DC COMICS


A. BIZARRO #1-4 (JUL-OCT '99)

STEVE GERBER : WRITER  MARK BRIGHT : PENCILLER
 スーパーマンに出てくるビザロとは、元々スーパーマンに似ているがすべてがアベコベなヘンテコ怪人というギャグキャラだったのだが、あまりにもリアリティのない設定だったためモダンエイジになってレックス・ルーサーが作ったスーパーマンの劣化クローンという新設定になった。その後旧来のビザロも復活したりもしているのだが、この全4話のミニシリーズではハワード・ザ・ダックで一時代を築いたスティーブ・ガーバーが、新しいビザロを登場させて面白ギャグ話を展開してくれる。
 レックスコープの研究所で落雷による事故が起き、封印されていたビザロが逃走してしまう。街をさまようビザロは、まともに働かない思考をめぐらせ自分がアルという人間だったのに今は何故か死人のように白い肌の怪人に変化していると考える。彼はレックスコープの実験の被験体になっていたのだ。記憶をたどり自宅へ帰って妻に会うが、見るなり妻は気絶してしまい、目覚めたあとも銃を向け撃たれてしまう。それ以降ビザロは額に弾丸をくっつけたままなのだ。一方レックス・ルーサーは脱走したビザロを調べさせるためエージェントのティファニーに指令を下す。妻の部屋にあった手紙から自分の今の住所を知ったビザロはそこを訪ね、そこでアル・ビーザー本人と出会う。ビザロはアルから作られたクローンだったのだ。
 行き場なく夜の街を歩くビザロはトラックに轢かれそうになる寸前でスーパーマンに助けられた。これまでのビザロとは違い危険はないとスーパーマンは判断し、彼の人生は彼のものだと考えてあえて干渉せず去っていく。ビザロはスーパーマンのように飛べないかと考え建物から飛び降りてみるが全然駄目。スラム街に出ると人々が恐怖の目で見て金を握らせ逃げ去っていくが、それを見た与太者ウルフィーが金を取り上げ一緒に手を組もうと持ちかける。二人は道行く人から金を巻き上げるが、そこへ荒くれ者たちが現れウルフィーを脅す。ビザロは言われた通りに強盗をしようとするが、街のヒーロー、ガーディアンに止められた。事情を知ったガーディアンは荒くれ者どもを叩きのめす。ビザロはガーディアンがウルフィーも殴りつけようとするのを事情を話して止めるのだった。また一人になったビザロだったが突然レックスコープのヘリからの投網で捕らえられた。
 研究所に戻されたビザロだが逃げようとし、ティファニーは銃撃して追いつめるが、ビザロはそこにあったマザーボックスを手に取り、マザーボックスは起動し人造ワームホールであるブームチューブを開いた。突然、宇宙の悪神の星アポコリプスに出現したビザロはパラデーモンと戦闘犬の群れに囲まれ捕らえられる。この星の少年少女を悪人に教育しているグラニー・グッドネスはビザロをシーラという少女にまかせる。だがシーラはビザロと意気投合してしまい、二人で逃亡しようとする。あとを追うグラニーの大部隊が迫るが、危機一髪のところでビザロのマザーボックスが起動し、二人はブームチューブを通って地球へ移動し、ビザロはウルフィーと再会した。
 ウルフィーの紹介でビザロとシーラはバンドデビューし大成功するが、それを見たレックス・ルーサーはビザロは自分の所有物なので合法的に捕らえようと秘書のエリスカに指示。警官に連れて行かれそうになるビザロだが、フライングディスクに乗ったシーラが剣を手に大暴れし、シーラ、ビザロ、ウルフィーの三人はブームチューブでその場から消える。三人は中米の森の中に出現するが、そこでレックス・ルーサーによる町の企業支配に抵抗する武装勢力と出会い、ビザロはそのグループのロザムンダという女性に気に入られ、成り行きから反抗勢力のリーダーとして立ち上がってしまう。反動勢力の制圧にティファニーらレックスコープの精鋭部隊が送り込まれるが、スーパーマンの介入もあって民衆が勝利し、ビザロはその町でロザムンダと幸せに暮らすのだった。
 ビザロは単語の格変化が滅茶苦茶な喋り方をするためヘンテコ会話も楽しめる。見た目は怪物だが特別な超能力などなくなかなか人のいいビザロは様々な人と知り合い打ち解けていき舞台もどんどん変わって、物語が転がっていく様がとても楽しい。

AZRAEL #37-39 (JAN-MAR '98)

WRITER: DENNIS O'NEIL  PENCILLER: ROGER ROBINSON
 アズラエルとは聖デュマス騎士団の異端者暗殺執行人である。この教団に選ばれた血統の者には意識下に暗殺者としての知識ザ・システムが刷り込まれており、前任者が倒れると新たなアズラエルが覚醒させられるのだ。父の死を契機にアズラエルとなった青年ジャン・ポール・ヴァレーはバットマンと知り合い、その後肉体を強化された巨漢ベインにバットマンが重傷を負わされた際に代わりのバットマンとしてゴッサムシティを任され、重装備のコスチュームの力でベインに勝利するも、ザ・システムの影響が強まり次第に常軌を逸していく。復活したバットマンとの対決で敗北し解放されたヴァレーは再びアズラエルに戻るのだった。人気を博し独立タイトルが創刊されたアズラエルだが、ここに紹介するのはTHE RETURN OF BANEと題された宿敵ベインとの決戦編。
 ベインはバードという男と共に刑務所を脱走。ヴァレーの前には聖デュマス騎士団のアズラエルの下僕ノモズが現れ行動を共にする。オラクルからベインの情報を得るヴァレー。ベインは自分の肉体を強化した麻薬ベノムを合成させ入手していた。それを追うアズラエルだが、ヴァレーは自分が無くなり暗殺者アズラエルとしてのみの存在になっていく事への不安を口にする。ベインはバードの首に麻薬ベノムを注射し差し向けてくる。ベノムにより肉体が強化されたバードの怪力に苦戦するものの逆転に成功したアズラエルだったが、そこへベインが登場した。一度は倒した相手だがベインの力はすさまじく、たやすく叩きのめされノモズともども捕らえられてしまうのだった(#37)。
 アズラエル、ノモズ、バードの体を引きずって船の中へ監禁するベイン。ノモズとバードは椅子に背中合わせに縛られ、アズラエルは金属の拘束具に固定された。脱出できないと言うヴァレーをお前はアズラエルなんだと叱咤するノモズ。やって来たベインは彼らを自分が産まれたサンタ・プリスカ島に連行すると言い、麻薬ベノムで強化した兵士を作る計画を明かし、アズラエルにベノムを注射する。すでにベノムの中毒になっているバードに禁断症状が現れバードはベノムを求めてわめき椅子を壊して暴れ出すがベインに殴り倒され、麻薬ベノムをと懇願し床に転がって震える。さらにベインはノモズにもベノムを注射。自信を失ったヴァレーはバットマンと自分を比較し彼ならばと言うが、お前はアズラエルだと答えるノモズ。麻薬ベノムが与えた怪力で拘束を引きちぎったノモズはアズラエルの拘束具を解き、二人は操船していたベインを強襲するが、船は岩礁に衝突してしまう。海へ脱出したアズラエルとノモズだがノモズは波に呑まれ、脱出したベインは岸壁をよじ登り脱出していく。その後を追ったアズラエルだがそこにはベインの私兵がおり、格闘の末、ベインが発射したネットに絡め取られ檻に入れられてしまう。ベインは麻薬ベノムの虜となり自分に従うようになると言うが、アズラエルはそれを否定した(#38)。
 アズラエルのところへ、溺れたノモズが引きずられてきた。その姿を見てベインに従うそぶりを見せ檻から出されたアズラエルは逆襲に転じ、ベノムの入ったバッグとノモズの体を掴んで崖下へ飛び、海へと逃走する。気付いたノモズと共に砂浜に上陸したヴァレーはバッグから麻薬ベノムを出すが、禁断症状と戦う。悪寒が走り汗が吹き出し、ヴァレーは注射器を手に取るが、針を打ち壊し耐え続ける。ベインの部下が海岸に上陸するが、アズラエルは彼らを蹴散らし、ボートを奪って脱出。しかし助かると思った寸前、ヴァレーはベインを止めるため再びアズラエルのマスクを付けて海へ飛び込み、島へと戻った。ベインの前に姿を現すアズラエル。怪力ベインに大苦戦のアズラエルだが、麻薬ベノムの入ったバッグを見せ相手が気を逸らした隙をついて逆襲、タックルを仕掛け崖下にダイブした。落ちた海岸で立ち上がったベインにとどめの一撃を入れるアズラエル。ヴァレーはようやく自己に打ち勝ち、宿敵にも勝利するのだった(#39)。
 AZRAELはこの時期の、バットマンの代わりが務まらずバットマンに完敗したことで自信を失ったジャン・ポール・ヴァレーの弱さが見え隠れする話が好きなのだが、この3連話は相手が宿敵ベインで麻薬を注射され絶体絶命というところから立ち直り逆転という少年漫画のような展開が爽快。ロジャー・ロビンソンの適度にディフォルメが効いたアートも話を盛り上げてくれる。

BATMAN #322 (APR '80)

