その他の出版社
COWBOYS & ALIENS (DEC '06 :PLATINUM STUDIOS COMICS)
Writers : Fred Van Lente & Andrew Foley Penciller : Luciano Lima and Magic Eye Studios
1873年、西部開拓時代。幌馬車の一団をアパッチ族のインディアンたちが襲撃する。ガンマンのジークは馬で囲みを破り救援を呼びに行こうとするが、気付かれて追撃がかかり落馬してしまう。だがそのとき宇宙から巨大円盤が墜落してきた! インディアンたちは円盤に近づき、中から出てきた異星人(ここでのエイリアンはシガニー・ウィーバーと戦うギーガーデザインのアレではなく、普通に「異星人」の意味)に挨拶するが、即射殺されてしまう。それはラド・ダー司令官が率いる侵略船の一行で、これまで併合してきた多種の異星人の混合部隊だった。辛くも難を逃れたジークは円盤の残骸の中から宇宙銃や宇宙爆弾を発見する。異星人部隊は近くの砦を強襲し全滅させる。一方、脱出した幌馬車の一行はシルバーシティへ到着。だがそこへ異星人の飛行バイク部隊が襲撃。駆けつけたジークは宇宙銃で敵を撃ち落とし、女傑ヴェラティーはビームロープを奪って投げ縄にし活躍。馬車で逃げ追われるが、インディアンの族長が共闘を申し入れてきて、異星人の一隊を一網打尽にする。
ラド・ダーはシルバーシティの鐘楼にパラボラアンテナを設置し彼らの仲間の艦隊と交信する準備を進める。インディアンと共同戦線を張ることにしたジークたち。幌馬車一団の代表者ブリーン神父や食えないくせ者クロス、インディアンの勇者ウォーホークはエイリアンの特殊サングラスを入手、敵の飛行バイクから浮遊金属を発見する鍛冶屋マクファーソン、さらに、元はラド・ダーに侵略された別種族の異星人である女性科学士官カイが脱走してきて協力者となり、反撃の準備が進む。クロスの発案で地下通路を通って潜入しパラボラを破壊する計画を立てる。だが地上からシルバーシティを攻める部隊は敗北し捕らえられ、クロスは自分だけ助かろうと潜入計画を喋ってしまう。追っ手がかかるがウォーホークが奮戦、ジークがカイの危機を救い、また勝手についてきたインディアンの少女ノーネームは投げディスクを手に入れた。だが最後には全員が捕まってしまう。果たして彼らの、さらに地球の運命や如何に? 最後は西部劇らしく抜き撃ち対決! そして最後に明かされるカイの秘密とは? 痛快アクション活劇でした。
DAISY KUTTER: THE LAST TRAIN (AUG-DEC '04 :VIPER COMICS)
WRITTEN AND ILLUSTRATED BY KAZU KIBUISHI
アメコミカタログPREVIEWSを見ていて、表紙のかっこいい女の人に惹かれて購入。作者の情報とかこの時はまったく知らず、手に入れるまでは面白いのかわからなかったのでどんなものかと思っていたのですが、これが大当たりでした。全4冊の、銃使いの女性デイジーさんを主人公にした、西部劇スタイルの活劇コミック。西部劇とは言ってもロボットと人間が一緒にうろうろしている妙な世界です。描いているのがアメリカ在住の日本人なので、アメコミという感じは薄いです。誰も来ない雑貨屋の店頭でクサっているデイジーさんのシーンから始まって、元恋人のトムとの関係、列車強盗に加わるまでの経緯、そこに巻き込まれるトム、だまし討ちにあって、自分を始末しようとするロボットの殺し屋との戦い、そして最後に敵ボス強襲で倒れるトム、逆襲に出るデイジーという感じで話は進みます。頑固で意地っぱりなデイジーさんのキャラクターがいいですが、他にも、静と動のシーンを巧みに配置した場面構成の妙、マンガっぽくディフォルメされたキャラクターたちの表情の良さ(写実的な絵よりも、キャラの心情がこちらに伝わってくる)、ロボットありポーカーありガンアクションありの世界観等、魅力たっぷり。個人的な意見ですが、まるで手塚漫画を読んでいるような楽しさがありました。TPB化もされました。
DARK HORSE CLASSICS: 20,000 LEAGUES UNDER THE SEA ('92 : DARK HORSE COMICS)
ADAPTED BY GARY GIANNI
ジュール・ヴェルヌのファンになった方は、幼少の頃に福音館書店版の『海底二万海里』を読まれた経験を持つ方が多いと想像するのだがどうだろうか。福音館書店版は挿絵がオリジナル版のアルフォンス・ド・ヌヴィル画のものを収録しており、その見事なペン画は、作品に重厚なリアリティを与え彩る効果をもたらしてくれる。それを見ていると、本編中の別のシーンの絵も見てみたい!という欲求が出てくるのだが、それに応えるかのように、ダークホース社からコミックが発行された。コミック化を担当したのは、渋いペン画で読者を魅了するガリー・ギアニ。ベストな人選であり、この古典的名作を雰囲気を崩さず短編漫画化することに成功している。
このコミックは2009年に入ってFlesk Publications社からTWENTY-THOUSAND LEAGUES UNDER THE SEAというタイトルでハードカバーの彩色版が出たのだが、黒白版だったオリジナルに見事な彩色がほどこされ、さらに見応えあるものになっている。ジュール・ヴェルヌのファン、ガリー・ギアニのファン双方に是非ともお勧めしたい。ガリー・ギアニは絵物語の名手でもあるのだが、Flesk版には巻末にH. G. WELLSの「海からの襲撃者SEA RAIDERS」の絵物語も収録されています。
FIGHTING AMERICAN Vol.3 #1 (AUG '97 : AWESOME)
ROB LIEFELD: story JEPH LOEB: writer ROB LIEFELD, STEPHEN PLATT: pencils
1954年7月4日、宇宙から飛来した物体がロシアへ墜落、それを隠蔽しようとソ連軍が動く。そして現代。ワシントンDCでは世界の大都市への直接攻撃という新たな「赤の恐怖」について対策が検討され、コール将軍はある男を呼び戻すことを決意する。その男とは、カンザスの片田舎で農夫として生活している、かつてのヒーロー、ファイティング・アメリカンであった、ジョン・フラッグ。一度は拒否するジョンだったが、将軍から宿敵アイアンクロスの名を聞き、同行する。ファイティング・アメリカンは1954年8月2日にある村をソ連の侵略から守る戦いへ出動するが、その激戦をくぐり抜けた彼の見たものは、死んだ敵少年兵の持っていた家族の写真だった。これを機に、ファイティング・アメリカンはその姿を消したのだった。長い年月を経て再び任務に就く彼を待っていたのは、新たな相棒として用意されたサイボーグ少女スパイスだった。死亡したかつての相棒スピードボーイを思い出すジョン。自らの体のメカニズムに自信を持つスパイスとの間に不協和音が流れる中、二人は髑髏島へ降下し任務を開始。敵を薙ぎ倒す二人の前に、メカの体を持つ敵アイアンクロスが登場した!
