定電圧電源(その2)
以前、定電圧電源を製作しましたが、職場に持っていってしまったりしてもう1つ欲しくなりました。今回は出力電圧±15V固定で小電流が得られれば良いので、前回よりさらに小さいのを製作しました。
電流制限が可変になっていない場合、不必要に大電流が得られるのも実験用としては時として不安になります。今回のも電流制限が可変ではないのですが、50mAが得られればOKということで大電流が得られないようになっています。
定電圧回路はやはりレギュレータICを使用しました。長いこと手元にあったTA7179Pという東芝の14pinDIPパッケージのICです。モトローラのMC1468Pのセカンドソースとのことです。今ではデータシートも無料では入手しにくいようです。昔、秋月電子(信越電機商会から名前が変わった後だと思う)で入手したものです。電源トランスも手元にあったものを使用しています。18V0.3Aセンタタップつきというちょっともったいないものですが、使わないこと自体もったいないので今回使用することにしました。
電源全体の外観を示します。

前回の電源では端子の取り付け向きが悪くて横穴が上下になる位置にそろえたために、テスタリードなどを挿そうとしてもツマミが邪魔をして挿せないという問題がありました。今回は横穴が斜めになるようにしたのでスイッチとも干渉しないはず‥だったのですが、愚かなことをしてしまいました。

スイッチの位置を途中で計画変更したのに端子の穴の向きを見直さなかったのです。試しに端子を取り付けてみると次の写真のようなことに‥。自分の愚かさは分かっているつもりでしたが、まだ自覚が足りませんでした。

ケースの穴にアソビがあったので、なるべく干渉しないような向き取り付けるようにしました。(次の写真)

LEDの表示がやや遮られますが、やむなしとします。次回、何か加工するときはきっと気をつけるぞ!
MC1468はマランツのモデル3600プリアンプの電源に使用されていたような記憶があります。ブルーエポキシ基板と思われる内部が写された表紙の雑誌(無線と実験?)に回路図が綴じこまれていました。信号経路にもICが採用された(LM301Aだったかも?)高級プリアンプが出現したな、という印象を持ったように思います。今は手元に雑誌もアンプの回路図もありませんから、どのように使用していたかなどわかりません。外付け抵抗で±18V出力を得ていたような気もしますが‥。
ただ、このレギュレータICは特にローノイズの回路になっていないことはICの資料からわかります。(メーカでは出力側にCを付けることでローノイズになると言っています。動作が不安定にならない範囲でCを付けるとローノイズになることは真実には違いありません。)次に今回作成した電源の回路図を示します。基本的には資料のFIGURE 1-BASIC 50mA REGULATORを元にしています。ただしメーカの推奨値になっていませんし、メーカ推奨値より良いと判断して定数を決めたわけではありません。

トランスの次に来るブリッジダイオードと0.01uFのコンデンサは100V以上の耐圧が必要です。ICまわりのパスコンとして0.047uFセラミックCを使用していますが、資料の回路例では0.1uFでした。製作時に手持ち部品が見つからなかったので0.047uFにしました。なお、低温使用時、負側出力にはセラミックCが必要だろうと書いてありましたが、正側出力には不要だったようです。また、資料の印刷がはっきりしないのですが、出力側のケミコンは1uFが正しいようです。(10uFにしては1と0の間隔が広く、間に小数点があると思われます。)判読し損ねて10uFを付けてしまいました。気づいたのが組み込み後で、一切ほうっておくことにしてしまいました。無負荷と50mA負荷で、製作時の室内環境で問題ないことは確認してありますが温度変化などは確認していません。電源の出力端子にさらにケミコンを直結してマージンを確認するというのも良い手段でしょう。
ダイオードブリッジと220uFの平滑コンデンサの間に100Ωの抵抗2個が並列に挿入してあるのはトランスの出力が18Vと高いためです。14〜15Vであれば良かったのですが‥。そんなこんなで回路は☆3つを満点とすると☆1つといったところです。電源が入っているかどうかは出力部のLEDでわかるようにしています。ただし出力がショート状態で電圧が現れないと暗いままで、電源が入っているかどうかわかりません。正常時にほぼ同じ明るさとなるように抵抗値を選んだところ、手持ちの発光ダイオードでは回路図のようにアンバランスな値になりました。片側の電流を流しすぎ、といった場合にはわかりやすいです。しかし、+15V側の電流を多くとった場合も、負側の電圧が先に出なくなってくるようです。
次の画像はICの資料です。

ここで、TYPICAL APPLICATIONS、FIGURE1、FIGURE 2のC3、C4、FIGURE 3のINPUT側ケミコンは10uFでなく1.0uFとなっているようです。10uFの場合はFIGURE 3の出力側のケミコンのように1と0の間隔が狭くなっています。

