2004年度 文化事業推進委員会 公式行事推奨

みちのく一人旅は時計仕掛けのアップルの夢を見るか

作:ジミ・ヘンデルセン(東北ツーリング初心者)

1

今日は少し起きるのが遅いかな。6時半だ。

テントから出てみると何かおかしい。

というか、マツ氏のテントが無い!

どういうことかと思って、バイク置き場のほうにいってみるがバイクも無い!

どういうことなのか本当に理解にくるしむ行動だ。いなくなった。

とりあえず、炊事場で顔をあらって歯を磨いて出発の準備をはじめた。

テントをしまおうと中を片付け始めて、ジャケットの脇に置いてあった携帯を手に取ると

メールが着信している。昨日の夜中の3時だ。

「どうしても仕事が気になるので一足先に帰らせてもらいます。津軽半島によって行きたいと思います。津軽半島冬景色。」

いや、いま夏だし。「津軽“海峡”冬景色by石川さゆり」が正解だし。

 

まあ、もともと一人で来るつもりだったし気にしてもしょうがないことだが

なんだか理不尽な想いがつのるばかりです。

気にしないで、さくっと本州最北端の「大間崎」を目指すことにしよう。

昨日の夜に、地図を眺めていたのは帰る道を考えていたんだろうなあ。だったらそう言えばいいのに。

 

7時半にはキャンプ場をあとにして、国道4号線を野辺地町にむかって走ります。

途中のコンビニでパンとコーヒーで朝食。

友人のカズ麻呂氏に「下北半島の天気を知らせてほしい」とメールをうつが

結局返事は返ってきませんでしたとさ。ここに記しておく。

 

いままでは道路わきの動物の死体らしきものはなるべく見ないようにしてきたのですが

なぜかこの日に限って、「もう目をそらさずに何が起きたのかしっかり見届けよう」なんて考えてしまって

野辺地からちょっといったところでさっそく死体のようで、しか!と見つめると

なんと真っ黒な猫でありました。。。

みなさんは、黒い猫をみたらどう思いますか?しかも、ご臨終でございます。

「不吉な よ・か・ん・」これ、普通ですよね。

もうずーーーーーーーっと、頭からはなれないですよ。

ずばーーーっとまっすぐな海のすぐ脇の道を、いい天気で気持ちよく走っていても

なーーんとなく、不吉な予感が消えないです。

横浜町の道の駅で休憩しているときに

「不吉な予感はあっても絶対に何も起きないというのが現実なのだ」

と、何の根拠も無くとにかく自分を説得しました。040812

2

いつから誰が黒い猫が不吉のイメージということを決定したのだ?

その根拠は何なんだ?

などと、いつまでもうじうじと考えていると第二のトラップ

今度は真っ白い猫の・・・こんな、うそのようなことも現実にはおこっていますよ、みなさん。

これで、差し引きゼロだろう!なんて、思うわけもなく。仏滅?

 

むつ市に入ってガソリンを入れて次の目標は脇野沢村の道の駅。

国道338号線をのんびりと走ります。もう、考えない。

天気はいいし、海はきれいだしすばらしい!青森万歳!

きたー!テンションあがってきたー!無理やり、上げてみたー!

しかし、わずか30km程度のはずなのに意外と遠いように感じました。

道の駅で、初日に買った乾パンを食べてお茶を買って飲みました。

今日はこの旅の中では一番走行距離が少なくなるはずの日なので

けっこうのんびりしていました。

次の目標は、やはり道の駅の「川内ダム」です。

ここで、釣れそうだったら釣りでもしてみようかという地味な計画ありです。

到着してみると、道の駅は営業しておらず無人でした。

でも、駐車場のわきの看板に「バスとかの放流禁止」とか書いてあったので

こりゃバスがいるんだろうなあ、釣れそうな・・・気が少しする。

と、いうことで今回の旅用にとりあえず買ってみた

1600円のふりだし竿と、なかなか高級なダイワのカルディアというリールに

いつもどおりのノーシンカーカットテールをセットして挑みました!

結論!釣れねえよ。。。

天気がだんだん悪くなるし、この先の旅路がどうなるかもわからないのに

じーーとアタリを待つスローな釣りなんて落ち着いてできるわけなかった。

ベイトで、ガンガン投げて巻いて投げて巻いてをやったほうが

同じ釣れないにしてもストレスは少なかったろうなああ。

でも、ワームを追いかける10cmくらいの魚は目視できました。

 

そして、釣りをさっさと切り上げて山道を行くか元の国道に戻るか検討した結果

天気が悪くなってきたので、無理をせずに国道にでて

次の目標である大間崎(本州最北端)を目指すことにしました。

 

途中はなかなか豪快なザ ロングアンドワインディングロード。

仏ヶ浦

餌付けされ事故にあい前左足を失い、野生にはもどれないキツネさん

雨が少し降ったりしたようなしないようなそんな天気の中

大間崎に到着したのでした。

3

ここはNHKの「私の青い空」というドラマの撮影地として有名でって

いうことでいいのか?いや、たしかマグロの一本釣りとか海産物とかで有名だ。

んが、お店がたくさんあるけど高いよー。海鮮丼が2000円。ほぼ一日の食事代だもんね。

しかも、つまりこういうこと言うのは問題ありかもだけどさ

そのマグロやホタテやあわびなどは、この大間で取れたものなのか?

