◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL183
 江田島孔明


 今回は、私が以前より主張している、「アメリカの内戦」としてのイラン戦争の有無を検討したい。

 まず、結論から述べるが、私は、イラン戦争を「無い」と見ている。

 理由は、サブプライム問題を見ても分かるが、アメリカを支配している「国際金融資本」が、既に、その力(アメリカに戦争をさせる力)を失いつつあるからだ。


 むしろ、私の予測どおり、米国内で、反ユダヤ感情が高まり、結果として、国際金融資本による支配も終焉を迎えつつある。昨年のハーバード大学のウォルト教授と、シカゴ大学のミアシェイマー教授の論文も、この事を物語る。

 論文の主張するのは、冷戦後には戦略的な重要性が逓減したにもかかわらず、依然としてイスラエル援助がアメリカの外交予算の中で際立って多く、それを正当化する道義的な理由もない、という事だ。

 イスラエルが中東地域で「民主的だから」支持するとか、「テロとの戦いの同志だから」支持するとかいった言説を一つひとつ検証して見せ、AIPACなどのイスラエル・ロビーが大統領府、議会、メディア、アカデミアなどに対して及ぼしている影響を例証している。
 2001年9月にブッシュ大統領が、パレスチナ国家の樹立を支持する発言をしてから、イスラエル・ロビーがそれをほぼ覆すまでの様子とか、アメリカのイラク開戦にイスラエルがからむ様子とかは、同時代史として、とても興味深く読める。

 この論文、強くイスラエルの政策と、それに左右されるアメリカ政府を批判していることによって、「反ユダヤ的(anti-Semitic)だと批判されたり、KKK の親玉から要らぬ賞賛を受けたりしているそうだ。

 イスラエルによるアメリカ支配とは、つまるところ、情報の支配だ。

 下記記事に見られるように、イラン戦争の必要性は、アメリカよりも、イスラエルにある。逆に言えば、ブッシュ政権とイスラエルの死闘の中で、キッシンジャーの時代にイスラエルに支配された情報機関が反イスラエル色を鮮明にし、「独立戦争」を仕掛けようとしているといっていい。

 これが、イラン核開発問題の背景だ。このように、イラク戦争の開始と推移を巡って、国際金融資本(ネオコン)VS米軍の構図が鮮明となり、結果は私の予測どおり、米軍によるイラク統治の失敗すなわち、ベトナム撤退と同じように、イラク撤退を模索する羽目となった。

 世界は、既に米軍のイラク撤退は時間の問題と考えている。その結果、イスラエルを取り巻く政治的、あるいは外交的な状況が大きく変化、軍事強硬派が窮地に立っている。

 これは、間違いなく国際金融資本主導で行われたイスラエルの建国以来、最大の危機だ。簡単に言えば、イラク戦争という「大博打」でイスラエルを延命させようとしたが、その博打に負けたのだ。こういう場合、手仕舞いは早いほうがいい。そこが分かっているから、イスラエルはアメリカにイランを攻撃させようと必死だ。

 このように見ると、イスラエルや国際金融資本にとって、悪事の数々からその支配に未来はないといえる。

 <参考>

 彼らの悪事の数々

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 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 新春特別号

http://www.teamrenzan.com/archives/writer/edajima/post_161.html
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/edajima/post_165.html
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/edajima/post_168.html
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 コロンブス以来の過去500年、彼らは制海権を武器に、世界の貿易と決済を支配することで永らえてきたが、常に、バブルと表裏の関係で宿主を変えてきた。インフレやバブルで行き詰まったら戦争によるリセットがデフォルトであった。しかし、今回はその種の不良債権処理に米軍が協力しない。ではどうするか??彼らは米軍の変わりに日本軍を使用し、不良債権処理しようとするだろう。

 このように見てみると、今や、世界そして日本の最大の問題は、米国を始め、全世界に寄生した「ユダヤ」であり、それもユダヤ的生き方、信仰観、宗教観だ。彼らは寄食先に対しては、生きるか死ぬかの共倒れを図っていくしかなく、実に、日本の国家破産に巻き込んでいくしかないようだ。
 思うに、この状況で採りうる選択肢は肉を切らせて骨を断つしかない。最後には彼らを破綻させて、宗教観を改訂させるほどの懺悔をさせて、日本の改革に協力させていくことが必須だろう。実に、徳川家康流に、敵を敵と見るのではなく、「如何に味方に付けるか」という大胆な発想も必要となる。

 サブプライム問題は実は沖縄戦だった。アメリカが惨めに食い尽くされた後、決戦場は「日本」だ。昭和20年の本土決戦は諸般の情勢を鑑みて回避した。しかし、今度は、彼らを迎撃し、包囲、殲滅しなければならない。この戦いには、人類の未来がかかっている。

