
国内SF作品
~ おすすめ本の部屋 ~
● 索引
● 作家
- 日本SF
- 神林長平
- とにかくとにかくお気に入りの作家。
神林作品のキーワードは、言葉・機械・時間・意識、そして、猫。
和製ディックと評されることが多いのですが、それまで現実だと思っていた世界が
崩壊していくさまを描くのが得意だからでしょうか。しかし、P.K.ディック作品と
根本的に違うと感じるのは、神林作品は徹底して、束縛されること、操られることから
自由でありたいとキャラクターたちが望み、また自由であることに対し前向きであること、
ではないかと思います。
最初の一冊としてお薦めするなら「ライトジーンの遺産」。
ハードボイルドな超能力者の主人公が、人工臓器をめぐる犯罪を
追いかけていく連作短編集。
惑星フェアリイで、情報偵察機・雪風に乗る深井零中尉と、未知の敵ジャムとの
戦いを描く「戦闘妖精・雪風」は、そのかっこよさにくらくらするのです。
ラストは衝撃的!
続編「グッドラック 戦闘妖精・雪風」のラストにも、背筋がゾクゾクさせられました。
うってかわって、アニメにもなったスペースオペラ<敵は海賊>シリーズは
海賊課刑事、黒猫型異星人アプロ・苦労性のラテル・フリゲート艦ラジェンドラ
の漫才トリオ(!)が、今日もドタバタと宇宙を駆けずりまわります。
しかし、毎回ネタは充分シリアス。クールな宇宙海賊・ヨウ冥(←ヨウの字がでません)
も魅力的!メタフィクションSFの醍醐味を味わえます。
日本SF大賞受賞作「言壷」は、言葉とはなんぞや、を問いかける異色作。
ようやく文庫化されました。
- 「ライトジーンの遺産」 神林長平 朝日ソノラマNEXT文庫(上下)
- 「戦闘妖精・雪風」 神林長平 ハヤカワ文庫JA
- 「グッドラック 戦闘妖精・雪風」 神林長平 早川書房
- 「言壷」 神林長平 中央文庫
- <敵は海賊>シリーズ
- 「敵は海賊」 神林長平 (「狐と踊れ」ハヤカワ文庫JA 所収)
- 「敵は海賊・海賊版」 神林長平 ハヤカワ文庫JA
- 「敵は海賊・猫たちの饗宴」 神林長平 ハヤカワ文庫JA
- 「敵は海賊・不敵な休暇」 神林長平 ハヤカワ文庫JA
- 「敵は海賊・海賊たちの一日」 神林長平 ハヤカワ文庫JA
- 「敵は海賊・A級の敵」 神林長平 ハヤカワ文庫JA
- 大原まり子
- 未来的で幻想的で、時として残酷な、大原まり子さんの世界。
女性ならではの独特の感覚が、非常に魅力的なのです。
どれか一冊を、と言われたら、時間跳躍能力者をめぐる近未来時間ものの
「タイムリーパー」をオススメ。
(これも<未来史>シリーズらしいのですけれど、少し毛色が違うような・・・)
デビュー作でもある<未来史>シリーズのきらきらした世界は、
美しくて残酷で無機と有機が結合した不思議な世界です。
<未来史>を堪能するならば、やはり「ハイブリッド・チャイルド」。
軍を逃げ出した究極の兵器サンプルB群が、様々にメタモルフォーゼしながら
逃げ延びていく物語には、すっかり幻惑されました。
「吸血鬼エフェメラ」は、ちょっと異色の吸血鬼SF。
未来都市の裏側で、したたかな”女”たちが生き抜いていく描写に圧倒されるのです。
- 「吸血鬼エフェメラ」大原まり子 ハヤカワ文庫JA
- <未来史シリーズ>
- 「一人で歩いていった猫」大原まり子 ハヤカワ文庫JA
