◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL193
江田島孔明
中東情勢に変化の兆しが見えてきた。今回は、その考察。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/idJPnTK007558120080303
△ イラン大統領がイラク訪問、両国関係称え米国をけん制 △
2008年3月3日 09:18 JST
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[バグダッド3月2日 ロイター] イランのアハマディネジャド大統領が3月2日、バグダッドを訪問し、イラクとの新たな関係を称えるとともに、ブッシュ米大統領の中東政策を批判した。イラク訪問は2日間の予定。
イラン大統領のイラク訪問は1980年のイラン・イラク戦争以来初めて。また、2003年の米軍によるイラク侵攻以来、イラクを訪問する中東周辺国の最初の指導者となった。
イラクには現在、15万人以上の米軍部隊が駐留しているが、イスラム教シーア派が過半数を占める両国の経済・文化的な関係強化を強調し、米国をけん制する狙いがあるとみられる。
ブッシュ大統領は3月1日、イラク駐留米軍を殺害しているシーア派過激派に武器を提供しているなどとしてイランを非難したが、アハマディネジャド大統領はこれを退けた。
イラクのマリキ首相とともに記者会見したアハマディネジャド大統領は「他人を非難すれば中東で米国が抱える問題が増えることになり、問題は解決されない。米国人は中東周辺地域の事実を理解していない。イラク国民は米国が好きではない」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30540420080228
△ イランと中国海洋石油のガス田開発契約締結、「近い将来」まで延期=イラン側関係者 △
2008年2月28日 09:13 JST
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<http://jp.reuters.com/news/archive/worldNews?date=today> ワールド
[テヘラン 2月27日 ロイター] イランのパース・ガス田の開発に関する同国と中国海洋石油総公司との契約締結が「近い将来」まで延期された。イラン側の事業会社、パース石油ガス関係者が2月27日明らかにした。
同筋は「契約締結は、『近い将来』まで延期された。理由は、ノザリ(イラン石油相)が参加できないためだ」と述べた。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200803030125.html
△ ガザの死者5日で100人超す パレスチナが和平交渉中断 △
2008/3/3
【エルサレム3月2日共同】イスラエル軍は3月2日、パレスチナ自治区ガザでロケット弾攻撃阻止を目指した武装勢力掃討作戦を継続、幼児を含むパレスチナ人数人が死亡した。ロイター通信によると、3月1日のパレスチナ人の死者は計61人に上り、2000年に大規模衝突が始まった後、最悪を記録。双方の衝突が激化した2月27日からの5日間で、死者は計百人を超えた。
パレスチナ側死者の半数は子どもや女性を含む一般住民。アッバス自治政府議長は3月2日を服喪の日と宣言、イスラエルが攻撃をやめるまで和平交渉を中断するよう指示した。年内の合意を目指している和平交渉に新たな障害が加わった。
国連安全保障理事会は3月1日夜、ガザ情勢で緊急協議を開き、潘基文(バン・キムン)事務総長はイスラエルの「過剰な武力行使」とパレスチナ武装勢力の「テロ行為」を非難。双方に攻撃の即時停止を求める声明を発表した。
しかし、イスラエルのオルメルト首相は、3月2日の閣議で「国民を守るために作戦を続ける」と表明。バラク国防相は軍放送に対し、イスラム原理主義組織ハマスのガザ支配打倒も視野に、より大規模な作戦を準備していると述べた。
ガザの武装勢力は2日も、イスラエルにロケット弾十数発を発射した。イスラエル側死者はこれまで、一般住民1人と兵士2人。
