MARVEL COMICS



CABLE #50 (JAN '98)

JAMES ROBINSON : WRITER  LADRONN : PENCILER
 オペレーション・ゼロ・トレランス直後、傷ついた父スコットを見舞い、ジーンとも会ったケーブルは、次の目的地ヨーロッパへ旅立とうとする。少し前に知り合った女性記者のイレーネは同行すると言い張るが、そこへマデリーン・プライアーが現れ、ロンドンへ行けと指示し、古い日記を託す。それは、ロード・モントゴメリー・ファルスワース、またの名をユニオンジャックと呼ばれた男の手記であった。
 古代エジプトに生まれ歴史の影で暗躍してきたミュータント、アポカリプスは、1859年のロンドンにあった当時のヘルファイア・クラブに接触し、ある男を改造装置に封印する。その後1915年、地下に眠る災厄について知った当時のユニオンジャックは、ヘルファイア・クラブのハリー・マナーの館に潜入、気付かれ銃を持った結社の一団に囲まれるも、床板を踏み抜き格闘の末に逆転、謎の装置を目にした。
 そして時は流れ現代、ヘルファイア・クラブも曾孫の代となっていた。ロンドンへ来ていた結社のブラックキング、セバスチャン・ショウは同朋ドナルド・ピアスに、マナー邸の地下室のさらに下にある装置の秘密を明かす。それはアポカリプスという謎の人物が世界を滅ぼすための遺産であった。それを解析し利用しようとするショウ。装置を動かしポッドを開けようとする結社、その寸前にケーブルが突入。しかしポッドの蓋は開いてしまった。現れた改造人間はビームを発射しヘルファイア・クラブを一掃。この怪人を解き放つわけにはいかないと組み付くケーブルだったが、相手にはテレパシー攻撃が通じない。地下室は破壊され、怪人は外へと出ていった。ケーブルはその後、街で怪人と再会するが、怪人はもう自分が誰かも忘れてしまったと語り、この世界を見るため空へと旅立っていった。
 CABLE誌50号記念ダブルサイズの特別編。宿敵アポカリプスが19世紀に残した改造人間、20世紀初頭のヘルファイア・クラブとユニオンジャックと、見所満載。これを描くラドロンのアートが、彼なりのカービー調というべきディティールが描き込まれたもので、大興奮の画面が続出する。記念号に相応しい豪華な内容だ。アポカリプスの改造人間はこのあと、ケーブル&アベンジャーズと#66-68にかけて激突する。

CHAMPIONS #1 (OCT '75)

WRITTEN BY TONY ISABELLA  PENCILLED BY DON HECK
 UCLAキャンパス内を歩く二人の青年、ボビーとウォーレン。彼らは実はミュータントであり以前はX-MENであったが、自立し大学に通っていた。アベンジャーズ入りした親友ハンクの事を話していると、突然空中に空間に穴が開き、何人ものハーピーが出現した! ヴィーナスの行方を求めて学生を襲うハーピーを止めるためボビーはアイスマンに変身し立ち向かう。氷の道で空を移動しハーピーを凍らせるアイスマンだが敵は多く背後から不意打ちを受けてしまう。そこへコスチュームに着替えエンジェルとなったウォーレンが加勢、二人とハーピーの戦いは続く。
 一方仕事でこの大学にいるある女性と面会に来ていたナターシャは恋人イヴァンと共に部屋にいたところを突然空中に出現したアマゾネス軍団に急襲される。アマゾネスもヴィーナスを捜しており剣を持った彼女たちにイヴァンは立ち向かうが後ろから殴られ昏倒。ナターシャはスカートを取りボディスーツ姿の女スパイ、ブラック・ウィドウとなり、腕にはめた短針発射機でアマゾネスに立ち向かう。そこへナターシャに仕事を頼もうとこの大学のヴィクトリア・スター博士が部屋へ訪れるが、彼女の正体は実は女神ヴィーナス。ブラック・ウィドウはヴィーナスを抱えて窓から逃走する。
 バイクに乗り旅の途中で大学キャンパスへ立ち寄ったジョニー・ブレイズは、学生たちが逃げまどうのを見て不審に思うが、その時巨大なハンマーが飛んできて、危険を知る。ジョニーはゴーストライダーに変身、ハンマーを投げたケルベロスと名乗る巨人と対決する。手からヘルファイアを発射し巨人をひるませたゴーストライダーだったが巨人は巨大な犬に姿を変えなおも襲ってくる。敵を倒す良い手を考えバイクを走らせるゴーストライダー、その後を追うケルベロス。
 UCLAが講演に招いたギリシャ神話の英雄ハーキュリースは講演の打ち合わせをしていたがそこへ何人ものミューテイツという怪人たちが現れ襲いかかった。怪力で彼らを撃退するハーキュリースだが後ろからハンマーを持ったミューテイツが強襲。これまでソー以外には負けたことなしとうそぶく敵をぶっ飛ばし、数に物を言わせて襲い来る敵を掴んで建物の壁をブチ破り落下。
 バイクで疾走するゴーストライダーはそれを見て怪人たちと戦うハーキュリースに近づき、バイクに同乗させる。さらにハーピーとアマゾネスの軍団から逃走するヴィーナス、ブラック・ウィドウ、アイスマン、エンジェルを見つけ共同戦線を張る。ゴーストライダーのヘルファイアがハーピーを撃退し、ハーキュリースがケルベロスをぶん殴る。アイスマンはアマゾネスに冷気を放ち足を凍らせ、ブラック・ウィドウがミューテイツを牽制している間にヴィーナスは自分の教え子エンジェルに指示し自分を掴んで飛翔させ、愛情の心をミューテイツに浴びせて倒した。合流した彼らだが、その前に事件の黒幕、冥王プルートが出現した!
 ギリシャ神話の半神の英雄、悪魔憑きのバイク乗り、寒い国から来た女スパイに、オリジナルX-MENのミュータント二人という、なんでこの人たちがチーム組んでるの?という異色チームがチャンピオンズで(ヴィーナスは初期のゲスト)、'70年代半ばに創刊されたタイトルだが短期間で終了してしまったのはやはり寄せ集め感を払拭できなかったからか。チーム結成理由もたまたまそこにいたからだし。アイスマンとエンジェルはこの時期X-MENが世界各国のミュータントを集めた新メンバーになっていて弾き出された形でフリーだったところでこちらへチーム参加。アベンジャーズに入ったハンク・マッコイことビーストの事を語るシーンで「俺たちじゃアベンジャーズは似合わないよな」などと言っているがその後ウルヴァリンが参加するのを知ったら何と言っただろう。エンジェルは素顔を出したコスチュームで正体を明かしている。ブラック・ウィドウはソ連のスパイだった経歴もあってアベンジャーズに本格参加する前の時期にこちらに参加している。アベンジャーズでは豪放磊落な性格がチームの和を乱す事もあるハーキュリースだが、こっちではチームを引っ張る中心人物となっているのが凄い。そしてチームを組むメンバーとしては最も異色のゴーストライダーだが、こちらはバイク・スタント芸人ジョニー・ブレイズが正体の'70年代版であり、チェーンとか持っておらずバイクの形もこの時期の個人タイトルに合わせて妙な感じに格好よくヒーローっぽい。寄せ集め感はメンバーだけではなくライターやアーティストも初期からころころ変わっているのだが、読んでみるとどうにもこのB級的で異色な感じが読んでいて微笑ましくて面白い。CHAMPIONS CLASSICというTPBになり手に取りやすくなったので、興味がある方はどうぞ。