LEN WEIN: WRITER   IRV NOVICK: PENCILLER
 フラッシュの悪役の一人、キャプテン・ブーメランは凄腕のブーメランの使い手で、光速の男フラッシュを相手にブーメランで立ち向かうという驚異の技術の持ち主だ。しかしブーメランと言えば、バットマンもメインの武器として使っている名手。ではこの二人がブーメランで戦ったら?というのがこの話。
 ゴッサム・シティのタブロイド新聞ゴッサム・ガーディアンの車をブーメランで真っ二つにしたキャプテン・ブーメラン。彼を止めようとするバットマンだが、建物の壁をブーメランで崩され下にいた人を救うために相手を取り逃がしてしまう。バットマンは捜査の結果、ゴッサム・ガーディアンを牛耳るファルスタッフ氏をホテルで脅しているキャプテン・ブーメランを発見。だが煙幕ブーメランの不意打ちをくらい、複数のブーメランに空手で対抗しようとするが、変則的に動くブーメランを後頭部に受けて倒れてしまう。キャプテン・ブーメランはフラッシュにも使用したことのある巨大ブーメランにバットマンをくくりつけて打ち上げ、始末しようとする。フラッシュは超光速運動で縄を解き脱出したが、バットマンにはそんな真似は出来ないはずだ。打ち上げられる巨大ブーメラン。勝ち誇るキャプテン・ブーメランだが、その側にはバットマンが! バットマンは巨大ブーメランのブースターの炎でロープを焼き切ったのだ。最後の対決をする二人。バットマンのバッタランが相手のブーメランを砕いた! バットマンはキャプテン・ブーメランを倒し、捕らえるのだった。
 読者が見たい対決を見せてくれる話で、勝敗も1勝1敗と悪役の方にも花を持たせ、バットマンは罠からの脱出&バッタランで勝利とらしい活躍を見せる、素直に納得させる話運びが嬉しい作品。キャプテン・ブーメラン(初代)のファンの方は是非。

THE BLUE BEETLE #1-3 (MAY-JUL '06)

KEITH GIFFEN & JOHN ROGERS -- WRITERS  CULLY HAMNER -- ARTIST(#1-2) CYNTHIA MARTIN -- GUEST PENCILLER(#3)
 宇宙から地表に墜落した新ブルービートル。そこへ、いかれグリーンランタンことガイ・ガードナーが強襲。わけがわからぬまま戦いに巻き込まれたブルービートルだが、アーマーの防御機構が作動し、腕部に巨大なシールドが展開、攻撃を防ぐ。そんな中、ブルービートルとなった少年はこうなる以前の事を回想する。 彼の名はハイメ。テキサス州エル・パソに住む少年だ。勉強嫌いな友人のパコ、ガールフレンドのブレンダと3人で町を歩いていて、パコがブレンダをからかって逆に彼女得意の合気道で投げられた時、ハイメはそこに落ちていた甲虫に似た小さなメカを拾うのだった。 場面は戻ってガイとの戦い。ハイメの意志とは無関係に腕アーマーが変形し、砲口になって電撃を発射、さらに背後に展開した翼で飛び立つブルービートルだが、グリーンランタンはリングのビームで光の手を伸ばして相手を捕らえ、格闘へ持ちこむ。 再び回想、自宅で妹のミラグロがリモコンが動かないと駄々をこねてるのをからかったりしていると母親が帰ってきて、今日は仕事が忙しい父の手伝いに行くことに。ハイメは車の整備工場で忙しそうに働く父に、学校が終わったら仕事を手伝おうと言うが、そんな心配するなと突っぱねられ帰って勉強しろと言われてしまう。 グリーンランタンのリングから出された巨大ドライバーに押し潰されるブルービートルは、僕は敵じゃないのにと素顔を出し、相手が子供だと知ったガイは戦闘を中止、また来るぜと言い去っていった。と、今までハイメの体を覆っていたアーマーが解除され、彼は全裸のまま倒れ込んでしまう。 三度回想。ハイメが拾った青い甲虫型のメカは夜中に作動を始め、目覚めたハイムは自分の口から未知の言葉が出るのに驚き、さらに手のひらには奇妙な文字が浮かび上がっていた。翌朝ブレンダにその話をすると、それは(スタートレックの)クリンゴン語よとか言われ、ただの夢だと返される。パコも合流し通学途中、ハイメはタトゥーを入れサングラスをした女性に、きみは我々の一員だと声をかけられる。人違いだとその場を去ろうとするハイメだったが、その女性を見ると視界に例の文字が浮かび、さらにサングラスを外したその顔には目が無かった。じきに判ると言い、女性は去る。驚くハイメ。 グリーンランタンとの戦闘を終えたハイメは家を目指して歩きながら、自分がブルービートルとなった事を噛みしめるのだった。(#1)
 深夜、裸のまま家へと歩くハイメは家族を思い出していた。彼はこうなる以前の事を回想する。 メカ甲虫による深夜の事件をブレンダとパコ相手に相談するが、パコがからかって混ぜっ返すので相談にならない。そんなハイメを見張る男女。片方は以前のサングラスの女だ。だがその男女はブレンダとパコには見えていない。ハイメは男女に近づくが、そうすると自分も友人の視界から消える。ダンパーというタトゥーを入れた男、スクーターというサングラスの女に、甲虫の石が欲しいなら持ってってくれ、俺は普通に暮らせればいいんだと答えるハイメ。と、突然スクーターが口から血を流し倒れる。ダンパーは怒って何をしたと怒鳴るが、ハイメにも何がなんだか判らない。 裸のまま歩き、ようやくガソリンスタンドを発見したハイメ。とりあえずパンツとか電話を手に入れねばとゴミ箱を漁るが、ガソリンスタンドへ来ていたおっさんに不審に思われ、ライフルを突き付けられる。だがそのおっさんはなかなかいい奴で、服を探し出すのを手伝ってくれ、ホットドッグ奢ってやるから家族に電話しろよと言ってくれる。その言葉に泣きそうになるハイメ。 話は再び過去に。父親の工場を手伝おうと再度言いに来たハイメだったが、父はそんな必要はないと突っぱねる。と、ふと見ると先ほどのダンパーを含む奇妙な4人が立っているのを発見。逃げ出すハイメだが、頭に布を巻いた小男サンプは異様な跳躍でハイメを飛び越し、組み付きぶん投げる。路地裏に追いつめられるハイメ。彼らはメンバーのスクーターを傷つけられたと怒っていた。一同の中でデブのスカウアという男の汗がハイメにかかると、酸のように服が溶け出した。金髪美女ボニータがメンバーを紹介し、ハイメに近づき迫る。だがその時ハイメの体をブルービートルのアーマーが覆った。妙な能力で対抗する4人をあっさり退け、ブルービートルは跳躍し脱出する。その晩、変身が解除され全裸になったハイメは自室に窓から入り帰って寝ていたふりをして家族を誤魔化す。 ガソリンスタンドで会ったおっさんに送ってもらい、同じように部屋に戻ろうとしたハイメだったが、そこは妹のミラグロの部屋になっていた。父母もハイメの帰還を知り、驚く。母はハイメに、あれから1年も経っていると告げるのだった。(#2)
 町の売店では強盗事件が起こるが強盗は炎のタトゥーを入れた男に倒され、男はバイクで去った。ハイメは家族にこれまでの事を説明していた。スーパーマンを手伝い、いかれグリーンランタンに殺されかけたけど帰ってきたという言葉を誰も信じないので、変身してみせると、妹が怖がって家から飛び出してしまい、母も自分を息子だと信じてくれず、ミラグロを追って出ていってしまう。父はハイメの話を信じると言ってくれたが、母に説明してみると言い、ハイメは空を飛んでその場を去る。建物の屋上へ着陸したブルービートルは眼下の町を眺めるが、アーマーの能力で各地のズームアップ映像が見え、例の謎の文字が視界に浮かぶ。アーマーの機能を調べてみようと考えたハイメは右腕に刃を形成させてドアに突き刺し、さらに刃は変形してかぎ爪になりドアを押し開ける。次に両手から電気を発してアンテナにアクセス。しかし突然変身が解けてしまう。これまでは全裸になったところだが今回は服が戻っていた。友人と再会したいと探し始めるハイメだが、ブレンダは引っ越した後だった。と、視界に地図のようなものが現れた。その頃町でダンパーとパコが歩いていたが、黒服の男たちが突然光線銃を取り出し二人を撃つ。ダンパーのバリアでなんとか耐えたものの、黒服の男たちはさらに撃ってきた。そこへブルービートルが登場、シールドを展開して二人を救う。左手から刃を、右手から光線を出してラ・ダマという人物の配下だという黒服たちと戦うブルービートルだが、光線銃で撃たれ、蹴りを避けられて車に足がはまり込んでしまう。それを抜こうとする黒服たちだが、ブルービートルは手のアーマーを伸ばして相手の首をはさみ拘束。警官が駆けつけてきて黒服は捕まるが、こちらにも銃を向けてきたためパコを抱えて飛翔しその場を離れる。メキシコ州ファレスで着陸した二人。ハイメは変身を解き、パコはハイメの帰還を喜ぶ。パコの案内でこの町にあるというブレンダの家まで来たハイメは、ブレンダからキツイ一発をもらい再会を喜び合う。だが彼らを見るラ・ダマの黒い影が…。(#3)
 INFINITE CRISIS事件でデビューした3代目ブルービートルの物語。前の2代目ブルービートルはジャスティス・リーグで主にギャグ方面で大活躍だったので愛着もあったのだが、この3代目もキース・ギフェンの筆により新たな少年ヒーローとして丁寧にストーリーが構築されていくのが好印象。今回は導入部をレビューしたが、どんどん盛り上がっていくし、TPBも出ているので是非お勧めしたいタイトルだ。

