情動発散説と一般活動性説

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■ T.子どもに対する衝動的攻撃(バーコビッツとフロディ1979年) 
衝動的な攻撃動機は、人が不快な経験をしたときにほとんど常に固体内に存在するが人はそれをコントロールして押さ
えつけているものである。しかし、自己統制が弱まった時に衝撃的行動が実行されるとされている。子どものしつけ研
究と称され、女性被験者は子ども(男児)の宿題を監督する母親役を与えられた。彼女たちはTVモニターに映し出され
た男児に学習指導を行い、男児が間違いを犯すたびにボタンを押し、不快なノイズを罰として与えた。被験者は「可愛
くてどもりがない」「可愛くてどもりがある」「醜いがどもりが無い」「醜くてどもりもある」という四人の子どもの
内一人に対して学習指導を行った。これと平行して被験者には文章構成作業をやらせた。結果は、容姿が悪かったりど
もりがあったりすると被験者は子どもに対してより厳しい罰をあたえた。(比率:容姿醜いどもり5.容姿醜い4.容
姿よくどもり3.容姿よい2)これをバーコビッツは衝動的攻撃傾向が発生したと考えている。合理主義者ならばこの
ような差別的行為を行わないだろうが、文章構成作業とゆう緻密な作業をさせていたことにより、攻撃反応充分に抑制
できないで衝動的攻撃を起こしやすくしたとされている。
バーコビッツとハイマー(1989)の実験では、冷水に手を入れ、別の被験者が書いた作文を評価し、被験者の評価に応じ
てボタンを押し、対象者に強あるいは弱の不快なノイズを与える割合を調べた結果、心地よい温度の水よりも冷い水に
手を入れた方が攻撃性が高まるといった実験結果もある。
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■ U.情動発散説に対する疑問(不快感を起因とする攻撃説に対する疑問)
情動発散説では不快感が起これば攻撃に繋がるとされている。しかし、アルコールを飲んだ時には、アルコールは高揚
感などをもたらし、お酒自体に決してストレスを溜める要因は無いが、不快感を起こさないアルコールを飲んだことに
より、攻撃的になったとすれば、攻撃反応を充分に抑制できないで、衝動的攻撃を行ったと言えるであろう。アンダー
ソン達が年間の総暴力犯罪件数を調べたところ夏の割合が特に高かった(1月6.8%、4月8.2%、8月10%、10月8.3%)
このことから暑い気候であることが攻撃性を高める結果となると結論付けた。(アンダーソン達(1988年))この割合
を見たところ気温が高い夏の暴力犯罪率が高く、気温が低い冬は低い。寒さもストレス(不快感)を生み出し人はなる
べく温かくいようとする。寒さに対するストレス(不快感)が発生しているにも係らず冬の暴力犯罪発生率は一番低い
ことから、すべての不快感が攻撃反応を抑制しにくくすると言うことには繋がらないと考えられる。
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■ V. 不快感を起因とするものは、ボタンを押す回数(一般活動性説)
私が思うにバーコビッツの衝動的攻撃の話は、下記Wにあるような動機づけの一説のように読み取れる。例えば、小便
をしたいという不快感だけでは、隣に座っている人を理由もなく叩くといったことは、ありえないであろう。しかし、
隣の人が何らかの行動をおこした場合、例えばトイレの入り口を防ぐなどの行動を取ると小便をしたくない状態よりも
攻撃的になるかもしれない。つまり、不快感だけでは、攻撃を呼び起こす起因にはならないが、行動が雑になってトイ
レに行くまでに机に足を当てやすくなったり、順番待ちをしているとじだんだを踏んだり、他人がトイレの入り口を防
ぐ等の行動を起こすと攻撃しやすくなる。行動が雑になり行動を起こしやすくする一般活動性を刺激している。もしく
は衝動的にあまり考えもせず行動しやすくしていると言える。したがって、他人に攻撃を加える場面(実験)では無くと
も不快感を与えるとあせってボタンを押す回数が増える可能性が非常に高い。もしくは、他人に攻撃を加える場面(実
験)では無くとも不快感を与えるとあせって端的に結果を求めよう(決めよう)とする傾向が増える可能性が非常に高
い。一般活動性については、下記Wにて詳しく紹介する。
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■ W. 動機付け(内発的動機)
活動動機
一般活動性とは、特定の外的目標をもたず、活動すること自体が目的と思われる活動を一般活動性とよぶ。一般活動性
では、空腹時や渇きの時に高まる事も知られている。
狭い箱の中にねずみを拘束してから回転かごに入れると、拘束時間が長いほど回転かごを回す回数が増大する(HiII,
W.F.)メスネズミの性周期と回転かごを回す回数を調べたところ排卵時に回転籠をまわす回数が他の時期と比べて極端
に多くなる(Richter,C,1922)
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■ X. 総括と一般活動性説
情動発散説では、不快感が起これば攻撃につながるとされているが、このように動機付けとの関連を見てみると、子ど
もに対する衝動的攻撃を調べた実験はボタンを押す回数によって決めており、不快感が起こすものは、ボタンを押す回
数、つまり、一般活動性が高まると言う事が分かるのである。また、冷い水に手をつける実験では、あせって端的に結
果を求めよう(決めよう)とする傾向が増える一般活動性に似たものだと言えるであろう。また、U.情動発散説に対
する疑問で紹介したように情動発散説では、寒くなるとストレス(不快感)を生み出すにも係わらず、暴力犯罪率が低
いなどの疑問点も一般活動性説では説明が可能である。寒くなると数多くの動物は活動性が低下することが知られてお
り、人間もその一員に数えられる。つまり、寒さと言うストレスは一般活動性を抑える働きがあり、寒いときに活動性
が鈍り攻撃性を低くしていると考えられる。したがって、空腹や渇きなどの一般活動性が高まる事で、落ち着いている
ときにはあまり取らない行動(攻撃)を選択しやすくしているのだと考えられるのである。
一般活動性は、内発的動機として知られているが、一般活動性説として落ち着いているときにはあまり取らない行動(
攻撃)を選択しやすくしているとしたのは、私です。

バーコビッツの実験では、検証されていないが『権力本能説』に書いたように権力低下が直接要因となって攻撃的にな
ると言う事はいえるであろう。例えば、あほと言う言葉など挑発的行動と認識される行動を取った相手に対して攻撃的
になる等。
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2008/02/01記載



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