◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL190
江田島孔明
しばらくなりを潜めていたロシアのプーチン大統領が、公然と西側に宣戦を布告してきた。その考察。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080208-OYT1T00838.htm
プーチン大統領、2020年までの長期戦略を発表
【モスクワ=緒方賢一】ロシアのプーチン大統領は2月8日、クレムリンで演説し、2020年までの長期国家戦略を発表した。
約3か月後に退任するプーチン氏は内政、外交、安全保障など国家の将来像を提示することで、退任後も国家運営に主導的な役割を果たす強い決意を示したと言える。
プーチン大統領は就任後の8年間で社会、経済状況が劇的に改善したと実績を強調した。そのうえでエネルギー産業や金融部門を強化するとともに、先端技術の開発に力を入れ、国際社会をリードする「大国」として発展を続けるとの目標を示した。
安全保障については「新たな脅威に対応する新軍事戦略が必要」と言及し、軍事費については「国家の能力に見合った適切な額でなければならない」と述べ、軍拡路線には進まない方針を示した。
プーチン氏の演説は、次期大統領に就任する可能性が高いメドベージェフ第1副首相をはじめ、政権幹部や国会議員らを前に行われた。
(2008年2月8日22時58分 読売新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080209AT1G0901209022008.html
ロシア軍機が領空侵犯・33年ぶり、伊豆諸島上空3分間
2月9日午前7時半すぎ、伊豆諸島南部の上空で、ロシア機1機が領空を侵犯した。航空自衛隊はF15戦闘機など計24機を緊急発進させ、警告したところ、約3分後に退去した。
防衛省によると、ロシア機による領空侵犯は北海道周辺が多く、伊豆諸島まで南下するコースをたどったケースは旧ソ連時代の1975年9月以来という。
同省によると、領空を侵犯したのはロシア軍の爆撃機Tu―95。午前7時半から同33分まで父島と八丈島の間の海域にある嬬婦岩(そうふがん)の上空を通過した。(13:31)
まず、私の主張の根幹には、「ランドパワーの攻勢に対抗するには、シーパワー連合の紐帯が必要」というものがある。つまり、シーパワーが連合するために、「強力なランドパワー」は必須の存在だという地政学上の真理だ。
歴史を見ても、日英同盟が最も上手く機能したのは、帝政ロシアの南下政策があった時であったし、日米同盟が最も強固だったのは、米ソ冷戦期のレーガン政権であった。
同盟とは「共通の敵」をもって初めて機能し、敵の喪失により、消え去る。これは、世界史の真理であろう。そして、「敵」でああることを隠そうとはしないプーチン政権は、「味方の振りをして、内部に入りこむ」北京より、「与しやすい」とさえ言える。
真の脅威は例えば、VOL52で述べた様な、ヤルタ密約を仕掛けた戦前の共産主義者細胞であったり、「日中友好」の仮面の下、日米離間を仕掛ける北京政府だ。
そう考えると、プーチン政権の「強面路線」は、実は、日本の利益に直結していることが分かる。私はプーチン大統領には、是非、ランドパワーの清華として、「無慈悲なイワン雷帝」であってほしい。
下記記事に見られる様に、ロシアと中国の兵器取引も途絶したようだ。ロシアの危機感と経済復興の表れであろう。
<参考>
http://obiekt.seesaa.net/article/81495301.html
ロシア、中国との兵器取引関係が一時断絶
ロシアの独立新聞(Независимая газета:ニェザヴィーシマヤ・ガゼータ)が、以下のように報じています。
<http://www.ng.ru/economics/2008-01-29/1_tupik.html> Военно-экспортный тупик
(兵器輸出が袋小路に陥った)
Москва теряет крупнейших импортеров оружия
(モスクワは最も重要な兵器輸入業者を失います)
原文のロシア語記事は長いので、以下の時事通信の要約記事をご覧下さい。
