◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL177
江田島孔明
今回は、緊迫の度合いを増す、中東イラン情勢を検討したい。
米国政府がイラン制裁を掲げたところ、市場は敏感に反応し、原油は高値を更新した。
<参考>
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007102702059635.html
イラン制裁掲げたが… 米外交手詰まり続き 2007年10月27日 朝刊
【ワシントン=立尾良二】ブッシュ米政権は10月25日、核開発を続けるイランに対し、独自に新たな制裁措置を科した。米主導による国連安全保障理事会の追加制裁決議が、中国やロシアの消極姿勢でめどが立たないためだが、米外交は対イランに限らず中東からアジアにかけて揺れており、手詰まりの様相をみせている。
イラン周辺国のうちトルコでは、米議会の「アルメニア人虐殺事件」非難決議の動きに強い反発が出た。対米協力見直しを警告し、米国が自制を求めてきたイラク北部のクルド労働者党(PKK)に対し越境攻撃も辞さない構え。イラクのさらなる不安定化が危ぶまれる。
対イラン制裁に消極的なロシアは、米国が東欧に計画中のミサイル防衛(MD)施設建設に反発。中国は、米政府がチベットの最高指導者ダライ・ラマ十四世を厚遇したことを批判。イラン問題を協議する会合をキャンセルした。
一方、パキスタンでは親米のムシャラフ大統領の求心力が低下。米政府が画策した大統領の政敵、ブット元首相との権力分散によるムシャラフ政権維持構想は、元首相を狙ったテロ事件で約140人が死亡し、「悪夢のシナリオ」をたどっている。
北朝鮮に対しても、核問題をめぐる六カ国協議を優先するあまり、北朝鮮とシリアの核協力疑惑に言及を避ける不自然さだ。11月にはワシントン近郊で、パレスチナ問題解決に向けて中東和平国際会議を開く予定だが、参加国から成果を疑問視する声が出ている。
アメリカン・エンタープライズ研究所のゲイリー・シュミット研究員は「ブッシュ政権は野心的な目標をうまく掲げて見せるが、手を広げすぎて、政策の実行力に劣る」と指摘。ワシントン近東政策研究所のデニス・ロス顧問も、イラク政策を例に「演出ばかりで政治的手腕がない。演出は国政の重要部分だが、政策を支えてこそだ」と苦言を呈している。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt61/20071027ASQ2INYPC27102007.html
(10/26)NY原油、3日続伸・一時初の92ドル台
【NQNニューヨーク=千田浩之】10月26日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は3日続伸。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の12月物は前日比1.40ドル高の1バレル91.86ドルで取引を終えた。中東情勢の緊迫などを受け、買いが優勢だった。早朝の時間外取引で一時92.22ドルを付け、連日で過去最高値を更新した。
25日に米政府がウラン濃縮を続けるイランの軍隊に対する経済制裁を発表。イランが非難声明を発表するなど緊張が高まった。中東ではトルコとイラク北部のクルド人勢力との対立が続いており、原油供給が停滞するとの思惑を誘った。
この日は石油輸出国機構(OPEC)のエルバドリ事務局長が、インタビューで「現在予定されている以上の増産に関する議論は出ていない」と述べたことが伝わった。これも需給ひっ迫観測を強めた。
ガソリン、ヒーティングオイルも3日続伸した。
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20071026D2M2601C26.html
外交・経済面でイランに圧力」――米軍参謀本部議長
【ワシントン=加藤秀央】米軍のマレン統合参謀本部議長は10月25日、イラン攻撃に踏み切る可能性について「(中東・中央アジアで)米軍が作戦を展開する国が3つになるということのリスクを十分検討する必要がある」と述べ、慎重に検討すべきだとの立場を示した。ワシントン市内の講演で発言した。
米政府が同日、イラン革命防衛隊や国防軍需省などに制裁を科したことで、将来の武力行使を巡る憶測が広がった。同議長は「すべての選択肢は排除しない」と原則論を表明したものの、「外交や経済などあらゆる側面からイランに圧力をかけることが重要」と述べ、当面は軍事以外の圧力強化を優先すべきだとの考えを示した。