ヨルダン川西岸では2日、パレスチナ人が数カ所で抗議行動を行い、ヘブロン郊外ではイスラエル治安部隊の発砲で少年1人が死亡した。
ガザの武装勢力はイスラエルへの「闘争」としてロケット弾を発射。ガザから約2キロ離れた人口2万人のスデロトを主な標的にしてきたが、先月末からの衝突では約10キロ離れた人口12万人の都市アシュケロンも頻繁に攻撃し、イスラエル軍は掃討作戦を拡大した。
△ 私の予想は、「イランとアメリカの関係改善」は、そのまま「イスラエルの危機」に繋がるというものだ。
http://npslq9-web.hp.infoseek.co.jp/sls132.html
まず、何度も述べたことであるが、中東は、世界の関が原であり、エネルギー供給源でもあるという意味で、最重要地域だ。そこには、世界の覇権をかけてランドパワーとシーパワーが集中する。
そして、覇権の争奪と平和の達成には、歴史を超えて、普遍的な法則があるはずだ。現在の中東情勢は、イラン−イラク戦争以来、間断の無い戦争が継続しており、この状況は、欧州における、近代国家の始原とされる、30年戦争とその後のウェストファリア条約の締結、さらには、20世紀の二度の世界大戦に通じるものがあると考えられる。
30年戦争は、1618年〜48年の30年間に、ドイツを中心に欧州各国が参戦した宗教戦争。きっかけは、ボヘミア王フェルディナントの新教徒圧迫が原因で、ドイツ新旧両教徒諸侯の内戦としてボヘミアで勃発。旧教側にスペイン、新教側にデンマーク・スウェーデン・フランスが加担し国際戦争に発展。
主な戦場となったドイツは国土が荒廃し、皇帝権の弱化による諸邦の分裂と相まって、著しく近代化が遅れることになった。
ウェストファリア条約は、30年戦争を終結させた条約。1645年からドイツのWestphalia地方のミュンスターとオスナブリュックとに分かれて講和会議が開かれ、各国の利害が衝突してなかなかまとまらなかったが、1648年10月24日に調印された。
この条約の結果、それまでヨーロッパで優位を誇ったハプスブルク家の勢力は後退し、フランスとスウェーデンが強国となって台頭するようになった。ドイツ内部ではブランデンブルクが勢力を伸ばすことになった。
したがって、いちばん打撃を受けたのが、オーストリアとスペインの両ハプスブルク家であった。ドイツの諸侯は皇帝に対する独立の度合をいっそう強め、神聖ローマ皇帝の地位はいよいよ名目的な存在となった。オランダは独立を最終的に承認され、またすでに中世末期に神聖ローマ帝国から事実上独立していたスイスが、ウェストファリア条約で独立を正式に承認された。
1914年から1945年にわたって戦われた二度の世界大戦についても、主要な戦場であった欧州大陸は荒廃を極め、いわゆる鉄のカーテンを挟んだ東西欧州の分断とNATOとワルシャワ条約の両陣営による冷戦がもたらされた。
いかがであろうか。この欧州大陸における、17世紀前半と20世紀前半にそれぞれ戦われた「30年戦争」の歴史的推移と結末には相似性が見られる。
私の国際情勢の分析手法は、各国の機密文書や機密情報、いわゆる一次情報に頼るものではなく、歴史のパターンや法則から、その傾向と結末を予測するというものだ。このような観点から、欧州大陸で繰り返された闘争の歴史と結末は、今後の中東情勢を読み解く上でも、参考になるだろう。
まず、隣接するランドパワー同士が、何らかの妥協点に達し、相互の尊重という合意点に達するまで、相当の期間の闘争を経験しないとなしえないことは、欧州の歴史が証明している。
欧州では、国際秩序が回復するまで、30年の戦争を経験しなければならなかった。これを中東に当てはめて考えると、1980年のイラン・イラク戦争(イラン・イラク国境のシャトル-アラブ川河口付近の領有問題を直接的なきっかけとして勃発した戦争。1980年0月、イラク軍のイラン侵攻によって開戦。)から、現在にいたるまで、約30年の間、戦争を継続している。
これは、歴史の法則や人間の心理について考えてみると、そろそろ厭戦気分が起きてもおかしくない。そして、中東30年戦争を戦ったシーア派とスンニ派は、チグリス・ユーフラテスを自然の国境として、「中東版ウェストファリア条約」もしくは、「中東版NATOとワルシャワ条約」を結ぶのではなかろうか。それが、もっとも自然な落とし所と考えられる。