<http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008012900995>
ロシアの対中兵器輸出、ほぼゼロに=最新鋭技術の提供めぐり対立:時事通信
【モスクワ1月29日時事】ロシア紙・独立新聞は1月29日、ロシアの中国向け兵器輸出がほぼゼロに激減していると伝えた。この問題を協議するため、セルジュコフ国防相が5月のプーチン大統領退任までに訪中する可能性があるという。
ロシアから中国への兵器輸出は最近まで、年間18億〜20億ドルに上り、兵器輸出全体の約4割を占めていた。しかし、同紙によると、ウズベキスタンにある軍需工場の技術者不足から、総額15億ドルに上る軍用機輸出契約が最近頓挫し、現時点で大型契約は残っていない。
また、対中警戒感が根強いロシア軍内で、中国に最新鋭兵器をどこまで提供するかをめぐり意見が統一されていないことから、中国が求める兵器の売却やライセンス生産の権利付与に応じていない。
ロシアは一方で、インドには戦闘機を含む最新鋭兵器を売却しており、中国側の不満が高まっているとされる。
ロシアと中国の兵器取引関係悪化は、数ヶ月前からジェーン・ディフェンス・ウィークリー(JDW)でも語られており、購入して暫くしたら勝手にコピー品を大量生産する中国のやり方に嫌気が差したロシアが怒ったのではないか、とKojii.netの井上孝司氏の見解です。
しかし結局の所、この関係悪化は一時的なもので、中国はロシアからの兵器輸入に頼らざるを得ないという分析も為されています。以下は2007年11月の、アメリカのUPI通信の分析です。
<http://www.upi.com/International_Security/Industry/Analysis/2007/11/23/analysis_china_eyes_new_russian_tech/5662/> Analysis: China eyes new Russiantech - UPI.com
Military observers based in Moscow and Beijing say they believe the recentnadir of military cooperation between China and Russia is only temporary.
China will have to rely on Russia to develop its military technologies, asBeijing has no other alternative.
The first new project involves Su-33 shipborne fighters. Experts from theRussian aviation industry are convinced that China is about to start theconstruction of an aircraft carrier.
「モスクワと北京に拠点を置く軍関係者は、最近の露中軍事協力でドン底まで悪化した関係は、一時的なだけであると言います。
北京は他のいかなる選択肢も持たず、中国はその軍事技術を開発するためにロシアに頼らなければなりません。
(空母戦力化の為の)最初の新しいプロジェクトは、Su-33艦上戦闘機を必要とします。ロシア航空業界の専門家は、中国が航空母艦の建造を始めようとしていることを確信しています」
冷戦時代にソ連との関係が悪化した中国は、敵の敵は味方の論理で西側と接近を図り、軍事技術協力を得ようとしましたが、天安門事件でその関係は崩れ、冷戦終結後にロシアと再接近を図り、大量のロシア兵器を購入してきました。しかしロシアは国境を接する中国への兵器輸出に制限を設け、T-90戦車は売らず、フランカー戦闘機も最新型レーダーを搭載したバージョンは売っていません。(一方、地理的にロシアと敵対し得ないインドには、最新ロシア兵器が納入されている)
