Hellenic Republic
福岡からシンガポールまで5時間半、シンガポールで7時間待って
シンガポールからアテネまで10時間半。遠いですなぁー。
「歩き方」によるとギリシャには世界遺産が16ヶ所あり
アテネに2、北部に5、エーゲ海の島々に5、ペロポネソス半島に5ある。(一部複合)
また、「歩き方」は観光コースとしてアテネを基点に、その3コースを提案している。
日本のツアーのコースはエーゲ海の島めぐりがスタンダードで
ペロポネソス半島にはオリンピア、スパルタなど有名な地名があるが
日本人は少ないことが予想された。
そこで行き先をペロポネソス半島と定める。
「歩き方」の地図
2001年8月13日(月)
早朝5:30アテネ(E.ヴェニゼロス空港=新空港)に到着。
まだ夜は明けていない。
1 ドラクマ(ΔPX)は0.33円。
バスはがらがらの道を快調に走って、シンタグマ広場に到着。
40分、1000ΔPX(330円)
ようやく夜が明けてきた。
タクシーに乗り換えてキフィスウ・ターミナルへ。
まず最初に世界遺産のミケーネを目指す。
ミケーネ行きのバスは2300ΔPX(770円)
愛想の悪いおばさんから発行されたチケットの行き先は
AΘHNA−ΦIXTIAと書いてある。アテネは読めるがその後が読めない。
(これはミケーネ遺跡の最寄のバス停の名前だった)
文字が読めなくてオロオロする。
人に尋ねても英語はあまり通じないし、笑顔で答える人は少ない。
嫌がられている。人種差別だろう。
ならば、いやでも文字を覚えなければなるまい。
| Δ | δ | デルタ | = | D | Γ | γ | ガンマ | = | G | Π | π | パイ | = | P | ||
| Σ | σ | シグマ | = | S | Λ | λ | ラムダ | = | L | Ω | ω | オメガ | = | O | ||
| Ξ | ξ | クシー | = | X | Φ | φ | フィー | = | F | X | χ | キー | = | CH | ||
| H | η | エータ | = | E | P | ρ | ロー | = | R | Ψ | ψ | プシー | = | PS | ||
| Θ | θ | スィータ | = | TH |
と文字を入換えると、暗号のように読めることがわかる。
《 読んでみよう! 》
TAΞI=タクシー
ΣΠAPTH=スパルタ
OΛYMΠIA=オリンピア
ΠEΛOΠONNHΣΣ=ペロポネソス
ΣYNTAΓMA=シンタグマ
バスターミナルには黒人が何人かいるが、東洋人は一人もいない。
7:30発のナフプリオン行きの満員のバスに乗りこみ
座席を確保、知らぬ間に1時間以上眠り込んでいた。
疲れていたんだね・・
時差もあるし、エコノミーでの機中泊は、もう、この歳では厳しいってことだ。
気がつくと、窓には水滴がたくさん付いていて、外は雨だということを知る。
ミケーネの遺跡について「歩き方」をもう一度読んでみる。
ミケーネは世界遺産だが写真で見る限り、廃墟のようであまり魅力を感じない。
おそらく歴史的に価値があるというだけだろう。
しかも、バス停から4km歩くと書いてある。
タクシーがあれば良いが、ヘタしたら往復8km歩くことになる。
その後、次のナフプリオン行きのバスがいつ来るともわからない。
ミケーネは村で、ホテル情報も無い。
人種差別を感じているので、断られる可能性を考えて
まず、早めのホテル確保が先決と思われた。
というのは、自分に対する言い訳で
遺跡よりもホテルでゆっくりしたい、という怠惰な気持ちが台頭してきたのであった。
行き先を港町ナフプリオンに変更して、車掌に500ΔPX追加料金を支払った。
だって、そっちの方が、海があってキモチ良さそうだし
魚がおいしそうなんだもーん!