このように、アメリカ政府が開戦へ傾斜すると、軍がそれに反対するというのが、特徴だ。背景として、米国政府は国際金融資本が支配し、米軍はアングロサクソンの最後の砦であるということだ。現在起きている事は、両者の死闘だ。
第二次対戦からベトナム戦争以降、全ての戦争がそうであったのだが。言い方を変えれば、「企業が国家を支配」している事が見えてこないと、本質を見誤る。
この点を解説しよう。例えば、エクソンモービル等の多国籍企業の年間売上は、一部の西欧諸国の年間税収よりも大きい。中進国のGNPよりも大きい。これは実体的には「国家の時代が終わり、多国籍企業の時代が来ている」事を示している。
しかし政治は相変わらず「国家」が中心に行っている。これは近代初頭、経済の実力は市民が持っているにも関わらず、政治は相変わらず古い王侯貴族が行っていたのと同じである。
古い制度は、やがてフランス革命やクーデターのような政変で倒される事になる。現代でも、やがて「国家が倒され、国家制度が廃止され、多国籍企業が政治を行う時代が来る。」第二次大戦以降、イラク戦争にいたるまで、その過渡期だ。
次の新しい時代には、市民革命で出来た国家が与えた「市民の人権は廃止」される。営利企業の多国籍企業は、人権等は無視する。多国籍企業が世界を自由に行き来しビジネスを行う、そのための凶暴な世界統一政府。
ブッシュの言うNWO「世界新秩序」とはその事である。人権など無視したアフガン戦争、イラク戦争のような理不尽な虐殺が行われる。
ハリバートンに代表される企業と傭兵主体のイラク戦争は、新しい時代、多国籍企業の政治の時代の幕開けを意味している。
新しい時代への革命は静かに起こっている。新しい多国籍企業の時代のため、古い国家の制度を骨抜きにし、多国籍企業が(国家を)「あやつり人形」にする・・・・既存の国家機関を多国籍企業が「乗っ取る」、静かなクーデターが進行しつつある。
△ FRB(Federal Reserve Bank、連邦準備銀行)
米国の法律では、ドル紙幣は財務省が発行する事になっている。しかし実際には中央銀行「FRB」が紙幣を印刷し発行している。これは違法行為であり、現在世界に出回っている「ドル紙幣」は、この違法行為により発行された無効な無価値な紙幣である。世界の経済は、この虚構の上に成り立っている。
「FRB」は公的機関ではない。株式会社であり、営利企業である。最大の利益を求めて、金儲けのためなら何でもする「営利機関」である。
「FRB」は紙幣を印刷する。 実際には印刷所が印刷するのでFRBは何もしていない。FRBはドル紙幣をアメリカ政府に「レンタル」する。ドル紙幣には数%のレンタル料金が課されている。
現在世界中がドル紙幣で商売をし、取引をしているが、世界のあらゆる取引きにFRBが「課税」し、数%を「ピンハネ」している事になる。
しかもこの「課税」は米国政府の収入にはならず、FRBの経営者個人の懐に転がり込む。世界経済の数%、それは数百兆かそれ以上の莫大な金額であり、世界中の人間が働いて生み出した「富」の一部である。
印刷所がドルを印刷しFRBは何もしていない、しかも違法行為であるにも関わらず、世界の富の一部が違法に「FRB」によって略奪されている。
もしも、法律の決める通り財務省が紙幣を発行すれば、この莫大なレンタル料金を支払う必要はない。しかし、ドル紙幣は何故か違法にもFRBが発行している。
この世界中の人間達から「奪われた」莫大な資金は、FRBの株主、つまりブッシュのハリマン銀行、J・P・モルガン銀行、リーマン・ブラザース銀行等の懐に転がり込む。これ等の銀行は「何もしていない」にも関わらず。
本来、公的機関であるべき中央銀行を、多国籍企業が自分達の利益のために「乗っ取り、あやつり人形」としている。株式会社(もどき?)である日本銀行も事態は類似である。日銀の株式の過半(?)は、ロスチャイルドが所有している。
(編集者注) 日本銀行は、厳密(正確)な意味では、株式会社ではありません。株主総会が元々存在せず、出資者(株主)側が、総裁等の役員を選任・解任する権利を有しておりませんし、剰余金(儲け)の配分や配当比率を決定する権限もありません。