FIGHTING AMERICANは元々'54年に発行されたジョー・サイモン&ジャック・カービーのコンビによるコミックで、頭に鷹のマーク、胸には星のマークの、キャプテン・アメリカ型のヒーローだった。'66年にはHarvey社からAnnualが1冊発行、その後'94年にDCから全6話のミニシリーズが発行と各社でリバイバルがあったが、創造したのがキャプテン・アメリカと同じ二人であり、規模も小規模だった為か、特に問題にもならずに黙認された格好になっていた。そして'97年、マーヴルの「ヒーローズ・リボーン」でCAPTAIN AMRICAを担当したものの途中で降板となったロブ・ライフェルドは、ファイティング・アメリカンの出版権を獲得し、自身のオウサム・コミックスから発行を開始する。これはライフェルドによるキャプテン・アメリカの物語の続きなのだ! ストーリーも一般人として生活しているヒーローの復活や少女とのコンビと、ライフェルド版キャップと同じであり、彼の執念がうかがえる。内容はド太い腕のヒーローのアクションが続くいつものライフェルドの作風だが、回想シーンの作画はスティーブン・プラット(この人の絵が渋くて良い!)が担当しており、画風の違いが年代の違いを示していて楽しめる。ファイティング・アメリカンはオウサムから何度か発行されており、いずれも短命に終わっているが、無視してしまうには惜しい存在だと思う。
FLASH GORDON (January 7 - February 4, 1934 : King Features Syndicate)
by ALEX RAYMOND
地球へ向けて進む彗星が現れ、世界は騒然となっていた。この危機を救うべくハンス・ザルコフ博士はある装置を完成させるため昼夜を問わず働いたが、そのため彼の精神は追いつめられていく。大陸横断旅客機の中にいたフラッシュ・ゴードン、イエール大学の卒業生で世界的に有名なポロ選手である快男児は、不意の隕石で翼を破損した機から同乗した女性デール・アーデンを連れてパラシュート脱出に成功する。だが着地した場所はザルコフ博士の天文台の近くで、博士はフラッシュをスパイと見なして銃を向け、二人ともロケットに乗るよう強要する。博士の計画はロケットを彗星にぶつけて進路をそらすというもので、三人は科学の殉教者となるのだと狂気を口にする。一同を乗せたロケットは発射され、彗星目がけて飛んでいった。
ロケットは彗星に近づいていくが、いざとなるとザルコフ博士は命が惜しくなり死にたくないと叫びフラッシュの首を絞める。フラッシュは逆襲し博士をノックアウトするが、ロケットの下方の彗星の表面にはなんと都市が見えた。ロケットは彗星の重力に引かれ、山岳部に激突。生きのびたフラッシュだが、ショックで意識が戻らないデールを抱え、都市を目指す。だがその背後に、緑の二足歩行恐竜のような生き物が迫っていた。
ナイフを抜き、怪物に向け雨あられと攻撃するフラッシュだが、相手の皮は堅く刃が立たない。あわやその顎の餌食となるやというところでデールの悲鳴が聞こえた。新たにオレンジ色の四足恐竜のような生き物が現れたのだ。二つの怪物は格闘を開始し、フラッシュたちは助かる。と、空に数隻の宇宙船が見え、そのうちの一隻が降下し両怪獣を撃ち殺した。着陸した宇宙船から出てきた黄色人に礼を述べるフラッシュだが、黄色人は二人を宇宙皇帝へ献上すると言い捕らえてしまう。宇宙皇帝はデールの美しさを見て我が妻とすると言い、フラッシュは兵士として向かんだろうから殺せと命ずる。その言葉にフラッシュは挑戦し、闘技場へ引き出された。待っていたのは4体の赤色猿人だった。この彗星モンゴの地で果てる運命なのか?
フラッシュ・ゴードンは1体目の猿人目がけて跳躍し殴り倒す。そいつを持って振り回して2体目を撃破、跳びかかってきた3体目をするりと避けて壁に激突させ、4体目のタックルを素早く避けて羽交い締めにし、全員を倒した。それを見た宇宙皇帝は射殺するよう部下に命じたが、レイ・ガンの銃撃をフラッシュは跳躍で避けた。ここで宇宙皇帝の娘がフラッシュをかばって銃撃をやめさせた。宇宙皇帝に迫るフラッシュだが、床に穴が開く罠に落とされてしまう。だが皇女がそのあとを追って穴に身を投じ、宇宙皇帝は驚く。「恐怖の井戸」へ落下していく二人の運命は?
フラッシュは井戸の壁に突き出た水道管を掴んで落下を止め、皇女をキャッチした。眼下にはモンゴの水竜の群れがいたが、フラッシュは皇女にしっかり捕まるように言い、一飛びに水竜たちを跳び越える。水竜は後を追ってきたが、プリンセス・オーラが命じると水に戻っていった。フラッシュを愛してしまったオーラは彼をかくまうためにロケットの中へ入れ、フラッシュは中にあったコスチュームを着る。そこへ空飛ぶコマが襲来し都市を攻撃。フラッシュ・ゴードンは攻撃を止めるためにロケットを発進させる。
有名な宇宙冒険活劇フラッシュ・ゴードンの冒頭を御紹介。御覧の通りバロウズの火星シリーズの影響下にある作品だが、小説原作ではなく日曜版の新聞連載コミックとしてスタートした。連載していくうちに作者アレックス・レイモンドの筆力がぐんぐん上がっていくのも注目ポイントだ。
Gary Gianni's THE MONSTERMEN (AUG '99 : DARK HORSE)
Story and Art by Gary Gianni
このシリーズは元々CORPUS MONSTRUMの名でヘルボーイのおまけコミックとして出ていたものだが、'99年に独立したワンショットとして発行された。当時、すごく嬉しかったのを覚えている。
主人公はベネディクトという紳士だが、彼は常に兜(西洋の騎士の甲冑の兜部分だけ)を付けており、素顔は見せない。冷静沈着にして勇猛果敢な冒険家で、毎回ベネディクトが怪奇な事件に立ち向かうというストーリーである。彼のところにクルルクという不具者(下半身が逆側つまり背中向きに付いている)が髑髏にまつわる事件を伝えに来るが、そこを謎の獣人たちに襲撃される。電話で情報を伝えるローレンスは空から降る髑髏に襲われ、舞台はヒマラヤへ。雪男の助けを受けた一行は、巨大グレムリンに乗り登場した多数の獣人と対決、ベネディクトの大立ち回りも小気味良い。
ガリー・ギアニの絵はまるで昔の絵物語を思わせるペン画で、すごくいい雰囲気で大好きである。昔風なストーリーにも合っている。巻末にはヘルボーイの短編付き。
GODLAND #1 (JULY '05 :image)
TOM SCIOLI・ARTIST/CO-CREATOR JOE CASEY・WRITER/CO-CREATOR
広大な宇宙の広さに比べれば、地球などほんのわずかな一かけらに過ぎない。その宇宙から、巨大な火の玉が地球へ落下。その事実はケネディ宇宙センターで観測された。ワシントンD.C.では、司令官である女性ニーラ・アーチャーに、ブリッグ将軍が彼女の兄妹の協力を要請していた。兄のアダムに事態を押し付けることを嫌うニーラだが、そこへ、隕石落下を知らせる電話が入った。それを聞き、ニーラは行動を開始する
