1 マスコミ取材陣横行のこと
被災地に集結したマスメディアは途方もない数にのぼった。数千人が大挙して押し寄せ、取材合戦を演じた。
彼らはあちこちに数十台も車両を並べて、道路を占領している。夜ともなれば、大阪のホテルに帰るので、その大名行列のような往復で、道が渋滞する。
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【余 談】
X■大震災で、日本中で何が一番興奮したかと言えば、それはマスメディアだな。何もかも放り投げて、東京から現地に突入してきよった。全国各地から集結した警察消防等の救援部隊よりも、その数が多かったという。
Z■マスメディアは扇情的なレポートを被災地から発信し続けた。けれど、やつらはありのままを伝えていたのではない。いわば、眼前の光景をファンタジースクリーンとすり替えて、そこに露呈しているリアルなものを隠蔽した。その意味で、マスメディアは、総力を挙げて情報統制に努めたと言えるな。映像はありのままに物事を映すのではない。
Y■たとえば、破壊された町並みや倒壊した建造物の映像。同じものが繰り返し流れたが、目を背けたくなるような無惨な死体は、一体でも映されることはなかったし、内臓が破裂したり背骨を折られたりした、瀕死の負傷者が登場することもなかった。痛ましい、そういう残酷な光景は、放送コードに抵触するのか。テレビは全国の茶の間向けに調整された濾過された統制映像を送った。
Z■避難所で、勝手にカメラを回しはじめて追い出されたり、遺体安置所に断りもなく侵入して遺族に殴られた報道陣もいるな。無神経とはいえ、その根底には何をしても許される、というマスコミの特権意識がある。連中が欲しいのは映像であって、現実じゃない。
X■しかし同時に、別の情報操作もある。地震後数日経つと、マスメディアは、たちまち破壊映像にあきたか、トラウマティックな事件に遭遇して呆然としている被災者を後目に、早々に方向転換した。復興物語を無理にでも探し出して、現場一般の雰囲気を偽ったりする。
Z■報道の前向きの明るさは、いわば情報操作の一面だな。その前向きな明るさの身振りは、冬の青空のように空々しい。いわばファシズムの明るさ。
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