本研究計画書作成にあたっては妹尾堅一郎慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
(現:東京大学先端科学技術研究センター特任教授)の著書『研究計画書の考え方 - 大学院
を目指す人のために』(ダイヤモンド社)が非常に参考になった。
本研究助成金の決定額10万円は、一年間の研究活動費として使用した。
講師:村瀬佳史氏(経済産業省資源エネルギー庁石油・天然ガス課長補佐)
【質疑応答】
Q.国内パイプラインを敷設する推進母体について、多額の建設コストがかかり商業ベースの
プロジェクトとは言うものの、民間のみでは無理である。そこで、パイプライン敷設を国策とし
て明確に位置づける。例えば、石油公団の根拠法を改正しパイプライン敷設業務を加える。
また、海底パイプラインの場合、漁業補償問題が発生することから、補償額を低減するため
道路公団が保有する高速道路の空間(中央分離帯、高架橋、側道及び法面等)を利用すれ
ば補償問題は関係なく、高速道路の公共的な資産価値や道路公団の存在意義も高められ、
本件は特殊法人改革も絡めて議論すべきではないか。
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(a)土工部の両側は通常、盛土もしくは切土法面であり、法肩や法尻の地表面近くに埋設
可能。
(b)上部工の縁端より0.2〜1.0m程度の余裕があり、上下線高架橋の間にも空間があり
埋設可能。なお、高架部にパイプラインを添架することは考えない。
建設中の第二東名・名神高速道路の中央分離帯下部空間に大口径1.4m、ガス圧力70気
圧程度のパイプを埋設すると想定した場合、道路建設費250億円/kmの2%程度の投資(約
6億円/kmで、既存の道路を掘り返して埋めれば1.6倍以上の10億円/km)でパイプライン
が敷設されると推定され、工費や工期を通常の半分程度に圧縮できる。
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A.資源エネルギー庁としても、サハリンからのパイプライン構想は中東原油依存度を低減
でき、国内のエネルギーの安定供給に資する国家プロジェクトとして位置づけている。石油
公団に関しては2005年に廃止されるものの、事業の一部は新組織となる独立行政法人
「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」に継承されることとなっており、パイプラインの敷設に
関しても事業の範疇となり得る。
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1990年代後半以降、世界ではエクソンとモービル、BPとアモコ、シェブロンとテキサコ等、
大手同士の合併が相次ぎ、かつてのメジャー(国際石油資本)は、“スーパーメジャー”と呼ば
れるほどの巨大な規模になった。一方、日本の石油・天然ガス資源開発政策は、旧石油公団
を中心とする官主導の色合いが強く、“ワンプロジェクト・ワンカンパニー”と呼ばれる制度も
あり、中堅・中小規模の開発会社が乱立する結果となった。これら乱立する開発会社を集約し
経営規模を拡大することは、投資採算リスク負担能力を高めるうえで不可欠であった。
![]() ![]() <出所>日本経済新聞社 <出所>読売新聞社
アジア・オセアニア、中東、カスピ海を中心に事業展開している国際石油開発鰍ニ国内天然
ガス開発を基盤に中南米、アフリカへ事業展開している帝国石油鰍フ経営統合は、両社の上
流資産に重複がなく、相互補完性が高い理想的な組み合わせである。今後、国際石油開発
と同じ政府系企業である石油資源開発鰍竦ク製・販売中心の民族系石油元売り大手(新日本
石油梶A出光興産葛yびコスモ石油鞄凵jとの合流によって垂直一貫体制まで進めば、日本
初の“和製メジャー”の誕生となる。そして、海外の主要プロジェクトに“ナショナル・フラッグ・
カンパニー(国家の資源外交と密接な連携を図り、海外の石油・天然ガス権益獲得を目指す
中核的企業体)”として積極的に参画する活躍が期待されるだろう。
高速道路の空間利用に関しては、道路公団の所管官庁である国土交通省と国土の総合
開発の視点から連携しながら、今後パイプライン敷設の可能性について協議していく予定で
ある。
●道路公団の民営化(特殊会社化)
日本道路公団・道路関係4公団の民営化が2005年に実施された。高速道路を建設・管理
する6つの新会社と公団の資産・債務を引き継ぐ独立行政法人「日本高速道路保有・債務返
済機構」が発足した。6つの新会社は日本道路公団を地域別に三分割した東日本・中日本・西
日本の各高速道路会社に加え、首都高速・阪神高速・本州四国連絡橋の各公団を引き継い
だ3社。約40兆円の債務は新設した機構が引き継ぎ、6つの新会社が払う道路のリース料等
を原資に45年以内に完済し、高速道路の無料開放を目指す。
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新規路線の建設区間や新たな料金体系は新会社、機構及び国土交通省の三者が協議して
決定するが、特殊会社の株式は当初、国や地方自治体が100%保有し、新会社に強い影響
力を持つ。
【解説】
最も実現性の高い、初めての日本向け国際パイプライン計画として、サハリン大陸棚天然
ガス開発がある。2003年、小泉純一郎首相はロシアを公式訪問した際にプーチン大統領と
会談後「日ロ行動計画」が採択され、エネルギー分野において協力することを謳っており、サハ
リン大陸棚天然ガス開発については具体的な協力項目として挙げられている。エネルギー分
野での協力が日本における持続可能なエネルギー政策に寄与するのみでなく、政治・外交上
の懸案事項である北方領土問題の解決を促すものと期待される。
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ロシアは歯舞群島及び色丹島の2島返還を主張しており、日本が望むウルップ島と択捉島
の間に国境線を引く提案(4島返還)には否定的である。
2002年に(財)日本エネルギー経済研究所主催で行われた特別講演会において、北東アジ
アにおけるエネルギー問題の専門家である英国王立国際問題研究所(通称:チャタムハウス)
フェローのジョナサン・スターン氏は、サハリン大陸棚では3〜3.5兆m3の天然ガス埋蔵量を
有し、未発見分もまだ大量にあることから“アジアの北海”となり得ると示唆している。特に日本
の北端である宗谷岬より北方に約800kmに位置していることから“日本の裏庭”とも言える
サハリン島北東沖合の大陸棚において膨大な天然ガスが確認されており、9鉱区に分けられ
た海域において開発が進行中である。このうち、実際に生産段階まで進展しているのは「サハ
リンT:オドプト・チャイウォ・アルクトン−ダギの3鉱区(可採埋蔵量4850億m3)」と「サハリン
U:ピルトン−アストフスコエ・ルニスコエの2鉱区(可採埋蔵量5500億m3)」の2プロジェクト
である。
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サハリンTは米日ロにインドを加えた5社で構成される国際コンソーシアムで推進されてお
り、米国メジャー・エクソンモービルの子会社エクソンネフテガスがオペレーターで(出資比率