- 「銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ」大原まり子 ハヤカワ文庫JA
- 「未来視たち」大原まり子 ハヤカワ文庫JA
- 「ハイブリッド・チャイルド」大原まり子 ハヤカワ文庫JA
- 「タイムリーパー」大原まり子 ハヤカワ文庫JA
- 野阿梓
- 実は、はじめて読んだ時には、絶対にたおやかな若い女性の方だと思っていたのに
ごついおじさん(失礼!)と知り、大変ショックを受けたという過去があります。
そう思って読むと、いかにも男性の文章なんですけれどね。
色彩豊かな妖艶な文体は、ぼーーっと読んでいるだけで浸れるので
あまり他人さまには勧めずに、ひとりでこっそり読みたくなります。
お勧めしたいハヤカワ文庫の作品がのきなみ絶版で入手困難、という
こともありますけれど・・・。「凶天使」とか<レモントロッキー>ものとか。
ちなみに、最近の作品は”やおい”色が強いので、そっち方面が苦手な方は
お気を付けくださいませ。
- 「凶天使」 野阿梓 ハヤカワ文庫JA (絶版)
- <レモン・トロッキー>シリーズ
- 「武装音楽祭」 野阿梓 ハヤカワ文庫JA (絶版)
- 「五月ゲーム」 野阿梓 ハヤカワ文庫JA (絶版)
● 作品
- 国内SF
- 「百億の昼と千億の夜 (完全版)」 光瀬龍 ハヤカワ文庫JA
- オールタイムベストを考えるときに、まずまっさきに思い浮かぶのが、
この作品です。
地球上にまだ生物など生まれていなかった頃も、すべての生物が
滅び去った後も、くりかえしくりかえし昼と夜とがやってくる・・・
その時間の流れのせつなさをしみじみと感じさせてくれる作品。
なんといっても、少女の形をした”あしゅらおう”のかっこよさ!
戦い続ける哀しさが満ちてくるのです。
萩尾望都さんがコミック化した作品も、イメージをそのまま伝えています。
哲学的な部分が省かれた分、ストーリーがわかりやすいかも。
- 「百億の昼と千億の夜」 萩尾望都 /光瀬龍 小学館文庫(?)
- 「猫柳ヨウレの冒険」 光瀬龍 ハルキ文庫
- ハルキ文庫による復刊万歳!
というわけで、スベ公ヨウレちゃんとその仲間たちのむちゃくちゃな暴れっぷりを堪能してください。
しかも、この作品は、「喪われた都市の記憶」などの一連の作品と同じ設定の
火星なのです。”東キャナル市”や”火星人の道(マーシャンロード)”と
聞くだけで、どきどきしてしまった人には、オススメの一冊。
でも、ストーリーは無茶苦茶なのですけれど・・・
- 「喪われた都市の記憶」上下 光瀬龍 ハルキ文庫
- 「滅びの風」栗本薫 ハヤカワ文庫JA
- メメント・モリ。
いままでと変わらない日常がどこからともなく静かに壊れていく・・・
そんな情景を綴った連作短編集。
栗本さんの筆の冴えが光る作品だと思います。
オールマイティなジャンルの作品をたくさん産み出していらっしゃいますが、
あまり目立たないこういう作品こそ、ぜひいろいろな方に読んで欲しい
と思います。
- 「ヴィーナスシティ」 柾悟郎 ハヤカワ文庫JA
- これは、インターネットがこの世の中に蔓延る前に読みたかった作品。
インターネットがこんなにあっというまに社会に普及してしまうと、
この作品のもつ”ネットワーク社会の匿名性の不可思議さ”や
”社会の二重構造の面白さ”など
が、すでに身近なものに
なりすぎていて、面白味が薄いかもしれません。
書かれた時点での最先端の技術(ヴァーチャルリアリテイとか)を