このような状況に不満を募らせる中国は、西側との兵器協力関係を再開したいと考えていますが、アメリカの反対に遭いヨーロッパは二の足を踏んでいる状態で、何時になったら再開できるかは目処が立っていません。そこで中国は仕方なく戦略的パートナーであるパキスタンと兵器共同開発を行っていますが、パキスタンは特筆するような独自技術を持っているわけではなく、金銭的にも裕福な国では無い為に開発資金出資額も限定され、中国が独自開発するのと似たり寄ったりの結果となっています。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/m20080206015.html
ロシア太平洋艦隊、潜水艦8隻増強 中国の脅威に対処 ミリタリーバランス―2008年2月6日(水)08:31
<http://www.sankei.co.jp/> 産経新聞
【ロンドン=木村正人】英国の
<http://search.goo.ne.jp/web.jsp?MT=%B9%F1%BA%DD%C0%EF%CE%AC%B8%A6%B5%E6%BD%EA&from=news_body&PT=news_body> 国際戦略研究所(IISS)は5日、世界の軍事力を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス2008」を発表。
<http://search.goo.ne.jp/web.jsp?MT=%A5%ED%A5%B7%A5%A2&from=news_body&PT=news_body> ロシア海軍で太平洋上の作戦を担当する太平洋艦隊にこの1年間に戦術潜水艦8隻が増強されたことが分かった。IISSの軍事専門家は「太平洋でロシアが恐れるのは米国ではない。中国だ」と極東の海軍力が急に強化された理由を分析した。
同海軍は北方、バルト、黒海、太平洋の4艦隊とカスピ小艦隊などで構成される。太平洋艦隊は北方艦隊に次いで強力な艦隊で、ウラジオストクに本部を置く。
報告書によると、太平洋艦隊の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)は4隻。巡航ミサイル搭載型などの原潜(SSN/SSGN)が10隻、ディーゼル電気推進対潜潜水艦(
<http://search.goo.ne.jp/web.jsp?MT=%A3%D3%A3%D3%A3%CB&from=news_body&PT=news_body> SSK)は9隻で計23隻だった。
2007年版(潜水艦計15隻)と比べると、米国を攻撃目標とする戦略潜水艦のSSBNの増減はなかった。一方、中国など周辺国を対象にする戦術潜水艦のSSN/SSGNは1隻減ったものの、SSKは新たに9隻が配置されていた。
昨年まで報告書の編集を担当した軍事専門家、クリストファー・ラントン上級研究員は産経新聞の取材に「石油・天然ガス開発が進むサハリンを守る一方で、中国の脅威に対処する狙いがある。太平洋でロシアが恐れているのは米国ではない。ロシアに不安を抱かせているのは中国の存在だ」と語った。
また、4月でフセイン政権崩壊から丸5年になるイラク情勢について、報告書は「イラク治安部隊の自立は米国側が思うようには進んでいない」と指摘。来年の米政権交代後も最低10万人の米軍を駐留させる必要があるとの見方を示した。
昨年以降の米軍増派は首都バグダッドなどの治安を改善させたが、その一方で民兵同士、宗派間の衝突、犯罪が多発する状況は続いている。報告書は、イラク内務省が管轄する警察については「多くの地域で武装勢力と見分けがつかない」と酷評、米軍が大幅撤退できるようになるには長期の取り組みが必要と分析している。
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/070918/12329.html
中国とロシアの対米盗聴活動、冷戦時代と同レベルに
米国家情報長官マイク・マッコーネル氏によると、現在中国とロシアは冷戦時代と同様に米機密情報の盗聴活動を行っているという。
マッコーネル長官は、2007年9月18日行う予定の米議会証言で、米政府はテロリストだけではなく、冷戦時代の敵対国ロシア、中国への米政府機密情報の漏洩を事前に防ぐためにも、盗聴力を強化する必要があることを強調し、「中国とロシアは米機密情報の収集活動をもっとも活発に行っている。両国の盗聴活動は、冷戦時代と同レベルにまで達している。我が国の機密情報を保護することは、治安維持のためにも必要不可欠だ」と発表する予定であるという。