DAY OF JUDGMENT #1-5 (NOV '99)

GEOFF JOHNS : WRITER  MATT SMITH : PENCILER
 '99年末のDCのクロスオーバー。これまでの宿主ジム・コリガンが昇天してしまった復讐の精霊スペクターに、堕天使アスモデルが合身(ウラでエトリガンが暗躍)、悪魔たちとともに地上へ出現しその強大な力を振るい始める。この未曾有の危機にDCユニバースのヒーローたちが行動を開始、さらに魔術系ヒーローがチーム「センチネルズ・オブ・マジック」として集結。事態を打開するため、天界チーム、現世チーム、地獄チームの3つにわかれて活動、天界チームはコリガンに代わる新たなスペクターの宿主を探すが、彼らの前に出現したのは「ファイナルナイト」事件で死亡したパララックスことハル・ジョーダンであった。はたしてスペクターの審判を受け新たな宿主となるのは?という話なのだが、テンポのよい快作となっている。登場キャラクターが多くて楽しませてくれ、またどのキャラにもちゃんと見せ場が用意されているのが嬉しい。天界の門をあっさり開けるミスター・ミラクルとか素敵だ。普段目立たないマイナー魔術系キャラが主役クラスの活躍をしてくれるのも良い。今回スーパーマンは魔術系の事件なのでまったく役たたずという役回りだがそれもキャラが立っている。地上で陣頭指揮を取るバットマンさんは逆に大活躍で、スペクターに対抗するため運命の槍を取りに行く4チーム目を編成したり、悪魔をまわし蹴り一発で倒したり。もちろん復活してきたハル・ジョーダンさんに文句を言うのも忘れない(笑)。アートはカートゥーン的な単純な線で魅せてくれるマット・スミスで、魔法な話なのでリアルでない作風が合っている。これだけでもかなり楽しめるが、できればGREEN LANTERN: EMERALD TWILIGHT、ZERO HOUR、FINAL NIGHTと続けて読んで、ハル・ジョーダンの生き様として見ていただけると、よりいっそうグッと来る。同時発売のDAY OF JUDGMENT SECRET FILESでは、結成されたセンチネルズ・オブ・マジックの活躍や解説が楽しめるのでそちらもお薦め。

DC COMICS PRESENTS #61 (SEPT '83)

LEN WEIN - WRITER  GEORGE PEREZ & PABLO MARCOS : ILLUSTRATORS
 DC COMICS PRESENTS誌は、スーパーマンがホストで毎回誰かと共演するというタイトル。基本的に一話完結で、普段は見られない組み合わせも楽しめる。この回は、ジャック・カービーの創作した未来ヒーロー、「一人の軍隊One Man Army Corps」オマックとの共演だ。
 時は未来、所はインターコープの秘密地下研究所。そこへ壁を蹴破ってモヒカンの超人オマックが突入! 相棒の人工衛星ブラザー・アイからのエネルギー供与を受けて戦闘員を蹴散らし研究室まで進行したオマックだが、間一髪で研究は完成、殺人ロボットが時間送信機で過去へ送られてしまう。その瞬間オマックもロボットに飛びつき、共に過去へ送られてしまった。
 現代、メトロポリス。ある酒屋に銃を持った4人組の強盗が押し入り警察に包囲されていた。そこへ未来から送られてきたロボット、マーダーメクが登場。目標を求めて行動を開始したマーダーメクは警官と戦闘になりパトカーを持ち上げて暴れるが、そこへ騒ぎを聞きつけスーパーマンが飛んできた。君を傷つけたくない、車を降ろしてくれと説得するスーパーマンだが、マーダーメクは車を頭に叩きつけてきた。殴り返すスーパーマンだが、ロボットの腕から発射されたミサイルに吹き飛ばされる。その隙に逃走するロボット。強盗たちはこれ幸いにとロボットの後を追った。そこへ遅れてオマックがタイムワープ。怪しい奴だと銃を向ける警官を、そんな事をしている暇はないと跳ねとばすオマックだが、その行動を見たスーパーマンに誤解され、格闘となる。だがオマックはスーパーマンを説得。オマックを抱えて高層ビルへと飛んだスーパーマンは、彼が未来から来た事、普通の青年バディ・ブランクだったがブラザー・アイにより改造されオマックとなった事、マーダーメクの標的はこの時代の自分の先祖ノーマン・ブランクで、敵はたった一人殺せば歴史を改変できる事を明かされる。
 多くの人が集まるメトロセントラル駅で、マーダーメクはバイオスキャンを行い標的を探していた。ついに反応があり、一人の男を標的と定めるマーダーメク。ミサイルを発射するが、間一髪スーパーマンが登場し、男を天井に運び、強力パンチでマーダーメクを地下へぶっ飛ばす。地下でマーダーメクと対決するスーパーマンだが未来科学製のロボットの攻撃に苦戦。一方地上ではマーダーメク製作の飛行マシンを与えられた強盗たちが標的の男を狙うが、彼らの前にオマックが登場、素早いアクションと怪力で倒されていく。普段と違いオマックにはブラザー・アイの助力がない。だが時を越えてブラザー・アイはオマックを助けようとしていた。衛星軌道上から磁力を発射し、インターコープの時間送信機の部品を再組み立てしていく! 一方スーパーマンはマーダーメクが持ち上げた地下鉄車両にヒートビジョンを発射して溶かし、さらにスーパーブレスで急激に凍らせ、ロボットと閉じこめる。しかしマーダーメクはその囲いを吹き飛ばし再び出現する。このロボットは本当に無敵なのか? スーパーマンは全ての力を込めた渾身の一撃を加えぶっ飛ばす。これで倒せなければ逆にやられてしまう。だがマーダーメクは再び出現した。スーパーマンの負けか? その瞬間、ロボットは爆発した。
 地上に戻り、標的となっていた男を天井から降ろすスーパーマン。オマックも強盗たちを片づけていた。しかしここで意外な事実が。標的の男は自分はノーマン・ブランクではないと言う。では何故マーダーメクは彼を襲ったのか? そしてスーパーマンとオマックは未来を救えたのか? 全てが謎のまま、ブラザー・アイが起動した時間送信機によりオマックは帰還してしまう。スーパーマンにも謎は解けない。しかし激闘の後片付けをしていた駅の掃除人の名札には、「ノーマン・ブランク」の名があった。未来は救われたのだ。
 種明かしをすると、マーダーメクが男をスキャンした時反応したのは、彼の向こうにかがんでいた掃除人の方だったというオチ。この回は普通なら共演できないオマックとスーパーマンとの共演が楽しめる。ジョージ・ペレスが細かい描写によりロボットとスーパーマンの激闘やオマックの大暴れを描いていて、見応えたっぷりだ。表紙は真ん中から分断されてマーダーメクに左右からスーパーマンとオマックが突進している絵で、FLASH #123のパロディとなっている。オマックについては#1のストーリー紹介を1970年代のカービーのコミック紹介に載せているので御参照を。

H-E-R-O #1-4 (APR '03-JULY '03)

Will Pfeifer - writer  Kano - artist
 DCユニバースにはダイヤルHというアイテムがある。どの時代にもあったし、偶然によって誰にでも手に入る。このアイテムの初登場はHOUSE OF MYSTERY #156 ('66)が初出なのだが、手のひらに収まるほどの大きさで、アルファベットの文字が書かれたダイヤルが付いており、それをH-E-R-Oの順に回すと、誰でもスーパーヒーローに変身してしまうのだ。どんな姿のどんな能力のヒーローになるかは選べず、ランダムに変身するらしい。2003年に入ってH-E-R-Oという新タイトルが創刊されたが、これはダイヤルHの最新型、H-E-R-Oデバイスにまつわるオムニバス形式の話だった。かつてダイヤルだったものはプッシュボタン式に改良されていたが、効果は全く同じである。#1-4はジェリー・フェルドンという少年を主人公にしたシリーズ第1作。
 少年はスーパーマンを見た。片手で車を持ち上げ宙に浮くその姿は、誰もが憧れるスーパーヒーローそのもの。だが少年はその後、スーパーヒーローの事で後悔し、泣きながら電話相談する羽目になる。何があったのか? 少年はバイトで皿洗いをしていて手のひらサイズの不思議な機械を手に入れる。そのボタンを押すと、彼は大人のスーパーヒーローに変身していた! スーパーマンのように空を飛び、車に轢かれそうになっていた子供を助けるが、その子は感謝してはくれなかった。轢き逃げしかけた車を捕らえようとその前に立ちはだかったが、変身したヒーロー「アフターバーナー」は飛行能力はあるがスーパーマンのようなパワーや鋼鉄のタフさは持っておらず、車にはねられ、車の方も事故を起こし炎上してしまう。
 変身を解除し炎上した車に駆け寄るが運転していた男は血みどろで、ジェリーは警察に電話したあと男を捨てて立ち去る。レストランでバイト中に気難しい老婆と出会うが、彼女は昔スーパーヒロインだったと言う。ジェリーはまたH-E-R-Oデバイスを使って様々なヒーローとなりその能力を楽しむ。だが、ヒーローとなった自分にナメた口をきいた少年をつい殴り、少年は血を吐いて倒れてしまった!
 重傷の少年を病院へ運び、逃げるジェリー。その後ジェリーはバイト先の仲間の女の子モリーをデートに誘うことに成功。バイト先に来ていた老婆の忠告も聞き流しデートの時間を待つが、そこへ強盗が押し入った。デバイスを使い炎熱能力を持つヒーローに変身したジェリーは強盗と戦おうとするが、彼が発した火炎を受けた強盗は誤って銃を発射しモリーの肩を撃ち抜いてしまう。怒りにまかせ強盗を倒したがジェリーはその場から逃走。
 ヒーローになった事で様々な過失を演じてしまったジェリーは電話ボックスにとび込み、電話相談にこれまでの話をする。そして語り終えたあとデバイスを使って変身し、空高く舞い上がった。雲を越え、はるか上空まで。そこでデバイスを解除し、ただの少年に戻って落下していく。自分の罪を悔やみ、自殺するつもりなのだ。最後に彼の脳裏をよぎったのは、モリーが付けていたスーパーマンのマークのワッペン。そして、落下していくジェリーに近づく、一筋の赤い影。気付くとジェリーは病院のベッドにいた。看護婦の話ではスーパーマンに運び込まれたという事で、短いメッセージが残されていた。自分が助けられた事を知る少年。病室を出たジェリーは意識が戻らないモリーを見舞い、再び老婆と会い忠告を受け入れる。こうしてこの事件は終わり、ジェリーは日常へ戻るが、落下したH-E-R-Oデバイスを別の者が見つけていた…。
 本タイトルはこんな感じに、誰でも簡単にヒーローの姿と能力を得られる装置を軸に、様々な喜劇・悲劇におちいる人々を描いていく。このタイトルは#22まで続いており、他の話も魅力的だ。

