しばらくプノンペンを離れ、落ち込んだ心と疲れ果てた体をリフレッシュするべく、
カンボジアのリゾート地シアヌークビルへ向かうことにした。
特にしたいことは何も無かったが、とにかく心身をリフレッシュしたかった。
プノンペンでドライバーを勤めてくれたMr.リョンがゲストハウスを紹介してくれた。
このとき実は宿の名前も場所も聞いていなかったが彼を信じ特に何も考えずに
バスに乗り込んだ。約4時間ほど過ぎた頃、海が見えてきた。もうすぐ到着だ。
でも相変わらず、気分はすぐれなかった。
バス停に到着するとここでも大勢のバイタクが待っていた。やれやれ、またかよ。
と思いながら窓の外を見てみると、私の名前を書いたプラカードを一人の少年が掲げていた。やはり彼は信用するに値する人物だった。
バスを降りてその少年の下へ行き、私の名前を告げると、彼は
「ようこそ、シアヌークビルへ!」と歓迎してくれた。
彼のバイクに跨ると、ゲストハウスへ連れて行ってくれた。
中に入ると一人の女性が現れ、「何も心配は要らない、安心してくつろいでください。」
と言ってくれた。どうやらMr.リョンから話は聞いているようだった。
部屋へ案内してもらい荷物をおろす。チェックインに1Fのカウンターへ行くと、
「何も心配要らない。」と言われ、パスポートチェックも何も必要無かった。
もちろん信頼できたので機材も置いて身軽になって近辺の散策へ出かけいつも通り、
あたりの地形を頭に入れビーチへ向かった。
ビーチは人も少なくしかも砂も海も綺麗だった。
砂浜をしばらく歩き、途中にあった大きな岩の上に乗り、ゴロンと寝転がってまぶしい空を
見ながらしばらくボーっとすることにした。
ここではシェムリアップやプノンペンで見つづけた光景はほとんど見かけなかった。
というよりあまり近づかないようにもしていた気がする。
しばらくすると売り子達がやってきて海老やお菓子、イカなどを売り込んでくる。
その子達としばらく色々な話をしながら楽しい時間は過ぎていった。
彼女達も仕事に戻り、私もカメラをぶら下げて写真を撮って回った。
何箇所かビーチを巡り一度、市内に戻って近所の農家の写真を撮りながらブラブラする。
ここでも多くの子供達と出会い、色々な話をし、写真を撮らせてもらった。
相変わらず、みんないい笑顔をしてくれる。これはいい休養になりそうだ。
そう確信して暗くなる前に宿へ戻り、疲れを取る為早めに眠った。
翌日、宿を出る時に何気にレンタルバイクのことを聞いてみると、
なんとまたも「何も心配要らない。OKだ。」といわれ、パスポートもデポジットも
なしにバイクをどこからか持ってきてくれて1日4ドルでバイクをレンタルすることが
出来た。妙にうれしくなった私は早速バイクに跨り、あちらこちらを走り回った。
とにかく走った。いままでバイタクの危険な運転にストレスを感じていたせいか、
いい気分転換になったがそれと同時に別の危険も手に入れていた。
カンボジアの交通事情は日本とは比較にならないほど悪い。
別の章でも書いたがとにかくハッキリしたルールが存在していない。
そんな中、市内を走行中に交差点では一時停止すると後ろからホーンを鳴らされ邪魔者扱い。ゆっくり走ればあおられる。結局は日本で学んだ事など通じない。
事故を起こしたときの事を考えると極力、こちらでのレンタルバイクは
避けたほうが良いかも知れない。
それに調子に乗って気が付けば人気の無いところにいたり、
地雷の危険を忘れて知らず知らずの内に湿地帯に入ったりしてしまった。
それでも私にはいい休養になったと思う。
自由気ままに行きたい所へ行き、移動したくなったら移動する。
いい眺めを見つけると写真を撮った。
長い直線道路を走っていると、前方がどんよりと暗い。
これはもしかして雨か?そう思っていたらポツポツと降ってきた。Uターンしてとりあえず
宿に戻る。カメラが気になったからだ。宿に着くとすぐに本降りになった。
ぎりぎりセーフだ。少しの間、宿のテラスから外の様子を見ていると、何気に
この雨の中をバイクで走りたくなってきた。
カメラを部屋に置き、バイクに跨り、行くあてもない道を走ってみた。
こんな事は学生以来だった。ずぶ濡れになりながらも走るのは気持ちいい。
もしかしたら沈んだ気分を何かで洗い流したかったのかも知れない。
しばらく走って満足した私は宿に戻ってとりあえず、着替えて雨の止むのをしばらく待った。
雨はそれからすぐに止んだので再びカメラを持って出かけた。
ある農村で田園の風景を撮っていると子供達が出てきた。
手を振ると向うも振り返してくる。写真を撮らせてもらった。
またもカメラを見にくるが残念ながらデジカメではない。
そういえば友人から借りたインスタントカメラのフィルムがまだ残っていたな。。
これまでに多くの人に写真をあげてきたのでほとんど残数は無かった。
あと3枚か。。2人の兄妹を写す。すごく喜んでくれる。
兄の方が走って家に帰っていったがすぐに家族を連れて戻ってきた。
写真をみてどうやら喜んでくれたようだ。
少しの間、世間話をしながら今度は家族全員の写真を撮ってあげた。
みんな喜んでくれて珍しそうに写真を覗きこんでいた。
写真がカメラが人と人とのパイプ役になっている。
この時ほどカメラをやってて良かったと感じた事はなかった。
しばらくして兄妹の母親が私に「兄妹を学校まで送って欲しい。」と、言ってくる。
私は唖然としてしまった。いくら写真をあげたからといっても見知らぬ人、しかも
外国人に子供を預けるなんて日本では絶対にありえないことだ。
もう一度確認すると、母親はうなずいている。
それと同時に兄妹がバイクの後ろに乗ってきた。こうなったら送っていくことにする。
小さい子供が乗っているので慎重に発進させて走り出す。
ここで事故を起こせばせっかく私を日本人を信頼してくれたのに期待を裏切ることになる。
いや、それより子供達に怪我はさせられない。
まるで初心者のように慎重に走り学校に到着する。
ここか?と聞くと「もっと向こう!」といわれ再度走り出す。
別の学校に到着し2人がバイクを降りる。私は二人にさようならを言ってバイバイした。
2人も手を振っている。
私はなぜか嬉しくてしばらくの間、思い出すたびにニヤけてしまっていた。
バイクとこの地での出来事のおかげで私は心身ともにかなり回復しているのが
感じ取れた。
帰国の日が迫っている。
明日、プノンペンへ行こう。私は決心して出発の準備をすることにした。
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