 <参考>
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http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20071204id21.htm

 イランの脅威は不変…イスラエル国防相、米評価受け

 【エルサレム=三井美奈】米政府の国家情報評価(NIE)を受け、イスラエルのバラク国防相は12月4日、国軍ラジオで「イランは核兵器計画を一時停止したが、再び着手したはずだ」と述べ、脅威は不変であると主張した。
 イスラエル軍情報部は11月、「イランは09年にも核兵器製造能力を保有する」との見方を示しており、米国の分析とのズレに戸惑いが広がっている。

<http://ad.jp.doubleclick.net/click;h=v8/3623/0/0/%2a/y;44306;0-0;0;11502572;4307-300/250;0/0/0;;~aopt=2/1/ff/0;~sscs=%3f> Click here to find out more!

 国防相は、米国によるイラン攻撃の可能性は低くなったと認めた上で、「言葉だけでミサイルは止められない」と述べ、イランに対する軍事攻撃を選択肢から排除すべきではないとの立場を示した。
 ただ、イランは同国から1000キロ以上離れている上、核施設は数十か所に散在していると推察されるため、「攻撃には米国との協力が不可欠」(軍事筋)との見方が一般的。米国で強硬論が沈静化すれば、攻撃は事実上、不可能になるとの見方が強い。

 また、イスラエルは米国とともにイランの脅威を強調し、アラブ諸国を含めた「包囲網」作りを目指してきた。今後もイスラエルが同じ路線をとれば、「信用が損なわれ、オオカミ少年のように映る」(同国紙イディオト・アハロノト)との懸念も出ている。
(2007年12月4日22時43分 読売新聞)
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 <参考>
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http://npslq9-web.hp.infoseek.co.jp/sls144.html

 私は、以前から、世界情勢の中心には中東があり、中東情勢の中心にはイスラエルがあると考えてきた。イラク戦争以降、今日に至るまでのアメリカの中東での無策ぶり、大失態は、すべて、イスラエルとその代理人である「ネオコン」によって引き起こされたものだ。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/imimage/im20061218AS2M180371812200613.jpg

 そして、ブッシュ政権はネオコンを切り、ゲーツに代表されるCIA人脈を重視した、諜報や謀略のプロを配置し、事態の収拾に乗り出したようだ。これは、CIA(アングロサクソン系)とモサド(イスラエル系)の死闘に対して、CIAが優位に立ったともいえる。

 アメリカが国際金融資本に支配されたのは、大恐慌から第二次世界大戦を通じてであるが、イスラエルに支配されたのは、キッシンジャーの時代においてである。
 イスラエルは、冒頭で紹介した孫子用間篇をアメリカに対して忠実に実行し、成功させることが、国家安全保障上の最重要課題と認識している。
 この点、すなわち、アメリカを舞台にしたアングロサクソンVSユダヤ、CIA VSモサドの、決して表に出ることはない水面下の死闘の推移が分からないと、現状も、未来も分析できない。


 CIAとモサドの関係を、歴史を遡って理解するために、ユダヤ人の大御所キッシンジャーが活躍した1960年代末から1970年頃を、振り返ってみることにする。

 この時代、キッシンジャーはアメリカの政策決定に係わり、基本的にそれを操作しただけではなく、政策決定、情報活動体制そのものをも根本的に再編した。

 ロンドンとニューヨークの国際金融資本の後ろ楯を受けて、キッシンジャーは、情報活動に携わる組織をそれまでと全く反対に入れ換えてしまった。彼がまず企んだのは、CIAの情報分析機構に取って代わるものとして、国家安全保障会議(NSC)のスタッフ自身が重要な政策決定に関与できるようにすることであった。元来この部署のスタッフは、情報関係部局から上がってきた情報を単にNSCに提出するだけのものであった。

 情報分析、正確に言うなら国家情報分析(NIES)の目的は、様々な手段や経路を使って入手した生の情報を、状況に応じてべストの分析が行われるようにすることだった。

 CIAは、エレクトロニクス装置から人的手段までのすべてを駆使して、何が起こっているかを把握し、大統領やその閣僚、それに情報関係部署の責任者をはじめとする政策担当者がしかるべき行動を取れるようにその情報を提供しようと試みていた。キッシンジャーは、このシステムをほとんど信用していなかったので、それを壊してしまおうとした。