30%)、日本は石油公団(現:石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が大株主となり、石油資源
開発梶A伊藤忠商事葛yび丸紅鞄凾ェ出資しているサハリン石油ガス開発梶i新SODEC
O・出資比率30%)、ロシアはサハリンモルネフテガスシェルフ(SMNG・出資比率11.5%:
ロシア国営石油企業ロスネフチ傘下でサハリン州最大の海洋石油ガス会社)及びRNアストラ
(ロスネフチの子会社・出資比率8.5%)、インドはONGCヴィデッシュ(インド国営石油ガス公
社ONGCの子会社・出資比率20%)である。
●サハリン石油ガス開発梶i新SODECO)
1972年に日ソ経済合同委員会においてサハリン大陸棚天然ガス開発に関して旧ソ連側
より提案があり、日本側は1974年にサハリン大陸棚探鉱委員会を設置して翌年には推進母
体となるサハリン石油開発協力梶i旧SODECO)を設立し、ソ連外国貿易省(現:ロシア経済
発展貿易省)との間で「サハリン大陸棚探鉱・開発基本契約」に調印。探鉱の結果、1977年
にオドプト鉱区で、1979年にはチャイウォ鉱区で天然ガスが発見され、さらに、1989年に
アルクトン−ダギ鉱区で天然ガスを発見したが、旧ソ連崩壊とロシア移行に伴う政情的混乱
によって開発・生産活動は一時中断した。
しかし、その後、ロシア側が外資導入を積極的に進めカントリーリスクも低下し、1993年に
米国メジャーのエクソン(現:エクソンモービル)が新規参画、ロシア側が生産物分与契約(PS
A)に変更したい意向や鉱区の拡大等に伴い、新たな日本側の推進母体として旧SODECO
の全事業を継承する形で1995年に新SODECOに改組した。
1996年にPSAが発効したことを受け、国際基準に基づくパイプラインによる輸出が最も
合理的な輸送手段であると言う認識のもと、石油資源開発梶A伊藤忠商事葛yび丸紅鰍ヘ
共同出資によって日本サハリンパイプライン調査企画梶i現:日本サハリンパイプライン梶jを
設立し、エクソンジャパンパイプラインリミテッドとともに日本向けパイプライン敷設に向けた
事業化調査(FS)を1999年より2001年の3年間、約40億円かけて実施した。口径65〜
70cmのパイプで年間85億m3の天然ガスを供給する前提で、オハ〜ヴァル間の既設パイプ
ライン及びサハリンTとサハリンU共用パイプラインとなるサハリン島縦貫ライン(ヴァル〜ノ
グリキ〜ユジノサハリンスク〜サハリン島南端コルサコフ間で、総延長643km)以降の日本
向け2ルートがFS対象となっている。
具体的なルートは、コルサコフから海底パイプラインで宗谷海峡を横断し北海道北端宗谷岬
の稚内港臨港地区のサハリンプロジェクト後方支援基地(総延長450km)を経由して2003
年に政府から「港湾物流」構造改革特区の認定を受けた石狩湾新港地域まで繋ぎ、北海道
ガス葛yび石油資源開発鰍フ道央圏縦断パイプラインを複線化し通過、沿線には札幌市、
江別市、北広島市、恵庭市及び千歳市の各工業団地のほか、札幌市に隣接し2003年に
政府から「企業立地促進」構造改革特区の認定を受けた南幌工業団地等があり、太平洋沿岸
の苫小牧東部・西部工業基地に至る。そして、海底パイプラインで津軽海峡を横断し青森県六
ヶ所村で分岐する。
●稚内港臨港地区
2003年に政府から構造改革特区の認定を受け、サハリンプロジェクトに係る資機材の中
継・加工のほか、パイプラインの上陸拠点、さらに天然ガスを利用した新エネルギーの研究
開発・供給拠点として期待される。日ロ友好最先端都市に相応しい国際交流都市の形成を
目指す。ロシア側のコルサコフを「サハリン特区」に指定し、規制緩和や税の優遇等を通じて、
稚内市との交流促進に繋げる案もある。
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石油資源開発鰍ェ1996年に敷設した北海道苫小牧市太平洋沿岸の勇払天然ガス田(19
89年に発見し、1996年に生産開始・43万m3/日)を起点とし千歳市を経由して北広島市
に至るパイプライン(総延長75km)は、都市ガスの高カロリー化を図る北海道ガス鰍フ既設
パイプラインである千歳幹線(北広島市〜恵庭市〜千歳市間)や札幌・厚別・モエレ・手稲幹線
(北広島市〜札幌市〜石狩市間で2003年に札樽幹線が完成し小樽市築港まで延伸)と繋が
り道央圏を縦断するエネルギー大動脈を形成している。
●南幌工業団地
札幌市や新千歳空港に近接し、更に石狩湾新港・苫小牧港のほぼ中間に位置している地理
的特性から、南幌町土地開発公社所有の造成地の有効活用により、道央圏の新機軸として
地域経済の活性化を図っている。
●苫小牧東部工業基地
精算した苫小牧東部開発鰍フ事業を継承し1999年に設立された鞄マ東が、循環産業用
地としてリサイクル団地等の開発を行っている。苫小牧東港を有する。
●北海道向けサハリン天然ガス導入パイプライン構想
産学官共同の公益シンクタンク北海道政経文化同友会や全道商工会議所が1998年に
パイロットカンパニーとなる北日本パイプライン開発機構梶i略称:JPDO)を設立し独自に
ルートを提案している。
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コルサコフから宗谷海峡を渡り稚内市で陸揚げし名寄市〜旭川市〜岩見沢市〜札幌市を
経由し日本政策投資銀行や北海道が出資している第三セクター鞄マ東が運営管理している
苫小牧東部開発地区、そして津軽海峡を渡り青森県むつ小川原開発地区に至る第一段階、
苫小牧市から室蘭市を経由し函館市に向かう第二段階で形成される北海道縦貫ライン。地域
支線として小樽市、帯広市、釧路市、根室市、網走市、北見市、名寄市及び留萌市等の道内
主要地方都市を繋ぐ広域環状ルート。併せて初期の需要を確保するため、ルート沿線の名寄
市曙地区及びむつ小川原開発地区に天然ガス火力発電所を2012年までに建設する。
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●津軽海峡軸構想
アメリカ大陸とユーラシア大陸、環日本海圏と環太平洋圏が結ばれる横軸及び太平洋側の
北東国土軸と日本海国土軸、北海道と本州が結ばれる縦軸とが交差する東西南北の多軸型
土形成の結節点となる地理的特性を持つ津軽海峡を新機軸とした北海道・東北地方の新たな
持続的発展を目指して、青森県は1999年「津軽海峡軸構想」を打ち出し、その一環として
豊富な天然資源を有する極東ロシアからの効率的物流ルート及び北東アジア地域の協調的
安全保障に資する総合エネルギー基地を確立する「アジアリンク構想」を掲げており、2003
年には政府から「環境・エネルギー産業創造」構造改革特区の認定も受けている。
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●青森県六ヶ所村
六ヶ所村はエネルギー生産・供給拠点となる「むつ小川原開発計画」の中核でありパイプライ
ン中継地としても重要である。さらに、周辺の八戸沖に大規模な天然ガスが賦存している。
ジャパンエナジー、新日本石油開発葛yび石油資源開発鰍フ3社は共同で2005年に試掘を
開始した。投資額は40億円で、経済産業省から10億円の補助を受け、残りを3社で均等出
資する。商業化に必要な300億m3以上の埋蔵量が確認できれば、最短で2012年の生産
開始を目指す。
●むつ小川原開発計画
1969年に策定された「新全国総合開発計画」以来の国家プロジェクトであり、当初は青森