ここはニューヨークにあるインフィニティー・タワーでは、長姉であるニーラから連絡が入っていた。後ろで不真面目にタバコをふかす妹アンジーに釘を刺しつつ、メガネの女性ステラはニーラの連絡を受けた。事態を知ったステラはアダムへ通信した。「今日はどんな、地球が粉々になるような危機が起きたんだい?」 ステラは、NASAが中国東部に隕石が落下、それは通常の岩石ではなく、有機体であることを告げた。アダムはハッチを開き特別の円筒形の部屋"サイロ"へ入る。次の瞬間、彼の体はエネルギー体となり、空高く射出されていた! ニューヨークの空を飛ぶアダム。市民たちは彼に驚きと恐怖の視線を向ける。それを感じとるアダム。テレビ局は彼にカメラを向けるが、カメラは炎上してしまった。
4年前、宇宙飛行士だったアダムは火星表面にいた。彼と同僚の飛行士たちは人類初の火星着陸へ挑んだが、事故にあいアダム以外の全員が死亡。はじめて火星に立てられた星条旗を墓標として仲間を弔ったアダムは、酸素残量に限界があることから死を覚悟し、それでもなお探査と報告を続けながら火星の大地を歩きはじめる。その声が地球へ届いているかもわからぬまま。山岳地帯を進むアダム。酸素残量は少なくなり、思考や運動が困難になりはじめる。と、アダムは手をすべらせて崖下に落下してしまった。地面の割れ目の中に落ちていくアダム。気がついたとき、彼の宇宙服のフェイスプレートには亀裂が入っていた。だが何故アダムは死んでいないのか? そう思った彼は、その眼前に、謎の機械建築物を発見するのだった。
現在。万里の長城へ到着したアダム。隕石はそのすぐ側に落ちていた。接近するアダム。巨大隕石が落下したにしては被害が少ない。吹き上げる炎へ近づいたアダムは動くものを発見、それは、ブルドッグにも似た、奇怪な巨大生物だった! 隕石怪物は謎の言語を吐きながらアダムへ突進してきた。
4年前。眼前にそびえる建築物に驚くアダム。これは何者の仕業なのか。建物へ入っていこうとするアダム。その時、彼の周囲に、無数の彼と同じ像が投影された。しかも、周囲の像の目からビームが発射され、アダムを襲った。様々なことが脳裏を走る。理解できない宇宙の映像。これまで考えてきた自分の思考。そして謎の言語と、イボーガという言葉…。
現在。突っ込んでくる怪物。アダムは自分の周囲にフォースフィールドを張って怪物をはじき飛ばし、パンチから光線を撃ちだし異星犬に当てる。しかし怪物に逆襲され吹き飛ばされてしまった。敵が手強いことを知ったアダムは、指先からエネルギーを放出して数個の球体を形成し、怪物に撃ちだした。仰け反る怪物、だが相手は倒れながらこちらに覆いかぶさってきた。怪物にかみつかれるアダム。その瞬間彼は、異星人がこの怪物を生産しているビジョンを見る。
一方極寒の極地では、そこにそびえる塔の中で、怪奇な女性が一人の男を拷問にかけていた。ディスコーディアと名乗る女性は拷問を続けようとするが、アラームが鳴り、TV画面に目を向ける。ニュースは中国での異星からかもしれぬ異変について伝えていた。
怪物にかみつかれたアダムだが、その力が全力ではなく、ただくわえられただけだと感じていた。渦巻き状にエネルギーを放出し、怪物から逃れるアダム。格闘は続くが、アダムは相手が何かを伝えようとしていることに気付いていた。しかしこのような怪物とどう意志疎通すれば良いのか? その周囲では、中国軍が戦闘準備を完了していた。まさに砲撃が始まろうという時、突然兵士たちの手から銃が離れ、戦車の砲塔は引き抜かれ、部隊は全滅した。倒れた彼らの上を進んでいくのは何者か? アダムは怪物と何とか意志を通じさせようと努力していた。そのアダムに声がかかり、彼と怪物はそちらへ振り向く。そこには、中国軍を倒した機械なアーマー姿の兵士を従えた、頭部の水槽に骸骨が浮かぶ怪人が立っていた。左腰から伸びるチューブに接続された銃を向けた怪人はアダムのことを知っており、バージル・クロノスと名乗り、アダムと対峙する怪獣をもらい受けると宣言した!
TOM SCIOLIとJOE CASEYによるオリジナルシリーズGODLANDの第1話。ご覧の通りの超人冒険活劇だが、本作の魅力はひたすら単純かつ王道な展開と、まるでジャック・カービーが甦ったかのようなアートにある。この作品では深く考えるような事は起こらない。読者はただこのエンターテイメントを楽しむだけだ。独特のディティールの入った超人、大げさな機械、奇怪な怪獣に怪人と異常事態のオンパレードで、古き良き時代の物語のようである。疲れて帰宅し小難しいことや面倒なことなど考えたくない時にスカッと読んで、架空の冒険世界に身を委ねるには最適のコミックだ。
GODLAND #2 (AUG '05 :image)
BY TOM SCIOLI・JOE CASEY
ヘリに乗り、アダムに呼びかけるニーラ。そのアダムは中国で巨大な異星犬?に会い、そこをバージル・クロノスとその部下たちに包囲され危機におちいっていた。異星犬に銃を発射するクロノス。それを止めようとアダムは指からビームを発射し敵の軍団を薙ぎ払うが、クロノスの銃をくらい宇宙犬ともども倒れてしまう。
倒れた彼の脳裏に浮かぶのは、4年前の出来事だった。火星で死を待つばかりとなったアダムを巨大な手が救い、アダムの前に宇宙胎児たちが現れる。彼らに認められ、アダムはある力を授かることになる。
中国まで来たニーラはクレーターのようになっている万里の長城を見るが、アダムの姿はない。ニューヨークのインフィニティー・タワーにいる妹、ステラとアンジーに連絡を取ると、はるか彼方の海底から反応があると言う。太平洋の1万2千フィートの海中では、巨大な潜水艦が進んでいた。それに乗るのはバージル・クロノス。余裕のクロノスの前に、立体映像で通信が入る。それは、金属の顔を持つ怪人フリードリッヒ・ニッケルヘッドだった。お互い法律や国家に縛られない怪人物同士の駆け引きが続く。そしてそれより深く、マリアナ海溝では、岩石のブロックの中にアダム・アーチャーが閉じこめられ、沈められていた。かすかな意識を取り戻したアダムは、宇宙胎児たちにより自分に力が与えられ初めて変身した時のことを思い出す。炎のように燃えて輝く姿、指先からは光弾を発射、ダイアモンド・サン・ヒート・エリア・シールドを展開しての防御。変身したアダムは自分は何になってしまったのかと恐れるが、宇宙胎児は人間としての彼は残っていると諭す。そしてその事を思い出したアダムは変身し、岩を砕いて復活した。
一方、潜水艦内では、バージル・クロノスが異星犬から体液を抽出し、それを自分の頭部水槽の液に注入していた。これで宇宙生命の力を得ようとするクロノス。そして海上に来ていたニーラのヘリは、海面が発光するのを発見、そこからアダムが飛び立った。妹に声をかけたアダムは異星犬を助けるため飛翔していく。
潜水艦内ではクロノスの部下が高速で接近するものがあると報告していた。ニッケルヘッドではと言うクロノスだが、それはアダムで、潜水艦の隔壁を越えて中へ突入、クロノスの銃を避け、指からの光弾で反撃する。何の権利があって異星の生物にこんなまねをと訊ねるアダムに、自分がしたいからだと答えるクロノス。その時、両者へ声がかかり、巨大な異星犬が言葉を発し、不快であると言うのだった。
『ゴッドランド』第2話。頭が金魚鉢のようなカプセルで、中に緑色の骸骨が浮いているという怪人バージル・クロノスが存在感たっぷりで、また新たに怪人ニッケルヘッドも登場し、次への展開が楽しみになる。アダムが超人になる過程が描かれるが、カービースタイルの継承を目指すこのタイトルならではの、いかにもな画面で、わくわくさせてくれる。