米議会は先月、マッコーネル長官が米機密情報漏洩の危険性を指摘したために、急遽「Protect America Act」を採択した。この新法案は、米情報当局が米国内に潜む潜在テロ組織を特定できるようにするのが目的であるという。
米立法者らからは、米政府の国家機密情報保護力を高めるために、外国からかけられた電話や電子メールに政府が介入できるようにするべきだとの意見も挙げられているが、米市民団体からは、米政府に当初の目的以上の強力な権限を与えることになるとして非難されている。
しかしマッコーネル長官は、米政府が、国外テロリストが国内に潜むテロ共謀者に電話、電子メールを送信する際、事前に察知することができるように米法案を強化することが重要だと主張している。
米政府では「電子媒体」をどのように監視していくかが今後取り組むべき課題の1つとなっている。現行のFISAでは、米政府が情報媒体を盗聴するには、連邦裁判所の許可が必要となっている。今後の法改正で、裁判所の介入が不必要になれば、米政府に必要以上の権限を与えてしまうため、電子媒体による情報発信元の特定、盗聴活動監視に関して綿密な規定が求められている。
http://blog.livedoor.jp/taezaki160925/archives/50857738.html
世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 VOL52
江田島孔明
今回は、対独戦争60周年記念を前に、ブッシュ大統領が行った、ヤルタ会談を否定する演説の意味考えてみる。この演説は、「第二次世界大戦の再評価を含む、戦後世界の枠組みの再編」を意味する、極めて重要なものだからだ。
『読売新聞』は、「米大統領、ヤルタ会談を批判する演説」という見出しで次のような記事を配信した。
<参考>
【リガ=菱沼隆雄】ブッシュ大統領は7日、リガ市内で演説し、第2次世界大戦末期の1945年に米英ソの3首脳が戦後の世界統治について協議したヤルタ会談での合意について、1938年に英独間で結ばれた「ミュンヘン協定」などの「不正な伝統を引いている」として批判した。
ブッシュ大統領はヤルタ会談の合意は、ドイツによるポーランド侵攻を招き第2次大戦の引き金を引いたとされるミュンヘン協定や、独ソ間の「モロトフ・リッベントロップ秘密議定書」の延長にあるものとして批判。「中東欧の人々を(共産体制下の)囚(とら)われの身とした歴史上最大の誤りとして記憶されなければならない」と述べた。
また、「こうした行為が安定の名のもとに自由を犠牲にし、欧州大陸を分断し不安定にした」とも語った。
ブッシュ大統領の「リガ演説」の全文は、既に公開されている。『読売新聞』記事が言及したヤルタ会議批判は、次の一節に示されている。
思うに、第二次世界大戦と、その後の世界の枠組みのなかで、最も得をしたのはだれだったろうか。それは、スターリン−毛沢東のランドパワーコミンテルン連合ではなかったか。スターリンはバルトや東欧を毛沢東は中国をそれぞれ手に入れ、しかもその過程でアメリカの支援を受けているのである。
ヤルタ会談がアメリカ(ルーズベルト)の大幅な譲歩により、東欧をスターリンに譲って決着をみたことは、その決定的な点であろう。
ここで注意しなければいけないのは、ルーズベルトは民主党であり、民主党は代々歴史的に共産主義が大好きであり、かつソ連や中国に親近感を抱き、支援するということだ。その裏返しとして反日ともいえる。
ユダヤ系金融資本の代理人で、共産主義に非常にシンパシーを持っているアメリカ民主党の本質を、その歴史を第一次世界大戦に遡って考えてみたい。
第一次大戦を通じアメリカが世界のスーパーパワーとして名乗りをあげてくる。かの国は孤立主義を国策として欧州への不介入を貫くはずだったのだが、この戦略転換の背後になにがあったのか?私はアメリカにおける金融資本家の政策への影響を看過できない。
1929年NYで発生した大恐慌の結果、世界がブロック化していく中で、日独といった後発資本主義国が武力に訴え生存圏を確保しようとする端緒となったしかし、大恐慌そのものの評価について、世界経済に与えたインパクト以上にアメリカにおける連邦政府の存在がクローズアップしてきたことは看過し得ない事実である。