 さらにキッシンジャーはその際、CIAで働いていた情報関係者の幹部をホワイト・ハウスに招き入れた。CIAの幹部の一人でソ連の情報活動問題担当だったウィリアム・ハイランドも、キッシンジャーによってホワイト・ハウスに移され、彼の前の職場であるCIAに対抗して、キッシンジャーが事を進める際の切札に使われた。そのときからというもの、ハイランドはことごとくキッシンジャーの後ろ楯によって出世していった。

 キッシンジャーは、こうした抜擢人事を通じて互いの反目を引き起こし、それによって情報専門家からなっている従来のシステムの弱体化を狙った。このような撹乱工作は、一部の情報専門家の間に疑惑を生み、彼らはキッシンジャーを「ソ連のスパイ」かもしれないとして調査を始めたほどであった。キッシンジャーは、最善の情報分析を提供し取るべき行動を進言するという情報専門家の能力を破壊してしまった。
 そのことで現実に一部の者はキッシンジャーを「ソ連の息のかかったスパイ」と考えたのである。

 キッシンジャーは自らの下で、国家情報分析を軽視する一方、第三世界を中心に秘密工作(単に諜報活動に徹するのでなく、意図的に事件を引き起こすこと)を進めることでCIAの秘密工作部に対し協力した。
 キッシンジャーと一緒にこの工作に加わったのが、元CIA長官のウィリアム・コルビーだった。彼は長きにわたって第三世界での秘密工作に携わっており、今ではアメリカの対日政策を決定するための情報活動を、民間サイドで進める上でなくてはならない人物になっている。 

 キッシンジャーが、イスラエルの情報機関であるモサドとの間に緊密な関係をつくり上げたのもこの時期であった。それまではモサドはCIAの単なる下請け機関であり、アフリカや中東での共同秘密工作では金銭的にCIAに依存していた。
 キッシンジャーが登場するに及んで、情報活動全体の様相がすっかり変わってしまった。1973年の中東戦争とそれに続くアラブ諸国の石油輸出ボイコットという事態に対し、キッシンジャーが果たした役割によって、彼はイスラエルに登場の機会を与えた。
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 <参考>
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 国際政治の世界で今、ある論文が大論争を招いている。数週間前に米国の学者が発表したイスラエルに関する論文が、世界を騒がせている。
 米国がイスラエルを特別扱いするのは、ユダヤ系の圧力団体が強力だからだというもの。
 論文の著者は二人。ハーバード大学のウォルト教授と、シカゴ大学のミアシェイマー教授、John Mearsheimer and Stephen Walt“The Israel Lobby”
London Review of Books, Vol. 28, No. 6 (23 March 2006).
 この論文は下記のサイトからダウンロード可能。
http://ksgnotes1.harvard.edu/Research/wpaper.nsf/rwp/RWP06-011
http://www.lrb.co.uk/v28/n06/mear01_.html

 日本語訳
http://www.asyura2.com/0601/war79/msg/726.html
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 <参考>
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http://www.bnn-s.com/news/07/12/071206174619.html

「国家情報評価」がイランの核兵器開発中断を明示 死に体のブッシュ政権

 なぜ、この時期に明らかにしたのか。

 アメリカ政府は12月3日、 機密報告書「国家情報評価」(NIE:National Intelligence Estimates)を公表、テロ支援国家に指定しているイランが、2003年秋の時点で核兵器の開発を中断していたことを明らかにした。
 NIEはCIA(中央情報局)など16の情報機関の情報を総合的に分析したもので、その1部を明らかにした。

 これまでブッシュ大統領は、イランによる核兵器開発の脅威を執拗に主張してきた。10月17日の会見では、イランに核兵器の保有を許せば、第三次世界大戦が起こる可能性があるとの見解も示したばかり。

 今年1月9日、ホルムズ海峡で潜行中の米原子力潜水艦「ニューポート・ニューズ」と日本の大型タンカーが衝突した。これはアメリカがイランを攻撃できる準備を整えていたことを示す象徴的な出来事ではないだろうか。

 アメリカは依然としてイランに対する軍事攻撃をオプションとして残しているが、先のイラク戦争に踏み切る口実となった大量破壊兵器が発見できなかったことと同じく、イランの核兵器開発は、アメリカが軍事作戦を強行するための既成事実に仕立てた観は拭えない。

 イランには豊富な石油資源(世界第2位:確認埋蔵量1,375億バーレル、可採86.7年)がある。そのため、原子力は必要ないとの前提に立って、ウラン濃縮活動は核兵器の製造が目的との「定説」を流布しても、大きな疑念は生じない。この「定説」をアメリカがイランを攻撃する場合の正当な理由として利用することは間違いないが、アメリカがイランを攻撃する可能性は消失した。