県主導のむつ小川原開発鰍ェ国内有数の工業地域を目指して企業誘致を進めたが、高度経
済成長の終焉やバブル経済の崩壊によって多額の負債を抱え破綻。事業の大幅な見直しと
事業を継承する形で2000年に設立された日本政策投資銀行や青森県が出資している第三
セクター・新むつ小川原鰍ェ実施母体となって、原子力関連施設や国家石油備蓄基地の既存
エネルギー関連施設に加え、天然ガスや風力発電施設等を組み合わせた地域振興策に資す
るエネルギー生産・供給拠点を目指す。(社)日本経済団体連合会も下部組織として特別委員
会「むつ小川原開発推進委員会」を設置して支援している。
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青森県の北東部に位置し、六ヶ所村を中核として、北限をむつ市・東通村、南限を十和田湖
町・百石町とする16市町村に跨る開発地域。総面積は約2800km2。
2ルートのうち、まず「日本海ルート」として、六ヶ所村より2004年に政府から「青森企業立
地促進」構造改革特区の認定を受け、工業集積の拠点を目指し県土地開発公社等が造営し
ている青森中核工業団地を有する青森市を経て五所川原市に至り、つがる市より海底パイプ
ラインで秋田県天然瓦斯輸送鰍ェ運営管理している男鹿LNG基地を経由、日本海洋石油資
源開発鰍フ岩船沖天然ガス田洋上プラットフォーム、新潟LNG基地と繋ぐ宗谷岬から新潟市
までの総延長1120kmである。次に「太平洋ルート」として六ヶ所村から海底パイプラインで
八戸沖〜三陸沖を南下し石油資源開発鰍ェ敷設した新潟−仙台間パイプラインの終点にあ
る仙台市営ガス局の仙台新港工場(LNG基地)を経由、さらに海底パイプラインで磐城沖石油
開発鰍フ福島県磐城沖天然ガス田洋上プラットフォームを通過し南関東方面に向かい房総半
島九十九里浜の千葉県白子町に至る宗谷岬から白子町までの総延長1440kmである。
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1996年、石油資源開発鰍ヘ東北電力梶A日本政策投資銀行、新潟県及び自社等が出資
する第三セクターの日本海LNG鰍ェ所有している新潟LNG基地をはじめ、東新潟(1959年
に阿賀野川河口砂丘地帯で発見、生産量64万m3/日)及び岩船沖(石油資源開発且q会
社の日本海洋石油資源開発鰍ェ運営管理している海洋天然ガス田で、1983年に胎内川河
口沖合で発見され、生産量は31万m3/日。水深36mの洋上プラットフォームから総延長21
kmの海底パイプラインによって新潟東港に至る)等の各天然ガス田を繋ぐ新潟東港から山形
県を経由し宮城県白石市〜名取市〜仙台新港〜東北電力鰍フ新仙台火力発電所に至る新
潟−仙台間パイプライン(総延長261km)を敷設した。
パイプライン沿線の需要を開拓するため、東北電力鰍ニ共同出資で東北天然ガス鰍設立
して2002年までにソニー叶蜻艫eクノロジーセンター、TDF葛{城工場、仙台市営ガス局
及びサッポロビール叶蜻芻H場の大口需要家に天然ガスの卸供給を行っている。
石油資源開発鰍ヘ新潟−仙台間パイプラインのバルブステーション(天然ガスの漏洩を防ぐ
遮断・放散施設を備えた基地)である宮城県白石市から分岐して福島市に延伸するパイプライ
ン敷設計画(総延長46kmで、2006年完成予定)を推進すると同時に、福島市以南の潜在
需要の規模やパイプライン建設費を見極めながら、福島市〜二本松市〜郡山市に至る(総延
長49kmで、2007年完成予定)福島県全域における天然ガス供給パイプラインを東北電力
鰍ニ共同所有で敷設する見通しである。
さらに、石油資源開発鰍ナは山形ガス鰍ゥらの要請により新潟−仙台間パイプラインの追
分分岐ステーション(宮城県七ケ宿町)から山形市の山形ガス株虫R工場に至る約30kmの
パイプラインを2006年に完成させる予定である。石油資源開発鰍ナは、県北部の天童市や
寒河江市、東根市、県南部の置賜地方(米沢市・南陽市・長井市等)へのパイプライン拡充も
検討している。
●秋田県
設立当初は秋田県の公営企業であったが、現在は石油資源開発鰍フ子会社である秋田県
天然瓦斯輸送鰍ェ県内のパイプラインを1962〜1963年にかけて整備しており、北線(若美
町〜男鹿市間で、総延長11km)、中央線(本荘市〜秋田市間で、総延長49km)及び南線
(本荘市〜象潟町間で、総延長6km)の3ルートに、1974年には北線を延伸し能代線(若美
町〜能代市間で、総延長3km)が完成している。
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●仙台市
2004年に政府から「杜の都新エネルギー創造活用」構造改革特区の認定を受け、大口需
要家が集中する地区において天然ガスを利用した燃料電池やコージェネレーションシステム等
を導入し、環境先進都市・杜の都仙台の実現と地球環境保全を目指す。
●福島県磐城沖
帝国石油鰍ヘ、磐城沖で太平洋側初の本格的海洋天然ガス田を1973年に発見し、子会
社の磐城沖石油開発葛yび外資系のエッソグループとの共同開発で1984年に海底パイプラ
イン(総延長41km)を敷設して水深154mの洋上プラットフォームと福島県楢葉町の陸上基
地を繋いで東京電力轄L野火力発電所に供給している。
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●千葉県白子町
南関東地方を中心に水溶性天然ガス田群を有しており、1960年に大規模な成東天然ガス
田を帝国石油鰍ェ発見し、1962年には房総半島の九十九里浜近郊に細草ライン(大網白里
町〜成東町間で、総延長17km)を完成させ、さらに延伸して成東ライン(成東町〜四街道市
間で、総延長26km)が1965年に敷設された。
また、千葉県が地元の資源開発及び産業振興計画の一環として主導で1962年に設立した
京葉パイプライン梶i現在は帝国石油且q会社)は、東京向けの京葉ライン(千葉市〜船橋市
間で、総延長21km)及び千葉市の天然ガス需要に応える浜野ライン(千葉市内供給、総延
長14km)を敷設管理し、地元の天然ガス田を開発している帝国石油葛yび関東天然瓦斯開
発梶i千葉市〜茂原市間の千葉ラインや茂原市〜八千代市間の新八千代ライン等のパイプラ
インを自社輸送として整備)から産出された天然ガスを卸供給している。それ故に、白子町より
既設パイプラインとの接続が容易である。
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●首都圏のパイプライン
東京ガス鰍ヘ、首都圏環状ラインを整備しており、千葉県袖ヶ浦工場及び神奈川県根岸工
場を繋ぐ総延長217kmの環状幹線が1976年に完成、1977年には袖ヶ浦工場及び東京
都江東区の豊洲工場との間26kmを繋ぐ東京湾横断海底幹線を敷設した。57km延伸して
湾環・京浜幹線で神奈川県横浜市の扇島・根岸両工場とも繋がり完全な環状ラインを形成
した。
首都圏のパイプラインをより広域的に強化するため、東京都江戸川区葛西〜埼玉県草加市
に至る中央幹線(総延長23km)を2009年までに完成させ、千葉・埼玉・埼北幹線(袖ヶ浦工
場〜市原市〜千葉市〜四街道市〜佐倉市〜八千代市〜船橋市〜白井町〜鎌ヶ谷市〜松戸
市〜流山市〜三郷市〜八潮市〜草加市〜川口市〜さいたま市〜熊谷市間)、成田ライン(四