JSA #42 (JAN '03)

DAVID GOYER & GEOFF JOHNS : WRITERS  LEONARD KIRK : PENCILLER
 実はミスター・テリフィックというヒーローが好きなんですよ。といっても今JSAで活躍してる2代目じゃなくて、初代の方が。
 私が最初にミスター・テリフィックを見たのはDAY OF JUDGMENTクロスオーバーの時でした。赤いマスクを被ったいかにもゴールデンエイジヒーローですが、驚いたのは、胸にでかでかとFAIR PLAYと文字が書いてあった事。フェアプレイですよ? いかなヒーローといえども悪に殺されるかもしれないのにフェアプレイなどと言っていて大丈夫かなどと思いますが、考えてみれば卑怯な手を使って勝つのはヒーローとしてどうか。やはり正々堂々と戦ってこそヒーロー。正義の為だからといろんな事を投げだしているヒーローよりも、こういう古めかしい正義を守り抜く人物の方が、よほどたいへんな事をしていると言えるのではないでしょうか。特殊な超能力を持っているわけではなく洞察力、推理力、体術を駆使して戦うというのも良い。そんな訳で、このキャラクターには惚れこんでしまったのですが、残念な事に、知ったその時には彼ははすでに死んでいたのでした。
 2代目のミスター・テリフィックは初代の志を継いだ人物なんですが、初代と会った事はなく、スペクターに聞いて彼のフェアプレイ精神を知り名前を受け継いだヒーロー。その2代目が、初代と出会うのが今回のストーリーです。前号で、未来科学によって作られたバラックスというロボットに乗った悪役が現れ、そのタイムワープに巻き込まれ2代目テリフィックとホークガールは1944年に出現。そこで出会った男こそ、伝説のヒーロー、ミスター・テリフィック! 出会った直後にその推理力で「未来から来たんだろう?」と聞いてくる彼がイカス。現代のヒーローたちも苦戦した強敵バラックスを、当時のヒーローチーム、フリーダムファイターズが迎え撃ちますが、さすがのヒーローたちも未来科学には無力。総崩れとなったその時、バラックスに声をかける一人の男。そう、それは、ミスター・テリフィック。彼は銃を持ち出すと、自分の頭に当て、この引き金を引けばお前は終わりだ、なぜなら自分はお前の先祖からだ、と言う。ハッタリは止せというバラックスですが、テリフィックは銃を離さず一言一言相手を追いつめていきます。初代を尊敬する2代目テリフィックは彼が死ぬのを見ていられず飛びついて止めますが、なおも銃を頭に当てて迫る初代。その自信に恐れを抱いたバラックスは再びタイムワープし退却。勝利した初代が銃の弾奏を開けると、中は空。彼は知恵と勇気のみで強敵を退却させたのでした。タイムワープ空間に入る前に、初代と2代目は握手を交わします。彼らが去った後、フリーダムファイターズのリーダー、アンクル・サムから「誰だったんだい?」と聞かれ、「友人さ」とあさっての方向見ながら答えるテリフィックが最高で御座います。JSAというタイトルはこういう、昔のヒーローの設定も出てくる展開がよく見られ、読んでいて楽しいです。是非。

JUSTICE LEAGUE AMERICA #36 (MAR '90)

GIFFEN : PLOT & BREAKDOWNS  ・  DeMATTEIS : SCRIPT  ・  ARTIS : PENCILS
 海岸にそそり立つ岩の上に腰掛けて、犬人グリーンランタンのグノートが考え込んでいた。ぶっちゃけトラブルメーカーの彼は、ジャスティス・リーグのマーシャン・マンハンターに地球について学ぶため旅に出るようにと言われ、チームから放り出されたのだった。だがそれも退屈なので、グノートはそろそろ戻ってみることにする。
 その頃、惑星カーンにあるL.E.G.I.O.N.の本部にて、チームの副長リリッサは宇宙囚人#314-B27に仮釈放の処分を言い渡していた。囚人は私物を受け取り、独自の装備であるアーマーとコズミック・スキーを装着して宇宙へ飛び出していく。彼の名はスカーレット・スキーヤー。真紅のアーマーと宇宙水上スキーで銀河を渡る使者だ。彼が標的と定めていたのは、グノートだった。
 そのグノートはジャスティス・リーグ・インターナショナルのニューヨーク本部に来ていたが、ブルービートルやブースターゴールドに声をかけても今忙しいと言われ、オベロンやガイ・ガードナーには相手にされず、キロウォグやファイアには見向きもされない有様。最後にマーシャン・マンハンターにどやしつけられ、仕方なく外へ出る。
 空中に座って頬杖をつきながらグノートは考える。マーシャン・マンハンターにはもっと長い旅に出てこいと言われてしまった、なんで僕がみんなを大好きだと伝わらないんだろう。そこへ上空から何かが公園に墜落していった。いいところに事件が起きたと言って、グノートは現場へ向かう。
 墜落してきたのはスカーレット・スキーヤーだった。運悪く、彼の宇宙水上スキーは壊れ、宇宙へ帰れなくなってしまった。そこへグノートが声をかける。グノートは相手が以前会ったことのあるスカーレット・スキーヤーであるのに気付くが、相手は声を張り上げグノートに掴みかかり、俺はお前を殺すため来たと首を絞め、復讐の日は待ち遠しかったぞとぶん殴る。グノートは手にはめているリングの力を使い、緑色の巨大ゲンコツをつくってスカーレット・スキーヤーを背後から地面に叩きつけた。地面を破ってスカーレット・スキーヤーは地下鉄の通路に落ちた。
 通報を受けてジャスティス・リーグからミスター・ミラクルとファイアが駆けつけた時には、グノートは警官に銃を向けられ権利を読み上げられていた。だが警官は、この口ばかり達者な犬人をミスター・ミラクルに押しつけて行ってしまう。何があったと訊ねるミスター・ミラクルに、グノートはスカーレット・スキーヤーという僕の宿敵が現れたんだと答える。お前に宿敵なんかいない、グリーンランタンとしてお前が担当したセクターにはアメーバしかいなかったという話じゃないかとミスター・ミラクルは反論するが、とりあえず本部に戻ることにする。
 本部で一同は、無駄口をたたくグノートを急かして、スカーレット・スキーヤーとは何者か語らせた。スカーレット・スキーヤーはその主のために宇宙を巡り、適する惑星を発見すると信号を送る。その合図を受け、宇宙巨神ミスター・ネビュラが飛来するのだ。ミスター・ネビュラは惑星デザイナーで、彼好みのカラフルでサイケデリックでねじくれた形に惑星を改造しては去っていく。こうしていくつもの星々がミスター・ネビュラのデザインに変貌してしまったのだ。グノートはスキーヤーを逮捕し宇宙を救ったと語る。このあまりにも馬鹿馬鹿しい話をミスター・ミラクルは一笑に付すが、ファイアはそれがホラかまだ判らないと言い、一同はスカーレット・スキーヤーを探しに飛び立つ。
 そのスキーヤーは地下鉄駅構内から脱出しビルの屋上に出て、もうこうするしかないとビルから飛び降りた。グノートはリングのパワーでクッションを作り相手を受け止める。自害すら妨害するのかと怒るスキーヤーは、俺はお前が唯一逮捕した細胞より大きい生き物という汚名を着てしまったんだぞ、俺の宇宙水上スキーは破損してしまった、俺はもうこの惑星から飛び立てないと嘆く。同情したグノートは、きみの装備を修理するよ、それから再戦して汚名をそそげばいいじゃないかと提案。その言葉に感激したスカーレット・スキーヤーはグノートと共に去る。ミスター・ミラクルは二人をほっといて帰ることにする。大丈夫かしらと言うファイアに、グノートに修理なんかできると思うかいと答えて。
 グノートとスカーレット・スキーヤーは、二人して海岸にそそり立つ岩の上に座っていた。グノートがいじって宇宙水上スキーを爆破してしまい、状況はさらに悪化してしまったのだ。話しかけるなと言い絶望するスカーレット・スキーヤーを可哀想に思い、グノートは僕のサイドキックになるかいと言ってみる。一拍置いて、スカーレット・スキーヤーは相手を海に突き落とすのだった。
 キース・ギフェン&J. M. デマティス期のジャスティス・リーグは、普通のヒーローものとは違う一筋縄ではいかないぶっとんだ話が多いが、この回は役たたず犬人グリーンランタンのグノートを主人公に、スカーレット・スキーヤー&ミスター・ネビュラが初登場する。お気づきの方もおられると思うが、マーヴルのシルバー・サーファー&ギャラクタスのパロディキャラで、作者が大いに遊んでいるのが楽しめる。