 IAEA(国際原子力機関)のモハメッド・エルバラダイ事務局長(核の不拡散問題に尽力し、05年にノーベル平和賞を受賞したエジプト人)は、03年に核不拡散体制に関する新提案を行った。

 その骨子は民生用であっても、核兵器に転用することが可能な分離されたプルトニウムと高濃縮ウランの再処理や濃縮に伴う新たな生産や処理は、国際的な管理下に置かなければならないというものだ。併せて合法的に原子力を利用する国に対しては、資源の供給を保証するルールが必要ともした。

 エルバラダイ事務局長は、イラク戦争勃発前に、大量破壊兵器の査察継続を主張、アメリカとイギリスを厳しく批判してきた人物でもある。

 この提案を受け入れた数少ない国がイランであり、05年8月に誕生したアフマディネジャド政権は、イランの核開発を平和目的であると主張してきた。

 一方、国連は06年12月、07年3月に対イラン安保理制裁決議を採択した。IAEAが06年3月、国連に対し、イランに未申告の核物質や核開発活動がないことを報告しているにもかかわらずである。

 アメリカがイランの脅威を必要以上に喧伝してきたことは、「イランが反米国家」であることが要因だ。中東で反米の旗幟を鮮明にしている国は、イランとシリアの2国だけであり、中でも強大な軍事力を誇るイランは、アメリカの脅威となっている。

 だが、アメリカにとってイランが憎むべき国である理由は、アメリカ自らがつくり出したといっても過言でない。

 1941年にイラン皇帝(パーレビ朝)に即位したパーレビ国王は、近代化(西洋化)と脱イスラム化を進めた。石油の国有化を進め、国民の人気を博したモハンマド・モサッデク首相を脅威として、CIA支援の下、軍事クーデターによって独裁政権を確立したのがパーレビ国王だった。

 ところが、パーレビ王政は国民の不興を買ったため、全土に反王政デモが拡大、パーレビ国王は79年1月に退位し、エジプトへの亡命を余儀なくされた。

 一方、79年2月に亡命先のフランスから帰国したシーア派最高指導者のホメイニ師は、イスラム革命によるイラン・イスラム共和国の樹立を宣言した。

 しかし、学生らの不満は納まらず、パーレビ元国王の引き渡しを要求、11月に在テヘランアメリカ大使館に乱入、大使館職員ら52人を人質(解放は81年1月)に占拠した。

 このような経緯からアメリカはイランを敵視、イラン・イラク戦争(80年〜88年)の際は、いち早くサダム・フセインを支援した。フセインの末路は周知のとおりである。

 以後、アメリカとイランの関係は断絶状態が続いており、ブッシュ大統領は、02年の一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮の3カ国を「悪の枢軸」と名指し政権の転覆を示唆した。アフマディネジャド政権発足後の関係は一層、緊迫したものとなっている。

 “世界の警察”を自負するアメリカが超大国として君臨する背後に、石油利権があることは紛れもない事実。

 アメリカには軍需産業と密接に関わり、好戦思想を持つネオコン勢力が台頭している。反米国家を執拗に威嚇し、相手が軍備の増強や核開発の兆しを見せれば、軍事行動も厭わないという姿勢を見せ、軍需産業の利権と石油資源の獲得を目論んでいる。

 筆者が03年にバグダッドを訪れた時、市街地に立ち並ぶ劇場、電話局、役所などすべての公共施設は、アメリカ軍のミサイルを撃ち込まれていたが、唯一無傷の建物があった。それがイラク石油省だったことは、アメリカの侵略目的を端的に示す証拠であった。

 こうしたアメリカの利権とは裏腹に、今回の「国家情報評価」では「イランの核開発中断」が明らかになった。一見、これはアメリカに大きなダメージを与えるかのような出来事であるが、実際にはイラク問題でレイムダックに陥るブッシュ政権に見切りをつけたことを示しているのではないか。

 理由は明らかにされていないが、今年8月、ブッシュ大統領の重要な“選挙参謀”であるカール・ローブ次席大統領補佐官が辞任した。ローブ氏が泥沼化するイラク問題に続き、イラン攻撃も辞さないブッシュ政権では、次期大統領選挙で共和党が敗北すると考えたとしても不思議はない。

 こうしたブッシュ政権の強硬姿勢は共和党内からも反発を招いているばかりか、国際社会での信用も失墜しかねない。遅すぎた観の拭えない「国家情報評価」だが、イラン戦略の見直しを内外に知らしめなければならないほど、ブッシュ政権が死に体にあると考えるのは、邪推でだろうか。
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以上
(江田島孔明、Vol.183完)


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