超個人的・旅コラム 〜赤穂・岡山

99.4.7

【パート3:ついでに四国へ】

  思わぬ収穫を得た備前田井を離れ、終点の宇野へ。宇高連絡船がなくなってから既に11年が経ち、広かったヤードや桟橋も再開発されていて、駅の建物もきれいになっていた。四国からの本州の玄関口だった当時の面影を残すものは特に見あたらなかったが、今でも宇野港として機能は十分に果たしているのだろう。特に貨物船が目につく港内をまわって、コンテナ置き場の横を通り過ぎて、宇高国道フェリー乗り場まで10分くらいかかった。もう既に宇野−高松間の船はなくなってしまったと思っている人が多いと思うが、まだ残っている。というよりも、約30分おきの高頻度ダイヤで積極的に運行されている。また利用者もまあまああるほうで、しかも運賃が390円。その船内はというと、思いのほかゆったりした空間に仕上げられていた。またデッキにはカラオケボックスもあり、高松までの約1時間一人で熱唱しようかと思ったが、先客があったため断念し、船内のソファで少し眠った。

  さて高松港に着いたのはいいものの、高松駅からは少し離れているらしい。しかも、高松の市街地は初めてなので、どっちに進んだらいいかもわからない。しかし、太陽の方角を頼りに西のほうに歩いていくと、琴電の踏切と駅があった。少なくとも線路沿いに歩けば高松築港駅に出られるのである程度の方向はわかり、少し安心する。方向さえ分かれば心理的にかなり余裕ができる。本当に線路沿いに歩いたらつまらないので、官庁街のほうをまわって高松駅に出ることができた。列車の時間もあり結局高松の街中は回ることができなかったので、再訪を誓って工事中の高松駅の中に入る。

  車庫に新しい<サンライズ瀬戸>を右手に見ながら高松をあとにし、<マリンライナー52号>で瀬戸大橋を渡って本州に戻る。そういえばマリンライナーに乗るのは何年振りだろうか、久しぶりである。私は運良く窓側に座れたが、高松を出る時点で立っている人が何人かおり、坂出ではさらに乗りこみ満員になって瀬戸大橋を渡っていく。この車内が象徴するように、既に高松と岡山は一つの生活圏といっていいだろう。瀬戸大橋が結んだのは四国と瀬戸内の人の夢だけではなく、二つの都市の人や物の流れもより強いものにしたようだ。

  駅前に何もなかった茶屋町と備前西市に途中下車した後、岡山まで戻ってきた。今までは19時05分の姫路ゆきを利用してきたが、今回はその次の20時22分の姫路ゆきに乗ることにした。1本遅い列車ということで多少余裕を持ちすぎたのか、夕食を済ませて駅に戻ってきたときには既に姫路ゆき115系は入線していた。しかも、山陽線ホームではなく、赤穂線ホームである9番線に入っていたので、一瞬戸惑ってしまった。ボックス席は全て埋まっており、何とかドアの横の2人掛けロングシートを確保できたものの、もう少し遅かったら姫路まで1時間20分立ちっぱなしを覚悟しなければならなかったところだ。やはり岡山−姫路間の列車に乗るときは、どの時間帯でも気をつけなければならない。それにしてもこの列車は全区間を通してずっと混んでいる。休みの間だけでも普通列車(できれば快速)を増発してもらいたいものだ。しかし、この季節の利用者のほとんどが青春18きっぷユーザーならば、会社としては増収にならず、難しいところであろう。

  いつのまにか居眠りしていて、気がついたら姫路に到着するところだった。姫路まで戻ってきたら、あと一息である。大阪へのラストランナー、新快速をしばらく待つ。始発駅なので座れるのは間違いない。あとは例の一抹の希望をもって加古川側からくる折り返し列車に目を凝らすと、朝に大阪駅で見た同じ顔であった。皮肉にもその前に発車した快速列車は223系1000番台であり、その列車では近鉄の最終列車に間に合わなくなるので乗りかえるわけにもいかない。また今回も念願は叶わなかったが、それだけ次に新快速に乗るときの楽しみが増えたということでもある。念願叶って初めて223系1000番台に乗れた時の感慨も、また格別なものになるだろう。いつでも会える二人の十回のデートよりも、なかなか逢えない遠距離恋愛の恋人との一回のデートのほうがドラマティックなように・・。ならばまた次回も新快速を使うような旅をしてみよう。こうして、旅の楽しみはまた一つ増えていく。旅の魅力がもう私を離さない。

<完>

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