街道市〜佐倉市〜成田市間)、常総幹線(白井町〜千葉ニュータウン〜利根町〜龍ヶ崎市〜
牛久市間)、熊谷−佐野幹線(熊谷市〜佐野市間)、栃木ライン(佐野市〜真岡市〜筑西市下
館工業団地〜宇都宮市清原工業団地間)及び宇都宮幹線(佐野市〜東京ガス渇F都宮支社
間)の新・既設パイプラインと接続させる計画である。
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2010年までに千葉市及び鹿島港を中心に160社以上の企業が進出し、国内有数の工業
団地を形成している鹿島臨海工業地帯を有する茨城県神栖市を結ぶ総延長約80kmに及ぶ
「千葉〜鹿島ライン」を敷設する計画もある。鹿島臨海工業地帯では、住友商事鰍ニ鹿島動力
鰍ェ波崎工業団地の既存発電設備の天然ガス化を推進しているほか、東京電力鰍ェ総出力
440万kWを誇る世界最大級の火力発電所である鹿島発電所の使用燃料を、石油や重油か
ら発電コストが安くクリーンな天然ガスに切り替えることを検討している。
さらに、「千葉〜鹿島ライン」により、従来天然ガス供給インフラが未整備だった千葉県北東
部や茨城県東南部への天然ガス普及拡大が期待される。
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北関東エリアには大きな潜在需要が見込まれており、東京ガス鰍ヘ両毛ラインと接続されて
いる総延長44kmの宇都宮幹線(佐野市〜東京ガス渇F都宮支社間)に加え、埼玉県熊谷
市と栃木県佐野市〜真岡市〜宇都宮市を結ぶ総延長112kmのパイプラインが2004年に
完成したことで、宇都宮支社までの一貫供給体制を確立した。一方、同じ2004年に帝国石油
鰍ヘ両毛ガス事業共同組合が所有する両毛ラインを50億円で取得し、東京ガス鰍ニの競争
激化に対応している。
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帝国石油鰍ヘ1973年に桐生・伊勢崎・館林・足利・佐野の群馬県及び栃木県の都市ガス
5社が結成した両毛ガス事業共同組合の供給エリアへのパイプライン延伸の要望に応えるた
め、東京ラインを分岐させ埼玉県本庄市〜群馬県伊勢崎市〜桐生市〜栃木県足利市に至
り、さらに分岐して栃木県佐野市及び群馬県館林市までの両毛ライン(総延長81km)を197
4年に敷設した。そして1978年に東京ガス鰍ェ両毛ライン端末の佐野市から自社の宇都宮
支社とを結ぶ宇都宮幹線を完成させた。
このほか、東京ガス鰍ヘ2012年の完成を目指し、帝国石油鰍フ新東京ラインが通る群馬
県妙義町から邑楽町で自社の熊谷−佐野幹線とを結ぶ群馬連絡幹線(総延長約100km)を 共同敷設(総投資額約300億円で、工事区間を折半)する構想がある。 ![]()
さらに、東京ガス鰍ヘ既設パイプラインの横浜・湘南ライン、南足柄ライン(神奈川県中井町
〜南足柄市間)と新設中の南富士幹線(御殿場市〜富士市間で、帝国石油梶A静岡ガス葛y
び東京ガス鰍ノよる3社共同敷設事業であり、均等出資による南富士パイプライン鰍設立。
総延長33km、2006年完成予定)及び第二駿河幹線(静岡ガス鰍ェ東海大地震への災害
対策として、海側の第一駿河幹線のバックアップとして山側の第二駿河幹線を2004年に完
成させた。富士市の吉原基地からシールドトンネルで4345mの山岳部を横断し、静岡ガス
及び東燃ゼネラル石油鰍ェ出資している清水LNG鰹蒲Lの袖師LNG基地間を繋ぐ総延長
28km)と連結するパイプライン計画(南足柄市〜御殿場市間)もあり、東京湾を中心として
北、そして西方へ拡張する傾向にある。
帝国石油鰍ヘ2002年に東京ラインの通過点である長野県東部町から諏訪市を経由し松本
市に至る松本ライン(総延長102km)を完成させた。そして、2003年には松本ラインの通過
点である長野県茅野市から分岐して山梨県韮崎市〜甲府市を経由して昭和町に至る甲府
ラインを敷設して69km延伸し主に東京ガス轄b府支社に供給している。今後、昭和町から
さらに延伸し富士吉田市を経由、静岡県御殿場市に至る静岡ライン(総延長83km)を2006
年末に完成させる予定である。
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東京ガス鰍ヘ、2006年に発表した中期経営計画の柱として、関東200km圏構想を掲げ
た。関東200km圏を一つの市場と捉え、共通の基本戦略と市場・地域特性に対応した柔軟
な事業運営に基づき、広域的に天然ガス需要の開拓を行う体制を構築する。関東200km圏
と言えば、東京電力鰍フ供給エリアをほぼカバーする範囲であり、対東電色を鮮明に打ち出し
た格好である。
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東京電力鰍ヘ東京湾を挟んで東西に分断されているLNG火力発電所への柔軟な供給を実
現するため、東京湾岸に立地する千葉〜五井〜姉崎〜袖ヶ浦〜富津の各火力発電所を繋ぐ
既設ライン(総延長54km)を延伸して富津市から東京湾を海底パイプラインで横断し神奈川
県川崎市の東扇島LNG基地を経由、分岐して川崎・東扇島・横浜火力発電所及び横浜市を
中心とする京浜地区に供給することを目的とした東京湾横断ライン(海底区間は約18kmで、
木更津市と川崎市を結ぶ東京湾アクアライン海底トンネルの約2倍の距離)の敷設計画を推
進しており、2008年までに完成する予定である。
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2001年に発表されたFS結果では、詳細なルート、敷設費及びパイプライン天然ガス(PN
G)販売価格等については企業秘密として非公開とされているが、海底地形及び地質は全般
に良好で、水深100〜150mで平坦な海底面を選択し、速い潮流・漁場・ケーブル横断を回
避した。また、最深360mの津軽海峡の海底パイプライン敷設及び露出岩・サンドウェーブ・
ポックマーク等の凸凹によって海底面とパイプラインの隙間となるフリースパンへの対処等に
ついても既存技術で問題ない。さらに、パイプライン敷設時の応力・敷設後の構造強度解析も
実施し安全で経済的なルートが選定できたと言う評価である。
●構造強度解析
実際には複雑な形状・性質を持つ物体を、単純な形状・性質の要素(小部分)に分割し、そ
の各要素特性を数学的な方程式を用いて近似的に表現した後、各方程式を組み合わせ成立
する解を求めることによって、全体の挙動を予測し構造物の応力や変形を解析する「有限要
素法」を用いた。
2ルートのうちいずれを選択するかは明らかにされていないが、需要地の多い太平洋ルート
が商業的には有利と言う見方が強い。だが、日本海ルートのほうが距離的には短く、終点の
新潟県には帝国石油鰍フ東京ラインや新東京ライン等のパイプラインが整備されており利用
可能なほか、2004年に政府から「広域拠点企業立地促進」構造改革特区の認定を受けた上
越市の土地開発公社が所有する新潟県南部工業団地「謙信の郷」造成地内には北東アジア
のエネルギー基地として国際貿易の拠点を目指す直江津港を有し、天然ガスの短期、緊急時
の戦略備蓄及び季節変動等に伴い需給調整が容易な枯渇天然ガス田を有効活用した帝国
石油鰍フ関原天然ガス地下貯蔵施設がある等の利便性に優れており、両ルートとも甲乙つけ
難いと考えられる。