報道されるところによれば、米軍のイラク撤退後、サウジがイラク国内のスンニ派を支援するということを明らかにした。これは、事実上のイラクの東西分割、すなわち、「スンニ派イラク」と「シーア派イラク」への分割への布石になるだろう。まさに、欧州における東西分断の最前線である、ドイツとイラクは地政学的に全く重なる。
http://npslq9-web.hp.infoseek.co.jp/sls154.html
このように、イラク戦争の開始と推移を巡って、ネオコンVS米軍の構図が鮮明となり、結果は私の予測どおり、米軍によるイラク統治の失敗すなわち、ベトナム撤退と同じように、イラク撤退を模索する羽目となった。
世界は、既に米軍のイラク撤退は時間の問題と考えている。その結果、イスラエルを取り巻く政治的、あるいは外交的な状況が大きく変化、軍事強硬派が窮地に立っている。
欧米各国の親イスラエル派をみても、アメリカではネオコンが退潮、イギリスではイスラエル系富豪を資金源にしていたトニー・ブレアが退陣を表明している。イスラエル駐在のイギリス大使、トム・フィリプスは、ブレアが退いてもイスラエル政策に変化はないと表明しているが、そうしたコメントを出すこと自体、イスラエル側の動揺を感じさせる。
これは、間違いなく国際金融資本主導で行われたイスラエルの建国以来、最大の危機だ。簡単に言えば、イラク戦争という「大博打」でイスラエルを延命させようとしたが、その博打に負けたのだ。こういう場合、手仕舞いは早いほうがいい。
そして、イスラエルは、アラブ諸国との和平を急ぐであろう。強攻策が失敗した以上、和平しかとりうる選択肢はない。そして、その和平は、仮に達成されたとしても、大坂冬の陣の後の講和と同じく短期的なものでしかなく、長期的に見た場合の「イスラエルの衰退と破滅」は避けられないであろう。
<参考>
------------引用開始--------------
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070516AT2M1600316052007.html
イスラエル首相「アラブ22カ国と話す用意」
【エルサレム=森安健】イスラエルのオルメルト首相は15日、ヨルダン南部のアカバで同国のアブドラ国王と会談し、アラブ22カ国の指導者と無条件で会い、アラブ側が提唱する「中東包括和平案」について話し合いたいと伝えた。イスラエルの占領地撤退と引き換えに、全アラブが関係を正常化する同案について、首相は「非常に面白い」と評価。「実行に移す最適な方法を共に探る用意がある」と語った。
国王は首相に「パレスチナと和平を結ぶ目標期限を明確にすべきだ」と主張した。
また、イスラエルがヨルダン川西岸に新たな入植地建設を計画していることに懸念を表明した。オルメルト首相は「入植地の新築、増築はしていない」と説明した。(18:33)
------------引用終了--------------
イスラエルの安全保障は、アメリカに依存していた。しかし、米軍の中東でのプレゼンスは、イラク戦争で大きく傷ついた。そして、重要な点は、米軍自体が、政権批判的になり、反イスラエルになったことだ。これでは、イスラエルを支える勢力は全く存在しないことになる。
国際金融資本は「イラク戦争」という大博打に敗れた以上、アメリカにおける、反国際金融資本感情の高まりも抑えきれないであろう。だから、彼らは、「対日進出」を急いでいるのだ。
戦略を考える上で、最も重要な点は、常に、最悪の事態を想定する事だ。
現在考えなければいけない「最悪の事態」とは、アメリカにおける、「ユダヤVS反ユダヤの内戦勃発」だ。911以降、この可能性は常に存在し、それを外征でしのいできたというのが真相だ。
果たして、イスラエルは真田丸に篭った幸村のように、特攻して果てるのか?イスラエルの動静から目が離せない。
以上
(江田島孔明、Vol.193完)
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