超個人的・旅コラムH

'05.9.2

【パート3:海岸沿いを、秋田へ】


 酒田で15分の乗り換えの後、羽越本線をさらに北上。市街を抜けると、再び田んぼが広がる風景の中を進む。吹浦を過ぎたあたりで、左手に日本海が現れる。波は穏やかで、まだ夕暮れまでには時間があるものの、海面には太陽がきらめいている。まぶしさで目を細めているうちにいつのまにか眠っており、気が付けば、羽越本線随一の景勝・象潟を過ぎ、羽後本荘の手前まで来ていた。時間帯は気持ちいいお昼寝タイムだが、どっと疲れた感がある。寝不足なのもあるが、横向きのロングシートで寝ると、寝たのを後悔するくらい疲れるときがある。気分転換のために席を立ち、乗降口にもたれかかる。ロングシート車で景色を見るのなら、このポジションが一番落ち着く。海岸線の松林は常に強風に吹かれて身を低く屈めており、一部は立ち枯れているようにも見える。並行する国道7号線は車がひっきりなしに行き交うものの、歩いている人は一人も見かけない。もの寂しげな風景だった。秋田の1つ手前の羽後牛島で、2学期が始まった高校生をたくさん詰め込み、さらに到着直前に、突然夕立に見舞われ、車内も外も一転ムシムシとした雰囲気で、秋田に到着した。

 今日の宿泊予定地である秋田を一旦スルーし、追分まで乗り通す。10分の乗り換え時間(実際には例のごとく、駅前の観光時間)ののち、今回初乗車となる男鹿線に乗り込む。3両編成のディーゼルカーは、デッキまで学校帰りの学生でいっぱいだ。日常の風景、生活に密着した普段通りの姿。非日常なのは私くらいか。男鹿線は男鹿半島の南側を通るものの、海岸線とは若干距離をおいて走る。線路脇に並ぶ防風林の合間から時折見える風景は、ここが海のそばとは一見思えない。二岡を過ぎたあたりで海岸がチラッと望めたが、船越水道を渡ると再び内陸に立ち戻る。

比較的席が埋まったまま、終点の男鹿到着。既に時間は19時前。さらに先程来の雨雲もあり、辺りが闇に包まれようとしている中、男鹿駅の駅舎にあるなまはげの像は、なにやら異様な妖気を醸し出している。一方、折り返しの発車時刻を待つキハ40が佇むホームは、人気も三々五々、アイドリング音だけが周囲に響いている、ノスタルジックな空間となっていた。


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