漫画の感想

その前に漫画に対する私の基本的姿勢を紹介します。

@嫌いな漫画は載せません。読んでいて私が不愉快になるからです。

A漫画は吹き出しだけでなく、一コマ一コマの表情や背景描写も大切だと思っています。そこから読み取れることも多いのです。

B上記により美味しんぼの後期作品は薀蓄が多くて、表情に乏しいので好きではないのですが、薀蓄度が素晴らしいので例外です。


孤独のグルメ
 酒の飲めない中年独身男のひたすら食べることを描いた作品。これは初期の美味しんぼに匹敵するくらい面白い。グルメと名前に付いているが、食べているのはそこらへんの大衆料理屋。それも過剰な演出はなく、シュールに食べることを表現している。これを偶然買ったときは、2時間新幹線に揺られていたのだが、何度も読み返した。
 ひたすら食べる話が18話続く。とにかく食べる。味より店の雰囲気に拘っている様子が伺える。例えば、店主が客の前でアルバイト生を怒鳴り散らすシーンのある第12話でそのスタンスを披露している。「モノを食べる時はね。誰にも邪魔されず自由で、なんていうか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで・・・」なんてすげーんだろう。よく分かる!という人もいれば食事は大人数に限る!という人もいるだろうけど。独り静かに食べるとき彼は豊かになり、社会の喧騒から逃れられる。彼独特のストレス発散方法なのかもしれない。
 江ノ島に行った第9話では、少しだけ出された食べ物の味付けが気に入らなかったみたいだが、「こういうところで食うものに文句言っちゃいけないぜ」と。かなり不味ければ話は別でしょうが(笑)。
 とにかく、読めばお腹が空くこと請け合い。ちょっとだけ暇なときに手にとって読むのに最適な漫画であろう。

七夕の国
 前作寄生獣より先に読んだので、感想もこちらが先で。
 これは全四巻だが完成度が凄まじい。ストーリーに破綻がなく、起承転結がきっちりできている。またメッセージ性も相変わらず強い。それが寄生獣では人間の身勝手さや弱さといった負の部分だったが、今作は希望がテーマになっている。寄生獣→七夕の国と読んで行くと、まるでパンドラの箱を開けているみたいだ。寄生獣の主人公、泉新一が真面目すぎるのに対して本作の南丸洋二は楽観的というかバカっていうか・・・悪口じゃないよ、能天気なところがあるから、希望というテーマが成り立ったとも言える。まあテーマが先か主人公の性格が先かというのは読者には分からないので、推測とも言えないもんではあるのだが。

イエスタデイをうたって
 冬目景さんの作品。ビジネスジャンプに不定期連載をしており、コミックは4巻まで発売されている。これについては詳しく語りたいので、タイトルをクリックしてほしい。
 主人公魚住陸生とその大学時代の同級生であり彼が想いを寄せている高校講師の森ノ目しな子、陸生に恋した黒ずくめのカラスを連れた少女野中晴、しな子を追いかけて出てきた美大を目指している早川浪。脇役には兄、妹、弟と冬目景作品に出ている木下さん。晴の高校時代の知り合いである湊航一が出てくる。登場人数は少ないもののそれぞれが色々な悩みを抱え、様々な考えを持っていて、更にこの漫画における立ち位置をわきまえて登場するのでいい味を出している。