DAREDEVIL #360 (JAN '97)

KARL KESEL : WRITER  CARY NORD : PENCILS
 宝石店に押し入ったアブソービングマンと戦うデアデビル。驚異的な怪力、振り回される鉄球、触れた物の材質に体を変える能力に大苦戦するが、持ち前の気力とレーダーセンスで戦い抜く。鉄、紙、コンクリート、燃える石炭、ダイヤモンドと次々に姿を変えるアブソービングマンが面白い。ソーの敵として登場し強大な能力を持つヒーローとも互角以上に戦えるアブソービングマンと、破壊力を持つような強い能力を持たないデアデビルとの、戦力差がありすぎる戦いだが、アブソービングマンの出る話のパターンである「弱い材質のものに触ってしまって逆転敗北」をあえて使わず、デアデビルがレーダーセンスと勇気のみで逆転する展開が見物。
 決して大作としてTPBに収録されたり日本語版が出たりするような話ではないのだけれども、大好きな一編。DAREDEVILというと、突飛な怪人などが登場しないハードボイルドな展開が有名だが、こういった突飛なキャラクターが登場する話も味があって良いなあと思うし、逆にリアルな話も際立つ。最近の展開ではこういうのやらなくなってきてしまっているけれども、こういうのも「マーヴルユニバースの日常」なんだし。

DAREDEVIL #376-379 (JUN-SEPT '98)

SCOTT LOBDELL : WRITER  CULLY HAMNER, TOM MORGAN : PENCILER
 病院のベッドに寝かされている一人の男。黒髪で、目元や首筋に噛まれたような傷のある彼は、起き上がると、目の前の女医に驚いた様子だった。ローレント・レバッサーと名乗った男は、黒人女医クローディア・デュボイスに、ここがパリの病院である事を聞かされる。彼の体はあちこち傷だらけだったが、大事無いため退院となる。自分を救ってくれたクローディアに感謝するローレント、そしてクローディアもこの穏やかな患者に親しみを持つ。と、病院内で警官から拳銃を奪った男が暴れ出すが、それはすぐさまローレントが鎮圧してみせた。驚くクローディア。彼女は、何かあったら知らせてと自宅の番号を教えるのだった。退院したローレントは、道行く車の音が耳で高鳴り、道路にうずくまってしまう。自分には何が起きているのか? 自宅へ帰ったローレントは、クローゼットの中に妙なコスチュームがあるのを発見し、混乱する。自分は何者なのか? 実は彼の正体は、デアデビルことマット・マードック。秘密スパイ組織シールドの任務に必要と判断された彼は、手術で別の顔と人格を与えられ、ニセの記憶を脳に移植した副作用でその視力も回復していた。それを知るのはただ一人、シールドのエージェント、ハーランのみ。だがそのハーランは、トレーラーの暴走事故で突然死亡してしまう。マットの運命や如何に!? マット=ローレントはクローディアのもとを訪ねるが、そこを忍者軍団が強襲。自分の持つレーダー感覚を知ったローレントはクローディアを守って忍者と戦う。
 忍者軍団に善戦し、クローディアを抱えてビルから飛翔、見事な着地を見せるローレント。だが周囲はさらに多くの忍者に包囲されていた。敵の武器を奪い見事な棒術をみせ、手裏剣やヌンチャクをかいくぐり戦うローレントだったが、多勢に無勢、クローディアをさらわれてしまう。一方ニューヨークでは、デアデビル=マット不在を知った親友フォギーが彼の捜索を開始していた。まだ自分が何者なのかもわからぬローレントだったが、恩人であるクローディアを救うため、コスチュームに身を包み行動を開始。と、そこへデアデビルの旧敵であるスティルトマンが強襲してきた。足をどこまででも伸ばせる特殊パワードスーツを着るこの相手と、苦戦しながらも戦い、エッフェル塔の前で勝利するローレント。それを秘かに見ているのは、仇敵キングピンことウィルソン・フィスクだ! スティルトマンからクローディアをさらった真犯人の名を聞かされるローレントだが、寸前でスティルトマンのパワードスーツに電流が走り、相手は意識を失ってしまう。
 シールドと接触したフォギー。スティルトマンとともに警官隊に囲まれたローレントはその場を脱出し、手がかりを求めて病院へ向かう。手袋をつけた指先で文字を読みとるローレント。そこに現れたのは、コスチュームの殺し屋ル・コンサージだった。互角に戦うローレントだったが、人質を取られ敗北。シールドのヘリキャリアの中で、フォギーはデアデビルが、キングピンによるシールドの機密競売を防ぐために、別の人格と外見に変えられ任務に投入されたことを知る。クローディアは、シールドのエージェントの機密を持っていると思われ拉致されたのだ。そしてデアデビル=ローレントも、ル・コンサージに捕らえられキングピンのもとで監禁されてしまった。
 キングピンによるシールドの機密競売会が始まった。クローディアが引き出され、彼女からシールドの機密を得ようと、電気を操る怪人物シナプスの魔手が迫る。そこへ、脱出したローレントが登場。自在のスティックさばきと体術でシナプスを圧倒、クローディアを脱出させるが、自身はキングピンに掴まえられてしまう。脱出したクローディアは警察へ通報、それはシールドとフォギーにも連絡される。キングピンに押さえられたローレントは、シナプスにより記憶を引き出されるが、それはマット・マードック=デアデビルとしての記憶だった。驚くシナプス。自分を取り戻したローレント=マットは不意打ちでキングピンから逃れ、部屋の電気を消して暗闇の中格闘の末、ついに勝利する。シールドのエージェントたちが踏み込んできて、事態は終結。クローディアと会い喜ぶが、そこにフォギーが現れ、自分をここまで探してくれた親友と再会し、元の自分に戻るのだった。
 DAREDEVIL VOL.1の最後で展開した、FLYING BLIND編4話のストーリー。このあと#380でデアデビルの復活が描かれてこのタイトルは終了するとともに、MARVEL KNIGHTS版DAREDEVILがスタートしている。この話は、主人公がマット本人とはいえ外見も記憶も違う、舞台もニューヨークではなくパリ、デアデビルが盲目でない等、これまでのDAREDEVILとはかけ離れた話で、別人と言ってもいい展開となっており、打ち切り寸前のタイトルらしい迷走という風にも言えるのだが、これはこれで面白いし、意外性もあって好きである。当時は表紙だけ見て「これ誰!? マットじゃないデアデビル!?」とか思って気になってたのだが、このたび全貌を知ることができた。junyaさんには感謝である。