もともと、合衆国とは州に主権があり各州の主権を制限しない範囲で連邦に外交や安全保障を委ねてきたのである。そして外交的孤立(モンロー主義)を国是としていた。しかるにルーズベルト大統領のとったNewDeal政策は連邦主導の経済政策であり、この時期FBI、FRBを初めとする連邦諸機関が創建され強化されているのである。
まさしくアメリカにおける連邦主権の管理国家が完成したのが、この大恐慌期なのである。建国の父たちの理念、州の連合により中央集権ではないキリスト教原理主義に基づく理想郷を築くことは、この時期死んだということが言えよう。ルーズベルト大統領のとった政策は、違憲判決が多数出されていることも忘れてはいけない。
この視点は決定的に重要である。その後アメリカは連邦政府に引き連られモンロー主義という伝統的孤立主義の国策を捨て、世界に市場を求め、干渉していくのである。
戦後の海外への米軍展開、駐留は合衆国憲法になんの根拠もない。そして、本来根拠がない事項は、州に留保されるとの憲法上の規定(修正第10(州と人民の留保する権利) 本憲法によって合衆国に委任されず州に対して禁止されなかった権利は、各州と人民に留保される。)があるが、米軍の海外駐留展開に対して州が同意を与えた形跡はない。
はっきりいえば、海外市場獲得のため、NYの金融資本家がワシントンを通じて、アメリカを操作する契機を与えたのが大恐慌なのである。そして、彼らの究極の目的は「中東と中国」であり、共産主義にシンパシーを抱き、中ソを同盟国として、日独を相手に第二次大戦を戦った。
大恐慌後のブロック経済化、市場獲得競争は武力進攻という形をとり、結果日独は敗戦した。今日、第二次大戦というと日独VS連合国としての史観しかない。しかし私が見るに、この大戦の本筋は共産主義者に国家の中枢を握られたアメリカが中ソを支援し、日独をつぶしたといえる。
日本においても、この時期国家の中枢は共産主義者に握られたふしがあり、そのような過程でおきたのがゾルゲ事件であり、日ソ不可侵条約であり、真珠湾攻撃ではなかった。
こう考えると、ヤルタの密約とは、共産主義者のスターリンが同じく共産主義者をブレーンに多くもっていたルーズベルトを操ったといえ、現在の共和党ブッシュ政権は、そのような共産主義ネットワークを否定したというのが、冒頭で紹介したヤルタ会談批判なのだ。
なお、アメリカのユダヤ系知識人がいかに共産シンパかは、ハリウッドをみればわかる。共産主義者というものが実質的にはユダヤネットワークであり、このネットワークがソ連、アメリカ、中国を操り、第二次大戦を企画したということがわからないと、世界史の本筋は見えてこない。
そのような観点にたって、ブッシュ(起草者はライスだろうが)の反ヤルタ演説を考えることが必須だ。
ハリウッドの貴公子と言われるウォーレン・ベイティが初監督作品として選んだ題材は、なぜかジョン・リードの生涯だった。タイトルは「レッズ」(1981)という。「アカたち」あるいは「アカども」とでも訳すのだろうか。
トルーマン・カポーティの代表作「ティファニーで朝食を」(1958初版)の中で、ヒロインのホリー・ゴライトリーは「あの厭なアカ」と言い、当時のアメリカ人たちの最大の恐怖だった共産主義を嫌悪してみせた。東西冷戦下の頃の小説である。
アカ狩りの別名であるマッカーシズムとして名を遺したマッカーシー上院議員は「国防省にいるコミュニストどもをあぶり出す」と宣言し、ミッキー・スピレインが誕生させた私立探偵マイク・ハマーは「コミュニスト・イズ・ギャング」と言いながら共産主義者たちを殺しまくった。
アカ狩りで大きな傷を負ったのはハリウッドである。チャップリンはアメリカを追放され、ジョセフ・ロージーはヨーロッパへ逃げざるを得なかった。ドルトン・トランボは仕事がなくなり、偽名で「ローマの休日」(1953)のシナリオを書いた。エリア・カザンは同志の名を権力に売り渡して逃げ延び、半世紀後にアカデミー賞特別賞を受けた時にさえブーイングをくらった。
驚いたことに、この映画は最後のクレジットタイトルがスクロールする時に何と「インターナショナル」が流れる
起て 飢えたる者よ 今ぞ日は近し
覚めよ 我が同胞(はらから) 暁はきぬ
以上 (江田島孔明、Vol.52完)
(江田島孔明、Vol.190完)
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