資本金1億円で、ジャスダックに上場はしています。しかし、株式(正確には出資証券)の55%を日本政府(財務大臣名義)が保有し、放出(売却)しない建前であります。財務大臣以外は、極めて多数の個人出資者(株主)で構成されており、表向きの大株主は、財務大臣以外に存在しません。
形式上の個人名義の出資者を、実質的にロスチャイルド・グループが所有しているかは、明白ではありません。いずれにしても、日本銀行が、事実上、FRBの強い影響下にある実態を、否定することはできません。
△ 多国籍銀行
紙幣が紙切れである事を最も良く知っているのは、多国籍銀行である。ソ連のように国家が破産し崩壊すれば紙幣は紙切れになる。
金塊のような実物が、国家が崩壊した後にも価値を維持する。そのため金塊は多国籍銀行が大部分所有し、一般市民には所有させない紙幣制度が導入された。
かつては決済=支払いは金塊で行われていた。しかし、中央銀行の発行する紙幣=紙切れによる決済の制度、紙幣制度を法律で「強引」に、国家は導入した。
最終的には「政府が紙幣を金塊に交換する」と保証し、紙幣制度は発足した。そして最終的な「交換」のため、中央銀行に金塊が集中させられた。つまり中央銀行を支配する多国籍銀行が、実体的な富、金塊を独占した。紙幣制度にはカラクリがある。
1. 先述のレンタル料金を多国籍銀行に与える制度である。
2. 実物経済=金塊の多国籍銀行による独占を可能にする。
3. 仮に市民が一生懸命働き100万円の貯蓄を持っていたとして、中央銀行が印刷機を回転させ紙幣の発行量を2倍にすれば、紙幣の価値は半分になり、市民の貯蓄100万円では50万円の商品しか買えなくなる。
市民は50万円略奪されてしまった事になる。この略奪された50万円は、中央銀行=多国籍銀行の懐に入った事になる。
新しく印刷した紙幣で、多国籍銀行=中央銀行は好きな物を購入できるからだ。金塊による決済を廃止し強引に紙幣制度を導入した理由はここにある。
一般市民の銀行口座や財布の中から、多国籍銀行が自由に金を「泥棒」できる制度なのだ。
4. さらに多国籍銀行は、中央銀行に集まった金塊を担保に資金を借り、株式やデリバティブ等の投機による利益創出、先物市場での金塊のリースによるリース料金の入手等、金塊の中央銀行への集中による営利活動が可能になる。
そして最終的には、中央銀行FRBは紙幣と金塊との交換制度も廃止してしまった。(1972年のニクソン・ショックと呼ばれる)。
△ 世界新秩序(NWO)
さらに今後、最終的には財政赤字による国家の破産、あるいは市場における株式や通貨の暴落、戦争、大地震等、何でも良い・・・・通貨が無価値になり市民が全財産を失う事態が来る・・・・そして全ての富、金塊は中央銀行=多国籍銀行に集中している・・・・そのような状況が形成される。
富の一極集中・・・・これで多国籍銀行による権力集中、「独裁」政治の基盤が完成する事になる。NWO「世界新秩序」のための基盤作りが多国籍銀行による中央銀行の運営、「乗っ取り」の目的である。
この独裁が、多国籍銀行の雇った傭兵による軍事独裁、裁判無しの市民の強制収容所への収監等による「人権剥奪等の超管理社会」である事は既報した。
また紙幣の暴落により、全面的な電子マネーが導入される事になる。全ての人間行動が、クレジットカード、または人体に埋め込まれたマイクロチップと、政府のコンピューターとの間の24時間通信体制によって監視される社会が来る。
政府に批判的な人物は、クレジット・カードの無効化と銀行口座の凍結で衣食住が奪われ抹殺される。こうした独裁体制が敷かれる事になる。
なお米国の国税庁IRS(Internal Revenue Service、内国歳入庁)も株式会社であり、税金からは、まず先にIRSの必要経費と「莫大な利益」が奪取された上で、残りが米国政府の活動資金になる。
米国で活動する全ての企業と米国国民が働いて納めた税金からは、「何も働いていない」営利企業IRSが、莫大な金額を「ピンハネ」し、自分の懐に入れている。
その「泥棒された税金」は、IRSの株主、多国籍銀行の懐に転がり込んでいる。多国籍銀行による国家機関の「乗っ取り、クーデター」は静かに進みつつある。
△ エネルギー革命――宇宙太陽光発電
しかし、ここで、国際金融資本に想定外の事が起きた。それは、エネルギー革命だ。周知のとおり、アメリカの支配とは、上述のごとく、ドル紙幣の基軸通貨と中東原油の支配を根幹とし、全世界に展開する米軍が、それらを担保する。簡単に言うと、「原油決済はドル」で行うことが、このシステムの生命線だ。