さて、次の写真は、とりあえずだいたいできたところです。出力電流を正負とも50mAずつ流すとICが相当熱くなります。トランスのタップが18Vで、整流して平滑したところで24V以上あります。14pinDIPパッケージで約1W放熱させて使用し続けるには無理がありますから入力電圧を下げたいところです。当初、レギュレータICの電源入力部に数10uFのケミコンを付けて平滑回路とIC基板の間に抵抗を挿入してちょろまかそうとしました。ICの電源入力部のケミコンの容量値がもっと大きければちょろまかしたことにならないのですが‥

それでも±50mA出力するとICは相当熱くなったのでICに放熱器を貼り付けることにしました。ICの捺印の見納めです。小さい放熱器をさらに金鋸で小さく切り出しました。

抵抗は80〜100Ω程度必要ですが、写真では100Ω2本並列で50Ωと少なめです。したがってICの発熱はまだ不必要に大きめです。そこで抵抗値を100Ωにしましたが、放熱器を貼り付けてもまだほんのりというよりは熱いといった方が近いようです。いずれにしてもちょろまかすやり方が後に禍根を残しそうな気がしたので、結局抵抗をブリッジダイオードと最初のケミコンの間に挿入するように変更しました。(回路図は変更後のものです。)
次の写真はICに放熱器を貼り付け、さらに抵抗の位置を変更した後のものです。

平滑回路より手前に抵抗を挿入することになるので抵抗値は100Ωでは大きすぎ、50Ωが最大値といった感じになります。100Ω1/4ワットを2本並列接続したものをブリッジダイオードとケミコンの間に挿入しています。抵抗のリード線はケミコン側を多少長くして、抵抗の熱がケミコンに伝わるのを抑えています。
次の写真は正負の各出力とGND間に100Ω×3=300Ωを接続して15V/300Ω=50mAを流しているところです。

このようにして正負出力から50mAずつを流しているときの安定化電源出力波形を観測したものが次の写真です。縦軸は5V/divです。無出力時は波形がほぼ50%(中央の高さ)となります。負荷を外しても波形は変わりません。とりあえず正常動作のようです。オシロをAC観測にして20mV/divにするとリップルがかすかに見えるようですが同期は取れません。当初の目的には間に合いそうです。

出力から正負50mAを取り出しているときのレギュレータIC入力波形が次の写真です。

縦軸は先ほどの写真と同じ条件(5V/div、管面中央高さが0V位置)です。入出力の電位差は最小約3V程度となっているようです。負荷を50mAより下げれば入出力電位差はさらに大きくなり、無負荷時、このレンジでは波形が完全に画面の外に飛び出して全く見えなくなります。
チェックしてみるといろいろ分かってきます。IC発熱防止の抵抗をショートして実験してみると、50mAを超えても電流制限はかかりません。しかし150mAを流そうとすると制限がかかり、レアショートにはなりません。4.7Ω×50mA=0.235Vですから、これが電流制限用TrのEB間に印加されてもTrはONせず電流制限は行われなくて当然です。抵抗値を大きくしすぎると、常温時にちょうど良くても高温時にVBEのON電圧が下がって50mAに達しないうちに電流制限がかかりますので、短絡時の破壊防止という意味では資料に載っていた値である4.7Ωは正解と言えるでしょう。
次の写真は完成した定電圧電源の内部を上面から見たところです。

次の写真は同じく定電圧電源の中身を左後方から見たところです。発光ダイオードは電源スイッチの穴をあけた基板をスイッチとケースの間にはさんで取り付け、その基板に半田付けして固定しています。赤と緑の発光ダイオードは手持ちのものを用いたのですが直径は同等であるものの、視野角が異なるため斜めから見ると緑が点灯しているのに赤が点いていないように見えることがあります。ケチりすぎは良くないですね。

今回は正負出力とGND間に逆電圧防止のダイオードを取り付けていません。GND端子にこれ以上半田付けすると他の配線が外れてしまいそうなのと、持っていたICの資料にそのようなダイオードを付けるような説明がなかったのが理由ですが、取り付けることによる回路的な副作用もないので、本当は取り付けたほうが安心な気がします。手持ちのICの資料は2ページ分であり、定格その他も分かりませんし、どこかのページで逆流防止ダイオードの取り付けを推奨しているかもしれません。あるいはトラッキング電源回路なので逆流防止ダイオードが不要なのかもしれません。
ともあれ、正負15V小電流出力用定電圧トラッキング電源の完成です。
戻る
戻る