DOOM 2099 #25

JOHN FRANCIS MOORE - STORY  WARREN ELLIS - DIALOGUE  PAT BRODERICK - PENCILS
 DOOM 2009は未来のマーヴルユニバースを描いた2099シリーズの中心的タイトル。このタイトルは大きく3部に分かれる。最初の#1-25はジョン・フランシス・ムーアによりこのタイトルの基本が作られた前半。#26-39はライターがウォーレン・エリスに替わり、ドゥームによるアメリカ征服と没落が描かれる。最後の#40-44はタイトルが収束していく終盤。この#25は第1部のクライマックスだ。
 ドクター・ドゥームはマーヴルの代表的な悪役であるが、大物悪役故に感情的な揺れが少ない人物のため、オンゴーイングタイトルの主人公にするには難しい部分がある。それをこのタイトルでは、彼は記憶の一部を失った状態で未来のラトヴェリアに突如出現し、自身はドゥーム本人だと主張するが、次々と見いだされる証拠は自分はドゥームではないと示しており、自分自身の謎を求めるという展開にして盛り上げている。前号#24で宿敵タイガー・ワイルドを倒したドゥームの前にもう一人ドクター・ドゥームが出現、さらに魔女マーガレッタの手で二人のドゥームは時空を移送される中、どちらが真のドゥームかという対決が開始されるのだった。
 魔女マーガレッタは二人のドゥームの対決という自分が仕掛けたゲームのクライマックスを見届けようとしていた。タイム・プラットフォームにより次々と時空が切り替わる中、互いに自分こそ真のドゥームだと確信する二人のドゥームの意地が激突する。過去のラトヴェリアではまだ少年姿の父ワーナーが自分の戦いを見ているのを知る。第二次世界大戦に飛び、兵士たちは突如出現した二人の鉄仮面の怪人物に驚く。さらに時は飛び、バクスタービル時代のFF本部でザ・シングの姿を人間に戻す実験が行われようとしている時、シングは一瞬二人のドゥームの対決を見る。さらに時は未来へ。火山噴火でローマが壊滅する1999年、新型アイアンマンアーマー軍団が組織される2020年、ミュータントハンターロボットのセンチネルにより大規模なミュータント狩りが行われる2040年、ドゥーム城が崩壊する2060年と、場面はどんどん切り替わる。そして二人は2089年の、見覚えのある研究室に出現した。そこは、今のドゥームの発端となった場所。テレポート・ゲートから重傷を負ったドゥームが出現し、そのドゥームを使ってゲームを楽しむため、魔女マーガレッタはドゥームの肉体の傷を完全に回復させ記憶の一部を封じ、この時代の実力者クザーニィ将軍の息子エリックを捕らえて顔に傷をつけ偽のドクター・ドゥームとして仕立て上げ手駒にしていたのだ。ドクター・ドゥームと思っていた自分が作られた傀儡に過ぎないと知ったエリックの自我は崩壊する。ついに自分が真のドクター・ドゥームであると確認したドゥーム2099は逆襲に転じ、マーガレッタの前に出現する。ゲームを楽しんでいたマーガレッタだが、やり過ぎた彼女にドゥームは破滅をもたらし、この時代を統べる新たな道へ踏み出すのだった。
 自身のアイデンティティー探しをしていたストーリーの解決編として盛り上がる回。この号には他に2099シリーズの小編2作も付いている。

DOOM 2099 #43

JOHN FRANCIS MOORE : writer  JEFF LAFFERTY : penciler
 2099年に活躍する未来のドクター・ドゥーム、ドゥーム2099は、巨大企業による世界蹂躙を阻止すべくアメリカ征服を敢行するもその後追い落とされ、ラトヴェリアには汚染物質ネクロトキシンが投下され破滅してしまった。祖国ラトヴェリアを救うため約100年前の過去へ飛んだドゥーム2099は毒蟹を放ってネクロトキシンへの耐性をつけておくという計画を進めるが、当時のドクター・ドゥームとネイモアに捕らえられた! ドゥーム2099を未来の自分とは認めないドクター・ドゥームは真偽を確かめるために記憶を読み取る装置につなぐが、ドゥーム2099は逆に飛行メカのコンピューターを乗っ取る。このシステムに侵入できるのはドクター・ドゥームのみ。だがドクター・ドゥームは、お前の言う未来には余は行かぬと宣言、ドゥーム2099もそうであればいいがと答え、脱出カプセルの乗り未来へ帰還していく。時間の壁を破る時、8歳の少年で母親と一緒だった頃を思い出すが、思い出の母親の姿もネクロトキシンに流されていくのを幻視する。母を失った少年の頃の悲しみと、祖国を失った今の悲しみが重なり、涙するドゥーム。2099年に帰還し故郷ラトヴェリアへ降下したドゥームは、かつて同志であったフォーチュンやロシコンと再会するが、彼らはラトヴェリアが破滅した原因はドゥームにあるとして袂を別っていく。命をかけた努力にもかかわらず故国を救えずただ一人になったドゥームだが、そこで、メカに乗って飛来したかつての宿敵ミスター・ファンタスティックとの再会が待っていた!
 DOOM 2099のクライマックス! ドクター・ドゥームはマーヴル切っての名悪役だが、ここではドゥームの最終回という通常タイトルではできない展開が見られ、過去を回想し、悪役でありながらも愛するもののために戦ってきた苦悩の姿が描かれる、総決算的ないい話になっている。さすがはこのタイトルを始めたライター、ジョン・フランシス・ムーアだ。アートを担当するのはジェフ・ラファティーだが、驚くほど大胆にディフォルメされた独特の画風がドラマを盛り上げる! 特に冒頭の機械につながれたドゥーム2099や過去に母をなくし泣くドゥーム少年の絵など、素晴らしい。このタイトルは次号で終了してしまうが、全2099タイトルを統合した2099: WORLD OF TOMORROW誌に受け継がれ、ドゥーム2099の物語も完結していくのだ。