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帝国石油鰍ェ1959年に新潟県上越地方で頸城天然ガス田を発見(1960年に潟町地区
で、1962年に黒井地区で生産を開始し、1964年には生産量157m3/日に達したが、その
後は減少基調)したことから、1962年に日本海側から太平洋側へと本州を横断する国内初
の長距離パイプラインを敷設した。新潟県上越市柿崎区を起点として長野県妙高高原の急峻
な山岳部を通り長野市〜上田市〜小諸市〜軽井沢町を経て標高最大1000mに及ぶ和美峠
を越えて群馬県市下仁田町〜富岡市〜藤岡市〜埼玉県本庄市〜深谷市〜熊谷市〜鴻巣市
〜さいたま市〜草加市〜川口市〜東京都足立区に至る東京ライン(全長310km)である。
さらに、1980年には新潟県で国内最大規模の南長岡天然ガス田を発見(1984年に越路
原地区で生産を開始160万m3/日、1994年には親沢地区で生産を開始133万m3/日)
したことを契機に東京ラインの輸送能力を増強させるための新東京ライン(新潟県上越市頸城
区〜長野県軽井沢町間、全長147km)が2000年に完成した。2002年にはパイプライン沿
線の需要増大に合わせて延伸され、東京ラインの通過点である埼玉県吹上町〜日高市間の
既設パイプラインである武州ライン(総延長25km)を延伸した日高市〜東京都青梅市間の入
間ライン(総延長17km)が完成した。
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@新たに総面積約100haの用地を造成(うち、LNG火力発電所用地約70ha)。
A7万トン級LNG船の専用埠頭を建設。
BLNG船入港時の港内静穏度を確保する必要があり、外殻施設である防波堤(沖)2500m
防波堤(第3東)660mの整備を実施。
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@地域のベースとなる電源確保のための、大型LNG火力発電所の整備。
⇒“親亀”
Aエネルギーの効率的な利用・発電システムとしての天然ガスコージェネレーションシステムや
メタンガス発電の導入。
⇒“子亀”
Bコミュニティ規模のエネルギーシステムとしての風力発電の導入。
⇒“孫亀”
C各家庭のエネルギーシステムとしての太陽光発電や地中熱利用融雪システムの導入。
⇒“ひ孫亀”
FS結果を受け、2001年には「商業化宣言」がなされ、今後は具体的なルートを確定し、20
05年にサハリン島〜北海道間のパイプライン敷設に着手、2008年にはパイプラインによる
日本向け天然ガス供給が開始される見通しである。
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主な課題としては、パイプラインの長距離・大容量輸送を効率的に行うための高圧力化及び
高強度鋼材の使用等が求められ、そのためには設計基準の規制緩和等が必要となる。つま
り、日本の現行基準と国際標準の整合性を図りながらサハリンパイプラインに特化した設計
基準(Project Specific Design Code)を策定する。例えば、日本の地理的特性を反映しなが
ら、国際パイプライン基準「ISO13623(石油及び天然ガス産業パイプライン輸送システム)」
をベースに「DNV OS−F101(海洋基準海底パイプラインシステム)」で補完して最適設計を
図る。
設計係数:内圧がかかった場合に発生する力を許容する応力の材料降伏応力に対する
割合 (安全率の逆数)。
UO鋼管:素材となる1枚の鉄板を圧縮してまずU字形にプレスし、さらにO形になるように
プレスして円筒形に形成し、直線の継ぎ目を内外面から溶接して製造することに
由来する。深海圧力に優れ腐食対策に資する耐酸性の高い深海用肉厚特殊鋼管。
2002年に完成した世界最深2150mの海底を通過する黒海横断パイプライン
「ブルーストリーム」(ロシア南部〜トルコ間、総延長1270kmで、最深2150mの
海底部391kmを通過)で使用された実績がある。
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日本の天然ガスパイプラインは通常7MPa以下で設計・運用されているが、設計圧力の上限
に関する法規制はなく、さらなる高圧化に対して、ガスの漏洩、異形管の強度及び他のパイプ
ラインとの接続等、技術的課題も克服可能である。今後、広域における基幹パイプラインの
敷設に際しては、安全性を確保したうえで、輸送効率の増大とコストダウンの観点から、より高
圧化が図られることが望ましい。また、設計係数については、日本は陸上・海底ともに一律0.4
であり、柔軟性に欠けた安全基準が適用されており、欧米並みの基準とすることで敷設場所に
あった合理的かつ多目的な自由度の高い設計が可能となる。さらに、API-X80を採用する
ことにより、使用鋼材量の低減・軽量化によるコストダウンが図られる。
※1:ASMEがガス事業法と同様、公称管厚を使用しているのに対し、ISOは最小管厚を使用
している。このことを考慮するとISOの設計係数はASMEの設計係数とほぼ同等(0.72)
となる。
※2:必要に応じて実施(要求事項ではない)。
2001年に経済産業省原子力安全・保安院長の私的諮問機関としてガスパイプライン安全
基準検討会を設置し、長距離海底パイプライン敷設に係る技術基準の見直しを諮り2003年
に最終報告を行った。欧米の状況を念頭に置きつつ、日本固有の安全性確保を必須として
おり、具体的には欧米規格と同等の設計係数を認める(管材等の条件により、管厚は現行
陸上で通常使用されているものと比較して約半分程度とすることが可能)一方、耐震性に係る
規定として日本の防災基本計画と合致させる内容とした。また、海底ルートの調査方法、鋼管
の安定性や振動の制御方法及び非破壊検査については超音波探傷試験の実施を盛り込ん
でいる。
さらに、経済産業省によると総額1兆円規模とされているが国として支援する際の財源をい
かに確保するのか、また、国内パイプライン敷設母体をどのような方式で運営するのか。英
国、フランス及びイタリア等の欧州主要国、ロシア、中国及び韓国等ではパイプライン整備を
国策と位置づけ国営企業がデベロッパーとなっており、日本の場合も、パイプラインを収益性
を追求せず公益物件として扱い国策のもと公共事業として整備し、完成後はある程度の減価
償却が済んでから民間企業に安価で払い下げる(公設民営方式)。
陸上パイプラインの場合、国県市道等の公道敷設のみを前提とすれば、所轄の警察署や道
路交通法上の規制遵守、道路法に基づく他埋設物との埋設位置調整が求めらるほか、敷設
ルートにおける民有地の取得や敷設工事による騒音等に伴う地域住民とのトラブル等、困難
を極める。また、従来からあるスプレッド工法は、欧米のような彼地の平坦で広大な国土に最
適の高速施工法であり、大型重機を使用するため十分な占用帯(ROW)が確保できて初めて
可能となるが故に狭隘な公道敷設では採用し難い工法と言える。また、海底パイプラインの場
合は漁業補償問題等が発生する。
●ROW
パイプラインを敷設する権利「Right of Way」の略であり“パイプライン敷設占用帯”と呼べる
もの。敷設ルートが決定すれば全線に渡って20〜40mの幅で確保される土地を意味する。
ROWを設定することで、直線的な施工が可能になり容易に敷設できるほか、大型の施工機
械を駆使して高速のスプレッド工法が導入でき、施工速度も飛躍的に高めることができる。
