
SFセミナー2001 出張報告書
■■■ SFセミナー特別篇「カナダSFの世界」■■■
日程: 2001.4.29
場所: カナダ大使館ホール(赤坂)
● 14:00-「カナダSFの現在」
出演/加藤逸人、北原尚彦、山岸真 司会/井出聡司
カナダSFの系譜と作家の紹介。恥ずかしながら知っているのは、ソウヤー
ヴァン・ヴォクト、カナダ在住のギブスン程度だったのですが、紹介される
作品はいろいろと面白そうなのでした。
● 15:00-「ジュディスメリルという人がいた」
出演/浅倉久志、森優、山野浩一 聞き手/牧真司
名物編集者だったというジュディス・メリル女史の来日時の想い出四方山話。
かつて、コードウェイナー・スミスの短編を求めてジュディス・メリル編の
アンソロジーを探し回ったため、名前は存じ上げていたのですが、そういう
方だったとは・・・。実は、初めて浅倉久志さんのお姿を拝見したのですが
その洗練された訳文を彷彿とさせる、にこやかでやさしそうなお方でした。
● 16:00-「ロバート・J・ソウヤー インタビュー」
出演/ロバート・J・ソウヤー 聞き手/野田令子
メインイベント、ソウヤーさんのインタビュー。非常にユーモアたっぷりの
答えに、なんだか嬉しくなってしまうのです。わかりやすい英語だったにも
かかわらず、同時通訳に頼りっぱなし。おかげで、笑うタイミングが遅れて
しまうのがちょっと悔しい!
● 終了後、ロビーにてソウヤー氏バースディパーティ
ワイン飲み放題。チーズ食べ放題。(←半端じゃなく美味しい!!)
すっかりブルジョアな気分にひたりながら、ソウヤーさんには内緒だったと
いうお誕生会は、駐日カナダ大使の挨拶でスタート。大使もソウヤーさんの
大ファンだとかで、とってもニコニコ。さすがカナダの懐の深さを感じます。
で、41本のロウソクの乗った全長1mの恐竜型ケーキの御登場。41本も
吹き消すのは大変だと言いながら、ソウヤーさんもニコニコ。このケーキは
切り刻まれてみんなの胃袋に収まったのですが、なぜか、前頭葉の部分だけ
残ってしまってました。皆で、コレはダイノザウルスかアフサンか、という
話をしていたのですが、やっぱり皆、考えていたのは、青いゼリーのほう?
■■■ SFセミナー2001 ■■■
日程: 2001.5.3 - 4
場所: 本会:全電通労働会館ホール(お茶の水)/合宿:ふたき旅館(本郷)
【 本会企画 】
●「レキオス、翔ぶ -池上永一インタビュー」
出演/池上永一 聞き手/鈴木力
あまりにハイテンションな池上永一氏のトークに、あっけにとられまくり!
新潮ファンタジーノベルズ大賞でデビューという経歴しか知らなかった私は、
もっとお堅いイメージの方を想像していただけに、なんや?このブっとんだ
にーちゃん(失礼!)は・・・と、目が点。残念ながら「レキオス」を未読
でしたが、その内容(かなりぶっとんだ作品らしい!)が、はじめはいかに
すごかったか(削った内容はネットに流すとのコト)といった話や、展開を
わからずに自分でも書き続けている、といった話に、会場沸きまくり。
沖縄の民俗学関係の話をなさるときの、ふっと真面目な貌になるその落差が
スゴイのです。直木賞候補作「風車祭(カジマヤー)」と噂の「レキオス」
読み比べてみたいかも・・・。
●「アンソロジーの新世紀」
パネリスト/中村融、山岸真、伊藤靖(河出書房新社)、
小浜徹也(東京創元社)
アンソロジー好きな私としては、アンソロジーが立て続けに出て嬉しがって
いたのですが、その裏話を聴けて面白かったのです。「アンソロジーを編む」
ということのスゴさを知りました。中村融氏の読書ノート、素晴らしい~!
● 「SFにおけるトランスジェンダー(性別越境)
-日本におけるジェンダーSFへの期待をこめて-」
出演/三橋順子 聞き手/柏崎玲央奈
”女装家/トランスジェンダー社会史研究会幹事”という肩書きの三橋さん
は(多少玄人っぽいメイクとはいえ)しぐさも話し方も、完全に女性のもの。
そのトランスジェンダーの方、自らが分析するジェンダーSFへの視点には
なるほどと思わせる説得力があるのです。「エリコ」は、あの谷甲州先生が
こんなものを!というオドロキの方が強かったのですが、三橋さんの指摘に
よると、トランスジェンダーであるエリコの描き方が保守的であるとのこと。
また「リボンの騎士」のひとつの身体に男の子と女の子の心が入ってしまう
という設定が、非常に画期的であったという話に、なるほどと感心しまくり。
昨年は大学の非常勤講師もなさったとのこと。受講してみたかったかも・・・
●「「SF」とのファーストコンタクト
-瀬名秀明、SFに対するアンビバレントな思いを語る-」
出演/瀬名秀明
パワーポイントでの発表資料の作り方と、事前のSFに対するアンケート・
インタビューの分析結果考察に対する力の入れ様に、ヒシヒシと研究者魂を
感じてしまうのです!!!ある意味”なぜSF冬の時代が訪れたか”という
問題に対し、SF内部の人間よりも、客観的にかつ論理的に分析を行なって
いらっしゃるのではないかと・・・。人気ホラー作家として、すでに確固と
した地位を築いているのだから、弱小ジャンルのSF者なんぞの意見なんて
無視してしまえばいいのに、とも思うのですが、それでもSFにこだわって
おられるあたりが、瀬名さんなりのSFへのアンビバレントな愛情表現なの
でしょうか?ユーモアたっぷりな、提言の数々にはおもわずニヤリ。でも、
「これはSFじゃない、と5年間言わない」という提言には、モットモだと
うなづくのですが、私自身瀬名作品に対して「これはSFじゃない」と拳を
握りしめた過去が・・・(だって御本人がホラーだと思って書いてるもの!)