Green Lantern vs. Aliens #1-4 (SEP-DEC '00 : DARK HORSE COMICS/DC)
writer : RON MARZ penciller : RICK LEONARDI
ダークホースコミックス社は、映画でヒットしたエイリアンとプレデターが戦うオリジナルのコミック「エイリアンVSプレデター」をはじめとしてエイリアンやプレデターが何かと戦うコミックを多数出している。この全4冊のミニシリーズはDCコミックスの有名な宇宙ヒーロー、グリーンランタンとのクロスオーバー作品だ。
宇宙の平和を守る組織グリーンランタン・コーアの一員である地球人ハル・ジョーダンは数人の仲間と共に招集され、他の星域のグリーンランタンが何者かに殺されたという事件を調べにいく。そこにはエイリアンの巣があり戦闘になるが、エイリアンたちは有害だが本能に従っているだけで邪悪なものではない、自分たちは救済者であって害虫駆除者ではないのだとハルは論じ、意志を持つ惑星グリーンランタンであるモゴへとエイリアンを移して隔離した。
そして時は流れ、ハルは故郷のコーストシティが破壊されたことで狂乱しグリーンランタン・コーアのパワーを奪って魔人パララックスへと変貌。全宇宙のグリーンランタンたちは力を失い、残された唯一のリングが選んだ地球人の青年カイル・レイナーがただ一人のグリーンランタンとなっている。イラストレーターのカイルは宇宙人のイラストの仕上げにかかっていたが、ふと気付くとトマー・ダーやサラアクたち5人の宇宙人が部屋に集まっていた。彼らは惑星モゴに宇宙船が墜落したため隔離したエイリアンの危険にさらされていると言い、かつてグリーンランタンであった自分たちが責任を取らねばと考え、カイルに協力を求めにきたのだ。彼らと共にモゴへやって来たカイルは、宇宙船の一員である女性クロウィと出会い、乗員を救出へ向かう彼女に同行する。圧倒的なグリーンランタン・リングの力で戦うカイルだが、崖から落下するトマー・ダーを救おうとした時に指からパワーリングを落としてしまった!
リングのパワーを失ったカイル。クロウィは銃を渡すが、カイルは銃など撃ったこともないと戸惑う。クロウィは宇宙船の乗員を救うため崖を降り、カイルたちも仲間とリングを取り戻すため同行する。崖下では宇宙船の乗員がエイリアンに寄生されており、エイリアンの大軍が迫ってきた。自分は殺し屋じゃないと撃つのを躊躇するカイルの危機をクロウィが救う。二人は粘液で壁にはりつけられた仲間と、巨大なエイリアン・クイーンを発見するが、そのすぐ側にカイルのリングが落ちていた。
クロウィの励ましを受け、リングを取り戻すために共に突撃するカイル。囮となったクロウィだが、エイリアンの攻撃を受けて体が破壊された。クロウィはロボットだったのだ! 必死でリングに跳びつくカイルだが、卵が孵りフェイスハガーが顔に張り付く。ギリギリのところでリングを取り戻し逆転したカイルはクロウィのもとへ駆けつける。クロウィは機能停止する寸前、皆を救うためにエイリアンを消滅させなければならないと言い残した。救済者としての使命を胸に刻んだカイルはグリーンランタン・コーアの誓いの言葉を唱えつつエイリアンたちを吹き飛ばす。トマー・ダーたちや宇宙船の乗員の生存者は救出された。カイルは自分が受け継いだリングの使命について考えるのだった。
当時、DCのGREEN LANTERN誌では主人公がカイルに替わり、他の宙域のグリーンランタンたちがその後どうなったかはあまり語られていなかった。本ミニシリーズには、かつてグリーンランタンとして登場していたサラアク、ブリック、アッシュ、本シリーズのオリジナルキャラのム・ダナに加えて、有名なグリーンランタンであったトマー・レの後任になるはずだっという同族のトマー・ダーが登場し、パワーを失ったあとも活動を続けている姿をみせてくれる。グリーンランタン・コーアの誓いの言葉を唱えないカイルに違和感を覚える旧メンバーと、最後に誓いの重さを学ぶカイルという構成が良い。エイリアンを寄せつけないほど万能で強力すぎるリングのパワーだが、カイルがリングを失ってお荷物野郎になる展開で話にスリルを持たせ主人公の成長を見せている。前任者のヒーロー、ハル・ジョーダンとは状況の違いから別の道を選ぶカイルの新ヒーローとしての立ち位置をうまく描いている。その後ハルが復活しグリーンランタンに戻ったため現在の設定とは異なっているが、エイリアンとのクロスオーバーは楽しく、今読んでも楽しめる作品だ。
JACK KIRBY'S SILVER STAR #1 (OCT '93 : TOPPS COMICS)
KURT BUSIEK: WRITER JAME S W. FRY III: PENCILER
シルバースターのオリジナルのストーリーはカービーのページを参照。こちらはオリジナル版終了後に出た続編。
超能力を持った犯罪者たちと戦うシルバースター。一時は多勢に無勢かと思われたが、スーパーパワーで逆転、叩き伏せる。シルバースターはインターコップの女性捜査官デリラ・ストーンに協力して戦っていた。戦闘を終えたシルバースターに声をかけたデリラは、彼の顔が老人のようにしわだらけになったのを見るが、シルバースターは心配ないとパワーを使い顔を元に戻す。
彼らはシルバースターの本拠地である研究所にやって来た。シルバースターことモーガン・ミラーの父で科学者のブラッドフォード・ミラー博士はそこで、自らの研究から誕生した超人類ホモ・ジェネティクスたちの体が原因不明の崩壊を起こしていく事への対策に没頭していた。博士は、唯一この現象が見られないシルバースターの体を実験に使うことを提案する。一方インターコップも協力を求めていた。皆から離れ奥で一人になったシルバースターは、カプセルの中で動かなくなった少女トレイシーに語りかける。核戦争後にも生き延びるために父が研究した「遺伝子パッケージ」により自分も含めて多くのホモ・ジェネティクスが誕生した事。能力が覚醒してしばらくは大物悪役ダリウス・ドラムとの戦いに明け暮れ、同じホモ・ジェネティクスの仲間もいて、充実した日々だった事。その中でも最も自分にとってかけがえのない女性ノーマとの出会い。しかしノーマは自分のもとから去り、仲間は死に、あるいはトレイシーのように動かなくなり、自分にとっての栄光の日々は終わってしまった事を。一方フィラデルフィアの路地裏では、数々のスーパーヴィランが集合し、一堂に会していた。彼らを集めたのは、ライトニング・レディという女性。彼女はここから犯罪史上最大の事件を引き起こすと語る。
シルバースターは皆のところに戻り、自分の仕事はモルモットか兵器かどちらに決まったかと尋ねる。デリラは大物犯罪者ヒロシ・シモクラことダーク・ショーグンの資料を押収する任務について説明するが、話を聞いたシルバースターは、それはインターコップの仕事だと断じ、自分は同族の命を救うため実験に協力すると答える。しかしその時インターコップのスキャナーに反応があり、シルバースターは研究所に敵が侵入しているのを発見。侵入部隊のリーダー格であるサイバーボディーの女性インターフェイスの号令で4人のヴィランが襲いかかる。口から煙幕を吐くガスバグを撃墜したシルバースター。女戦士スラマゾンは単独攻撃をかけるがインターフェイスはそれを止め、作戦通りにしろと指示する。エネルギー体の犯罪者シズラーのブラストを浴びたシルバースター。続けてベドバグの爪がコスチュームを切り裂き、ベドバグとスラマゾンが両手を押さえ、胸部に空いた穴にシズラーがエネルギーを撃ち込む。弱っていくシルバースターだが、歯を食いしばり反撃、切り抜ける。戦闘を続行しようとするスラマゾンだが、作戦失敗と見たインターフェイスは退却を指示、ガスバグの煙幕に紛れて逃走した。デリラは今の敵の攻撃がダーク・ショーグンが所有するここの基地から盗まれた技術によるものだと示唆、シルバースターはインターコップに協力する。