JUSTICE LEAGUE ANNUAL #4('90)

KEITH GIFFEN & JM DeMATTEIS, MIKE McKONE
 失業中のB級ヴィラン、メジャー・ディザスターは、巨体に幼児レベルの知能を持つビッグ・サーと共に職安に並んでいるところで、偶然旧知のクルーマスターとクロックキングに会い、そこへこれまた旧知のマイティ・ブルースが入ってきたのを契機とし、再びヴィランチーム、インジャスティス・リーグを結成することにした。チームの残りの一人、マルチマンの館に集まり再結成したインジャスティス・リーグは、コスチューム姿となりメトロポリタン・ミュージアムに潜入することにする。だがそこには一歩先にテロリストたちが侵入しており攻撃を受け、応戦する羽目に。翌日のデイリー・プラネット新聞には、彼らが新ヒーローとして大々的に報道されていた。困った彼らだが、これを機にヒーローチームになることを思いつき、メジャー・ディザスターはジャスティス・リーグ・インターナショナルに自分たちを売り込みに行く。リーグの統括者マックスウェル・ロードはマーシャン・マンハンターに指示し、やっかい者を放り込むための新チームを作ることにした。
 南極に基地を持つジャスティス・リーグ・アンタラクティカが結成された。かねてよりジャスティス・リーグ入りを熱望していた犬人へっぽこグリーンランタンのグノートは、リーグの公式メンバーとなったことに有頂天で、南極の空を飛び回る。南極チームに派遣されたパワーガールはなんで自分がと頭を抱え、帰ってしまう。チームの会議が行われるが皆てんでんばらばらな事をしていて、マーシャン・マンハンターも怒ってニューヨークへ戻ってしまった。適当に仕事を続ける一同。ビッグ・サーはグノートが飛び立つのを見て、イヌくん戻ってこいと叫びながら後を追って走っていく。グノートは破壊された南極施設を発見。一方、宇宙へ戻る手段を失ったスカーレット・スキーヤーはなんとか修理した宇宙水上スキーで南極上空を飛んでいたが、再びスキーが壊れ墜落。グノートを探しにきたビッグ・サーと出会ったスカーレット・スキーヤーもチームに合流。だが生体兵器として改造された殺人ペンギンの群れが南極におり、ジャスティス・リーグ・アンタラクティカ基地は殺人ペンギンに包囲されてしまう。徐々に侵入してくる殺人ペンギンを防ぎ基地を維持しようとする一同だが、ビッグ・サーがぼくトリさんを傷つけたくないと駄々をこねたり(クロックキングにトリさんがイヌくんを喰っちまうぞと言われて一転、トリくん殺そうと言い出すビッグ・サー)、クルーマスターが煙幕弾を投げたため視界が遮られたり、グノートのグリーンランタン・リングで殺人ペンギンを転移させれば良かったのだがグノートが説明書をニューヨークに置き忘れてきたため出来なかったりとドタバタ大苦戦。倉庫へ撤退した一同だが電気まで切れた。メジャー・ディザスターは一同をグリーンランタン・リングの球体バリア内に避難させ、事態打開のため自らの能力を使う。
 マーシャン・マンハンターたちが救助に到着したとき、災害を起こすメジャー・ディザスターの能力により地震が起こり、南極基地は崩壊する。地中に閉じこめられた一同は球体バリア内にいたが、グノートが気絶してしまったため外へ出られない。どうしようもなくて、「アメージング・グレイス」を歌う一同。何とか生還した一同だったが、ジャスティス・リーグ・アンタラクティカはこれにて終了となった。
 この時期ジャスティス・リーグは国際チームとしてジャスティス・リーグ・アメリカとジャスティス・リーグ・ヨーロッパの2つの支部が活動していたが、インジャスティス・リーグやグノートなどどっちのチームにいても困る人材を集めたヘンテコチーム、ジャスティス・リーグ・アンタラクティカの結成と崩壊を描く爆笑ものの特別編。この時は生還したインジャスティス・リーグの面々だが、後にキース・ギフェンが担当した新SUICIDE SQUAD誌の第1話にて全滅…。

JUSTICE LEAGUE OF AMERICA #44-48, JUSTICE SOCIETY OF AMERICA #41-42 (JUN-OCT '10)

Writer: James Robinson  Pencils: Mark Bagley
 ジャスティス・リーグといえばスーパーマンやバットマンらDC有名ヒーローを擁するオールスターチームという印象があると思うが、この時期は両雄不在で、ライターのジェイムズ・ロビンソンにより個性的なメンバーで構成されたユニークなチームとなっていた。亡きブルース・ウェインの跡を継ぎ新バットマンとなったディック・グレイソン(元ロビン、前ナイトウイング)。かつて彼と共にタイタンズのメンバーだったアマゾネスの闘士ドナ・トロイ。黄金の毛のゴリラに冒険家の精神を移したコンゴリラ(巨大化能力あり)。青い肌の胸にあるパワージェムが能力源の新スターマンなど、メンバーは多彩だった。そんな時期に行われた、2010年のジャスティス・リーグ/ジャスティス・ソサイエティ・クロスオーバー「The DARK THINGS」について御紹介。このシリーズ全体が、死者がホワイトランタン化して復活するというクロスオーバーイベント「BRIGHTEST DAY」にタイ・インしている。
 ジャスティス・リーグは宇宙ステーション内で模擬戦闘訓練中だったが、飛来した魔岩スターハートがかすめて外壁が破壊される事態に。コンゴリラとスターマンが他メンバーを救出。スターハートはドイツのブラックフォレストに落下した。地元のパワードスーツ部隊が駆けつけたが、魔岩の前に出現した悪魔エトリガンに蹴散らされてしまう。ジャスティス・リーグは現場に急行、ドナの強襲と魔法のラッソーが、悪魔を人間体であるジェイソン・ブラッドに戻すことに成功する。一方ジャスティス・ソサイエティでは、初代グリーンランタンことアラン・スコットの体から緑のエネルギーが噴出する異変が起きていた。そこへ若き魔術師ファウストが来訪、世界の終わりだと言い危機を伝える。コンゴリラとドナはスターハートの裂け目を割ってみるが、中から何と、アランの娘のスーパーヒロイン「ジェイド」ことジェニファーが現れた。
 アラン・スコットの体は暴走する魔力エネルギーで宙を飛んでいき、ジャスティス・ソサイエティは専用機であとを追うが、突如飛来したパワーガールが激突し機体はブラックフォレスト上空でバラバラに砕ける。暴走したパワーガールがジャスティス・リーグへ突撃するが、それをスーパーガールが阻止した。互角の力を持つ両者だが、ジェニファーとドナが割って入り、パワーガールは倒され正気に戻る。ジェニファーはスターハートの来歴について語る。この魔岩ははるか太古にガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが宇宙の混沌エネルギーである魔力を封じたもので、その力は地球へ飛来し初代グリーンランタンを誕生させる源となった。いまその力が暴走しており、地球の各地の魔力を能力源に持つ者たちが意志を失い暴れ狂う事態となっていた。ジェニファーたちの前でアラン・スコットは意識を取り戻すが、緑の鎧を身に纏う姿となった彼は世界の終わりを口にし、ヒーローたちと対峙する。
 暴走する魔力保有者たちを止めるべく、ジャスティス・リーグとジャスティス・ソサイエティが協力し地球各地で活躍する。ジェニファーは実家へ戻り、父の異変の原因を知るため彼のランタンを手にする。アラン・スコットはグリーンの魔力エネルギーで月面に巨大都市と守護者たちを創造し、単身飛来したスターマンを撃破し相手のパワー源であるジェムをもぎ取ってしまう。
 アランの息子で闇の力を持つオブシディアンと地球最強の魔法使いドクター・フェイトはスターハートの暴走した魔力に操られ、ジャスティス・ソサイエティの初代フラッシュ、ワイルドキャットや魔術師ファウストを倒し連れ去る。ドクター・ミッドナイトは敵が去るときに闇の中へ突入し敵地へ入り込む。ミスター・テリフィックの的確な指示により、ジャスティス・ソサイエティは地球各地の魔力暴走事件を収めていく。また、バットマンはミス・マーシャンのテレパシー能力で敵の動向を探ろうとするが、逆にマーシャンが暴走し、パワーガールが制止する。事態打開のためバットマンが次に呼び寄せたのは、先代ミスター・ミラクルの跡を継いだシロー・ノーマンだった。
 スターガールらJSAオールスターズを月面基地へ正面突入させ、それを陽動として内部へ潜入するバットマンたち。ミスター・ミラクルは基地の罠を次々と突破していくが、敵に発見され撃破されてしまう。緑のエネルギーで創られた敵と交戦。アラン・スコットは基地の玉座に座りドクター・フェイトやオブシディアンを従え、捕らえた初代フラッシュやワイルドキャットと対面していた。古くからの友人であるアランに必死で呼びかけるフラッシュたちだが、彼はここに居ない、自分はスターハートだと相手は答える。ファウストは質問があると言い、あなたが全能であるなら何故自分でやらずにドクター・フェイトが俺たちを拘束しているのかという問いで切り込む。一方、基地内へ潜入したドクター・ミッドナイトはスターマンを発見。ジェイドたちは緑の魔力で創られた敵の大軍団に苦戦するが、そこへ頼もしい援軍、グリーンランタン、カイル・レイナーが登場した。
 しかしジェイドは弟のオブシディアンの手で男女合体癒合した怪人となってしまう。カイルが対抗するが相手は手強い。スターマンから状況を聞いたドクター・ミッドナイトは必ず戻ると約束して単身敵本拠へ乗り込んでいく。ファウストの疑問は正しく、スターハートは強大ではあるがヒーロー全てを相手にするため魔力保有者を操り配下にしていた。ドクター・ミッドナイトが忍び寄り、ドクター・フェイトの兜を外すと魔力は解け、拘束を脱したフラッシュたちは反撃に転じる。スターハートの手からスターマンのジェムを超スピードで取り戻すフラッシュ。だが尚スターハートは強力で、地球にも姿を現しスーパーガールとパワーガールをもあしらい、またジェイドとオブシディアンの合体怪人の猛攻も続く。ドクター・フェイトが合体怪人を吹き飛ばし形勢逆転したかに見えたが、そこへスターハートが登場、最終決戦が開始された。
 いずれ劣らぬヒーローたちを相手に互角以上に戦い続けるスターハートと合体怪人。ドクター・ミッドナイトはジェムを届けスターマンを救う。ドクター・フェイトの魔法によりジェイドはホワイトランタン化したあと復活した。なおも敵対するオブシディアンはカイルが捕獲。ミスター・テリフィックの策でスーパーガールとパワーガールも月面へ参戦。ジェイドは父の体を操るスターハートと対決するが、そこへ復活したスターマンが飛来、ジェムからブラストを放ちスターハートを吹き飛ばした。ジェイドは魔岩を封じ、アラン・スコットは本来の意識を取り戻すのだった。
 ゲストヒーローが次々と登場してその能力を発揮する活躍を見せ、またスターハートがグリーンランタンの能力で様々なヒーローやヴィランの姿の大軍団を繰り出すのに対抗して沢山のヒーローにそれぞれ見せ場があって、楽しめるクロスオーバーとなった。この時期しか見られないキャラも多くて、いま読み返しても読み応えある作品である。

