2004年度 文化事業推進委員会 公式行事推奨

みちのく一人旅は時計仕掛けのアップルの夢を見るか

作:ジミ・ヘンデルセン(東北ツーリング初心者)

夜が明けた。ガサガサなにやら音がする。

となりにいた、おさっさんは早々とテントをしまい始めている。

まだ、5時ちょい過ぎだというのに気の早いことだ。

俺はぼけーっとしながら、顔を洗ったり歯を磨いたり

出しっぱなしだった昨日の調理道具をゆっくりと片付けた。

そうこうしていると、おっさんはすでに荷造りを終えて出発するところだった。

俺は自分が、今日からは「行く」行程ではなく

「帰る」行程だということだったのでちょっと緊張感がゆるみ

のんびりとキャンプ場の澄んだ空気や、静けさを味わいたい気分だった。

だから、急いで出発するおっさんを見るとなんとなく

そんなに急がなくてもいいんじゃないのか、なんて勝手なことを思ったりした。

 

おっさんが出発したと同時くらいに、なぞの車軍団がキャンプ場にやってきた。

車からは機関銃を持った黒装束の男たちはでてくるはずもなく

やっぱりふつうなおじさんたちで忘れてしまったがこのあたりの漁業関係の人たちで

なんと新鮮なイカの刺身を無料でキャンプ場利用者に振舞ってくれたのだった。

醤油と生姜をつけて、パクパク食べました。うまいす!うまいす!

 

とか、のんびりしているうちにもうすぐ7時じゃないか!

俺の予定では昼には八戸から高速に乗って・・・その後は、それから考えることになっている。

さすがにのんびりしすぎたか。テントをたたみながら「次はいつ使うんだろう・・・」とか思いつつ。

 

「また来たいなあ」と思いつつも、

昨日林道でやっちまったことを、ふと思い出したりもしつつ

つうか、左のミラーが半分ないし、ほとんど見えないしって状況で出発。

とりあえず、恐山を目指して走るがしばらくすると急いで出たはずのおっさん発見。

急ぐのは出発だけか?なんて、乱暴なことは思いません。ほんと。

でも、あまりにも自然を満喫しているようなので邪魔しないように先に行かしてもらいました。

 

2

恐山というイメージ。

なんかそびえたつ岩山と噴出す硫黄。そして、宗教的な修行場。

そんなイメージだったのですが、いってみると普通の山。

その一部が、確かに、一部が岩山と硫黄、そしてお寺というか修行場というか

そういう場所になっているようでした。うーーん、百聞は一見にしかずでしたっけ。

もしかしたら、俺は一部だけしかみてなくてもっとすごい場所があるのかもしれないですが

とりあえず先を急ぎたかったのでお寺の拝観もせずに出発。

ほんとは、何か恐山グッズがほしかったけど、おみやげ物屋は開いてませんでした。

見覚えのある風景、三途の川。。。箱根の峠でも見た記憶あります。

恐山をでて、ちょっと走ったところで陸奥湾を眺めたりしてむつ市を目指します。

そこから、太平洋側にそって八戸北ICを目指します。

 

それにしても、陸奥湾側の昨日の風景と比べてしまうと

太平洋側の道にはあまり起伏がなく走り応えがない。でも、車の数などは多い。

ということで、なんとなく疲れる。

途中で、原子力発電所のある六ヶ所村を抜けましたが

なんというか、不思議な感じがしました。

何にもないところに、あまりにも人工的で無機質な空間がどうどうと占領してるもので。

 

とにかくずーーっと、安全運転で車の後ろ、ダンプの後ろを

辛抱強く走りつづけました。百万石町のローソンで休憩しました。

パンとコーヒーと野菜ジュースを買って、地図を広げて眺めてみました。

ちょっと嫌気がさすぐらい東京は遠い。

帰るのが面倒にも感じられるけれど、帰らないというわけにもいかない。

お疲れです、やや疲れております。

だからといって、誰かを、何かを頼ってどうにかするわけにもいかないし

そういうことをむしろ避けるためのこのツーリングなので

うんざりしつつも、またバイクにまたがって八戸北ICを目指します。もうすぐです。

 

3

ガソリンを入れて、いよいよ八戸北ICから高速道路に乗ります。

もう、あとはただ走るための時間だけが残されたようなものです。

時間を距離に変えるための時間。

だらだら下道を走るよりは効率もいいしある意味では安全な高速道路。

でも、毎日走り続けるのはちょっと味気ないですね。

風景を楽しんだり寄り道したりできないですもんね。

でも、今はそんな悠長なことを考えてる時ではありません、もう12時を過ぎました。

今日は、事実上一日目と二日目の高速道路をなぞるということです。

(岩手山〜前沢〜国見〜)

 

疲れてきているせいもあってか、休憩が必要と感じます。

高速道路は、やっぱり景色が単調だったり、基本的には直線だけって感じなので

とにかく緊張感が保てなくなってしまうのです。それは次には、眠気を誘うことを意味します。

バイクも居眠り運転はあります。

よほどの制約がないかぎり、人間は眠気に打ち勝つのは難しいのではないでしょうか。

ちなみに、バンドの練習ですごい音量のスタジオの中でも人は眠れます。

夜中の練習中に、あまりの眠さで俺は寝れました。あ、会社でも・・・

だから、バイクの上なんて寝るのにどうってことないわけですよ。

でも、寝ちゃだめです。危険です。迷惑です。

ということで、さらには判断力も落ちてきます。

とにかく、休憩です。安全運転です。

 