サン・フランシスコでダーク・ショーグンの娘ミチコ・シモクラをマークしていたシルバースターらは、屋根の上に怪しいヴィラン集団(ライトニング・レディの配下)がいるのを発見。何者だと言うデリラに、観光客だろ、聞いてみればいいと答えたシルバースターは単身降下する。
トップス・コミックスから刊行された、シルバースターの続編。カービーは関わっておらず、ライターはカート・ビュシーク。華々しく単純に楽しいスーパーヒーローものであったオリジナルシリーズから一転、かつての仲間は去り同族も死に瀕した孤独なシルバースターが描かれているのがどうにもブルーなところであり、ここからビュシークがどう展開するのか気になるところだが、全4回のミニシリーズとして企画されていた本作は、この最初の1冊目で頓挫してしまい、残り3号が刊行されることはなかった。しかし旧シリーズの展開を語ったり、シルバースターの父ブラッドフォード博士やトレイシー(動かないが)が登場したり、敵のボスにカービーがパシフィック・コミックスで描いたもう一つのシリーズであるキャプテン・ヴィクトリーに登場したライトニング・レディを配したりと、興味深い部分も多く、カービーファンやビュシークファンは読んでみても良いだろう。トップスのコミックらしく、トレカがおまけに付いている。
MAXX #1 (MARCH '93 :image)
Story. Pencils. Inks:SAM KIETH
奇才サム・キースのオリジナル・コミック・シリーズの第1巻を御紹介。前々からこれは紹介したかった。本当に面白いシリーズなのに、日本ではほとんど知られていないのがもったいないと思っていたのだ。主人公のマックスは、大きな紫の体、顔の下半分ほどもある歯、鋭い爪のようになっている中指、巨大な靴という異様な出で立ちをしている怪人。彼は、実在するかも不明な幻想的な世界に、たびたび没頭してしまう、奇妙な特質を持っていた。
物語はこんな風に始まる。湿って暗い路地裏に、打ち捨てられたような段ボール箱が転がっている。たまたま付近を通りがかった女性が、巨漢とチビのごろつき二人に襲われる。女を打ちのめす巨漢、チビの方は、彼女の落とした財布から転がり出たコインを追って、路地の奥へと進む。と、コインが止まった段ボールの前まで来た時、チビは段ボールに引きづり込まれた! その悲鳴を聞いた巨漢も路地裏へと進むが、彼の前に段ボールの中から現れたのは、彼よりも大きな奇ッ怪な人物、マックスだった。と、二人は警官に逮捕される。彼らが連れていかれた後、助かった女性は、現れた別の、マントの怪人物に乱暴されるのだった。
パトカーで運ばれるマックス。彼の混乱した精神は、ある音を感じる。CHUNG! CHUNG! CHUNG! CHUNG! 気がつくと彼は、何処とも知れぬ場所にいた。澄んだ空、広がる草原、オーストラリアにも似た、しかし別の世界。地中からは無数の白い手が伸びてきて、彼を引き込もうとする。そして、この場所に君臨する、美貌の女王レオパルド・クイーン。『彼女のためなら、俺はヒーローになれる』 白い手を切り裂くマックス。
一方、こちらはソーシャル・ワーカーのジュリー。電話を取ると、「お前のために苦痛とセックスをもたらしてやったぞ」と奇怪な声が。電話をたたき切る。次の電話は、警察からだった。署に出向き、マックスの身柄を請け出すジュリー。彼女はマックスの世話をしているのだ。彼女の部屋で眠るマックス。その頃、コインランドリーでは、少女がマントの怪人物に出会っていた。彼の配下の、黒い生物イズが襲いかかる……。
目覚めたマックスは活動を開始する。昨日かかわった女性が強姦され殺された事をニュースで知ったマックスはそれをなんとかすると言う。ジュリーは止める。そういう人達の事で責任を負わなきゃならないあなたは誰なのと聞く彼女に、俺はザ・マックスだと答え、出かける。かかってきた電話に出たジュリーは、それが前にも聞いた奇怪な声である事に気付き、情報を引きだそうと話を続ける。それはあのマントの怪人物の手下の生物、イズがかけている電話だった。それを発見したマックスは、相手を追いかける。路地裏に追いつめ、回り込み、箱に閉じこめ、建物の上によじ登り、と追跡を続けた彼は、マントを着た長い顔の怪人物のところへたどり着く。こいつは誰だ? 怪人物は「本当に何も覚えていないようだな」と言う。自分が見る夢・幻想は、全て単なる夢というわけではなかったようだ。マントの人物の周りには、あの小さい怪生物イズが群がっている。彼らと対峙するマックス……。
第1話はこんな感じなのだが、ストーリーとしてはまだまだ序の口である。ここまでだとヒーローもののようでもあるが、この後の展開は幻想世界の奇ッ怪な出来事や、登場人物たちの心情、生き方をメインに描いていく展開。独特のアート(こればっかりは、手にとって見てもらうしかないのだが)とキャラクター、特にマックスの、だらしなくてどうしようもなくて夢ばっかり見てて、でも時にはグッと来る行動に、べた惚れなのデス。ワイルドストームのDC移籍により、DCから新版のMAXXのTPBが出て集めやすくなったので、是非読んでみてほしい。
the PHANTOM ('36)
lee falk and ray moore
ザ・ファントムはコスチュームヒーローとしては初期のキャラクターで、その登場はスーパーマンやバットマンよりも早い、コミックヒーローの元祖の一人だ。新聞連載漫画だったこの話がどのようにスタートしたのか、さわりだけでも御紹介しよう。
物語はある貨物船から始まる。南国から来たこの船には、若き女性探検家ダイアナ・パルマーが乗っていた。彼女はボクシングの練習で男を打ちのめすほどの美丈夫。南国から貴重な積荷をのせた船がニューヨーク港に到着とのニュースが新聞に載り、ファッツ・ホーガンと配下のギャングたちが動き出す。ファッツが指示した準備が大げさなので、部下がファッツは幽霊におびえてるのさと軽口を叩き、ファッツを怒らせる。ファッツは入国管理官を装い貨物船に乗り込み、強引なやり方に抗議したダイアナに銃を向け脅す。ダイアナはギャングに反抗しパンチを入れるが、部屋に捕らえられた。それでもダイアナは抗議をやめず、たった10人の船員を相手に1ダースもの人数で乗り込んでくるなんてと言うが、ファッツはただの人間ではなく幽霊相手かもしれんからなと答える。そのとき外の海からロープを登ってコスチューム姿の何者かが船に入ろうとしていた! ファッツは、この船には高価な竜涎香が積んであるはず、そいつはどこだとダイアナを脅し、手をかけようとするが、そこで突然明かりが消えた。部下にエンジンルームを見にいかせようとするファッツだが、扉に銃を持ったコスチューム姿の人物が現れた。彼は、ファントムと名乗った!