FANTASTIC FOUR #352

WRITING & DRAWING : WALTER SIMONSON
 ドクター・ドゥームとリード・リチャーズがドゥーム城内で1対1の対決。両者が腰に付けているタイム・シークエンサーが起動し、自身の存在している時間から短いジャンプを繰り返す。他の者とは異なる時間の中での攻防が開始された! 瓦礫を引き抜きハンマーのようにドゥームに殴りつけるリード。立ち上がったドゥームをザ・シングが発見、捕まえようとするが、ドゥームは再び時間を跳躍し、シングは相手が自分の手をすり抜け消えたように感じる。
 ザ・シングは気絶しているシャロン・ベンチュラを気づかうが、そこへドゥーム城の警備ロボットが現れた。パンチを打ち込むシングだが、その新型ロボットはこれまでのタイプより硬く、何発も反撃をもらってしまう。ドゥームがリードを見失ったわずかな間に、リードは城の武器庫から装備を持ち出すが、ドゥームは反撃に転じ、パンチを打ち込みさらに銃を抜く。だがそこで、警備ロボットがドゥームの持つ城の武器に反応しブラストを発射、その一撃がドゥームを誤射した。リードは救われ、ベンは反撃し会心の一撃でロボットを粉砕する。
 シャロンの無事を確認したベンは壁を破りジョニー・ストームを罠から救い出す。ヒューマントーチとなったジョニーは飛翔し、警備ロボットを炎上させ、姉のスーを発見。一方、跳躍時間の向こうでは、倒れたかにみえたドクター・ドゥームがリードの前に再びが現れた。リードは腕を伸ばしてパンチを見舞う。しかしなおもドゥームはリードが居る時間に現れ手からブラストを放つ。一進一退の攻防が続く。
 ベンたちはシャロンのところに戻った。意識を取り戻した彼女は怪物になっていた時の恐怖に苦しめられるが、ベンたちは彼女を落ち着かせる。リードはドゥームのブラストを城の武器庫から持ち出した棍で受け、反撃。ドゥームはいったん逃げに転じると見せるが再び攻撃、しかしそのときタイム・シークエンサーの動力が尽きた。ベンたちの前に出現するドゥームとリード。
 だがリードはベンとジョニーに、手を出すな、これはドゥームと私の決闘だと言い、伸びるパンチでドゥームを圧倒する。ついに倒れるドゥーム。そこへ警備ロボットが現れ、城から武器を盗んだとしてドゥームを逮捕すると言う。新装備に身を固めたドゥームを誤認しているのだ。無礼なと言い、指からビームを発射しロボットを破壊するドゥーム。アーマーの最も強力な武器を温存したままリードと戦っていたのだ。そして、アーマーの自爆装置を起動させるドゥーム。
 戦いは終わった。ファンタスティック・フォーはその場を去る。だが、倒れたドゥームの体から、タイム・シークエンサーを取り外す人物は、ドクター・ドゥーム! 彼はこのシークエンサーの時間干渉を危険視し、処分のためドゥームボットを使ってこの戦いを仕組んでいたのだ。目的を果たしたドゥームはタイム・シークエンサーを握り潰すのだった。
 ウォルター・サイモンソンの先鋭的アートが拝める逸品。彼の描写、そして表現は、とにかくシャープ! ドゥームのアーマーなど、硬質感が素晴らしい。また、跳躍時間の中での戦いは通常時間のシーンと平行して各ページの右側に白黒で描かれ、その時点の時刻が刻々表示されており、隔絶感を実に巧みに表現している。必見だ。対決に勝利するリード、そして奥の手を隠し目的を果たすドゥームのいずれもが格好良い。

FANTASTIC FOUR 1999

by Chris CLAREMONT & LADRONN
 FANTASTIC FOURの1999年のANNUAL(年刊誌)。ANNUALはページ数が通常のコミックの倍近くあるのでより内容を盛り込め、その一回で完結する話である事が多い事もあってストーリーが比較的しっかりしている事が多い、年一回の豪華版である。この回はアートをラドロンが担当、この頃のラドロンは「細かいカービー調」というべき画風でカービーファンから注目されていたのだが、彼がついにカービー旗下のタイトルFANTASTIC FOURを手がけるというので、発売当時は驚喜したものだった。この回は特に力が入ったアートが見られ、カービーそのままのキャラのポージングやカービー調の新キャラ「メカメイジ」、ラスボスはこちらもカービーの影響を受けたアーティストであるジョン・ロミータ・ジュニアが創造したブラックハートという豪華さ。ライターはX-MENの育ての親クリス・クレアモントで、彼はこの時期FF本誌のライターをしていたのだが、そちらで登場させたリードの旧友の女性アリッサ・モイや、別時空から来たスーザンの娘でドクター・ドゥームの衣装をまとう「マーベルガール」ことヴァレリア、またEXCALIBUR #6で初登場しこの頃フランクリンの乳母をしていたアリサンドラ・スチュアート、上流階級の裏結社「ヘルファイア・クラブ」とそのブラッククイーン「セレーネ」、UNCANNY X-MEN ANNUAL #4が初登場の角のある魔女マーガリー・スザードス等、クレアモントの持ちキャラが多数登場する特別編となっている。
 新型ホバーボートのテストをしていたFF、アリッサの5人だが、突如異変が起きボートは吹き飛び衝撃波が周囲を襲う。スーとヴァレリアのフォースフィールドでなんとか助かったものの、アリッサが意識を失ってしまった。本部へ戻ったリードの診察で、アリッサに何らかの魔力が作用した事が判明。またリードとスーの息子フランクリンは異変が起きた時、空に巨大な黒い顔を見ていた。ヘルファイア・クラブのブラッククイーン、セレーネと魔術が関わる事件と知ったリードは魔術に詳しい知人に連絡するが、老魔女アガサ・ハークネス、アベンジャーズのミュータント魔女スカーレットウィッチ、悪魔とのハーフであるダイモン・ヘルストロム博士、最高の魔術師ドクター・ストレンジらがいずれも不在であった。しかしストレンジの執事ウォンからパリにいるマーガリーを紹介される。その頃セレーネは謎の宝石装置を使い人々の魂を奪い魔物の魂と入れ替えていた。
 パリの古牢獄を訪ねたFFは奥の牢に入れられたマーガリーのところへ辿り着くがそこで警備員の魂が入れ替えられ襲撃される。宝石装置から発射される魔力はインビジブル・フォース・フィールドでも防げない。いつもと違い魔術を使う敵に倒れていくFF。そこへ呪語を刻んだ特殊アーマーに身を包んだ謎の魔術師メカメイジが登場、敵を蹴散らし宝石装置を破壊しFFを救い、牢の回路にアクセスして封印を解きマーガリーを解き放つ。転移魔法で脱出した一行だが意識が戻らないアリッサを救うため、FFはマーガリーの指導の元、魔術との戦闘法を特訓する。
 メカメイジは幻術でアリッサに変身しリードと共にヘルファイア・クラブへ潜入。そこではセレーネがブラックハートを呼び出し人々を魔物に変えていた。メカメイジの防御壁で攻撃を防ぎつつリードは戦うが、そこへ他のメンバーが転移。セレーネの能力で石に変えられるも呪文返しで復活し、マーガリーがセレーネを捕らえブラックハートに挑む。だがマーガリーとスーはブラックハートに吸収されてしまった! メカメイジは自らブラックハートの体内へ突入、体内に封じられていた「ヘルストーム」ことダイモン・ヘルストロム博士を救出する。ブラックハートの体から飛び出す一行。ヘルストームは手にしたトライデントでFF4人を媒介に地水火風の力を引き出し、ついにブラックハートを封印。アリッサの意識は戻り、FFは協力者たちに感謝するのだった。
 数多くのキャラクターを描いてANNUALの形式を活かしており、敵もメフィストの息子で地獄の皇子ブラックハートと大物で、新キャラ「メカメイジ」の変わったデザインや魔術と科学の両方の能力というのが良く、あまりないFFと魔術系キャラの対決という話が楽しめる一冊である。

GREEN GOBLIN #12 (SEPT '96)