うまく取り入れた未来観を作り上げているだけに、悔しいかも。
とはいえ、逆にネットワーク社会を知っていると、また別の見方が
できると思いますし、とりまく状況が変わってもそのストーリー展開の
面白さは普遍でしょう。
- 「七回死んだ男」 西澤保彦 講談社ノベルズ
- SFミステリ的な作品を多く書かれている西澤さんの作品のなかでも、
SF的設定が謎と謎解きに見事に絡み合っている作品。
一日を7回繰り返すという特異能力を持つ主人公キューちゃんが、
殺人事件を阻止しようと努力するのですが・・・。
キューちゃんの妙に大人びたところに、好感が持てます。
- 「バルーンタウンの殺人」 松尾由美 ハヤカワ文庫JA
- SFマガジンコンテスト入選作を含む連作短編集。
人工子宮で子供を産む時代に、自分のお腹の中で育てて産みたいという
妊婦たちを集めて保護しているバルーンシティ。
その”聖域”で起った殺人事件を追うのですが・・・
同じ女性でありながら、まったく異質な存在である”妊婦”という人々に
ドキリとさせられました。
その世界観が、作品が進むごとに少しずつ変わっていくのが、また
興味深いのです。
特に、女性の方にはぜひ読んで欲しい作品です。
- 「真珠たち」 久美沙織 ハヤカワ文庫JA(絶版)
- (AIDSを連想させる)不治の病 ”真珠病” が、きらきらと静かに広がっていく世界を描き出している作品。久美さんならではの叙情的な描写が見事。
残念ながら、絶版なのです。
- 「ツィス」 広瀬正 集英社文庫
- 「マイナス・ゼロ」 広瀬正 集英社文庫
- 現在は集英社文庫で容易に入手できますが、
長いこと品切れで幻の作品だったため、いかに必死に古本屋で探したことか。
(おかげで同じ作品を3冊持っていたりします。あるとつい買ってしまったもので。)
タイムパラドックスものの代表作である「マイナス・ゼロ」は、見事な
オチに呆然としてしまいました。
「ツィス」は・・・このオチが許せない人もいるのかもしれませんが、
個人的には「マイナスゼロ」よりも評価しています。
原因不明のツィスの音に混乱していく社会を
乾いた目で見ている、主人公の視点が印象的です。
- 「MOUSE <マウス>」牧野修 ハヤカワ文庫JA
- 最近、ホラー作品で注目されてきた牧野さんですが、
この作品の素晴らしさでも、もっともっと注目されてほしかったです。
退廃が支配する未来の都市で、
ドラッグで自己を制御し、
言葉で他者を縛る、
ときとして残酷な子供たち。
その描写が見事な作品です。
- <星界の紋章>シリーズ
- 「星界の紋章」 I~III 森岡浩之 ハヤカワ文庫JA
- 「星界の戦旗」 I~ 森岡浩之 ハヤカワ文庫JA
- アニメにもなった超ヒットシリーズ。
でも、あの赤井孝美さんの表紙イラストに手を出し兼ねている人も多いかもしれません。
このシリーズは、たしかに最近あまりなかったヤングアダルト・スペオペとして
も面白いです。(森岡さん自身のスペオペの定義とは異なるそうですが。)
しかし、もうひとつの面白さとして、アーブ語という架空の言語によって紡ぎだされる
物語、としての側面には、ぜひ注目してもらいたいです。
まったく架空の言語には、文法はもちろん、動詞の活用形やら名詞の格変化やら
なんだか第二外国語の勉強はもう嫌だよう、と思いたくなるほど、がちがちに
定められた言語体系を持っています。(巻末付録参照!)
