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−黒部峡谷鉄道−
朝起きると、また食う。
一人旅だと、食べずに歩きまくることが多いのに。
食堂まで出かけると、昨日は和服だったスタッフたちが、今日は「召使い風」お洋服で迎えてくれる。
昨日の若い仲居さんも、召使いの格好をして味噌汁を椀によそって、宿泊客に提供している。
バイキングだったが、食べたいものが余りなかったので(朝はパン派なんですが、旅館ではメシなのが辛いですね)連れより先にテーブルで待っていた。
お連れ様が味噌汁を取りに行き、昨日の仲居さんにしらふの笑顔で「おはよ」と挨拶すると、仲居さん、ニヘヘと笑って挨拶している。
なにさっ!アタシには愛想なかったくせに、男には二へ二へしちゃったりしてさ!!
バツイチ暦も2年に突入し、おツボネ道に両足突っ込んでる自分は、面白くない思いで連れと仲居さんを眺める。
女というものは、「女」を敵にするものと何千万年も前から決っているのだ。
自分たちの先祖が猿であった時代から、メスは自分がボスと思う者に媚び、自分の身を守ってきたのである。
だから、自分にとってのボス猿に該当する者がほかのメスに関わろう、あるいは関わられようとしていれば、自分の身の保障にも関わる。
そのため、そのような場に出くわすと怒りが心の中に湧き起こり、それが嫉妬となって現れるのだ。
したがって、男が自分を裏切った女を許せず憎むのに対し、嫉妬に狂った女は、自分を裏切った(あるいは裏切ろうとした)男ではなく、
相手の女に殺意を感じることが多い(と、私は考えているのですが)。
なので、つまらないことにむかっとオツボネが腹を立てるのも仕方がない。
女が働く時代になっても、いまだにこの本能が解けないのは不思議なことだ。
何食わぬ顔で朝食を口に運びながら、そのようなことを考える。
食べるものがなかったので、自分はさっさと食べ終わる。
手持ち無沙汰に辺りを見回していると、例の仲居さんが、ほかのスタッフに叱られていた。
彼女はさっきから、バイキングテーブルの上を片付けていたが、何か決まりごと(サーバーのおき方とか、余り重要でないようなこと)を忘れていたらしい。
スタッフもオツボネ的で、随分と厳しい口調だ。
例の仲居の女の子はぼんやりしていそうな相手なので、つい、厳しくなるオツボネスタッフの気持ちも分かる。
一方で、自分は学生時代にやっていたアルバイトのことを思い出した。
いろんなバイトをこなしてきたが、女ばかりの職場であると、つねにああいうオツボネスタッフがいたものだ。
それほど大したミスでもないのに、見つけると鬼の首をとったかのごとく、若いバイトの女の子を叱りつける。
で、自分のしたことは、こっそり隠す。または、人のせいにする。
そういう人、いたいた・・。
それもこれも、女の本能のせいである。自分が生きやすくするために、女は女を踏み台にして生きているのである。
どちらかと言うと無表情に必要なことだけを話す自分は、彼女にとってはおっかないオツボネ的存在だろう。
彼女自身も本能により、自分を脅かすオツボネには緊張した面持ちで対応し、人好きな顔をした男のお連れ様に心を開き、身の安全を確保しようとしたのである。
そのようなことを考え、理解しながら、Uホテルを後にした(あ〜、引っ張った)。
車だけUホテルの駐車場に置かせてもらって、我々は、黒部峡谷鉄道に向かった。
朝9時初の列車に乗るため、既に改札には大勢の人が並んでいた。
昨日は寂れているように見えたけれど、どうして、やはり人気があるのだ。トロッコ列車は。
行く先は、終点の欅平に定め、切符を購入。
時間になると、どやどやと人々が改札口を通って、列車に向かう。
小さな列車はあっという間に満席になった(写真は向かいに止まっていた回送列車なのでガラガラ)。
オレンジ色した列車は、クッション付きのシートであるし、思ったより立派であったが、少し狭い。
団体旅行客のスケジュールと重なったようだった。
狭いけれど、今まで乗ったことのない窓のない列車が初めて見る光景の中を走り出すのにワクワクした。
「トロッコ電車」と呼ばれる黒部峡谷鉄道は、宇奈月から欅平まで20kmの道のりを、平均時速16km/hで、じっくり1時間20分かけて走る。
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