誘ってくれるその展開は
世代を超えて魅力的です。

子どもの楽しい空想と心情にじっくりと付き合い、
その活動を支えている保育者に敬意を表します。


11月


「かにむかし」

木下順二文   清水 崑絵    岩波書店

「さるかに合戦」といえばだれでも知っている昔話です。
この本はそのお話を再話した絵本です。

昔話は本来繰り返し口伝えで語られてきたものです。
そして聴いた者が語る者になり
代々語り継がれていったものです。

ですから代々の語りのなかで物語が削がれていったり、
違う話が入ったりいろいろに変化しながら
個性的に受け継がれてきています。

この「かにむかし」の原話は佐渡の民話だそうですが、
かなり昔から親しまれて語り継がれ、
また木下氏らの努力などにより
今では普遍性をもった昔話として
ごく一般的に親しまれています。

この絵本の語り口のおおらかさ、
ゆったりとした絵の奥深さは
まさにひざのなかで昔話を聴いているような安らかさと
想像力を与えてくれます。

秋の夜長、子どもと一緒にゆっくりと読んでみたい絵本です。

12月


「クリスマスのものがたり」
フェリクス・ホフマン作  しょうの こうきちやく   福音館書店

2000年前におこった最初のクリスマスの出来事が
ホフマンの素敵な絵と聖書の記述に基づく語りで
解き明かしていく絵本です。

クリスマスの楽しい物語、
たとえばサンタクロースのお話や
森の動物たちのクリスマス、
プレゼントをもらったり贈ったり
というようなお話もたくさんありますが、
本当のクリスマスって何なんだろう
という疑問をもっている方には
ぜひ読んでいただきたい絵本です。

小さい子どもには少しむずかしいかな
と思われるかもしれませんが、
ゆったりと読んであげてください、
きっと不思議の世界に入って行くように
ききいることでしょう。

ことばと絵はふたつでひとつ。
両方が一体となっていつもとは違う世界に
誘ってくれるでしょう。

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