ライブドアはどのようにしてニッポン放送株を手に入れたのか?? |
*フジテレビとニッポン放送(フジサンケイグループ)の背景 まずフジテレビとニッポン放送がどのような状況にあったかを簡単に説明する。二つの会社は形式上ニッポン放送が親会社、フジテレビが子会社という親子会社だった。しかし経営実態としてはフジテレビの力が圧倒的に強かったので、形式も実態と同じように調整し、フジテレビがニッポン放送を完全子会社化しようと50%獲得を目標として、フジテレビはニッポン放送株のTOBを行っていた。 *ライブドアの出現 しかし、そんな中、ライブドアが突如出現したのである。事の発端は2月8日、ライブドアがニッポン放送株の35%を取得したと発表したことである。フジテレビがニッポン放送を子会社化しようとしてTOBを行っているにもかかわらず、ライブドアもニッポン放送の株を買い集めるとなると、フジテレビは株を集められない。企業は三分の一以上の株を持っている株主は、経営に影響を与えることができる。現時点ではまだニッポン放送が親会社なので、もしライブドアがニッポン放送に影響を与えることができるようになれば、フジテレビも影響を受けることになってしまう。そこで対立関係に!! *どうやって?? ここで問題となるのが、ライブドアは何故急に35%もの株を急に集めることができたかということである。ここで証券取引法の登場!!証券取引法には、上場企業の株を三分の一を超えて買おうとする人は、TOBを行わなければならないとしている。なぜなら、大量の株を買う人がいるなら、売り手にも公平に条件を提示して機会を与え、投資者保護に努めなければならないからである。それなのにライブドアは三分の一を超える株を買ったにも関わらず、TOBを行わなかったのである。いったいどういう手段を使ったのだろうか。これは証券取引法の不備を突いた策だと言われるが、ここで条文をよく見てみることにする。条文を見ると、TOBが適用されるのは、「市場外取引」のみである。つまり、市場内であれば、TOBをする必要はない。ではライブドアは、市場で売買を行ってこつこつと集めていったのだろうか??ここでまた一つ問題が出てくる。ライブドアが株の売買を行ったのは「時間外取引」だった。時間外取引とは、東京証券取引所の営業時間ではないときに株の売買を行うことである。証券取引所は24時間動いているわけではない。営業時間は決まっている。では、営業していないのに株の売買ができるのだろうか??これができるのである。株を売買するのは、もちろん個人投資家だけではない。企業が株を売買する場合も多い。企業が持っている株の量は、とても多いので、普通の市場でこれを売買すると、株価が大きく変動し、混乱を招いてしまう。これを防ぐために時間外取引というのを設け、終値で売買できるようになっている。つまり、ライブドアは三分の一の株を買ったが、時間外取引ではあるが、市場内取引なので、TOBは適用されず、違法にはならないということなのである。 *問題ないの? では違法ではないし別にいいかというとそういうわけにはいかない。ここでも、証券取引法には少数の相手と相談して株を売買する「相対取引」を禁止している。投資者には公平に機会が与えられるべきであるから、あくまでも売り手と買い手の意思が一致した場合に売買が成立する。話し合いで決めたりしては公平でなくなってしまうからだ。今回の場合は、この「相対取引」によく似た形になってしまう。公の市場には出さずに、時間外取引という限られた場所で少数の相手と取引をするからだ。本来はTOBで公開すべきところをこういう手段を使ったために、「違法ではないがやり方が汚い」と言われてしまったのだ。また、こう言われたのは他にも、日本の企業のあり方が、開放的ではないこともある。例えば、アメリカでは企業買収は頻繁に行われている。しかし日本では企業を買収するということは、礼儀がなってないというか、感情的に割り切れないところがある。人の家に土足で上がる、という感覚なのである。同じような法律があり手段が用意されていても、実際に支持されるかは場所によって異なってくるのである。 *証券取引法はどうなったの?? 話は元に戻るが、今回の事件によって、金融庁は、この不備を調整するために今回の改正を行ったのである。改正については「なぜ証券取引法は改正された?」のページで見ることにする。 *フジテレビの防衛策は?? これらのライブドアの動きに対して、フジサンケイグループはどのような策を講じたのだろうか? ・フジサンケイグループは、新株予約権という手段を使った。どういうことかというと、ニッポン放送がフジテレビに対して大量の新株予約権を発行して、フジテレビがニッポン放送を子会社化できるようにしようというものである。新株予約権とは、企業の増資のための方法の一つとされている。あらかじめ価格が決まっている株式を取得することができる権利のことである。日本では今までこの利用は限られていたが、2002年に商法が改正されたことによって自由化された。 新株予約権がどのようにして防衛策になるのか? ・企業の支配権争いをしている場合に新株予約権が発行されると株数が増えることになるので、他の株主の持ち株比率が低下してしまうことになる。すると、今回のようにライブドアが議決権獲得に必要な割合を取得しても、全体の比率が下がってしまうために議決権を獲得できなくなり、買収は免れるのである。しかし持ち株比率を下げる目的で新株予約権が発行されるときは不公平発行だとした判例がある。本来は増資のためのものが、買収を避けるために用いられ、それによって買収には関係のない一般の株主たちも持ち株比率が下がってしまう問題がある。そこでこの措置に対してライブドアは新株予約権の差し止め請求を行ったのである。 *この事件は結局どのようにして終わったの?? 2005年2月8日に始まったニッポン放送株の争奪戦は、4月18日の和解でとりあえず落ち着いた。両者が協議を重ねて合意に至ったのである *合意の内容* (1)フジテレビは、ライブドアが保有するニッポン放送株全株を1,034億円で買い取り、ニッポン放送を完全子会社化する (2)フジテレビは、ライブドアの第三者割当増資440億円を引き受け、最終的にライブドア株式の12.75%を取得する (3)フジテレビとライブドアは、ニッポン放送も含めた「業務提携推進委員会」を設置し、放送とブロードバンドの融合に向けた協議を開始する この後の具体的な措置で、フジテレビはライブドアの子会社のライブドア・パートナーズを買収してニッポン放送の経営権を手に入れ、ニッポン放送が自己株式の公開買付を行うことで株主が持つニッポン放送株を取得。その後フジテレビは残りのニッポン放送の株式を全て取得して完全に子会社化した。 *株の売買にはどんな方法があるの?? 上場株式を取引する方法は2種類ある。 ・まずは証券取引所を通じてかう「取引所取引」である。取引所取引の中でも分かれていて、「立会内取引」と「立会外取引」がある。立会内取引とは証券取引所の立会時間、つまり時間内取引(9:00〜11:00と12:30〜15:00)で最も一般的な方法とされている。立会外取引とはさっき書いた時間以外に行われる取引を指し、これがよく時間外取引といわれるものである。ただ、大量の株を買いたいときには買い集めている途中で株価が上昇し、目標も株数まで買うことができなくなる可能性がある。しかもそれまで買った株式を取り消すことができない。 ・次に市場を通さずに、株式公開買付で買う方法がある。これは一定の価格で株式を買い集めることができ、目標の株数まで達成しなかった場合は株券を返却して取り消すことが可能となる。 |
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