雨はやんで、3時間後のAM10:30、終点ナフプリオン(NAYΠΛION)に到着
バスの乗客のほとんど全員がそこで降りた。
何軒かのホテルで断られるが
ホテル・ビクトリアに決まる。(18000ΔPX/朝食なし)
さっそく魚のランチにする。
魚がディスプレイしてあるタベルナ(TABEPNA)で小ぶりの赤い魚をチョイス。
これがうまかった。
名前を聞くと「バルブン」、英名はred mullet(ボラ)
ビールはアムステル、ハイネケン、ミソ(θ)スの3種類がメジャーのようだ。
この国では、なぜか蜂がビールに寄ってくる。
お店のお兄さんが愛想良くて気持ちよかった。
人種差別しない人がいることがわかって少し心が安らぐ。
腹が膨れてホテルに戻る。
蝉の声を聞きながらシエスタのつもりが、そのまま朝まで寝つづけた。
途中、蚊に食われて目を覚ます。
蚊取り線香を持ってこなかったことが失敗だった。
その後、毎日蚊に悩ませられることになる。ハエや蜂も多い。
8月14日(火)
7時前、チェックアウトするとき、フロントの兄ちゃんが
「お前は日本人か?」と聞いてきた。
「そうだ」と答えると「なら、これをやる」と言って
現地で売っているギリシャ神話の本(109頁、日本語)をくれた。
その本には少し落書きがあったので、日本人客の忘れ物か
置いていったものだと察する。
ちょうど読みたいと思っていたところなので、ありがたくいただく。
オリンピック発祥の地オリンピア(世界遺産)へ行って聖火を見たい。
バスのチケット売り場で「オリンピア1枚」と言うと無愛想なおばさんに
「トリポリまで行け」と言われ、トリポリ行きを買う。(1150ΔPX)
AM8:30にトリポリ行きは発車。
ヘアピンカーブを登り、痩せた岩だらけの山を越える。
AM10時過ぎにトリポリに着いた。
トリポリのチケット売り場で「オリンピア行き1枚、くだはい」と言う。
ここも無愛想なおばさんだ。おばさんは顔を醜く歪めて
「朝の便は8:30にもう出たけど、
次のオリンピア行きは18:30だわよ。(バカなお猿さん!)」と言う。
えっ・・
何ですと?・・・
オリンピア行きのバスは1日に2本だけなんですかい?
だって、トリポリ経由のオリンピア行きは「歩き方」のモデルコースでっせぇ・・
オリンピアまで2時間はかかるとして、18:30に乗ったら着くのは21時前になる。
知らない街に夜着くのは避けたい。
この街で一泊して朝8:30のに乗るという手もあるが
何もなさそうなこの街に泊まるのは嫌だ。
ならば、鉄道がある。「歩き方」の地図を見ると、オリンピアまで鉄道で行ける。
トリポリの街の地図はないので人に聞くしかないが
トレイン・ステーションでは通じない。スタス(θ)モス・トレーノンだ。
人に聞きながら鉄道駅を捜す。日差しが強くてつらい。
2−30分捜し歩いてやっと鉄道駅を見つけた。
チケット売り場で「オリンピアに行きたいんですが・・」と尋ねる。
駅員は「ここからオリンピアに行けるわけねーだろ」と一蹴する。
「へっ?・・何でどすか?」
ポケット版時刻表をくれたので見てみる。
これを見れば、鉄道で南回りではオリンピアには行けないことがわかる。
「歩き方」の地図では鉄道は環状になっているが、実際には繋がっていない。
また、「歩き方」に騙された。
いつもは笑えるけど、今回はちょっとツライよ・・
だって最も行きたいオリンピアに行けないのだから。
訴えてやる!!(ダチョウ倶楽部の上島調で)
ふと前を見ると、鉄道駅前に南行きのバス・ターミナルがある。
これは「オリンピアへは行くな。南へ行きなさい!」と
神が啓示を与えていると解釈すべきだろう。
「わかりました。仰せの通りに・・」
僕は十字を切って、スパルタ行きのバスに乗りこむ。
トリポリから1時間でスパルタに着いた。
バスターミナルで明日の時刻表(掲示板)を見る。
やはり、スパルタからオリンピア行きのバスはない。
MENELAIONホテルに決めて(18000ΔPX/朝食つき)
さっそく5km離れた世界遺産のミストラスに行く。
(ミストラスは古い町並みが遺産で、この写真はその中のほんのひとつの建物)
ホテルに帰ってきてプールサイドでビキニの美女を見ながら
ビールを飲んでいると、ウエイターが喋りかけてきた。
「次はどこへ行くんだい?」
「今それを考えているんです」
「モネンヴァシアがいいよ!」
モネンヴァシアは半島の最南端に近い街だ。
そこからフライング・ドルフィンという高速船でアテネに帰れると言う。
それはすごく良さそうだね!
でも便が毎日あるかわからないし、あったとしても満席かも知れない。
300ドラクマ(100円)ショップ
晩ごはんはギロ屋にする。
ピタとはパンのようなもので、ギロは肉片。野菜もはさんで
あつあつの豚肉のピタ・ギロスにする。これがうまかった!
