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<字書きさんに20のお題+さらに20のお題>
2−12.せい
なんかアタシってゴシップ好きのミーハー娘じゃない?
とにかく気になりだすと解明しなくちゃ納得がいかない。
知っている、これが旅に全然関係ないってこと。
分かっている、だからどーなんだってこと。
たぶん、自分の希望する答えが欲しいだけなのだ。
一行がくつろぐ宿屋にて。
自由行動であった午後のひと時を終え、エリスは部屋へ戻ってきた。本日は予算の関係で四人部屋である。キリカの姿は見えなかったが、ルキとヤマトは先に帰っていた。
(チャンス、かも)
エリスはドアを閉め、確かめるように彼らのそばへ寄った。
「おう、お帰り」
「おかえりなさい」
武闘家と勇者はそれぞれのことをしながらエリスに声をかけた。ヤマトは露店で買ってきたであろうフルーツの串刺しを頬張り、ルキは購入したであろう道具を検分していた。
「あのさ」ヤマトに考える隙を与えず、エリスは素早く発した。「キリカのこと、どう思ってんの!」
ただいまも言わず。まっすぐに男の眼を見ながら。ごまかしは許さないからね、とばかりに。
「どう……したんですか?」
とは勇者の弁。しかもどこか戸惑っているのか眼が泳いでいる。
(いや、そーじゃなくて。ルキちゃんが動揺してどうすんの!)
一方の武闘家は、思い切り大口を開けてフルーツにかぶりついている。動きが止まることもなく、むせるわけでもなく、普段とまったく変化がない。
勇者はエリスの質問の意図を察したのか、急に言葉をつぐんだ。二人の会話の対決を邪魔しないようにと気を遣ったのだろう。
誰も言葉を発しない状態になった。
エリスはヤマトを逃すまいと睨みつける。
やがてヤマトは口の中のものを飲み込み、ふうとため息をついた。
「さあ、正直に答えてもらうわよ」
エリスは両手を腰に当て、思い切り胸を張る。ヤマトは欠伸をしそうなほどつまらなさそうな顔でぽつりと言った。
「別に、どこへ行っても飽きるほどされた質問だからな。腕は信頼してるぜ。あいつがいなかったら、俺、死んでたかもしんねえし」
「ほえ?」
エリスの喉から間抜けな声が漏れた。そういえば、まだ四人が出会ったころに、そんな話を聞いたことがあったかもしれない。なんとなく意図したものとは別の方向へ流れてゆく。エリスの知りたかったことなど稚拙で軽薄で無意味なものでしかないことが浮き彫りになってしまう。
「あ、自分も……キリカにはよく助けてもらってるし。仲間としてでもそうじゃなくてもすごくいい人です」
(って、なんでルキちゃんがツッコミたくなるようなこと言ってんのよ)
とにかくヤマトの口から、二人の関係をはっきりさせるような台詞を引き出したかったのだ。これから旅を続けていく上で、ひょっとしたら重要かもしれないし。こっちだって、もっと気を配ってあげられるかもしれないし。たとえば部屋割りのときとか、情報収集のために二手に別れるときとか。
キリカに試しにカマをかけてみたら、ものの見事に外されてしまった。というか自分の仕掛けた罠に自分ではまったというか……。
(ありゃ失敗だったもんな)
だからこそヤマトには!
「納得行ってねえ顔だな」ヤマトはにやりと口の端をあげた。「もっと分かりやすく言ってやろうか。俺の、キリカに対する本当の気持ちを」
エリスはかくかくと肯いた。ルキまで正座して耳を傾けている。そうさせてしまう空気が一瞬で出来上がったからだろう。
ヤマトはめったに拝むことすらない真剣な表情で、真面目な声音で言った。
「俺は抱けない女に興味は無え」
あまりの説得力に、眩暈を起こしそうなエリスであった。
2−12せい 了(2010.08.03)
言い訳&あとが記
「性」でした……スイマセンm(__)m
単純にしょうもないエロトークってことで。ルキには刺激の強すぎる話でしたかね。ちなみにエリス曰く「キリカにカマをかけてみた」のはウェブ拍手のSSにて公開中です(宣伝)あっちもそろそろ新しいのにしたいなぁ。
本当は「抱けない」ではなく「ヤレない」だったのですが、あまりの品の無さに(でも「ヤレない」の方がヤマトらしい言葉づかいである)急きょ差し替え。しかしこのSSって完全にヤマトの株が下がるのでは(滝汗)
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