どうやってここへ来たとわめくファッツは銃を撃つが、すでにファントムはおろかダイアナの姿も消えていた。ファッツは部下に奴らを捜せと指示。ファントムたちはマストの見張り台のところまで逃げていた。彼が何者なのか気になるダイアナだが、ファントムは二つのことだけ答えろと言う。船の床は鋼鉄製か、そこにある通風管の下はエンジンルームか。どちらもイエスよという答えを聞き、ファントムはマストから飛び降り綱をすべって降下していく。それを発見したファッツの部下たちは銃撃するが、ファントムは素早く通風管に滑り込んだ。ファッツはファントムが下にいると知り追いつめようとする。ファントムはエンジンルームに侵入し、配線を外す。そこへファッツが追いつき、銃を向け持っているものを放せと命じた。ファントムは配線を放すが、鉄製の床に電流が流れ、ファッツに衝撃が走る。甲板にいたギャングたちも電流をくらい動けなくなる中、ファントムはゴム靴のため無事にダイアナのところへ戻った。ファッツは銃を投げつけて電線を弾いて電流を封じ、甲板に急ぐが、マストに登ったファントムとダイアナは海に飛び込んだ。海中の二人を追うためモーターボートが出される。ファントムは海中からパンチを打ち込みボートにいた敵の部下を倒してモーターボートを乗っ取った。ダイアナは色々質問するが、好奇心猫を殺すということわざで返される。敵の部下に浮きをつけて放りだしたあと、ファントムはダイアナにロープを掴んでいるように言い、ボートを港へ向けた。ロープの先にはファッツたちが奪おうとしていた竜涎香がつないであるのだった。桟橋にボートを止めたファントムは、ダイアナからどんな感謝をすればいいかと言われ、彼女にキスしたあと海に消えた…。
これは新聞連載漫画なのでこの後もずっと続く。'30年代の話であるが、ヒロインであるダイアナが活動的で自立した女性として描かれているのに驚かされる。謎のヒーロー、ファントムの活躍はまさに痛快。大人気を博したザ・ファントムは、このあとコミックブックや映画などで広く活躍していく古典的ヒーローとなった。
ROCKETMAN : KING OF THE ROCKET MEN ('91 : INNOVATION)
Adapted and illustrated by CHRIS MOELLER
ロケッティアの元祖とも言うべき'49年公開開始の連続活劇映画シリーズ"KING OF THE ROKET MEN"をコミカライズした全4回のミニシリーズ。全編渋いペイントアートで魅せる快作である。
時代は第二次大戦の真っ直中、中年科学者ジェフ・キングはひとたび陰謀に出会えば超発明品ロケットパックとヘルメットに身を固めレールガンで武装し大空を疾走する「ロケットマン」となり活躍する。いまや昔となった時代を映す暗ァい色調とその中に現れるヒーローのまぶしい躍動を豊かな筆で描きだしている。劇中、ロケットマンが飛ぶシーンでは毎回息を飲む。出典も出版社も内容もマニアックであるがもっと知られてもいい隠れた名作だと思う。
SAVAGE DRAGON #28 (MAY '96 : image)
ERIK LARSEN: Creator・Writer・Penciller・Inker
ドラゴンの同僚のフリークヒーロー「ホリダス」ことトカゲ女のサラが寝ころんで虐殺アニメ見ていると部屋のチャイムが連打され、出てみると奇妙な出っ歯のコスチュームにどでかい足、中指が大きなカギ爪という印象的な怪人物マックスが立っていた。サラはどこ?と訊ねるマックスに私がサラよと答え、とりあえず部屋に招き入れ一緒にアニメ鑑賞。ドラゴンは前回ラプチャーことシャローナ・ジャクソンが妊娠している事を告げられ彼女との関係に悩んでいたところにこのマックスという正体不明の怪人物と遭遇、とりあえず逃げ出したマックスを追うものの気付いたら巨大なラプチャーの股から出現した無数のチビドラゴンやチビラプチャーの群れに二人して追われるという異常な状態におちいっており、ダディ!ダディ!という声に混乱しつつマックスと二人で高い岩山へ飛びつき逃れようとするが巨大ラプチャーが襲ってきて別の塔に飛び移り子供軍団に応戦。が、ふと気付くとマックスと二人で木の上におり木の下の野良犬の群れに吼えられている自分に気付き、呆気にとられているうちにマックスはサラという女の子が迎えに来て去っていき、何だったんだとドラゴンは困惑。一方、悪人の脳をゴリラの頭部に備えたブレイニエイプは銀行を襲うが、鳥スーパーマンのパワーハウスに、サイバーフェイスの許しも得ずに勝手なことはするなと止められ殴り倒される。ラプチャーは看護婦に声をかけるドラゴンを見て怒りを覚え、ドラゴンもラプチャーの執着心に頭を抱えるのだった。
同じイメージ社のマックスMAXXがゲスト出演。サム・キースが作ったマックスは現実と空想がごっちゃになっていて敵のチビキャラ「イズISZ」に追われて戦っているかと思ったらパッと普通の風景に戻って全部がマックスの妄想だったか判らなくなるというシーンが頻出するのを取り入れ、ラプチャーが自分の子供を妊娠したというストーリーに組み込み、ドラゴンのラプチャーや産まれてくる子供に対する恐怖を描くのに上手く利用している。冒頭も、マックスにサラSARAHという地味なメガネの女の子で実はミスター・ゴーンの娘という知り合いがいるのを、ドラゴンの方のホリダスの本名サラSARAにひっかけて導入にしていたり。このように、エリック・ラーセンは他人のキャラクターをゲストにする時には単なる顔見せに終わらせず、そのキャラクターの特長をきちんと使って話作りをするのが素晴らしい。
SAVAGE DRAGON #55(NOV '98), #57(JAN '99), #58(FEB '99 : image)
ERIK LARSEN : Creator・Writer・Penciller・Inker