そんなこんなで、安達太良SAで休憩をすることにしました。

すでに、夕方の5時になっているのに今日中に家に帰るか

それとも、このあたりで下道に出てどこかにキャンプするか、宿をとるかなにも決断できていませんでした。

あたりまえですが、一人旅ではすべて自分が決めないとどうしようもないわけで

元気のあるときは、いろいろアイデアも好奇心もでてくるものですが

疲れてしまうと何しろ考えるのが面倒くさい。

そんなわけで、缶コーヒーを飲みながら、ふと携帯をみるとマツ氏からの着信履歴が。

とりあえず電話をしてみることにしました。

 

「もしもし、なんか電話くれたみたいだけど・・・」

「あー、そうなんだよ仕事終わったから、どうかなーと思って電話してみたのよ」

「いま、やっと福島に入ったんだけどさー、どうしようかなーって。もう、こんな時間だし」

「もう、帰ろうと思えば一気に帰れる距離だよな。福島といえば」

「そうなんだけど、結局帰っても土曜まで特にすることもないし、どうしようかなあ」

「あ、じゃあ、前に桧原湖に釣りにいったあの旅館にでも泊まって明日釣りでもすればいいじゃん」

「いや、釣りはとりあえずいいかなあ・・・」

「確か、俺の記憶では桧原湖周辺にはキャンプ場もけっこうあったしさ、

とりあえず桧原湖周辺に行ってみればいいんじゃない」

「・・・そうだなあ、まああの周辺なら確かにどうにかなりそうだな」

「うん、絶対そのほうがいいって」

 

桧原湖には何度もバス釣りにいっているのでなんとなく周囲の状況はわかっていた。

キャンプ場もあるし、けっこう素泊まり可能な宿も多い。

ただし、もうすぐ6時になってしまうというのが問題な気がするが・・・

あんまり迷っていてもしかたないのでマツ氏の言うとおり

取り合えず猪苗代磐梯高原ICを目指すことにしました。

 

4

あとどのくらい太陽の光が残っているのかを考えるとキャンプは面倒くさい。

夕暮れのなかを郡山ジャンクションを抜けて猪苗代に向かう中でキャンプ指数は下がる一方でした。

かといって、6時過ぎにいきなり宿に行って素泊まりなんてできるものだろうか?

でも、最近いろんなところに出かけるたびに思うのですが

ほんとうに宿は低価格で泊まれるところが増えてきました。

富士五湖周辺で釣りのときも、友人の引越しで甲府の辺りに行ったときも

前日の予約とかでも低価格で宿がとれましたから。

それというのも、この数年の不況のおかげ、

低価格競争で生き残りの道を探す宿が増えているからだと思うのですが、

本当にそれでいいのかどうかそれは俺にはわかりません。

でも、安い3000円程度で泊まれる宿があるというのは助かるものです。

 

猪苗代ICをでて、いつもはカズ麻呂氏の運転で来ているせいで

ぜんぜん方向感覚がつかめずに一時は反対方向に走ってしまいましたが

なんとか、いつもの裏磐梯方向の看板を見つけて軌道修正。

ガソリンも満タンにして、すでに6時をまわるなか

頭のなかには以前とまったことのある「・・・荘」(名前忘れた!)。

場所はなんとなく秋元湖のほうの・・・うーーん、迷いながら記憶をたどりつつ・・・

なんとかなるものです。着きました。もうすぐ7時です。

こんな時間にいきなり客が訪ねてきても普通はお断りだるなあと思いつつ

「すいませんが、素泊まりなんですが・・・」

「いいですよ、すぐお部屋を準備しますんで」

「あの、ちなみにお値段は・・・」

「こんな時間だしねえ、安くしときますよ、3千円でいいですけど」

「まじすか、よろしくお願いします!」

と、とんとん拍子に本日の宿決定。

今日はのんびり風呂に入ってゆっくりビールでも飲んでくつろごうっと。

 

5

素泊まりなので、食事を買いにセブンイレブンに。

歩いては行けない場所なので、しかもバイクで5分くらい?あったかな。

ビールを2本と、お弁当、お菓子を購入して宿に。

それからのんびりと風呂に入って、ビールを飲みながら明日の予定を立てていると

携帯が鳴りました。

「もしもし」

「マツですがー、結局今日どうしたの?」

「あの、まえにTFGさん(釣りの仲間)と泊まった宿に泊めてもらえたよ」

「あのボロいって噂の?」

「いや、俺はそんな噂してないけど。。。だったらまた来ないし」

「あ、違うか。確か、秋元湖のほうだっていってたよね」

「そうだよ。けっこう、奥まったところ。」

「で、明日の予定は決まったの?」

「いや、まだ決まってないんだけど、関越道のほうに抜けて一気に青梅ICまで帰ろうと思って」

「ほー、それはなかなかいいねえ」

「ま、細かいことはこれから決めようかと思ってるんだけど」

「なるほどー、まあ、じゃあ最終日事故には気をつけて」

「おう、気をつけるよ・・・」

なんて感じの話をして電話を終えて、地図を見ているうちに激しい眠気に襲われ・・・

かろうじて、部屋の電気を消してあとは明日起きてから決めよう・・・

 

 

次号予告

予定を立てずに眠ってしまったじみへん氏を襲うなぞのライダー?

峠での暴走トラックとの、ばかばかしいバトル!

京都府ナンバーのアベックライダーが攻撃する?!

ラブファイヤー攻撃を無事かわすことができるのか!?

 

ついに完結! 近日公開予定!

 

なんというか途中までだけど、これが最終日なのです!