日本の場合、ROWを確保するためには、@環境保全・安全性の確保、A周辺活動との調和
及びB地域社会の理解と言う社会的課題に取り組むことが重要である。
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そこで、全国津々浦々約7600kmに達する高速道路の空間(中央分離帯、高架橋、側道及
び法面等)を利用すれば補償問題は関係なく、高速道路の公共的な資産価値や道路公団の
存在意義も高められ、特殊法人改革も絡めて議論すべきだろう。2007年度以降、約4500
億円の揮発油(ガソリン)税や軽油取引税と言ったエネルギー諸税に係る道路特定財源が恒
常的に余剰することから使途を拡大し、パイプラインを整備する費用として充当されることが望
ましいと考える。
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小泉政権下で道路予算を毎年4〜5%削減してきたことで、道路整備特別会計の余剰金も
2003年度の2200億円から2005年度には5700億円と増加した。余った税収を本州四国
連絡橋公団(現:本州四国連絡高速道路梶jの債務から切り離した1兆3400億円の返済を
はじめ使途の拡大を進めている。本州四国連絡橋公団の債務は2006年度で完済し、2007
年度からは約4500億円の余剰金が発生する。
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国の予算には教育費や防衛費等の政策経費を扱う一般会計のほかに道路整備特別会計を
はじめ計31の特別会計がある。予算は本来、一般会計で一体的に管理することが望ましい
が、国が特定の事業を行う場合、事業ごとの収支を明確にするため、財政法で例外的に一般
会計と区分した特別会計の設置が認められている。特別会計は例外的とは言うものの、一般
会計より規模が大きく、特別会計の肥大化が問題となっている。
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特別会計の資金は、独自財源以外に一般会計からの繰り入れや民間からの借り入れ等が
入り組んで出入りが分かりづらく、国会等で追及されにくかった。その結果として、各特別会計
を所管する省庁や族議員の既得権益の温床となっている。
そして、高速道路にパイプラインを張り巡らせたら、サービスエリアやインターチェンジ周辺
の施設(飲食店やホテル等)で天然ガスコージェネレーション事業を展開したり、天然ガスエコ・
ステーションを設置し、低公害で維持費が安い天然ガス自動車の普及促進に向けたインフラ
整備を推進する。まさに、天然ガスと国土空間の高度利用促進を目的とした環境調和型公共
事業である。そして、埋設されて見えないパイプラインの存在をPRするため、高速道路の沿道
や脇道にクリーンな天然ガスの導入促進を啓発する広告物を掲示することで、道路の整備が
持続可能なエネルギー政策と一体となったシーニックバイウェイ事業として、道の魅力を高め
ることが可能になるだろう。
●シーニックバイウェイ
シーニック(景観)及びバイウェイ(沿道)組み合わせた造語であり、沿道の歴史文化や美し
い自然景観を観光資源として活用するために工夫を施した道路のこと。これからの道路整備
は、道行きそのものが優れた景観であるべきであり、道の駅が地域との接点として高く評価
されているように、道づくりの付加価値も高める必要がある。
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1966年に全国各地どこからでも概ね2時間以内で到達できる高速道路ネットワークを実現
すべく国土開発幹線自動車道建設法が制定され、国土を縦貫し横断する高速道路網(約760
0km)が供用されている。1987年には同法が改正され、社会環境や国民の価値観の変化に
合わせ、目標を全国各地どこからでも概ね1時間で到達できるネットワークに変更された。
計画は全国1万1520kmにわたり、このうち9342kmが整備計画区間となっている。
パイプラインを高速道路に敷設する際は、光ファイバー、送電線や物流トンネル等のスペー
スもあらかじめ確保し、貴重な国土空間の多目的利用が望ましい。欧米では“ガス・アンド・
ワイヤー”と呼ばれ、パイプラインと並行して通信網まで整備する統合インフラが理想とされて
いる。今後のブロードバンド(高速大容量)通信サービスの高まりに応えると同時にSCADA
システムを導入してパイプライン自体の保守管理や制御も容易となる。
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SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)システムとは、パイプライン全体系の運
転監視制御システムのことで、運転の流量・圧力・温度等をデータ処理・表示・蓄積する機能を
持ち、運転状況は監視制御拠点(中央監視制御室)においてリアルタイムで掌握する。天然ガ
スの流れをコントロールすると同時に、生産者もこのシステムを余剰パイプライン輸送能力の
把握や再割り当て等に活用しており、パイプラインの利用情報は電子掲示板(EBB:
Electronic Bulletin Boards)を通じて正確かつ即時的な公表がなされる。
●道路特定財源
道路整備は自動車を利用する者の「受益者負担」で進めるべきであると言う考え方に基づい
て、1954年に導入された。自動車の購入・車検時や燃料(ガソリン・軽油)等にかかる税金は
一般財源とは区別し、道路整備緊急措置法に基づき道路整備に集中して充てる仕組み。特定
財源とは法律によってある特定の歳出に用いられることが決められている税源のこと。
今後は、従来型の道路建設から道路機能の強化、つまり持続可能なエネルギー政策とも合
致した天然ガスパイプラインを付帯施設として敷設する等の道路整備の質的向上に充てること
が求められる。
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●天然ガスエコ・ステーション
2003年に(財)道路サービス機構は、高速道路のサービスエリアでは最初の天然ガスエコ・
ステーション(低公害車用燃料供給施設)を東名高速道路上郷サービスエリア(愛知県豊田市
の上下線)に設置した。
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現状、ガソリン自動車より高価格な天然ガス自動車の普及度は低く、よって大量生産が困難
なことから導入促進されず、結果的に給ガスインフラであるエコ・ステーション(スタンド)の整備
も進まないと言う鶏と卵の関係に陥っている。
今回のFSでは陸上での土地利用権・用地買収や海底での漁業補償費用等は考慮されてい
ないことから、ルート上の地権者や漁協をはじめ利害関係者との調整等、交渉次第では費用
が膨らむ可能性がある。
サハリンUは、英蘭系メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルがオペレーターとなって、日本の三
井物産葛yび三菱商事鰍含めた3社が共同出資して1994年に設立したサハリン・エナジ
ー・インベストメントが総投資額1.2兆円(見込み)を投入して推進している(出資比率はロイヤ
ル・ダッチ・シェル55%、三井物産鰍Q5%及び三菱商事鰍Q0%)。サハリン島縦貫ラインに