【 合宿企画 】
●「ジェンダーSF研究会(略してG研)の部屋」21:30~
ご案内/柏崎玲央奈、工藤央奈、小谷真理
ゲスト/塩澤快浩、冬樹蛉
小谷さん、柏崎さん、工藤さんの御三人が立ちあげたジェンダーSF研究会
のご案内。フェミニズムSFではなく、”ジェンダーSF”というところが
ミソかも。本会の三橋さんの企画に引き続いての「エリコ」にまつわる話や
「ヴァーチャルガール」の裏話(コレに涙したヒトは、エイミートムスンに
”釣られて”いるのですよ!)スコーリア戦史や薔薇姫様!などなど、興味
深い話が尽きないのです。今後のG研の活躍を期待して藤原ヨウコウさんの
Tシャツも買ってしまいました。このイラストがめっちゃかっこいいのです!
● 「こんなSF入門はイヤだ!」23:00~
出演/巽孝之、小谷真理、塩澤快浩
日本SF作家クラブ編として刊行予定の「SF入門」について。話に聞いて
いた福島正実編「SF入門」も見せて頂きましたが、結構コアなSFファン
向けの作りになっていて、初心者向けではなさそう。今回の「SF入門」は
時期的に「新・SFハンドブック」とバッティングしたこともあって、全体
を俯瞰できるような福島版に近い作りになりそう。海外SFは、野田大元帥
の「SFを極めろ!この50冊」もあるのですが、日本SFの紹介本って本当
にないのですね。新しい「SF入門」に期待しておきましょう。
●「瀬名秀明先生のSFに対するアンビバレントな思いを聞いて」24:30~
瀬名氏の昼の企画を聞いてのディスカッション。「瀬名作品はSFではない
作品の代表例として引用しやすい」という野田令子さんの意見に妙に納得。
”科学的なものが出てくればSF”というイメージに対し、(私的)SFで
ないものとして、多くの人が知っていて説明しやすい作品故、挙げてしまう
ことが多いとのこと。また、科学的な解説の積み重ねから、ひょいっと飛躍
する方向が、SFの方向とホラーの方向とで異なっている、という話も同感。
そこで、飛び越えようとして着地できずに墜落しちゃうから、SF者は怒る
のだ、と(笑)あと、面白かったのは、倉阪鬼一郎氏のホラー側からの発言。
ホラーな人と瀬名さんのディスカッションを、横でSFファンが聞くという
のは面白そうかも・・・。
●「企画名不明:SF Japanと徳間デュアル文庫の話など」 2:00~
出演/大野修一(徳間書店)、塩澤快浩(早川書房)、小浜徹也(東京創元社)
浅暮三文、倉阪鬼一郎、etc.
「ほんとひみつ」の企画とどちらに参加するかさんざん迷った末、デュアル
応援派としてはやはりこちらでしょう、と。SF Japanの企画の裏話
デュアルの今後の企画予定はもちろん、出版や取次、流通のしくみの危機的
状況、再販制度のありかた、等、非常に興味深い話が山ほど聴くことができ
眠さなどどこかへふっとんでしまったのでした・・・
出版・書店界って、どうすればいい本を作ることが出来て、みんなが儲かる
のでしょう?すごく心配になってきてしまいました。
それにしても、大野さんの話に塩澤さんと小浜さんがうなづいている図って
よく考えるとなんか不思議かも~
■ 所感
今年は、昼企画最初のパネルからハイテンションだったので、そのまま合宿
に突入!!めいっぱい楽しんで参りました。合宿企画では、横田順弥先生の
「ヨコジュンのハチャハチャ青春期ライブ版!」や「海外SFアンソロジー
の部屋」なんて企画も行きたかったです。あとは「ほんとひみつ はりまぜ
スペシャル」に行って、江戸川乱歩『貼雑年譜(はりまぜねんぷ)』復刻版
を触ってみたかったですう!
合宿企画の面白いところは、全然知らない方々と畳に車座になって話をして
しまったりするとこにあるのですが、同室になった京フェス実行委員長様に
神林長平布教活動をしてしまったり、冬樹蛉先生と海苔巻ギネス挑戦の軌道
エレベータ計画(?)を練ってしまったり、「異次元を覗くホームページ」
の加藤様と徳を積まねばならない教訓的(!)アドベンチャーゲームの話を
したりと、充実した一晩だったのでした!
-以上-