L.E.G.I.O.N.'89 #1(FEB '89)-#3(APR '89)

KEITH GIFFEN : PLOT/BREAKDOWNS  ALAN GRANT : SCRIPT  BARRY KITSON : PENCILLER
 L.E.G.I.O.N.とは、「インベージョン!」事件の際に結成された宇宙警備隊で、Licensed Extra-Governmental Interstellar Operatives Network「超政府認定星間捜査ネットワーク」の略でLEGION=軍団と読むチーム。30世紀の未来の少年少女スーパーヒーローチーム「リージョン・オブ・スーパーヒーローズ」へとつながる要素を持つ。結成メンバーは次の6人。
 ブリル・ドックス:リーダーであり主人公。惑星コル出身で緑の肌の男。超知性の持ち主で、傍若無人かつ冷酷無情な戦法を取る。父はスーパーマンの敵として有名なブレイニアック。
 ガリン・ベック:カーン人。茶色の髪の男。単純かつ常識人で、ドックスの独断にいつも不満を抱きわめいているが、たいてい相手にされない。
 リリッサ・マロアー:タロック第8惑星人。浅黒い顔の、マントをはおった女性。周囲に闇を広げる能力を持つ。冷静でチームのまとめ役。
 ダーラ人:紫のフードから触手を伸ばしている怪人物。変身能力を持つ。ドックスの古くからの友人で、彼のために奔走する。
 ストラタ:岩石人間であるドライアド人。怪力とタフさで活躍する。
 ステルス:出身惑星不明なオレンジの肌の謎の女性。短気で攻撃的な性格だが、ドックスを気に入っているようだ。
 L.E.G.I.O.N.誌は'89年に創刊され、タイトル名に西暦が入ってL.E.G.I.O.N.'90のように年数が進んでいくのが特徴。'94年にR.E.B.E.L.S.'94に誌名変更しつつも7年以上続いた人気SFコミックでありました。スタート時のストーリーを御紹介。
 惑星コルの軌道上に一隻の宇宙船が飛来していた。乗っているのはブリル・ドックスら6人。なぜここで停止するとガリン・ベックは疑問に思うが、ブリル・ドックスは信号を待っているとだけ答える。と、コル星から巨大ミサイル群が発射され、一同は惑星表面へ急速降下し外へ脱出するが、宇宙船は撃破されロボット戦闘機に包囲され捕獲されてしまった。ここ惑星コルは文化水準の高い星であるが、星全体をコンピューター皇帝が支配しており、コル人は生まれてすぐ洗脳機にかけられ管理されるのだ。レーザー柵の牢に入れられた5人。ベックはどういうつもりだったんだとドックスに不満をぶつける。ドックスはその理由を物語る。自分がこの惑星出身である事、同名の父ブリル・ドックスはコル星にあっても目立った知能を持つ天才であったため洗脳を免れていた事。父は皇帝から褒美として妻子を持つことを許され自分が誕生したが、冷徹な父を憎んでいた事。父は皇帝に処分され、彼は罪人として収容され侵略惑星同盟に引き渡されたが、ガリン・ベックらと共に宇宙船を奪って脱出し、ここまで来たのだった。彼はこのメンバーならコンピューター皇帝の支配から民衆を解放できると説くが、個人的な復讐をするために説明もなしに私たちを巻き込んだのかとステルスやリリッサは怒る。牢で身動きがとれない5人だが、6人目のメンバーであるダーラ人は変身能力を使ってロボット戦闘機に化け内部へ潜入、昆虫へ変身してドアを通り抜け、異星獣人に変身して警備のロボット戦闘機を破壊した。だがブリルらと助けるにはどうすれば良いのか? レーザー柵が消え自由になった5人は周囲に闇を展開するリリッサの能力で追っ手を逃れるが、その時建物が大爆発を起こした。
 爆発を生き延びた一同は無数の小型追撃ユニットに追われるが辛くもピンチを逃れ敵中枢への侵入に成功、ついにドックスは惑星を支配するコンピューターの回路を切断した。
 コル星を管理しているコンピューターを破壊したことで、星中で火の手が上がり乗り物は事故を起こし大惨事となり、民衆はパニックにおちいる。ベックはこの事態を引き起こしたドックスを激しく非難するが、ドックスはこれは必要なことだったと反論。もうドックスには従えない、自分の星に帰るとベックは背を向け、リリッサもそれに続く。その頃、衛星軌道上に据えられたカプセル内にて、コンピューター皇帝が打倒された時のためのシステムが起動していた。コンピューター皇帝の人格を移植したメタルグリーンの体を持つ人造人間がカプセル内から現れ、ブリル・ドックスへの復讐のためコル星へ降下していく。一方、宇宙船でコル星を離脱したリリッサ・マロアーとガリン・ベックだが、スクリーンに宇宙イルカの姿を見たリリッサは何故か恐怖し、あわててコル星に戻るようベックに命じる。ドックスはコンピューター皇帝の復活を阻止するためコンピュータールームに爆弾を仕掛けた。そこへ人型となったコンピューター皇帝が襲来、圧倒的な力で4人を攻撃しはじめる。その頃宇宙空間では、友達の宇宙イルカが死んでいるのを知った宇宙の暴れん坊ロボが、必ず復讐してやるとの決意を固め、コル星へと発進していた。コル星ではコンピューター皇帝が手からビームを放ちストラタを吹き飛ばし、ドックス、ステルス、そして怪物に変身したダーラ人をぶっ飛ばしていた。ストラタは壁を剥がし金属を皇帝に巻き付けて動きを止めようとするが、皇帝は一瞬で弾きとばしてしまう。ダーラ人が触手生物に変身して巻き付き、合流したリリッサが敵の顔を闇で覆い、ストラタが岩石パンチを入れるが、コンピューター皇帝は一蹴してしまった。ベックはドックスをかばおうとするが一瞬で弾かれてしまい、ついにブリル・ドックスをその手にかけたコンピューター皇帝はドックスの脳に衝撃を送り込み苦しめる。絶体絶命! だがドックスが仕掛けた爆弾が爆発し、皇帝の本体であるコンピューターが破壊された。自分が本体を失ったユニットに成り果ててしまった事に絶望したコンピューター皇帝は、絶叫しながら宇宙へ飛び去った。勝利をおさめたドックスたちだが、ベックは新たな危機がこの星へ向かっている事を明かす。宇宙で最も危険なロボという殺し屋が宇宙バイクでコル星へ降下してくるのだ!
 このあとドックスはロボをメンバーへ加えてしまい、L.E.G.I.O.N.はさらに過激に活躍していく。'09年からは同系列の新タイトルR.E.B.E.L.S. Vol.2が発行された。宇宙人しか登場しないシリーズだがとても面白いのでお勧めです。