TOM DEFALCO : WRITER  JOSH HOOD : PENCILER
 オンスロート・クロスオーバーは日本語版が出たこともあって有名なシリーズだが、個人的にオンスロート編の中で一番好きなこの話が日本語版では紹介すらされていない。グリーンゴブリンというとスパイダーマンの悪役だが、このGEEN GOBLIN誌は偶然グリーンゴブリンの装備を発見してしまった普通人フィリップ・ユーリックがその装備を使って街を守って戦う話。
 オンスロートの配下の巨大ロボット センチネルに制圧されたマンハッタン。各ヒーローたちが奮戦する中、フィルもグリーンゴブリンの装備に身を包み出動した。しかしセンチネルの圧倒的な戦力の前に歯が立たず、打ち落とされてしまう。恐怖にふるえるフィルの脳裏を過ぎる、これまでの戦い、そして、出会ったヒーローたち。決意を固めた彼は再びゴブリンマスクをかぶり飛び立つ。そして、巨大な相手を前に決死の特攻! ゴブリングライダーを直撃させ、見事1体のセンチネルを撃破するのだった。
 平凡な若者が見せる、大切なものを守るための勇気。グッとくるいい話なので、未読の方は是非。

HOWARD THE DUCK #30-31 (MAR-MAY '79)

BILL MANTLO : WRITER  GENE COLAN : ARTIST
 喋るアヒルのハワードと友人のリーは、以前のリングマスターの起こした事件で入院したポールとウィンダを見舞っていたが、そこへ宿敵ドクター・ボンが出現。ドクター・ボンは頭が鐘で左手が打ち玉になっていて頭をゴンゴン叩くと異常にうるさい!という怪人だ。その音で病院は大変なことに。ドクター・ボンはハワードと友達になってしまった妻のビバリーに見せつけるためハワードを抹殺しようと計画、しかしここで殺してもアピールできないので、新聞広告を出し24時間後にまた来るぞと宣言。病床で動けないポール、ウィンダと患者たちを人質に取られた格好のハワードとリーは対策を講じるため病室を出て行く。一方ヒマラヤの奥地にあるドクター・ボンの城にはビバリーが怪物たちと一緒に暮らしているが、そこへドクター・ボンが帰ってきてハワード・ザ・ダックを殺すと宣言した。リーは対策があるとハワードをアイアンマンのイラストの看板が出ている場末のガレージに連れてきて、そこでクラウド・スタークという友人を紹介する。クラウドはアイアンマンのようなアヒル用アーマーを製作。ヘルメットのガラスにはワイパー、胸にはライト、手には火炎放射器、足のスプリングでジャンプという素敵装備、アイアンダックの誕生だ。さらに秘密兵器として相手の音に対抗するために音波スピーカーを用意する。装備を整えたハワードとリーは病院へ戻るが、そこへドクター・ボンが出現した!
 ドクター・ボンはゴンゴン音を出してハワードを追い詰める。すさまじい音に吹き飛ばされるハワード。火炎放射器を発射するが、相手は音で反撃し、またも吹き飛ばされて病院の器材の下敷きになってしまった。ドリルを作動させて床を崩して脱出し、再びボンと対峙。そこで秘密兵器のスピーカーを作動。これでボンの頭の音を遮断するのだ。これで逆転か? しかしクラウドはバッテリーを組み込み忘れていた。再びピンチになったハワードはアーマーに内蔵されたハンマーを取り出しボンと対決。だがドクター・ボンは本気を出した。頭を叩いてとんでもない音を出し、ハワードのアーマーからビスやナットがどんどん取れてバラバラになっていく。ヒマラヤの城のビバリーは秘策を持って城を出発していた。ハワードはとうとうすべてのアーマーを吹き飛ばされ丸裸になっていた。とどめを刺そうとするボンだがその前にビバリーが登場、彼女がボンに渡した水槽には、ボンの子供だという頭が鐘の五つ子がいた。驚くボン。ハワードを抱きしめたビバリーは、ボンのクローンを作ったのとこっそり真相を明かす。動揺するドクター・ボンにさらにビバリーは、明日になれば新聞にドクター・ボンが五つ子の父親になったという記事が出ると追い打ち。怒ったボンはすさまじい音を残して去っていった。その場に残されるビバリー。ハワードたちは危機が去り再び友人が集まったことを知る。そしてドクター・ボンは城で五つ子を育てるのであった。
 元々ADVENTURE INTO FEARという怪奇コミック雑誌の沼の怪物マンシングの話にライターのスティーブ・ガーバーが冗談で出した喋るアヒルはあれよあれよという間に人気を獲得しオウンタイトルまで創刊されてしまった。これは最初のオウンタイトルの最終回にあたる話で、この2話のみ本家のガーバーではなくビル・マントロだがこちらもハワード・ザ・ダックらしいヘンテコ話でとても楽しめる。こんなに変な話なのにジーン・コーランがとてもいいアートを描いていて素晴らしい。ハワード・ザ・ダックはこのあとファンの熱烈な要望に応えてすぐ新タイトルが発行されたり今でもちょこちょこマーヴルユニバースの片隅に出現したりしている。

INCREDIBLE HULK #34 (JAN '02)

BRUCE JONES : writer  JOHN ROMITA jr. : pencils
 寒い冬の街を歩く、スーツケースを持った髭面の一人の男。安宿に入った彼は、ノートパソコンで「ミスター・ブルー」へ連絡を取りはじめる…。彼の正体は、逃亡中の科学者ブルース・バナー博士(=ハルク)だった。彼は部屋へ盗みに入った少年と知り合いになるが、少年が街のギャングとの間でもめ事を抱えているのを知ってしまう。ギャングたちのたまり場である路地裏へ、静かに出向くバナー。
 その夜、バナーはヒッチハイクで街を離れる。ハルクである自分に長居は無用なのだ。彼の去ったあと、路地裏では、裸にされたギャングたちが、想像を絶する力で曲げられた鉄骨を体に巻き付けられていた。彼の口から言葉が漏れる。「HU... H-H-H- HUL--」……。
 ベテランライター、ブルース・ジョーンズによる、ハルクの新ストーリー開始号。ハルクの大暴れがメインだったこのタイトルで、あえてハルクの姿を全く出さずにドラマを盛り上げていく展開が読みごたえあり。淡々と、スラム街の様子や、バナーが食べかすを落としてネズミにやるところや、指名手配のニュースを見て髪や髭を剃るところなどを描写していくのだ。これは面白い。ロミータjr.による絵も雰囲気たっぷり。この後もブルース・ジョーンズによる話は続くので、続けてどうぞ。

IRON MAN #232 (JUL '88)

