超個人的・旅コラム 〜赤穂・岡山

99.4.7

【パート1:赤穂】

  先日誕生日を向かえ、私は21歳になった。今日の旅は、単なるメモリアルだけが理由ではなかった。これから何年、何十年と私と鉄道、私と旅の付き合いは続けたい。その方向づけを今日したかったのだ。大袈裟に言えば、そういう決意や覚悟を今日の日に込めたかったのだ。とは言いながら、それほど意気込んで旅の第一歩を踏み出したわけではなく、いつもの旅立ちとそう変わらない、わずかな緊張感と込み上げる期待感を、ウォークマンのZARDの曲とかきまぜて、私はまた、大阪駅5番線に立った。

  これから乗るのは、7時18分発の大阪始発の新快速だ。少々着いたのが遅かったか、好きな席を選べるほど余裕はなさそうである。しかし座席の心配事より別に、もう一つ心配事がある。私は未だかつて1回、4分間しか223系1000番台に乗ったことがない。前回も見事に裏切られた。車両数の割合からいっても、もうそろそろめぐりあうのではないか、と思っていた矢先、京都方面から現れたのは、大きいフロントガラスの下の白いボディ、その両端には両目の白の前照灯、やはり221系だった。もう何十回目になるだろうか、慣れ親しんだJR西日本の代表車両で、今回も山陽路を西へ下っていく。

  車内での記憶もほとんど無く、すぐに姫路に到着、あとから追いついた新車両の<スーパーはくと1号>に先を譲り、115系の普通列車で今回の初めての途中下車駅、相生に降り立った。相生は一応新幹線停車駅、小さいながら街があるのだろうと思っていたが、閑散とした新幹線コンコースの裏に国道2号線があるだけ。わずかな商店街も閑古鳥が鳴いていてコンビニのひとつもない。駅の南側では再開発工事らしきものをしていたが、ここまで何もないところとは思いもしなかった(相生の市街地は南へ1〜2km行ったところらしい)。

  20分のインターバルを予想外に長く感じさせてくれた相生をあとに、赤穂線に入って播州赤穂へ。赤穂は前から一度訪れてみたかった街だ。ちょうど今NHKの大河ドラマの影響もあって、普段よりは観光色が多少強いところはあるだろうが、駅前から赤穂城に続く道ではポストや街灯などにも歴史のある街らしく工夫されていて、いい雰囲気である。と思うと、1本入った路地は静かで、板作りの塀の上から背の高い樹木がのぞいているような昔ながらの町並みが残っており、こちらも趣き深い。その中核をなすのが赤穂城跡である。大きな天守閣などは無く、屋敷の跡がわずかに残っているに過ぎないが、その周りにある大石内蔵助の旧宅などは当時のままの姿である。また城内に入る石垣の高い門を通ると、忠臣蔵の時代にタイムスリップしたような錯覚さえした。また、城の横にある資料館では、おぼろげだった忠臣蔵のストーリーがはっきりし、また赤穂は忠臣蔵だけでなくそれ以前から塩田で栄え、上水道などもあった先進的な場所であったことを新たに知った。ここは確かに歴史の深い街であることを感じた。

<パート2へつづく>

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