製造業が壊滅し、金融を産業の中心においたアメリカは、このシステムなしでは、生きていけない。国際金融資本の宿命といえる。この構造にゆがみが生じたのが、フセインによる、ユーロ決済の導入だ。
これが、イラク戦争に結びつき、イランへの恫喝にまで発展している。アメリカは国際金融資本の頸木から脱却できるのか。そのための鍵は、下記のような、新エネルギーの開発に掛かっている。
<参考>
http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2007102702059775.html
宇宙で巨大太陽光発電 米国防総省が提言「10年内に実証衛星」
【ワシントン=共同】 米国防総省の研究グループは、宇宙に巨大な太陽光発電装置を打ち上げて地球に送電するシステムを2050年までに商業化することを念頭に、他国とも協力して10年以内に小型実証衛星を打ち上げるべきだとする報告書をまとめた。
宇宙太陽光発電は、これまで米航空宇宙局(NASA)や各国で研究されてきたが、米国防総省では初めて。
報告書は技術革新や原油価格の高騰を背景に、これまでになく実現可能性が高まっているとした上で、「エネルギー資源をめぐる国際紛争を回避できる。被災地や戦場にも電力を供給でき、戦争の死命を制する」と軍事的な活用も想定している。
研究は国防総省の宇宙国家安全保障室が主導、内外の専門家約170人が参加した。
見込まれる実用システムとしては、高度約36000キロの静止軌道に5キロ程度の間隔で二組の反射鏡を配置。中央の太陽電池パネルに光を集め、電力をマイクロ波に変換して地上の直径500メートル以上の受信装置に送電する。
電気出力は、最大で原発80基分に相当する1000万キロワット。システムの重量は、国際宇宙ステーションの6倍以上の約3000トンで、建設資材の打ち上げ回数は120回以上となるため、低コストのロケット開発が課題という。
商業化促進に向け政府が現実性を検証することが重要だとして、電気出力一万キロワット級の実証衛星を十年以内に打ち上げることを提言。事業費1兆円余を見積もり、国際宇宙ステーションや国際熱核融合実験炉(ITER)に匹敵する大規模プロジェクトになる。
広報担当官のモニカ・ブランド空軍少佐は「(構想は)国防総省として正式に採用したものではないが、実現可能性を探ったものだ」としている。
(注) 宇宙太陽光発電: 太陽電池パネルを地球を回る軌道に打ち上げ、発電した電力をマイクロ波などに変換して地球に送るシステム。1960年代後半に米国人科学者が構想を提案、70年代に米航空宇宙局(NASA)とエネルギー省が合同で、90年代にはNASAが単独で再度、実用化構想を発表した。
昼夜の別なく太陽光を利用できるのが利点。日本でも宇宙航空研究開発機構などが研究を進めている。(ワシントン・共同)
<参考>
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007102600168
2007/10/26-08:54 原油取引停止は考えず=対イラン制裁、日本も協力を−米国務次官
【ワシントン25日時事】バーンズ米国務次官(政治担当)は10月25日、CNBCテレビに出演し、米政府が発表した対イラン追加制裁に関連して、「今のところは、(同国の)石油・天然ガス(輸出)に対する制裁を考えていない」と述べ、イランとの原油取引を禁止するものではないとの認識を示した。
また国務次官は、追加制裁は「イランを孤立させることが戦術的目標だ」と指摘。制裁を世界共通のものにする必要があるとした上で、「日本や韓国、中国、湾岸・中東諸国の国々の行動を見る必要がある」と述べ、米国と共同歩調を取るよう呼び掛けた。
<参考>
http://npslq9-web.hp.infoseek.co.jp/sls139.html
次に、第二次世界大戦終結と戦後処理において、昭和天皇は見事な対応をされた。
昭和天皇の戦略方針とは、一言では「吉田ドクトリン」と呼ばれているが、「日米安保を政治上の機軸にし、対米輸出を経済上の機軸する」という戦略だ。背景として、アメリカより出された武装解除指令を逆手にとって、軽武装の経済国家をめざす、はっきり言えば朝鮮戦争で大もうけしたような、「国際金融資本と同じポジション」に立ったということだ。
英国の国際金融資本が、欧州大陸の戦乱でどれだけ利益を上げたかを理解すれば、戦後日本の国家戦略が、これを踏襲するものであることが分かるであろう。背景として、冷戦構造による米ソ対立があった。