SAVAGE DRAGON #50号記念号のメインストーリーのラストで、主役であるドラゴンが敵役カダバーにより原子分解され消滅してしまう。そのあと数号は主人公不在のまま進み、女性ドラゴンであるシードラゴンがメインで活躍してカバータイトル表記がSAVAGE SHE-DRAGONになったりするのだが、この#55からはタイトル表記が元に戻り、ドラゴンの同僚の刑事ウィリアムがドラゴンの姿を模したコスチュームヒーローになって活躍し始める。ドラゴンはウィリアムに抱えられながら消滅していったのだが、その際にドラゴンの力の一部が普通人だったウィリアムに移っており、通常以上の身体能力と耐久性を獲得していたのだ。ウィリアムはドラゴンの力と意志を受け継ぎ、ドラゴンのようなフィンをつけたマスク、マントやグローブを着けて登場するのだが、この衣装はドラゴンを思わせる一方、どう見てもバットマンを連想させ、特に表紙はサイドキックを連れてビルの間を跳びまわるバットマンにしか見えず、これは当時イメージ社を離脱し大手出版社DCへ移籍してしまいバットマンを手がけるという事で話題になっていたジム・リーへ向けた、「DCへ行かなくてもバットマンは描けるぜ」という、エリック・ラーセンの痛烈な皮肉に感じられたものだった。その真相はともかく、ウィリアム・ドラゴンはこの号で、人に殺意をいだかせる超能力者サイモン・ケインに勝利し事件を解決するのだった。
このウィリアム・ドラゴンの登場はごく少ないのだが、一番の見せ場は#57でのアーマー悪役オーバーロードとの対決だろう。強力なブラストを何度もくらいつつ前進を続け、ボロボロになりながらもオーバーロードを殴り飛ばす姿は圧巻だった。そのあとウィリアムはくずれ落ち、駆け寄った花嫁姿の恋人リタの前で気を失う。
続く#58では、夜の墓地にて、ドラゴンを消滅させその左腕を自分に移植したカダバーと戦う。この時はコスチュームは着けないもののドラゴン譲りの能力で戦うウィリアムだったが、ついにカダバーはドラゴンの腕のパンチでウィリアムの体を貫く。しかしウィリアムはそんな状況にもかかわらずカダバーを蹴り、ドラゴンの左腕をカダバーから引き剥がす。カダバーはウィリアムを原子分解しようとするが、そこへフードとマントを着けた超存在フォン~ティが出現、カダバーを消滅させ、ウィリアムとドラゴンを分離させて去っていくのだった。こうして短期間だったウィリアムのドラゴン代役期は終了し、主人公が帰ってきたのだが、人間の身でありながらも受け継いだ友の力を借りて懸命に戦うウィリアム・ドラゴンの姿は強く印象に残っており、大好きなエピソードの1つとなっている。
SAVAGE DRAGON #138(SEP '08)
BROUGHT TO YOU BY ERIK LARSEN
妻ジェニファーの行方を捜してイングランドはキャッスルタウンまで来たドラゴンはジャック・スタッフと共に怪物と戦い倒す。握手し、一緒に戦えて嬉しいよサベッジ・ドラゴンと言うジャック・スタッフに、ドラゴンだ、サベッジはつけないでくれと答える。怪物はヘンテコな科学者のおもちゃの人形だった。ドラゴンはアメリカへ戻るために飛行機に乗るが、隣の男がこんな緑野郎の横に座れるかと言い、スチュワーデスは他にサベッジ・ドラゴンさんの横に座ってもいいという方はおられませんかと言い、サベッジじゃねえと訂正するドラゴン。ベッキー・クローガンというそばかすの女の子が代わってくれた。ベッキーは、スーパーヒーローと会っているあなたはアダム・アーチャーに会ったことはある?と訊ねる。会ったことなスーパーヒーローもたくさんいるぜ、スパイダーマンにバットマンにアクアマンにオムニマンとかな、俺はウルヴァリンに会ってないが奴は誰にでも会ってるぜと答えるドラゴン。ベッキーは高校にいた頃にアダムと知り合いだったと言う。ドラゴンは自分の妻を捜してイングランドまで行って帰るところだと語る。二人は互いの尋ね人が見つかることを祈り、別れた。ドラゴンは「バラク・オバマ!」しか喋らない変な運転手のタクシーに乗って去る。ドラゴンが不在の間に悪役が動きだそうとしていた。ドラゴンは妻の行方を求めてある少女と会っていたが、そこへフリークスの悪人が襲って来た。少女を逃がし悪人どもを殴りとばすドラゴン。
宇宙エネルギーを宿した人間となったアダム・アーチャーは、宇宙規模の異変が起こることを感じて飛来したが、そこではドラゴンがフリークスと戦っていた。アダムを見たドラゴンはベッキー・クローガンに会ったぜと伝えようとするが、アダムは空を見ろと指さす。空には巨大な頭脳と触手を持つ宇宙人たちが出現していた。また、テレビを見ていたベッキーはドラゴンとアダムが会っているのを知る。宇宙人のパワーでドラゴンは宙に持ち上げられ、アダムは彼を助けるためにブラストで宇宙人を撃つ。ドラゴンも触手を持って振り回して戦う。共闘する二人だが、アダム・アーチャーは宇宙人の目的を察知し、ブラストでドラゴンを撃って止めた。宇宙人の意志を伝達され、ドラゴンはこの宇宙人たちの子供が襲来したとき自分を守って妻ジェニファーが戦い死亡していた事を知った。宇宙人はそれを伝えに飛来していたのだ。宇宙人は去った。ベッキーはその場に駆けつけアダムに自分を憶えているかと語りかけるが、すでに宇宙的存在になっているアダム・アーチャーは何も答えずに飛び去ってしまった。ドラゴンはベッキーに、夢だと思って普段の生活に戻りなと言って気づかうのだった。
ドラゴンと同じくimageのヒーローであるジャック・スタッフ、そしてアダム・アーチャーがゲスト出演! GODLANDはジャック・カービー・リスペクトな作品であり、自分もカービー狂のラーセンが楽しげに描いているのが素晴らしい。最近ちょっと停滞気味だったSAVAGE DRAGONだが、この号あたりから盛り上がってきた。この号は巻末に、起きたら頭がチーズバーガーになっていた男のナンセンスギャグもの「CHEESEBURGER-HEAD」も収録されている。
SHADOW MAN Vol.2 (ACCLAIM COMICS)
GARTH ENNIS : WRITER ASHLEY WOOD : ARTIST → JAMIE DELANO : WRITER CHARLIE ADLARD : ARTIST