よってプリゴロドノエまでパイプラインで天然ガスを輸送し、液化後LNG船舶で日本に輸出する
構想である。2007年からの生産・供給が予定されているが、日本では従来から太平洋側の
主要湾岸都市を中心にLNG基地が充実しておりサハリンLNG受入れ体制は万全であること
もあって、2003年には大口需要家となる東京ガス梶A中部電力梶A東京電力梶i国内最大の
LNG需要家)及び九州電力梶A2004年には東邦ガス梶A2005年には広島ガス葛yび東北
電力鰍ェ相次いでサハリンLNG購入を正式に表明していることから、サハリンUは一定規模
以上の大口需要家を確保している点でサハリンTより先行している。
しかし、サハリンUの近くにコククジラの繁殖地があり、生態系に与える影響を鑑み、繁殖地
を回避する経路への変更を余儀なくされている。より南にパイプラインのルートを変更すること
に伴い約4500億円の追加投資を迫られており、応分の負担はやむを得ないと言う見方だ
が、将来の安定供給に支障が生じる可能性がある。具体的には、コスト増で利益の取り分が
減ることになるロシア側の出方として、修正計画の受け入れに難色を示せばサハリンU自体
が頓挫する恐れがある。
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サハリンからの天然ガス輸入に関しては根本的な問題があり、エクソンモービル主導のサハ
リンTがパイプライン、ロイヤル・ダッチ・シェル主導のサハリンUがLNGとなっており、ロシア
政府はサハリンにおけるプロジェクト同士の二重投資を回避するため、サハリンTとUの輸送
形態を統合するよう働きかけたが結局のところ纏まらず、2001年にロシア政府はサハリンT
をパイプライン、サハリンUをLNGと、異なる輸送形態を承認した経緯がある。資源エネルギ
ー庁によると、パイプライン及びLNGの輸送コスト比較した場合、一般的に輸送距離が陸上で
約7000km、敷設コストの高い海底で約4000km以下であればパイプラインのほうが安いと
の報告『Natural Gas Security Study』が1995年に国際エネルギー機関(IEA)でなされている
ことから、日本の近隣であるサハリンからの天然ガス輸送はパイプラインのほうが経済的であ
る。 また、海底が天然ガスの輸送機能に特化している一方、陸上は輸送機能に加えてルート
沿線への供給機能を併せ持っており、天然ガスの需要開拓が容易と言える。
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また、石油公団(現:石油天然ガス・金属鉱物資源機構)によると、2000年にパイプライン及
びLNG輸送の輸送距離の遠近と輸送量の差による環境負荷(炭素排出量)比較を兜x士通
総研経済研究所に委託して調査したところ、LNGは液化する際に膨大なエネルギー自家消費
が生じるため、一般的に輸送距離が1.6万km以下であれば、パイプラインのほうが環境負荷
を低減できると言う結果であった。つまり、環境負荷に関しては遠距離となる中東(ペルシャ湾
〜東京湾間で輸送距離約1.2万km)においてもパイプラインのほうが有利となる。それ故に、
サハリンからの天然ガス輸送はパイプラインのほうが地球温暖化防止に貢献することとなる。
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さらに、サハリンUの天然ガス田を有する付近は冬季に流氷が漂うためLNG船舶が横づけ
できず、サハリン島縦貫ラインで島南端までサハリンTと同様パイプラインで輸送してから、不
凍港を持つプリゴロドノエで液化して船舶で輸送するわけであるから非効率である。そして最大
のボトルネックは、日本の天然ガス供給構造として、現在のところ95%以上をLNG輸入に依
存しており、サハリンUが新たにLNG輸入先のオプションとして増えても、欧米と比較して高止
まり(アジアプレミアム:硬直的な取引条件に伴うアジア向け割増)しているLNG輸入価格の抜
本的な見直しや国際的な高コスト構造(内外価格差)の是正に繋がるとは考えにくい。サハリン
からの天然ガスをサハリンTのように全てパイプライン輸送による天然ガス(PNG)とすれば、
柔軟な供給先の追求による天然ガス市場のコモディティ化(流動性増大)に繋がり、欧米のよ
うに競合関係にあるPNGとLNGによる“ガス対ガス”の市場競争が生まれ、最終的に安価な
天然ガスを需要家が選択できるスポット・先物取引が日本においても主流となり得るだろう。
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●ヘンリー・ハブ
米国において天然ガス取引が行なわれているトレーディング・ハブのなかで最大規模の州際
パイプライン網の結節点(ハブ)。ルイジアナ州にあり、12本の州際パイプラインと接続されて
おり陸上や沖合いの天然ガス田及び東部・西部の大消費地と結ばれている。ヘンリー・ハブで
の短期スポット取引価格がパイプラインによる輸入価格等の基準となっている。ヘンリー・ハブ
は厚みのある市場であり、一定量の天然ガスが多数の市場参加者の間を転々と取引されて
いるが、そのチャーン・レシオは100:1である。つまり、一定量の天然ガスが最終的に引取ら
れるまでに100回取引されている。こうして、様々な取引価格の基準となる相場がヘンリー・
ハブで形成されているのである。
サハリンには未発見分も含め膨大な天然ガス埋蔵量を有するから、大容量の天然ガスを気
体のままパイプラインによって送るほうが効率的でスケールメリットによるコストダウン(規模の
経済性)に繋がるが、サハリンTとサハリンUで輸送形態が違う現状では、パイプラインの輸
送効果が削がれることが懸念される。
中長期的に日本のエネルギー政策を展望した場合、電力・都市ガスの自由化に踏み切った
として、国内パイプライン網が未成熟なままLNGのみの供給体制に固執するならば、自由化
の効果も表面的なものに終始し、他業種の新規参入の機会と電力・都市ガス価格競争促進の
トリガーとなるパイプライン網が整備されていなければ無意味である。欧米におけるエネルギ
ー分野の自由化政策も“エネルギーの血管”となっているパイプラインネットワークが形成され
ているから講じ易いが、日本の場合、中途半端な自由化政策がかえって市場の失敗を招き、
産業全体における国際競争力低下の大きな原因となり得る点に留意が必要であろう。
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2003年の改正ガス事業法に基づき自由化範囲は、2004年に年間契約天然ガス使用量
が50万m3、2007年には10万m3以上の需要家に拡大される。次に、新たなガス事業者の
カテゴリーとして導管事業者が創設され、接続供給(託送)約款の作成対象事業者の範囲が
拡大された。また、当事者間交渉によるLNG受入基地の第三者アクセス(TPA)が導入され、
簡易ガス事業者による天然ガス事業参入が認められた。
さらに、日本において国内パイプライン網が整備されていないことは、北東アジア(ユーラシア
大陸部)からの国際パイプラインの接続に対する障害の大きな要因ともなることから、パイプラ
インによる天然ガス輸入の受入体制を整えることが重要である。折しも2004年、超党派で構
成する「国土幹線ガスパイプライン建設推進議員連盟」が発足し、資源エネルギー庁ガス市場