DAVID MICHELINE : SCRIPT/PLOT ASSIST  BARRY WINDSOR-SMITH : PLOT/PENCIL ART/COLORS
 アイアンマン=トニー・スタークは何処とも知れぬ場所で戦っていた。林立する機械の中を進み、敵を追っていく。相手は機械の化け物。発見した。組み討ちにするが手痛い反撃を受け、頭部アーマーが飛ばされてしまう。疲労。横たわるトニー。彼のいる地面は無数の死体でうめつくされていた。恐怖。起き上がるトニー。そこへ、旧アーマー姿のローディー(ジム・ローデス)があらわれる。ここはあんたが作った世界だ、そういうローディーにトニーは傷ついていく。バーにてローディーのアイアンマンと話をするトニー。疲れた。酒をくれ。助けてくれ。私のせいじゃない。怪物のせいだ。酒を。追いつめられ、意識は弱まり、がんじがらめに縛られていくトニー。彼の前のアイアンマンはすでにローディーではない。肥大した怪物、トニー自身だ。叫ぶトニー。トニーの顔をした怪物は急激に増大していく。私は怪物なのか。巨大な機械に掴みかかられるトニーは、ブーツジェットの噴射で反撃する。反動で吹き飛ばされるトニー。自分自身という怪物が追ってくる。逃げる。助けてくれ。助けて。無数のコードの海。その下から伸びた手がトニーを捉える。が、彼に伸びた手のなかで、ローディーが操るアイアンマンの手が、彼に希望をもたらす。巨大な化け物に反撃するトニー。渾身のリパルサー・レイを撃ち込み続ける。爆発する体。しかし、それはトニー自身の体か……? 叫び声を上げ、目覚めるトニー。夢だ。いや、しかしこれは夢ではない。この悪夢は自分の人生そのものなのだ。それを受け入れ、悪夢の中を進み続けるしかないのだ。
 この号の前、#231までは、アイアンマンを狙う敵アーマーたちとの戦いを描いた『アーマーウォー編』があり、圧倒的なファイアーパワーの前に一度は敗北するも、新型アーマーを開発し勝利を得ていた。この#232では、これまでの戦いで彼の精神は極度に疲弊していた、という展開で、自分自身という怪物に追いつめられるトニーの悪夢をバリー・ウインザースミスが描いている。このアーティストは日本でもWEAPON X邦訳版などで有名で、ボロボロになりながら運命に翻弄され戦い続ける主人公を描いていることはこの話とも共通するのだが、ウルヴァリンと違いトニーは自分の運命に屈してしまい打ちのめされるキャラクターなので、一層、主人公の苦悩を描く面で重厚であると思う。

IRON MAN #331 (AUG '96)

TERRY KAVANAGH: PLOT  JAMES FELDER: SCRIPT  JOE BENNETT: PENCILS
 この時期のアイアンマンは主人公トニー・スタークが征服者カーンの洗脳を受け一時は敵にまわり死亡、アベンジャーズが過去へタイムスリップした際に出会った10年前のトニー・スターク少年が現代に来てアイアンマンとなるという展開をしていた。IRON MAN誌は#332でVol.1が終了するのだが、#332は「オンスロート」クロスオーバー・タイ・インの回でそちらのストーリーな為、この#331が事実上のエンディングである。
 前号のラストでユニコーン、ジョウスト、サンストリーク、ブラスというヴィラン軍団がアイアンマン基地を襲撃、それにヤング トニー・スタークのアイアンマンと、以前のトニーの助手であったジム・ローデスのウォーマシーン(当時新型のエイリアンアーマー)が立ち向かう。二人は協力してヴィラン軍団を撃退するが、敵の黒幕であったトニーの従兄弟モーガン・スタークによるハッキングでこれまでのアイアンマンアーマー全てが乗っ取られ、十数体ものアイアンマンが二人の前に立ち塞がるのだった!!
 まるで「仮面ライダー最終回 再生怪人軍団VSダブルライダー」を見た直後に漫画版「13人の仮面ライダー」を読むかのような怒濤の展開が燃える!! アーマーのメカの魅力、圧倒的不利の中戦う二人のヒーロー、そして最後の逆転方法、成長したヤング トニーの意志と、見所満載。新人アーティストとして経験を積んでいたジョー・ベネットのアートも素敵。現在は入手困難な号ではあるが機会があれば是非に。

THE MIGHTY THOR #407 (SEPT '89)

WORDS, PICTURES & PLOT : TOM DEFALCO & RON FRENZ
 雷神ソーは親友ハーキュリース探索のため、進化の実験者ハイ・エボリューショナリーの部下たちと共にブラック・ギャラクシーへとテレポートした。ソーと知り合った勇気ある男エリック・マスターソンも宇宙服を着て同行している。ハーキュリースとハイ・エボリューショナリーの意識は宇宙レベルに拡大されてしまっており、どうすれば元に戻せるか判らない。だがそれを思案する前に、彼らの居る小惑星が爆発した。このブラック・ギャラクシーは、星の全てが生きているという異様な世界なのだ。
 このブラック・ギャラクシーの影響を防ぐため、リゲル人たちは超破壊爆弾ヌル・ボムを発射し、観測のため記録ロボット「レコーダー」を発進させた。ソーたちは襲い来る小惑星と戦い進むが、そこへレコーダーが出現。旧知のレコーダーとの再会を喜ぶソーだが、ヌル・ボムの話を聞き新たな危険が加わったことを知る。この未曾有の事態を前に、ソーはハンマーを振るって包みを転移させた。包みを開き、最強の黄金アーマーを装着するソー! 宇宙を進む一同は次々と攻撃を受け、ハイ・エボリューショナリーの部下であるウンダゴアの戦士たちは全滅してしまう。ソーはハンマーを振り回し、自分たちの周囲にエネルギーを張り巡らして脱出する。
 ある星へ着陸した一同は怪生物の攻撃を受ける。ソーは風を起こし怪生物を吹き飛ばすが、レコーダーの下半身はもぎ取られ、エリックが着ていた宇宙服も破壊されてしまった。ソーはレコーダーを背負い、エリックを助けて眼前の巨大な山を登る。その頂上には、宇宙の進化を司るコズミック・ビーイング「セレスシャルズ」の巨大な頭部が並んでいた。さらにそこにはヌル・ボムも拿捕されていた。レコーダーはあと5秒で爆発すると言い、ソーはハンマーの力で爆弾のエネルギーを集め空へ放出する。解放されたエネルギーはブラック・ギャラクシーを貫き、死んだ太陽に再び火を灯した。何とか生きのびたソーたち。山頂にあったセレスシャルズの頭部からは、ハーキュリースとハイ・エボリューショナリーの声がする。さらにセレスシャルズの巨大な手が近づいてきた。ソーはハンマーでセレスシャルズの頭部を叩き、爆発的な力で一同の乗る岩盤は宇宙へ飛び出した。ソーたちが気付いた時、レコーダーの下半身は元通りになっており、ハーキュリースとハイ・エボリューショナリーもそこにいた。彼らは地球へ帰還するのだった。
 この時期のソーは、トム・デファルコが書くストーリーを、ロン・フレンツの絵にジョー・シノットがインクを入れており、雷神ソーがアスガルドや地球はおろか宇宙狭しと大活躍する、'60年代のソーを思わせる豪快な作風が魅力だ。この号も、まるですごろくのように二転三転する唐突な展開だが、スケールの大きい活躍が楽しめる話となっている。

TALES OF THE MARVELS : INNER DEMONS ('95)

