本のプレビュー

・竜の棺1 高橋克彦
 義経の北行伝説を追う九鬼虹人たち。彼らの前に現れる津軽開発の人間。謎の男女。日本が舞台で古事記や日本書紀を元に作られている。古来東北は日本の中心であった。今ではほぼ常識に近いが、当時の私はびっくりした。東日流外三郡誌や竹内文書など信憑性に欠ける資料を使ってもいるが、妙に納得させられる作りになっている。九鬼虹人の謎解きが面白い。

・竜の棺2 高橋克彦
 竜は西洋では悪魔、東洋では聖なる存在である。その謎を解き明かすため九鬼虹人たちは世界に旅に出た。前作竜の棺1に引き続き、謎が謎を呼ぶスペクタル第2弾。竜と牡牛の謎については様々な本で紹介されているが、この本ほど明確に記したものはない。西洋でいう竜はドラゴンのことで、宝を守る怪物であったり、美しい姫君を誘拐する魔物だったりする。東洋では神として崇められ奉られているのにだ。このおかしさは私も疑問に思っていた。その謎を解く鍵はシュメールにあった。これはそういう話である。面白い。

・夢から、さめない 白倉由美子
 難しそうな思想と少女趣味的な内容の小説。決してつまらなくはないし、何度か読み返してもいるのだが、要所要所気に食わない。カミュの残した名台詞「あなたと世界の戦いでは世界を支援せよ」など思想はうまく使われている。気に入らないのはこの小説に哲学的要素が混ざっているという解釈の仕方なのだ。哲学とは「真理」の探求であって、カントを読解するとかサルトルを理解するなんてものはそのための準備に過ぎない。ましてや、思想と一緒くたにするのは明らかな間違いなのだ。この本は多少の思想が入った恋愛小説と読むのが正しい。そう読めば全くこれっぽちも難しくないし、楽しく読める。