「朋也さん、失礼します」
洗い場で磨き上げた有紀寧が、タオル1枚だけでこちらに来た。
「……」
「あまり見つめないでください」
ちょっと困ったような、照れたような顔で笑う。
「すまん。でも男だったら誰だって目が行ってしまうって」
「あはは、そうなんですか?」
ちゃぽっ。真横にそっと身体を沈める。
「いい景色ですね」
前を隠していたタオルで髪をつつみ、頭の前で結ぶ。
「そ、そうか?」
平静を装おうとするが、隣が気になって景色どころではない。
湯で上気した顔はいつもより艶やかで、普段のどこか子供っぽいところは微塵も感じられない。
「んーーーっ」
全身で伸びをする。
少し白濁してるとはいえ、小ぶりだがツンとした乳房が丸見えだ。
しかし本当に安心しきった有紀寧の表情に、俺の鼓動もだんだん落ちつく。
余裕ができて周りをみれば、なるほど絶景だ。
「……」
気がつけば、今度は有紀寧が俺を見つめていた。
「ん?」
「もうちょっとそちらに寄ってもいいですか?」
無言でうなずく。
腰と肩が触れ合う。
「来てよかったな」
「はい」
有紀寧は俺の肩に頭を載せてきた。
ふたりで景色を見つめる。
あぁ、本当の幸せってこういうものなんだろうな。
初出:「葉鍵キャラが混浴温泉に入ったら」スレ 19