しかも安い450ΔPX(150円)
(ちなみに、お隣のトルコはイスラムなので豚は食べない)
店に貧しそうな上半身裸の子供が、物乞いに来た。
僕も含めて、客は誰も反応しない。
店の人はスブラキ(肉の串焼き)2本とパン、コーラをあげる。
やさしいね。
8月15日(祝日)
この日は「聖母被昇天祭」らしい。朝食後、スパルタ教会に行ってみる。
教会の入り口で、昨日の子供が粗末なダンボール箱で献金を集めている。
ダンボール箱にガンガンお金が入っていく。
なるほど、この子はこの教会に居候しているようだ。
中には大勢のクリスチャンがいて、もう座席はない。
更に人がどんどん入ってくる。少し礼拝してオイトマする。
パン屋さん
バスターミナルに行くと「歩き方」を一心不乱に読んでいる日本人男子を発見。
「どこへ行くのー!?」と声をかける。
男は不意をつかれた様に怯えた目で「ミ、ミストラです」と答えた。
「僕は今から南に行くよ!」と言う。
「あ、そうですか・・」
そして、男は「歩き方」に目を戻して話を終わらせ、離れて行った。
(甘チャンだな・・・)
僕はフッとため息をつく。
こんな辺鄙なところで日本人と出会ったら、貪欲に情報交換すべきだろう?
彼は「歩き方」を盲信する、まったくの初心者だ。
僕に話を聞けば、ミストラスへの数少ないバスなんか待たずに
タクシーでたった1300ΔPX(430円)で行けることを教えてあげたのに・・
まあ、僕はといえば不精髭をはやし、Tシャツは無印(ユニクロ)で、
スポーツサンダルはタイのブランド(scholl)、帽子はトルコで買ったナイキの偽物
国籍不明のブキミなオッサンであることは否めない。
白人の皆さんが僕を嫌がるのは人種差別というより
単にブキミなアジア系のオッサンだからかも知れないね。
13:30発モネンヴァシア行きのバス(2000ΔPX)に乗り、一番前の席に陣取る。
このバスの若い運転手は不良だ。禁煙バスなのにタバコを吸いながら、
しきりにカセットテープを交換し、自分の好きな曲をかける。
携帯電話かけながら、片手運転で細い山道を走る。
途中、対向車と正面衝突しそうになり、ヤギを轢きそうになるが
無事に2時間でモネンヴァシアに着く。
断崖の小島に城塞がある
モネンヴァシアは本格的なビーチリゾート地だった。
うじゃうじゃ海水浴客がいる。
ホテルに空き部屋はあるのか?
ホテルFILOXENIAで
「部屋はあるけど、大きい部屋ですさかいに、高いでっしぇー」と言われる。
「いくらどすの?」と聞くと「2万、いや2万2千ΔPX(7300円)だ」と足元を見られる。
ここは、このシーズンは売り手市場だ。言い値でOKするしかないだろう。
オーナーはすぐ後に来た白人の老夫婦を断ったので、本当に満室なのだと確認できた。
きれいな海で、釣りをしていた爺ちゃんと孫
高速艇フライング・ドルフィンのチケット売り場で
明朝6:00発ピレウス(アテネ近郊の港)行きのチケットをゲット。
9500ΔPX(3170円)
8月16日(木)
朝5時過ぎ、まだ暗い。
誰もいないフロントに部屋の鍵をおいてホテルを出る。
ドアは半開きになっている。セキュリティが悪い。
夏場だけ営業している、いいかげんなホテルだろう。
そう言えば、昨日の晩12時ごろ誰かがドアをノックしていたっけ
もちろん無視したけど。
フライング・ドルフィンの乗り場まで真っ暗な中、トボトボと歩いてたどりつく。
船はもう待機していた。数人の客がひっそり待っている。
断崖の城塞にかかる上弦の月が幻想的だ。星もたくさん見える。
6:00発ピレウス行きのフライング・ドルフィンは時間通り動き出し
やがて夜が白み始めた。
船は6、7の港に寄るうちに満席となる。
約5時間後の11時前、アテネ近郊のピレウス、ゼア港に到着。
メトロのピレウス駅近くのIONIONホテルに決める。(朝食つき17000)
エアコンが日本製(SANYO)で清潔な良いホテルだ。
ホテルのオッチャンは日本語で「ありがとう」と言える。
日本製といえばこの国では僕の見た限り、日本車は2割ぐらいのシェアをもっている。
どこの国へ行っても日本車はかなりの割合で走っている。
日本の富は、このように自動車産業や家電産業などすべての産業が
不眠不休の努力で高性能の製品を作り続け
全世界に輸出しまくって、もたらされたものだとわかる。
つまり、シエスタなんかをやっている国は、どんどん他国の製品で占領されていくということだ。
でもギリシャはそれでいい。遺跡だらけだから観光産業だけでやっていけるのだ。
さっそくメトロ(METPO)に乗って、世界遺産アクロポリスのパルテノン神殿を見に行く。
夏のアテネは混んでいる
イタリア人のオッチャンに撮ってもらった
このあと風で砂塵が舞い上がってカメラが壊れた
商店街でピタギロスのランチ。ピタギロスはどこで食べてもうまい。
ホテルに戻り、シャワーを浴びてシエスタ。気持ちイイね。
シエスタは癖になりそうだ。仕事にも取り入れよっかなー。(おいおい!)
「ギリシャ・さえない旅」=おわり=