地獄のような待遇を強いられるボートがやっと船着場に到着する。
この拷問からやっと開放される。
と思うのとこの地での色々な出会いを楽しみにしていたので顔が自然に緩んでしまう。
しかし、ボートを降り、先を見ると柵の向こうにバイタクの集団が待っていた。
・・怖い・・悪党が大勢いる・・どう見ても悪党にしか見えない。
他の印象は何かゾンビが大勢いるような雰囲気だった。
荷物や服、腕などを何度も引っ張られ乗れ!乗れ!攻撃を受ける。
どのバイタクに乗るか考えていたところ、一人の日本人に声を掛けられた。

「あなたの泊まるところに一緒に連れて行って欲しい。」と頼まれた。
当然予約も取ってないしこれから宿を探す趣旨を話すと「任せます。」と言われた。
彼はカンボジアは初めてでガイドブックも持っていなかった。
海外経験は豊富なようで彼からは色々教わった。
タクシーに相乗りして目指す宿に到着する。
幸いにも部屋は空いていたので二人とも泊まることが出来た。
彼とはその日の晩御飯のみ一緒に行動したがそれ以外は彼とは別行動だった。
早速荷物を整理してまず、市内の散策に出かけた。
シェムリアップに比べてかなり都会だった。
それと同時に交通事情もかなりひどい。そして治安もさらに悪そうだった。

ここでは暗くなると危ないという事だったのでとにかく明るいうちにしたいことを
やっておかねばならない。簡単に散策を済ませ、そして市内を観光に出てみた。
王宮、博物館など定番の場所を観光し、町並みを写真に撮っていった。
ここでも多くの物乞いがいた。足などが無い者、何かの病気か体の不自由な者、
そして警官や機関銃で武装した兵士も多く見られた。気を引き締めなおし宿へと戻り、
明日からの計画を練りプノンペンに来た最大の目的を果たす為に事前にガイドを
依頼していた人物を探しに出かけた。

出発前に私は信用できるガイドを見つけるにはどうすれば?が疑問だった。
どうやって見つけるのだ?そんな中、ネットで知り合った方がドライバーを紹介してくれた。
メールでやり取りを済ませ、現地で会う約束をもらっていたので頼りにしていたが、
心配だったのは先方の都合が私の都合と合致するかどうかだった。
私も行き当たりばったりの旅だったので都合が合えばガイドしてもらうことになっていた。
彼の常駐しているホテルへ出向き、彼を訪ねる。
本当に会うことが出来た感動の瞬間だった。
挨拶を済ませ、私のこれからの予定を話すが残念なことに都合が合わなかった。
彼にも生活があるし、仕方なかったのであきらめようと思ったとき、
彼が知り合いのドライバーを代わりに紹介してくれた。
その人はほんの少しだが日本語がわかるので重宝した。
早速その彼と明日からの予定を打ち合わせする。
あさってからなら
OKとなり、しばらく彼らとこれまでの旅のことを話した。

彼の名はMr.リョン。

彼は現在独身で日本語学校に通っているとの事だった。
彼にもまたここでは大変お世話になった。
彼と行動している時は気を抜くことが出来たし、そして楽しかった。

彼が通っている日本語学校にも連れて行ってくれた。
そこでは見学ではなくみんなと一緒に授業を受けさせてもらった。
停電しているときだったが彼らはろうそくの明かりで勉強していた。
彼らは本当に勉強熱心で頭も良い。
語学にしても英語に中国語、そして日本語までも話す。
この国の情勢や政治が良くなれば日本は追い抜かれるだろうな。という気がする。
私は日本では何のとりえも無いがここでは私は先生だった。
生徒から日本語について質問されるのだ。
なんと読むんですか?発音は合っていますか?
どう表現すれば正しいのですか?など。
その度に説明しながら声を出して発声する。
私に習って生徒も続く。ほんとに楽しいひと時だった。
彼とは何故かすんなり打ち解けることが出来た。
私は彼の人間性に引かれたし、彼もまた私に好意をもってくれた。
ごみ山ではヘドロで汚れた足を洗ってくれて昼御飯もご馳走してくれた。
それに次の目的地での宿泊先までも世話をしてくれた。
後に何故そんなに親切にしてくれるのか思い切って聞いてみた。


彼は「あなたはいい人だ。私にはそれがわかる。私にとってあなたは親友です。」
嬉しかった。


そして彼の言葉は私を最後まで裏切る事は無かった。


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