MARTIAN MANHUNTER #23 (OCT '00)

JOHN OSTRANDER : writer  TOM MANDRAKE : artist
 10年前、ある殺人事件を調査するジョン・ジョーンズ(マーシャン・マンハンター)は、現場でジム・コリガン(スペクターの宿主)と出会う。二人で犯人を追うが、それは死人を操る魔女ストレガの仕業だった。スペクターを呼び出したジム、そして火星人の正体を現したジョンはストレガを追いつめるが、マーシャン・マンハンターは彼女の魔力によりスペクターを取り込む。狂気にとりつかれたマーシャン・マンハンターは故郷の火星を目指す。残されたジムだったがファントム・ストレンジャーの助言でスペクターに変身、滅びた故郷を取り戻そうとする火星人を狂気から救う。そして現在、ゴビ砂漠ではマーシャン・マンハンターとスペクターが再会していた。スペクターにより、火星の家であったピラミッドを贈られる火星人。何故と問う火星人に、スペクターは「友人だから」と答えるのだった。
 以前THE SPECTRE誌で鳴らしたオストランダー&マンドレイクのコンビがおくる、刑事だったジム・コリガンと火星人刑事の共演。お気に入りなのはラストシーンで、この時のスペクターは二代目となったハル・ジョーダン。ハルはグリーンランタンだった頃にマーシャンマンハンターらとともにヒーローチーム ジャスティス・リーグを結成した仲で、また、滅びた火星を取り戻そうと狂気に走る火星人刑事に対して、ハルも故郷の街を取り戻すために悪役に転じていた時期があり、お互いの過去の過ちを背景に二人の変わらぬ友情を描いている。

MYSTERY IN SPACE #63 (NOV '60)

WRITER : GARDNER FOX  PENCILLER : CARMINE INFANTINO
 地球の考古学者アダム・ストレンジは転移光線ゼータ・ビームにより25兆マイル彼方のラーン星で活躍、ロケットパックと光線銃に身をかため、知恵と勇気で愛する女性アランナを守るのだ!という、典型的スペースオペラ・ヒーロー『アダム・ストレンジ』の初期の話。
 いつもの如くゼータ・ビームでラーン星に出現したアダムはアランナと再会するが、ラーン星には脅威の武器バキューマイザーを備えた異星人が攻めてきた。立ち向かうアダムらだが、異星人のバキューマイザー(掃除機を背中に背負ってるんですよこいつら)に次々と吸い込まれ、ついにはアランナ、そしてアダムまでもが!? が、ゼータ・ビームの効力が切れ、地球に帰還したアダムは再びラーン星へ。不在の間に敵は都市の全てを吸引して持ち去り、住民のみを開放した事をアランナから聞いたアダムは、敵のバキューマイザーが特定の元素を標的にして吸引していることを見抜き、反攻作戦に出る。攻めてきたアダムらを吸引しようとする異星人だが、アダムらはそのスーツに鉄をコーティングし防いでいた。掃除機のつまみをまわして鉄に合わせ再び吸引する異星人だが、スーツには次にスズが、そして銅、金、コバルト、バリウムと、何層にもコーティングしてあり、次々吸い込むものの一向に埒があかない。ついにアダムたちは異星人に接近することに成功し、格闘戦で彼らを撃退するのだった。
 異星人の武器のおおらかな面白さと、それにSF的な理屈を踏まえて対処し勝利する主人公の活躍がいかにも古き良きスペースオペラで、そういうのが好きな人には楽しめる一作。最後はお約束の、アランナとキスする前にビームの効力が切れて、というのでシメ。このお話は、THE ADAM STRANGE ARCHIVES VOLUME 1と、PULP FICTION LIBRARY:MYSTERY IN SPACE TPBに収録されております。特に後者は、1946年から1981年までのSFコミックが収録されていて、スペオペファン必見。エドモンド・ハミルトン先生作のコミックがあったり、もろフランク・R・パウル直系の触手円盤が攻めてきたりとか、銃で撃たれようが何されようが死なない「百の命を持つ男」とか。すごく古くさいけど、その味がまたたまらんデスよ。

THE ROGUES (VILLAINS) #1 (FEB '98)

BRIAN AUGUSTYN : WRITER  RON WAGNER : PENCILLER
 雪の降り積もる人知れぬ寺院に忍び込もうとする五人組、キャプテン・コールド、ウエザー・ウィザード、ヒートウェーブ、キャプテン・ブーメラン、ミラーマスターらは通称ローグスとして知られるヴィラン集団だ。彼らは悪魔ネロンに一時は魂を奪われる羽目におちいり、ネロンから逃れる術を探してこの寺院の中にあるメスタ神の太陽円盤を盗み出すためやって来たのだ。一方、外から双眼鏡でそれを観察するのは元ローグスの一員トリックスター。彼は知り合った女性ミンディの息子ビリーがこの寺院の御子マジーにされているのを助けるためにやって来たのだ。寺院の中でローグスは太陽円盤を発見、さらに自分たちと同じ力を持つ五人の使徒の壁画を見て驚くが、そこで警報が鳴り響いた。駆けつけたのはこの地を牛耳るクアーダ将軍とその部下たちで、あっという間にローグスは包囲されてしまう。クアーダの腹心ローレンスは五人の使徒に似たローグスはマジーを目覚めさせる鍵となると彼らを連行。そこへトリックスターとミンディが駆けつけた。母に会えて喜ぶビリーだが、ここは敵地の真っただ中。だがトリックスターには計画があり、手の中のスイッチを押すと、太陽円盤が光りだしメスタ神の言葉が聞こえ始めた。驚く一同だが、これはトリックスターに協力するパイド・パイパーが音響装置で偽装しているのだ。これに対抗しようとしてローレンスはトカゲの化け物アーンユに変化してしまう。パイパーによるトリックは失敗し、火を吐くアーンユによりローグスも危機におちいるが、特殊シューズで宙に浮いたトリックスターはスプレーを吹きかけて火を消し注意をそらす。その隙にキャプテン・ブーメランがブーメランを投げ太陽円盤を繋いでいたロープを切断、落下した円盤をローグスたちが受け止める。ずらかろうと言うミラーマスターやウエザー・ウィザードにヒートウェーブはこの場は協力しあわねばと諭す。トリックスターはかんしゃく玉やスプレーを駆使してトカゲの化け物の気をそらし続けるが、突如アーンユはその正体である悪魔ネロンに化身しトリックスターを捕らえてしまう。ローグスはネロンに対抗しようと一斉に攻撃するが一蹴されてしまい、ネロンはトリックスターを飲み込もうとする。それを見たビリーの能力が覚醒しメスタ神を召喚した! 戦闘神メスタはネロンを圧倒、空中に放り出されたトリックスターもキャプテン・コールドの作った氷のすべり台で助けられる。追い詰められたネロンにトリックスターは、この国の人々やマジーやローグスのことを忘れるのを条件に見逃してやると取り引きを申し出、ネロンは去った。メスタ神は最後にクアーダ将軍を追放。僧侶はローグスに太陽円盤型のメダルを報酬として手渡す。トリックスターは協力してくれたパイド・パイパーと握手。ヒートウェーブはこの地の僧侶と共に修行したいと言ってこの場に残り、四人のローグスたちと別れた。トリックスターはミンディと抱き合うのだった。
 DCの'98年2月号として様々な悪役のタイトルが発行される企画があったのだが、このTHE ROGUESもその一つ。ローグスはフラッシュの個性的な敵役が集まったチームだが、この話ではトリックスターが主人公扱いで大活躍、ヴィランとは思えぬいい人っぷりを見せてくれます。

the SANDMAN : A GAME OF YOU ('91-'92)

WRITTEN BY NEIL GAIMAN  ILLUSTRATED BY SHAWN MCMANUS, COLLEEN DORAN, BRYAN TALBOT
 ニール・ゲイマンの『サンドマン』はインターブックスより日本語版が刊行されたが、5冊目が出たところで止まってしまったため、続きが気になる方も多いかと思いますが、非常に面白い話なので、原書で続きを読まれる事をお勧めします。今回紹介するのは、7冊目のTPBである、『A GAME OF YOU』。
 主人公はニューヨークのぼろアパートに住む少女バービー(『ドールズハウス』にもちょっとだけ出てきましたね)。彼女の同居人は、おかまのワンダ(バービーは女友達として接しています)。アパートの他の住人もちょっと変わった人たちが多く、丸眼鏡をかけた怪しげな少女テッサリー、ヘイゼルとフォックスグローブというレズのカップル、人間嫌いのジョージなど。バービーはワンダと買い物に出た先で、自分の夢の中に出てくる大きな犬マーティン・テンボースに出会います。夢の中ではバービーは王女で、マーティンは彼女の従者なのですが、王女を求めて走り回る巨大な犬は警官隊に射殺されてしまいます。マーティンはカッコーから国を取り戻すようバービーに言い残し、息絶えてしまいます。夢の中の存在であったはずのマーティンの出現にとまどうバービー。そして、アパートでは秘かに、カッコーの配下であったジョージが行動を開始するのでした。
 アパートの住人たちはジョージの放った鳥によって悪夢に取り込まれますが、実は魔女であったテッサリーは逆に鳥を捕らえて殺し、ジョージに逆襲します。その頃バービーは夢の中で王女となっており、3匹のお供、猿のプリナード、鳥のラズ、ネズミのウィルキンソンを連れ、自分の国を救うため旅立ちます。
 テッサリーがジョージを殺した事でアパートの住人たちは悪夢から覚めます。テッサリーはジョージの顔を剥いで壁に釘で打ちつけ、その顔から情報を得、ヘイゼル、フォックスグローブと共に月の女神への儀式を行い、事件の中心にいるバービーの後を追います。ただ一人男性であるワンダは、部屋で親友バービーの帰りを待つのでした。
 バービーたちは、凍えるような雪山の細道を越え、旅を続けます。自分の国は闇の兵士たちに包囲されている事を知るバービー。また、サンドマンことドリームが登場、夢の国の孤島でおこっている異変について知ります。バービーたちは旅を続けますが、途中の森でプリナードが殺されてしまいます。アパートでは、ジョージの顔がワンダに、月の女神を怒らせてしまったことを喋ります。バービーたちはラズの裏切りによって闇の兵士たちに取り囲まれ、ウィルキンソンは兵士たちに殺され、バービーは囚われの身に。手錠をつけられバービーは、ある家に連行されますが、そこはバービーが幼い頃住んでいたフロリダの家なのでした。
 このへんまでで全6話中4話。残りの話はネタバレになってしまうので、あえて書きません。私もとても好きな話なので、興味がある方、是非手にとって読んでいただきたいです。胸の余韻の残る、良い話ですよ。この話で出てくる魔女のテッサリーは、最近ミニシリーズで主役張ってますね。