Mariano Nicieza : story  Bob Wakelin & Studio Infinity : art
 マーヴルでも古参のキャラクターであるサブマリナーの物語を基盤として語られる、一人の浮浪者の人生。挫折、貧困、苦悩の中にある男のブルースの如き過去と、その後訪れる救いを描く上で、大ヒットしたMARVELSと同様に、我々がフィクションとして良く知るマーヴルユニバースを実在する世界としてもっと普通の人の視点から見る手法が取られ、いい効果をあげている。本作がペイントアートで描かれているのも、その助けになっていると思う。作中で起こっている事態はFantastic Four #3-4で描かれた事件で、それを読んでいる方にはこの本の内容を体感できる仕掛けなので、これから読まれる方はまずそちらを読まれてから手に取ることをお勧めする。ヒーローの行動から主人公が最終的に再び人生を飛び立つように描かれるので、MARVELSよりも感情移入して読めました。実際、コミックで読んだことが実生活で活力になる瞬間というのは、こういうふうに訪れるのでは。

TALES OF SUSPENSE #44 (AUG '63)

PLOT: STAN LEE  SCRIPT: R. BERNS  ART: DON HECK
 エジプトへ到着したアンソニー・スタークは来訪の目的を知人の考古学者の発掘を助けるためと語るが、名うてのプレイボーイである彼に記者は、撮影されている映画「ナイルの魅惑」の女優が目当てなのではと問い、クレオパトラの美しさに興味は?と訊ねるが、スタークは彼女は僕の相手には年を取りすぎていると思うよと返事をする。発掘現場には岩の壁があり、その向こうのどこかにハテップ王の墓があるはずなのだが、それが判らず難航していた。スタークは自分はアイアンマンと知り合いで、彼はたまたま任務でエジプトに来ているから、頼んでやると申し出る。カイロのホテルへ戻ったスタークはバーで踊り子を見ながら飲んでいたが、アーマーの充電が切れかけふらふらになりながら自室へ戻り、コンセントから充電した。アイアンマンとなったスタークは発掘現場へ飛来、X線透視スコープで墓の位置を発見し、指にダイヤモンド・ドリルを取り付けて岩壁を掘り進み、あっという間に遺跡を発掘してしまった。石棺に眠る王は黒魔術を操る狂えるファラオとして知られていた。アイアンマンは調査を任せて飛び去る。発掘現場へ来たスタークは石棺の中のファラオが消えたと知らされるが、実はハテップ王は生き返っておりスタークの前に出現した。2千年前にクレオパトラの軍と戦い敗れた彼は死を偽装し、古代エジプトの秘術で仮死状態のまま生きながらえ、現代に蘇ったのだ。ハテップ王は過去に戻りクレオパトラに逆襲すると言い、発掘隊を病気にして人質とし、スタークを脅迫して自分の配下として同行させる。彼が手に持つ小さな古代戦車は指でこするとたちまち人間が乗れる馬轢きの戦車となり、二人を乗せて時を越え走り出した。気付くとそこは古代エジプト。スタークはわざと砂丘から転がり落ち、スーツケースからアーマーを取り出してアイアンマンとなり飛び上がった。ハテップはこの金色の人物にスタークが殺されたと思い、走って逃げる。この時代ではアーマーを充電するわけにはいかないので活動には限界がある。アイアンマンはクレオパトラの王宮がローマ軍に攻め込まれているのを見て、男なら敗者に味方すべきと考え、古代ローマ軍を蹴散らす。クレオパトラは船で洋上にいたが、そこへもローマのガレー船が迫っていた。足にプロペラを付けて水を切って進み、ガレー船を撃沈するアイアンマン。ついにクレオパトラと出会ったアイアンマンは彼女から、敵を倒してくれたならば何でも与えると言われるが、あなたのためなら何もいらないと答える。クレオパトラは魅力的だが、彼は現代へ帰らねばならないのだ。ハテップは手にした小さな古代戦車でいつでも未来へ逃走するという奥の手を秘めつつ軍勢を進める。アイアンマンは両肩と両足に小さな車輪をを取り付けて仰向けになり、頭頂部にジェットエンジンを付けてそれを噴射し、足から敵軍へ突っ込み粉砕するという奇想天外な手段で快勝する。ハテップは手の中の戦車をこすって未来へ逃亡しようとするが、アイアンマンはオイルを吹きかけ、戦車はすべって転がっていき、ハテップは転んで剣に刺さり死亡。クレオパトラはアイアンマンに、ここに残って自分と同じ王座についてくれと懇願するが、アイアンマンは現代へと消えていった。スタークは発掘現場の壁画にクレオパトラと抱き合うアイアンマンの姿を見る。そして映画の製作発表にも同席し、クレオパトラを思い出すのだった。
 アイアンマンアーマーが全身金色のゴールデンアーマー(2号アーマー)だった時期の話。アイアンマンが魔術で古代エジプトへタイムスリップしてしまうという強引な展開だが、何よりも仰向けに寝そべったアイアンマンが頭のブースターの噴射で足から敵に突撃する特攻形態が可笑しくて素晴らしい。この時期のアイアンマンは、毎回新発明を開発して逆転というパターンがあって、古くからのインベンション・ストーリーズ(発明物語)の系譜を継いでいるのが魅力である。

2099: WORLD OF TOMORROW #7 (MAR '97)

CAPT. BEN RABB & CAPT. JOE KELLY : WRITERS  LT. DAVID BREWER & LT. JASON ARMSTRONG : PENCILERS
 何タイトルにもわたって展開していた2099シリーズだが、'96年末に全て終了し、このタイトルに統合された。2099年末、太陽系は全てのものを取り込み機械化しようとする機械生命体ファランクスにより終焉の危機を迎える。
 ティーンミュータントチームX-ネイション2099のメタルスミスとトワイライトの二人は、異星人テイカーズの宇宙船に同乗し、ファランクスの小惑星へと突入。一方、地球のラトヴェリアは、ドゥーム城を拠点としたファランクスの首領マグスにより占領されつつあった。これに対抗するためスパイダーマン2099とクシナは突入車両を製作。故郷の国を救うため、同胞のジプシーに別れを告げ、ドゥーム2099は飛び立つ。
 最終決戦! ドゥーム城へはスパイダーマン2099の車両が突撃。サヴェッジランドではX-MEN 2099が巨大ファランクスのドレッドノードに大苦戦していたが、そのピンチにイーグルスを中心に人々が駆けつけ、ミュータントたちを助け共闘するのだった。重火器をぶっぱなし、ドゥーム城の深部へ進んだスパイダーマン2099だが、X-ネイション2099の一員でファランクス化されてしまいマグスに取り込まれたノストロモの姿を見て躊躇。そこへドゥーム2099が登場。マグスはドゥーム2099を襲い、ドゥームの仮面が飛び散る。ドクター・ドゥームとなる以前のように、素顔にあたる風を感じるドゥーム。マグスはドゥームを追いつめるが、ドゥームはすでにウィンというファランクスを媒介に崩壊プログラムをマグスに侵入させていた。ウィンは崩壊プログラムを起動させ、さらにノストロモを切り離した。ドゥームはスパイダーマン2099にクシナとノストロモを連れて脱出しろと言い、ファランクスを道連れに爆発崩壊するドゥーム城と運命を共にする。
 X-ネイション2099の指導者セレブラは、この時代に来たリード・リチャーズが残した人工知能フランクリンと会話し、フランクリンはファランクス小惑星をハッキングし爆破する。爆発のカウントダウンが響く中、内部に残されたメタルスミスとトワイライトはキスを交わす。小惑星は大爆発を起こし、墜落していった。ここに、地球と宇宙でのファランクスの脅威は去ったのだった。
 2099シリーズのクライマックスとして、ファランクスとの大決戦が描かれる。特に注目したいのが、ドゥーム2099の最期だ。それまでDOOM 2099誌にて主人公として苦悩する姿が描かれ、自分が偽者ではないかというアイデンティティの崩壊と戦い、故国ラトヴェリアを守るため大規模侵略を敢行してついには全てを失うストーリーを経てこそのこの展開。自分の最も大切であった故郷を救うために自分の身を投げうち、苦境に屈せず敵を出し抜き、悪役として活躍してきたこのキャラクターの人間性への回帰をも描かれた。天晴れドゥーム! 次号#8でこのタイトルも打ち切りとなるが、ドゥームの仮面に記録された最後のメッセージが伝えられ、ノストロモがラトヴェリアの後継者となる締めくくりが見られる。