アメコミ原書を集め始めた90年代後半、彗星のように登場しそして彗星のように消えたひとつのコミック出版社があった。ゲームメーカーのアクレイム社が、マイナーなコミック出版社のヴァリアントコミックスを買収、コミック部門を立ち上げて精力的にコミックを出し始めて、この勢いは当時たいへん魅力的だった。たくさんのタイトルが出ていたが、その中でもSHADOW MANはお気に入りで、揃えようと必死にいろんなところを回ったのを思い出す。アクレイム・コミックスは1線級のライターやアーティストを起用、地味なマイナーコミックの雰囲気を一掃し、ハイレベルなコミックを展開していた。SHADOW MANなんてガース・エニス&アシュリー・ウッドという豪華さで、暗い霧につつまれたような雰囲気に一発で転んだ。さすがにすぐにジミー・デラーノ&チャーリー・アドラードに変わってしまうが、それでも派手さはないもののたんたんと続く話を楽しめることに変わりはなかった。また、買収前のヴァリアント社のヒーローを切り捨てるのではなくそれをベースにしつつ進めているのも素敵だった。SHADOW MANは元はバイオレンス・ヒーローものだったが、Vol.2はブードゥー系オカルトタイトルで、前作の主人公は死に、スキンヘッドの黒人の殺し屋ゼロことマイク・レロイが新たなシャドウマンとなっていく。彼をいざなうのはドクロの首にシルクハットの蛇ジャーンティ。デッドサイドという彼岸へ落ちた主人公は、胸に仮面のマークを宿し、シャドウマンとなって復活するが、怪奇な事件は次々と彼の周りに出現する…。
SHADOW MANはアクレイム社からゲーム化もされていて、なんと日本語版(パソコンのWINDOWS版だった)も出た。当時そのデモを秋葉原で見たが、暗い雰囲気とアクレイムらしいつくりのゲームで、魅力的だった。海外ドリームキャストやプレステ2版があるところをみると、そこそこヒットしたのかもしれない。コミックの方は後にSHADOW MAN Vol.3も数号発売されたようだが、そちらはついぞ見かけなかった。そうこうしているうちに、アクレイム社はコミックから撤退、全てのタイトルはなくなってしまった。今や入手困難なのが残念である。
SIX-STRING SAMURAI (SEPT '98 : AWESOME)
Stories by Matt Hawkins Story Consultant : Rob Liefeld Penciled by John Stinsman、Dan Fraga
1957年、アメリカとソ連の間に戦争が勃発、アメリカには核が投下されソ連の支配下に置かれた。そんなアメリカで唯一自由を保った「ロスト・ベガス」。そこはキング・エルヴィスにより治められ、人々にロックの日々を与えていた。しかし王は死に、新たな王の座を狙って国中のロック野郎がベガスを目指すのであった。という、滅茶苦茶な設定の下、タキシードにボロ傘、ギターに剣というものすごい出で立ちで次の王の座を狙う主人公バディーと、彼を慕う子供の二人連れが、流れるエルヴィスの曲、登場人物の半数が人語を解さず残りの半分も何を言ってるのかわけがわからない世界観の中ベガスを目指し、彼らの後からはロックにかわってメタルによる支配を望む「デス」が追うという狂った映画『シックス・ストリング・サムライ』のコミック版。
漫画化しているのはあの、つぶれてもつぶれても死なないゴキブリの如き生命力を持つ不屈の漫画家ロブ・ライフェルド先生のオウサムでして、この2つが組み合わさってるだけで面白いです、はい。
ただまあ、コミックの方は映画のサイドストーリー的な2編ですが、原作映画の「ほうれん草モンスター」「人喰い一家」「風車男」が出てくるような狂った展開ではないのでそういうのを期待してると拍子抜けします。一応、映画の世界観はきちんと使われていて、サイドストーリーとして出来はまずまずかと。
VICTORY #1 (JUNE '94 : TOPPS)
KURT BUSIEK : WRITER KEITH GIFFEN : PENCILER
冒頭、ナインスメンと呼ばれるヒーローたちの活躍が描かれる。オーディズ将軍とローグ博士は地下の廃墟を調査し、粘液が付着した瓦礫の中からひと抱えある卵状の物体を持ち帰る。シカゴの街でヒーローたちのリーダー格キャプテン・グローリーはハイテクアーマーで身を固めたデスフラッシュというヴィランと対決、ボンバストやナイトグライダーも駆けつけ、デスフラッシュは倒されたが、そこへインターコップの指揮官ヤゴウィッツが現れ協力を要請。一方、地獄とリンボ界の狭間では魔王の選んだチームであるサタンズシックスがたむろし、モンタナにある基地では超人類ヒーローのシルバースターが復活しそこへインターコップへ協力要請の連絡が入り、地下都市では少年少女ヒーローチーム、ティーンエージェンツが怪物を倒して活躍していた。だがそのいずれにも、昆虫に似た何者かが監視についていた! 招集に応じたシルバースターはインターコップの機で移動中に、夢の中で宿敵ダリウス・ドラムと出会い滅びる自分を見たが、不吉な予感を振り払ってナインスメンと合流。がっちり握手を交わすシルバースターとキャプテン・グローリー。そこへ、超巨大宇宙戦艦が出現した! さらに、ヒーローたちを監視していた昆虫型ドローンは、その主である昆虫型宇宙人インセクトンズの女王ライトニング・レディへ報告していた。彼女は地下の魔神ロード・ゴーストと組んで動きだそうとしている。時を同じくして、ヒーローたちの前に宇宙戦艦からキャプテン・ビクトリーが現れる。彼は皆に、自分の指揮に従え、さもなくば地球は破滅すると宣言するのだった!
カービーバース最後の戦いを描くクロスオーバー・コミックとして企画された本作は、トップス・コミックスで展開していたジャック・カービーのデザインのヒーローコミックシリーズ「カービーバース」のキャラクターに加えて、キャプテン・ビクトリーとシルバースターというカービーが'80年代にパシフィック・コミックス社で描いたヒーローを組み込むという、カービーマニア感涙の展開! ライターは過去のストーリーを巧みに組み込んだ展開を得意とし、本作と同時期に『マーヴルズ』を書いて有名となるカート・ビュシーク。アートはカービー好きでも知られるキース・ギフェンで、この人はカービーのマネ絵を描かせるとなかなかなのだが今回は自分の絵でやっていて、おかげでボンバストがまるで別人になっちゃってたり画面構成が独特で見辛かったりするがそれも含めて味のある絵である。この完璧な製作スタッフの布陣に加え、敵はキャプテン・ビクトリーの宿敵ライトニング・レディーと、ティーンエージェント(ビュシークがライターをしていた)のラスボスのロード・ゴーストという豪華さで、まさにスーパー「'80年代カービーキャラ」大戦だ。このまま予定の5話が完結していたら伝説的作品となっていただろうが、1号のみで頓挫してしまったのが残念でならない。だが、敵味方が集結してくるこのワクワク感は、'80年代のカービーを追っかけたマニアには、何よりの御褒美となっている。
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