作品には出てきませんが、アニメでは独自の文字も効果的に使われていました。
そのルビだらけの文章を読んでいると、やがて、普通の単語に対しても勝手に
アーブ語に変換されてしまう(”愛”という文字をみると、”ネグ”と読んでしまう)
というように、思考が架空言語に支配されていく過程をぜひ楽しんでください。
そのルビによる世界の構築方法は、ギブスンやラッカーを訳した故・黒丸尚さんの独特な文体を彷彿とさせるものがあります。
もともと、SFマガジンコンテスト入選作「夢の樹を接げたなら」でも、言語デザイナー
によって作られた個人的な言語が使われる、という不思議な世界を作り上げた
森岡氏だけに、この試みがもっと注目されてもいいと思うのです。
- 「夢の樹が接げたなら」 森岡浩之 (「夢の樹が接げたなら」早川書房 所収)
- <十二国記>シリーズ 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート
- ホワイトハートだからといって侮れないことを痛感した作品。
正直言えば、一作目は現実から逃避するパターンの少女小説に見えて
あまり好きになれなかったのですが、二作目以降の”向う”の世界に
どっぷりとはまってしまいました。
その詳細な設定は、賞賛に値するのです。
物語のストーリー展開の見事さにも脱帽。
- 「猫弾きのオルオラネ-完全版-」 夢枕獏 ハヤカワ文庫JA
- 集英社コバルト文庫で刊行された作品を収録した完全版。
オルオラネ爺さんと彼が奏でる猫たちの不思議な物語が一冊になって
とっても嬉しいのです。
実は、オルオラネと最初に出会ったのが、中学の図書室にあった
「SF小説傑作選(?)」というアンソロジーの最初のページ。
もちろんタイポグラフィーなんて言葉を知らなかった当時、
こんな小説もありなのかー、と目を丸くしました。
どうしてもバイオレンス小説での活躍が目立ってしまうけれど、
獏さんにもこういう作品があるのです。
今読んでもぜんぜん古くない、ファンタスティックな
物語たちがこれからも読まれていくといいな、と思います。
- <ダーティペア>シリーズ
- 「ダーティペアの大冒険」 高千穂遥 ハヤカワ文庫JA
- 「ダーティペアの大逆転」 高千穂遥 ハヤカワ文庫JA
- 「ダーティペアの大乱戦」 高千穂遥 ハヤカワ文庫JA
- 「ダーティペアの大勝負」 高千穂遥 ハヤカワ文庫JA
- 「ダーティペア 独裁者の遺産」 高千穂遥 早川書房
- 今でこそ珍しくもありませんが、はじめて読んだときは
女の子二人組でしかも滅法強くて男性に依存しない、その存在の
カッコよさに圧倒されました!
普段は喧嘩ばっかりしていても、いざというときの
そのプロ根性にはほれぼれするのです。
テンポのよい語り口に、スペオペマインドを満喫できて、
とっても好きだったのですけれど、
シリーズとしてはこの4冊で凍結ということらしいです。
「独裁者の遺産」のような外伝でもいいから復活してほしいのですけれど。
ちなみに、ダーティペアFLUSHは、オリジナルダーティペアとは
まったく別物と考えてください。
- 「トワイライト・レディ」 菊地秀行 集英社コバルト文庫 (絶版)
- めるへんめーかーさんのイラストがうるわしい、吸血鬼モノの短編集。
しっとりとしたきれいでせつないものがたりです。
菊地さんというと、Dかメフィストか、はたまたバイオレンスか、
というイメージが強いのですけれど、
こういうおはなしもお書きになるのか、すごいなー、と見直した
一冊でした。
でも、とうの昔に絶版。もったいないのです。
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■ 短編 (工事中)
- 「そばかすのフィギュア」 菅浩江 (「雨の檻」ハヤカワ文庫JA 所収)
- 「くるぐる使い」 大槻ケンヂ (「くるぐる使い」角川文庫 所収)
- 「美亜に贈る真珠」 梶尾真治 (「地球はプレーンヨーグルト」ハヤカワ文庫JA 所収)
- 「詩帆が去る夏」梶尾真治 (「地球はプレーンヨーグルト」ハヤカワ文庫JA 所収)
- 「時尼に関する覚え書き」梶尾真治 (「恐竜ラウレンティスの幻視」ハヤカワ文庫JA 所収)
- 「親殺し」平井和正 (「悪徳学園」角川文庫(絶版) 等 所収)
- 「くだんのはは」 小松左京 (「くだんのはは」 ハルキ文庫 所収)
- 「骨」 小松左京 (「時の顔」 ハルキ文庫 所収)
- 「佇むひと」筒井康隆 (「ホラーSF傑作選」 豊田有恒編 コバルト文庫(絶版) 所収)
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