さすがに会社では辛口トークで有名な俺も、それはお店の人に聞けなかった。

 

それで、ガソリンスタンドで給油して近くのスーパーを教えてもらって

そこでうまそうなものを食べて節約することにした。

そのスーパーは昨日おいしい寿司をうっていたマエダストアだった。

今日は奮発して498円の海鮮丼だ!

うまい、、、うまずぎる。これは、きっとさっきまで大間で泳いでいたマグロに違いない!

この、ホタテみたいなのもきっとそうだ。この卵も泳いでたし

もしかしたら、この箸だって日本海産かもしれない。

と、妄想にひたりながら、冗談抜きでおいしい昼食をいただきました。駐車場で。

4

空をみあげると、雲が厚くどす黒い。

駐車場から薬研温泉キャンプ場に電話してみると

ここからは通常1時間もあればつくだろうということだった。

ということは、15時くらいには今日はくつろげます。予定です。

 

で、走り出すと予想通りにしとしとと雨が降ってきました。

賢いライダーは、すぐにカッパを着込むものですが

ぎゃんぶる派な俺としては、空を眺め風を読み

「ふ、、、これ以上は強い雨にはなるまい」などとつぶやきながら

しっかりとジャケットを濡らし、ウエストバックを濡らし・・・かなり、じとじとしました。

まあ、キャンプ場でのんびりすりゃいいや!

 

5

国道279号を風間浦村から大畑町に抜けて

雨にぬれながらもキャンプ場に到着する頃には太陽が見え始めました。

「俺の計画通り」とか思ったりすることを忘れてはいけません。

このくらいの雨は降ったうちに入らないから?

キャンプ場は500円ですが、ネットによると無料の温泉が有名とのことで

管理人さんにそのことを聞くと丁寧に場所を教えてくれました。

露天風呂で外からも丸見えだし、ある意味自然の一部ということなので

シャンプーや石鹸も使ってはいけないということと

この時期は、ブヨ?アブ?とにかく、虫が多いので、それが嫌ならば

近くの旅館などで内湯にはいるといいですよ、というアドバイスももらいました。

テントも張って、もう今日はくつろぎモードに入ろうかとも思いましたが

キャンプ場の裏山に林道が続いていることがわかったので

せっかくCRMでオフロード走れるんだったら

土産話にはしっていこうじゃないか!なんて、いい気になって林道に突入しました。

 

6

一人で全然知らない林道にはいっていくわけだから無理は禁物。

なにしろ俺は、いろいろ自爆率が高いことと事故現場に家族を呼ぶ事で有名?

なものだから、いちおう自覚はあって気をつけなくてはいけないと

中途半端な迷った気持ちでコーナーリングとかはしちゃいけないと自分に言い聞かせつつ

どんどん奥に、山を登っていくと野生のお猿の群れに遭遇して

なんか、、、だんだんいい気分になってきました。

 

分かれ道を、気の向くままに進んで行き止まりだと引き返してまた進んで

と、調子よく走れているつもりでしたが

さすがに疲れてきたので、いいようのない不安感がぽつりと現れて

山奥にたった一人だということを気がつかせてしまい

ビビリスト協会会員の俺としては「そろそろ戻ったほうがいいかな・・・」なんて思って

ユーターンできる場所を探しながらとぼとぼ走っていたのですが

そんな都合のいい場所がない。

行くべきか、この場所でユーターンするべきか、ぼんやりしながら

「もうここでいいや」なんて思っていくらか道が広い場所で、ふらりとバイクを傾けたのですが

みなさん、ここまで辛抱して読んでいる人なら思い出しませんか?

林道の入り口。ずーーっと先に、どこかにつながるようでしたが・・・

7

「不吉な予感」は、あたりました。

少し大きな石にフロントタイヤをとられた後は、

くたびれて緊張感のない俺に

もうバイクの傾きを踏ん張るような気力はでてきませんでした。

「ああ、タチゴケしちまうんだな」そう思いながら、ガタリと、ゆっくりとバイクを左側に倒しました。

自分も同じようにごろりと石の転がる山道に倒れましたが

そんなことより、ガソリンがもれたりしないうちにバイクを早く起こしたほうがいいな

という判断はできたので、ハンドルに手をかけようとしたときに

ミラーが石の影に挟みこまれているようでした。

「うそ!」って、うそじゃない。ミラー割れてました。

ショックでボーっとしてるわけにもいかないので力を振り絞ってバイクを起こしました。

とりあえず、スタンドを立てて見るとミラーの半分ほどは、なんとか残っていました。

こんなとき俺はひどく反省してしまいます。おちこみます。素直なよい子です。

お父さん、お母さんいままでありがとう。

いや!そんなことより早く状況を立て直さなきゃいけません。

こんな風にこけた後って、当然のごとくエンジンかかんねえんだよなあ。

しょんぼりと冷や汗を垂らしながらキックをけり倒しますが

全然かからねえ!