SENSATION COMICS #1 (JAN '42)

 DCは西暦2000年記念として、色々なキャラクターの初出誌をリプリントしたMILLENNIUM EDITIONという復刻レーベルを展開した。これは今では入手困難なゴールデンエイジのコミックなどが安価で読め、またアンソロジー誌の場合、掲載コミックを全て復刻してくれているので、貴重な存在である。SENSATION COMICSは、'41にALL STAR COMICSでデビューしたWONDER WOMANが看板タイトルであり、他に海洋冒険ものBLACK PIRATE、幽体離脱した騎士の物語THE GAY GHOST、覆面小僧二人組の活躍LITTLE BOY BLUE and the BLUE BOYS、ボクシングチャンプがコスチューム・ヴィジランテになるWILDCATなど魅力的なコミックが名を連ねているが、今回紹介するのは、MR. TERRIFIC
by CHARLES REIZENSTEIN AND HAL SHARP
 ミスター・テリフィック。赤覆面に、胸にはフェアプレイの文字をかかげ、ギャングを軽く投げ飛ばす驚異の男は、いかにして誕生したのか?
 テリー・スローンは、わずか10歳にして海軍が求める高性能水上機を設計してしまうほどの天才だった。海軍本部からの使者に「航空学は僕の主な趣味の1つです」とあっさり答えた少年は、その直後、使者が誘拐されかかっているのを見かけ、たちまち悪漢どもをノックアウトしてしまう。感謝する使者に、「運動も僕の趣味の1つなんです」と答えるテリー。しかしそんなテリー少年は天才ゆえの孤独に悩んでいた。同世代の子供に混じることもできず、チェスをしても大人に簡単に勝ってしまう。11歳にして高校を卒業した後、大学でのより高いレベルの学問に期待するが、大学の教授陣をもあっさり抜いてしまい、彼は困惑する。一時はスポーツに興味を見出すが、その突出した能力は他の学生よりもぬきんでており、部屋にはトロフィーの山。大学を卒業した彼はビジネスの世界へ飛び込むが、そこでも成功に次ぐ成功。人はそんな彼をうらやむが、テリー自身はいっそう強い孤独感に苦しむのだった。同僚から気分転換に休暇をとるよう勧められたテリーは車で郊外へ向かうが、有り余る才能を持ち心底努力して成し遂げる楽しみを得られなかった人生に失望し、自殺まで考える。
 が、その時、彼の目の前で一人の女性が橋から下へ飛び降りた! 緊急事態に、当の自分が自殺を考えていたことも忘れて、彼女を助けるために飛び込む。そして、その身体能力をいかした泳ぎで救出に成功。岸に上がった女性は「わたしは生きていても仕方ないのです」と言うが、テリーは「誰でも生きる目的を持っているものだ」と諭す。自分の言葉に、自身に必要なものを感じるテリー。女性は自殺に到ったいきさつを語り始めた。彼女の弟はいつの間にかギャングの手先になってしまっていた。弟の部屋で拳銃を発見した彼女は弟を諭すが、弟はすっかりグレてしまって聞く耳持たない。ある夜、弟のあとをつけていった彼女は、弟が強盗を働きギャングに報告しているところを目撃してしまう。恐さを堪えてギャングに食ってかかる彼女だが、軽くいなされ、相手にもされない。ギャングのボスはまるでヒーローのように敬われ、弟は犯罪者となってしまったと嘆く女性。テリーは彼女を助けると約束し、先ほど考えていた自殺より前に、人生を楽しみ生きる手段を発見する。
 不良少年たちの巣に、一人の赤覆面の男が現れた。あの女性の弟を含むギャングの卵たちは、自分の方に付かないかと言う謎の男の言葉に、俺達はビッグショットに良くしてもらってるのでそんな必要はないと言う。だが男はビッグショットなんてピーナッツのようなものだと言い、それを見せてやると言って少年たちを誘う。好奇心に駆られ、彼の後を追うチンピラたち。男はあっという間にギャングの手下どもを蹴散らす。ナイフや銃にもひるまず次々と手下を倒していく男に、少年たちは「彼は凄い!(HE'S TERRIFIC!)」と歓声を上げるのだった。ついにボスのビッグショットと一対一になった男。ビッグショットは少年たちに男を取り囲めと命ずるが、ギャングのボスが怖がっているのを感じた少年たちは、彼に魅力を感じなくなっていた。それでも、覆面の男はビッグショットに反撃の機会をやろうと、外へ連れ出す。ビッグショットは突然ナイフを投げつけてくるが、男はなんなくそれをかわし、一撃を加える。倒れたボスを見て少年たちは、たしかにあなたの方が力が強いが、彼は頭が切れる、と言う。頭が切れるって?、じゃあ試してみようと言う男は、小屋の壁に数式を書く。それが解けないビッグショットは、少年たちに馬鹿にされる。またたく間に数式を解いてみせる男。腕力でも知力でも完敗したギャングのボスは逃げていった。こうして少年たちの間に、新たなヒーローが誕生した。少年たちは彼の名を訊ねる。そこまでは考えていなかったテリーだが、少年の一人(あの女性の弟)が、ミスター・テリフィックと命名する。テリフィックは初仕事として、チンピラのたまり場になっていた小屋をとり壊す。ここは僕らのクラブだったのにと言う少年たちに、テリフィックは新たな「フェアプレイ・クラブ」へ彼らを招待するのだった。こうして、一時は人生に絶望した男は、生き甲斐を見つけ、ミスター・テリフィックが誕生したのであった。
 ゴールデンエイジのヒーローらしいおおらかさが素敵な話。ギャングのボスにわざわざ反撃のチャンスをやるところや、最後に計算でボスを負かすところが、古き良き『正義の味方』で、いい味出してる。このヒーローは現在はすでに死んでしまっているのだが、後に彼の逸話を聞いた男が志を継いで2代目を名乗り活躍中である。

TAILGUNNER JO #1-6(SEPT '88-JAN '89)

CREATED BY PETER GILLIS AND TOMOSINA ARTIS
 噂には聞いていた名作ですが、実際読んでみたらほんとに凄かったので紹介します。物語の舞台は、未来世界。果てしなく続く泥沼の戦闘。そこで活躍する一人の男。数々の武器に身を固めた彼の最大の装備は、肩から伸びるもう一対の機械の腕。自在に動き戦闘をサポートし、手のひらから光線も発射できるこの装置を制御しているのは、背中のカプセルに封じ込められた彼の娘の脳だった! ジョーというその女の子の意識は、戦闘のない普段は動物たちが立って歩き喋るバーチャルリアルなメルヘンの世界に置かれ、ひとたび必要になるとリンクされた父親から呼び出しを受け、現実世界で機械の腕を操作し父親と共に戦うのだ。この父娘の会話形式で物語は展開していく。これが良いのだ。例えば、敵の攻撃がパイプを打ち抜くが、中の水が流出して足下が水浸しになってしまったシーンで、
 父:くそっ、可燃性物質が入ってると思ったんだが。ゴメンよジョー
 ジョー:「くそっ」ぐらい平気よ父さん、わたしもう10歳よ
という感じで、周囲が異常な未来戦争であるのに、普通の親子の気づかいの会話が続くのだ。父親も、必要な戦闘状態が終わると、ジョーに負担をかけないためにすぐ彼女をメルヘン世界へ戻してしまう(そのたびにジョーは悲しむのだが)。はっきりいって悲惨な話なのだが、ジョーがとても健気に頑張っていて、それがまた状況の異常さを際だてるのだ。支えあいながら生きていく父娘だが、異常な戦場の影響が、ジョーのメルヘン世界までも浸食し始める……。このへん、えらく恐ろしく、サイバーパンクSFとして良くできていて、楽しめる。ジョーは美少女だしね。こんな話を最後にどうやって終わらせるのか、この状況にハッピーエンドなどあるのかと思って読み進むと、最後は一応ハッピーエンド(?)、しかしまともには終わってくれない、そのへんのダークさも魅力、一風変わった小編で、傑作だと思う。

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