ここまでを考えると、今後のアメリカの戦略も読めてくる。すなわち、「戦略的な二正面作戦の放棄」だ。米軍の新戦略構想は、ブッシュ大統領が就任直後、『将来の国防を探る』として、ラムズフェルド国防長官に検討を指示していたもので、最大の目になるのが、米世界戦略の基本だった二正面作戦の放棄にともなう通常兵力の縮小とハイテク化だった。
では、二正面作戦の放棄とは何を意味するのか。一正面作戦しか採らないという、明確な意思表示である。
具体的には、仮に中東で戦闘が開始された場合、米軍は中東一正面作戦に参加し、同時期に他地域で戦乱が起こった場合、そちらは無視するということである。
これは、第二次世界大戦以来、米軍が維持していた、欧州とアジアでの「二正面作戦」を放棄するもので、全世界の秩序維持に根本的な変化を生む。そして、アメリカの関心事が、エネルギー供給源である、中東地域に限られている現状では、アジアと欧州の安全保障は全くおぼつかない。
つまり、この点にこそ、日欧の利害の一致があり、史上初めて、NATOでの安倍首相の演説につながる。
つまり、このようなアメリカの戦略方針の転換が、今年のダボス会議の議題でもあった「世界の多極化」につながるのだ。「多極化とは、要するに、群雄割拠の戦国時代」ということだ。秩序維持の名手としての「スーパーパワー」の存在を失った世界のことだ。
アメリカは、ヨーロッパでEU(ユーロ)の挑戦を受け、南米でメルコス(南米共同市場)、アジアでは中国の挑戦を受けている。そして、アメリカ自身が、「帝国の放棄、縮退」に入っているという点も重要だ。
最も重要な視点は、ベトナム戦争以来、イラク戦争にいたるまで、「アメリカが関与した戦争は、全て国際金融資本主導」だということだ。
彼らは、宣戦布告権限を連邦議会から奪うことで、アメリカを自在に戦争させられる国にしてきた。そのきっかけになったのが、日本海軍による真珠湾攻撃だ。
例えば、連邦議会だが、そもそも、合衆国憲法は、戦争権限(war powers)について、その乱用を防止する観点から、連邦議会と大統領に分割して付与している。
具体的には、1)宣戦布告権等は議会に、2)国家が戦争状態に陥ったときに軍を指揮権を大統領に与えており、本来は、大統領に戦争を開始する権限は無い。
しかし、こうして戦争を開始する権限は連邦議会にあるにも関わらず、第二次大戦後、大統領の戦争権限は次第に拡大解釈されており、朝鮮戦争やベトナム戦争では、議会による宣戦布告なしに武力行使が開始された。(アメリカ史上200を超える海外派兵のうち、事前に議会が宣戦布告したのは5回のみ)
すなわち、このような、戦争に躊躇のないアメリカが生まれたのは「真珠湾以降」であり、それ以前のアメリカが外国と戦争するには、「国土に対する攻撃」が必須だったのだ。
つまり、日米は、「新春特別企画」で述べたように、「国際金融資本に操られ、不必要な戦争」に駆り立てられたのだ。この点を日米ともに理解する必要がある。
国際金融資本が当該国を支配するために、「恐慌と戦争」は必須だ。このパターンにアメリカは完全にはまったのだ。その後の歴史については、ベトナムからイラクにいたるまで、アメリカは戦争に躊躇のない国になった。その影で産軍複合体、国際金融資本は肥大した。
ここまでを書いて、お分かりいただきたいことは、国際金融資本にとって、「軍は商売道具」であり、当然、軍は、そのような使われ方に徹底的に反発する。
すなわち、真の対立軸とは、戦後の冷戦構造に限っていえば、米ソの冷戦ではなく、米軍+ソ連軍VS国際金融資本という視点だ。
冷戦は、国際金融資本がプロデュースした「やらせ」であることは新春特別企画で詳述したが、このような視点があってはじめて、トルーマンによるマッカーサーの解任(1950(昭和25)年に勃発した朝鮮戦争の国連軍総司令官に任命され、韓国・仁川奇襲上陸で状勢を逆転させたが、トルーマン大統領の政策に公然と反対して、原爆使用を視野に入れた義勇軍が参戦した中国ばかりかソ連との全面戦争を主張したため、1951(昭和26)年4月11日に解任された。
もし、この時点で、核攻撃が行われていたら、冷戦はあっけなく終了していただろう。)や、ソ連のジューコフによるべリヤ逮捕に繋がる動きも理解できる。
以上
(江田島孔明、Vol.177完)
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