整備課に「ガス事業インフラ整備に関する検討会」が設置され、国内パイプライン網整備に向
けた機運は高まって来ている。
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昭和初期(1930年代)に当時の満州国(中国東北地区)や日本列島(当時の領土であった
朝鮮半島・台湾を含む)とを結ぶ天然ガスパイプライン構想があったものの、敷設に係る技術
水準の未熟さや太平洋戦争の勃発等によって構想は頓挫した。
戦後も日本には豊富な天然ガス資源が存在せず、近隣諸国においても大規模な天然ガス田
開発が近年まで行われなかったこともあり、四方を海に囲まれた島国である日本は遠方から
LNGの形で専用保冷船によって輸送せざるを得なかった。1969年に高カロリーガス原料へ
の転換を図る東京ガス葛yび環境に優しい天然ガスによる火力発電を試みた東京電力鰍ノ
より、都市ガス・発電用として米国アラスカ州からLNG輸入が開始された。その後、公害対策
への対応や石油危機を教訓とする供給源の多元化によるエネルギー安全保障の観点から輸
入が増大し現在に至っている。
日本は世界一のLNG輸入国であり、増大するLNG輸入量に比例して受け入れるLNG基地
の数も世界一となっているが、LNG中心の供給体制が定着したことによって、結果として欧米
のような大都市間を結ぶ横断的な長距離パイプライン網が発達する機会を逸した。日本は地
理的条件上、山脈が多く人口稠密であること等から、東京・大阪・名古屋の三大都市が位置
する太平洋沿岸に供給する目的で港湾部に建設されたLNG基地及び国産天然ガスを有する
地域(北海道・秋田県・福島県・新潟県・千葉県等)を中心とした断片的なパイプラインが存在
するのみである(独自に各供給エリア内で水がしみ出すようにじわじわパイプラインを敷く“滲
み出し”方式で総延長3000km程度)。
大都市圏個別のパイプラインは計画的に整備されようとしているが、東京〜名古屋〜大阪を
結ぶ「東海道連結パイプライン」の形成が実現すれば、各地方に市場原理が浸透し都市ガス
料金の内々価格差是正にも繋がると期待される。そこで、1995年、(社)日本ガス協会が関東
圏、東海圏そして近畿圏の三大都市圏を結ぶ総延長1200kmの天然ガス広域パイプライン
を整備・拡張し、関東地方の北東部から中国地方東部の需要が集中し(京浜工業地帯・中京
経済圏・阪神工業地帯等)なおかつピークシェービングや2〜3週間の短期的な貯蔵機能を持
つLNG基地が多く分布している太平洋側にパイプラインを敷設する構想を通商産業大臣(現:
経済産業大臣)の諮問機関である総合エネルギー調査会の都市熱エネルギー部会・ガス基本
問題検討小委員会に提案した。大口径750〜900mmの鋼管でガス圧力を70気圧とし、
パイプライン沿線の約20kmエリアで天然ガスが利用できる数兆円規模の想定で、都市ガス
業界主導の革新的なプロジェクトであった。ところが、協力要請を受けた電力やプロパン業界
を中心に、敷設に係る経済面での合理性を保つためパイプラインを社会資本と位置づけ公的
な補助が確約されることが必要であり、また、地域独占体制による既得権益等の観点から反
発が強く、2000年に着工して2010年の完成を目標としながらも頓挫しており、三大都市圏
相互の接続には未だ至っていない。
●ピークシェービング
需要量の時間的な変動、特に季節間変動を吸収しパイプラインの利用効率を向上させる。
具体的には需要のオフピーク期(夏季)に天然ガスを地下に圧入して蓄え、ピーク期(冬季)に
排出して需要に対応する働き。
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2000年に且O菱総合研究所が提案した『国土幹線ガスパイプラインの早期建設に向けて』
によれば、全長約5300kmに及ぶ国土を縦断する高圧パイプラインの敷設費は約4兆225
0億円(8億円/km)で、沿線需要の大きい北海道から福岡に至る太平洋ライン(約3090
km)には2兆8840億円の敷設費が見込まれる。
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太平洋ライン
@北海道ルート(稚内〜下北)
A東北・太平洋ルート(下北〜久喜白岡)
B東海道ルート(久喜白岡〜神戸)
C山陽ルート(神戸〜福岡)
@〜Cのルートは、高速道路沿いの側道を中心に一般道路への敷設とし、高速道路エリア
内への敷設は対象外。
太平洋ラインの事業採算性は30年での回収は困難であるが、将来的な累積収支の黒字は
可能であるとしている。また、仮に30〜35%の無償資金あるいは40〜45%の無利子貸付
が導入されれば、30年以内に黒字に転換する可能性もある。この試算結果から今後、政府
がパイプライン敷設に係る規制緩和や財政支援によってバックアップ(欧米での敷設単価は
1〜2億円/kmが基準とされているが、日本の場合、土地利用の細分化や複雑な地形条件
等を考慮してまずは5〜6億円/kmを実現し、採算性の高いルートから段階的に整備)する
ことを前提に、パイプラインがクリティカル・マス(ある一定以上の臨界的規模)に達した暁には
“自己増殖作用”が大きな役割を果たすであろう。さらに、日本の場合、国内のパイプライン網
が整備されるインセンティブとして、新たな供給地となる近隣からの輸入パイプラインが加速度
的に後押しするものと考えられる。
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天然ガス貿易量は毎年増加しているが、1996年以降は旧ソ連パイプラインも加わり、統計
上はパイプラインによる貿易量が大幅に増加している。
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世界の天然ガス貿易の約78%が欧米を中心とするパイプラインによるものであるが、日本
では供給される天然ガスの97%を海外からのLNG輸入に依存し(残りは国産天然ガス)、国
土の主要部を縦断する広域的なパイプライン網は未整備である。
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最近では、西部ガス鰍フ長崎工場が2003年に稼働しているほか、2005年には関西電力
梶A岩谷産業梶Aコスモ石油葛yび宇部興産鰍ノよる合弁会社・堺LNG鰍フ堺LNG基地(大
阪府)、2006年には北海道ガス鰍フ函館みなと工場、中国電力葛yび新日本石油鰍フ共同
出資会社・水島LNG鰍フ水島LNG基地(岡山県)、2007年には新日本石油鰍フ八戸LNG
基地(青森県)が稼働予定。さらに、パイプラインが未整備で“空白地帯”と呼ばれている静岡
市までと浜松市以西の間に位置する静岡県中西部の物流拠点・県営御前崎港に、東邦ガス
鰍竦テ岡ガス鰍ヨの対抗心が強い中部ガス梶Aそして東海ガス葛yび鈴与鰍フ3社が2009
〜2010年の稼働を目指してLNG基地を建設する予定。四国電力梶Aコスモ石油葛yび四国
ガス鰍ヘ、2010年を目標に香川県坂出市に3社共同出資会社・坂出LNG鰍ノよるLNG基
地を建設する予定。沖縄電力鰍ヘ、同社初のLNG火力発電所を2007年より中城村泊に建
設するため、発電用燃料を受け入れるLNG基地の建設を検討中(完成予定2014年)。
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