だったら、せっかくの山道下り坂なんだから押しがけすりゃいいんじゃん?

バイクにまたがって、クラッチをぐっと握って

坂を下り始めたのですが・・・なんか、ギアが入らないみたい???

「不吉な予感 第2章?」とか思っって

そういえば、弘前でギアオイル変えたりしたけど俺の想像以上の何かが起きてるのかな

なんて、一瞬、そうたぶん一瞬なんですが長く感じる瞬間を経て

一度立ち尽くしたあとに、よくわからないのですが

ガチャリとギアが入って坂道を勢いよく下り始めてついにエンジンがかかりました。

*正直にいって、このへんの出来事はパニクッていてのでよく覚えてません。

 

もう、転べないぜ!とかビビリストメーターを振り切りながら

キャンプ場に変える途中、暗いみちのなかでふと「予感」が・・・・・

常時点灯してきたライトがついていません。

どうやら、玉が切れたみたいです。もう、あきらめた。

ライトに関しては、ハイビームならつくという事はもういままでの経験上知っていたので

すぐにあきらめがつきました。

これで、黒と白の不吉な予感はすべて払い終わったと実感しました。

 

8

そのまま、キャンプ場によらずに俺はとりあえず

大畑町を目指しました。バイク屋があればミラーを交換したかったからです。

まあ、左のミラーだし、半分は見えてる気がするし

いい感じのミラーがあれば交換しようと思って町にいったのですが

ガソリンスタンドで聞いても、ミラーなどを取り揃えたバイク屋はないんじゃないか、ということでした。

もしかしたら、ツルヤという量販店にあるかもしれない

とのことで、親切な人10人くらいに道を尋ねながら・・・わかんねえよ場所。

って、あきらめた頃にやっと店を見つけたけど、やっぱミラーはなかった。

でも、そろそろ残り少なくなったエンジンオイルを購入。

 

もうあきらめて、コンビニでビニールテープとアロンアルファを買って

ハイビームがまぶしすぎないようにテープで目張りをして

割れたところに、まじないとしてアロンアルファを垂らしてさらにテープで補修。

夕食には、野菜が食いたくなったのでサラダと、豪華にハンバーグを購入。

 

もう、18時近かったので急いで戻って

教わった無料の露天風呂「かっぱの湯」に向かう。キャンプ場からバイクで2分くらい?

そりゃあ、気持ちよかったですよ。告白しまっすがこの真夏日に2日ぶりの風呂だったですもの

んが、やはりアドバイスにあったように虫が多すぎる・・・

なにしろ、顔をだしてると顔にぶんぶんたかってくるので

顔面にはタオルをかけてじーーーっと耐えるという状況でしたとも。

 

あれ、今日のビールは・・・

風呂からあがって、思い出したようにわざわざ大畑町に向かってバイクで走って

ビールを買って、すぐにキャンプ場に戻って

ぐびーーーーっと、もう19時です。ぷはーーーっと、食事の準備です。

もう、ざーーーっとハンバーグ焼いてラーメン茹でて食って

もう一本ビール飲んで、、、くつろぎ始めた頃です。

夜空をぼんやりながめていました。

21時頃だったでしょうか、電話がなりました。

「奇跡が起きてるよ!」この声は、間違いなくマツ氏です。

「こっちは不幸にみまわれております」

「つうかジーコジャパンはすごいよ、マジで。遠藤退場だよ。ボンバヘッドに玉ちゃんだよ!」

「俺の話はどうでもいいんでしょうか?」

「とにかく、バーレーンに逆転勝ちですよ!じゃ、明日から出社しますから。

とにかく怪我のないように、気をつけて旅をお続けください。」ブチ。

 

と、そこまで乱暴な電話ではなかったわけですが

要約するとそういうことだろう。マツ氏よ。

とにかく、この日激闘の末にジーコジャパンがアジアカップ決勝進出を決めたのだった。

 

「22時〜朝6時までは静かにしてください」ということであったが

一部日本語が読めない人たちが騒ぐ中に

「ここは新宿じゃないんだぞ!静かにしたまえ!」などということは俺もいわず誰もいわず

静かに酔っ払ってテントで寝てしまったのであった。

 

4日目 高速道路で見る夢は家の布団編

 

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