2099: MANIFEST DESTINY (MAR '98)

LEN KAMINSKI - WRITER  MIKE McKONE - PENCILER
 1992年末にスタートし、多数のタイトルが刊行された2099シリーズも、1996年末にはマーヴルのタイトル整理によって2099: WORLD OF TOMORROWの1タイトルに統合され、程なく終了した。だが1998年に入って、シリーズの総まとめとなる1冊のコミックが発行され、ファンを喜ばせた。それがこの2099: MANIFEST DESTINYである。
 月面にあるウォッチャーの居住区「青のエリア」にこの時代のムーンナイトが入り込んだことにより物語が動き出す。長らく地球を観察してきたウォッチャー、ウァトゥは視力を失っており、旧知のヒーロー、ファンタスティック・フォーの複製を2099年の世界に使わしていた。一方、スパイダーマン2099だったミゲル・オハラは巨大企業アルケマックスの社長となっていた。彼の妻クシナと弟で一時はゴブリン2099として戦ったこともあるガブリエル・オハラの二人が海底で発見したカプセルの中には、伝説のスーパーヒーロー、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースが冷凍睡眠状態で封印されていた。未来世界で復活したキャプテン・アメリカは、ミゲルが発見したという杖を渡され、ソーの力を受け継ぐ。彼らの前にウォッチャーが出現し、地球周囲を取り囲み人類の宇宙進出を阻んでいるバリアの除去に動き出す。世界中のヒーローが集められ、新ソーの掛け声「アベンジャーズ集結!」でバリアへ攻撃が始まった。反発したエネルギーが暴走するが、ウォッチャーの犠牲により、ついにバリアは崩壊する。爆発により吹き飛ばされた新ソーは、ミゲルにハンマーを投げて渡し、宇宙へ消えていった。ミゲルの働きを中心として地球人は団結し発展し宇宙へ進出していく。そして3099年、ついにキャプテン・アメリカが発見された。年老いたミゲルはスティーブ・ロジャースと再会し、杖をハンマーに変えて手渡す。スーパーヒーローの活躍が受け継がれていく様子を、電脳空間から世界を監視するゴーストワークスの一員となった元ゴーストライダー2099ことゼロは満足げに見守るのだった。
 本作は、アルケマックス社を継いだミゲル・オハラのその後や、結局ファンタスティック・フォー2099はどうしてこの時代にいたのか等、シリーズで決着していなかった伏線を回収しつつ、遠未来までもスーパーヒーローの存在が続いて行く様を、キャプテン・アメリカとソーのハンマーを登場させることで劇的に描いている。中盤や最後の未来ヒーロー集結シーンは、どんなに未来になってもヒーローは存在していることを示しており、シリーズの完結編にふさわしい作品となっている。

WEB OF SPIDER-MAN #81 (OCT '91)

KURT BUSIEK : GUEST WRITER  STEVE BUTLER : GUEST PENCILER
 忘れもしない、生まれて初めて買った原書がこれでした。その頃はまだ、アメコミってこういうものだと知らなかったので、全ページフルカラーな事とか、間に広告ページが入っている事に驚いたり。スパイダーマンを選んだのは知っているキャラクターだったからですが、当時は東映特撮のアレしか知らなかったので、スパイダーマンが街のチンピラとかと戦っているのに違和感を感じたり。日本漫画や特撮に慣れた目には、必殺技を使わないで敵に勝ってしまうのも不思議でした。でもスパイダーマンが窓ガラスを破って部屋に突入してくるシーンでは、砕けたガラスが1個1個描いてあって、良いなあと思ったり。
 今見ると、ライターがカート・ビュシークでして、UNTOLD TALES OF SPIDER-MANのような雰囲気。登場する敵のブラッドシェドも、スパイダーマンの古い敵キャラだし。街のチンピラ兄弟が車のガラスを割って強盗しようとしているところへスパイダーマンが登場、難なく二人を捕らえます。その後の二人の人生は対照的で、弟のリッキーは大学を出て会社員に、しかし平凡で幸せな毎日を送る彼の前に、兄貴のウインデルが怪人ブラッドシェドのコスチューム姿で現れます。彼は軍に入り極東でジャングル戦などを経験した後、秘密実験の被験者となり常人以上の力を手に入れるのですが、その力を犯罪のために使うようになっていたのでした。弟に強請をかけるウインデル。悩むリッキーは街でスパイダーマンに出会いますが、兄を売ることをためらいそのまま去ります。それを見ていたブラッドシェドはスパイダーマンに襲いかかります。謎の怪人の強襲を受けたスパイダーマンはひとまず隠れ、相手にスパイダートレーサーを付けることに成功。ブラッドシェドはリッキーの部屋へ来て、部屋をめちゃめちゃに荒らします。悩むリッキーの元へ再びスパイダーマンが現れますが、リッキーは再び逃げてしまいます。そのビルのロビーの表札にリチャード・ディッキンソンの名を発見したスパイダーマン。その名には覚えがあると感じたピーターは図書館へ行き、当時の新聞記事を発見、彼が昔捕まえたチンピラの片方である事を思い出します。その頃リッキーの元へはブラッドシェドが襲来。怒ってリッキーに襲いかかるブラッドシェド。その時、窓ガラスを割ってスパイダーマン登場! 一進一退の攻防の末、ついにブラッドシェドをノックアウトするスパイダーマン。事件は終わり、スパイダーマンはリッキーと握手を交わすのでした。その夜、月明かりの中にスィングするスパイダーマンの影を見て、安堵の笑顔を浮かべるリッキー。小編ながら、ビュシークらしさのあふれる良作だと思います。骨太のアートも良いです。

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