超個人的・旅コラム

‘00.5.4

【パート2:初乗り・感動!・神戸電鉄】

  さてここから隣接する神戸電鉄に乗る。ここで見る神戸電鉄は、地方のローカル私鉄にしか見えない。こぢんまりとしてなにやらかわいい3両編成は、三田を後にし、のどかな風景の中を走る。寄り道したウッディタウンはさすがに計画的な新住宅地を形成しつつあった(まだ未開発のところも多かったが)が、本線に戻ると再び山の中、といっても、裏六甲のなだらかな山麓の田園地帯を、特に飛ばすでもなくのんびりと歩を進めていった。六甲山に近づいてはいるが、なだらかなアップダウンが続くのは意外な気がした。

  1時間弱が過ぎ、左手に神戸地下鉄の緑色の車両が見える、北神急行の乗換駅・谷上を過ぎたあたりから、その穏やかな景色が変わりだした。いよいよ六甲に近づいたと見え、列車のスピードが鈍りだした。先頭車両から見える光景は、まさに壁と表現するに値する、急峻な上り坂である。こんなところを列車が走るのか!最急勾配50パーミルが連続するかなりの急勾配が、右へ左へと振りながら延々と上の方へ伸びている。しかも、ここの急勾配に張りついているのは鉄路だけでなく、周りが住宅街だったのには驚きである。家を1歩出ればすぐ坂道なこのあたり、住むのにはちょっと不便な気もするが、特に山頂の方に集中してずっと家が並んでいる。(途中にも、その名も「山の街」駅があった!)

  こんな山岳路線が、なんとミナト神戸のすぐ近く(というより、ここも神戸市であるが)にあったとは、しかも利用客も列車本数もかなり多い都市型路線であるとは・・。このギャップが非常に面白い。今回初めて山の上から見て、神戸の新しい一面を知った気がした。いや、海と山の両方の魅力を持つ街だからこそ、多くの人が神戸に憧れ、住み、訪れるのだろう。こんな街はなかなかあるまい。

  山を上りきると鈴蘭台である。神戸電鉄の車庫があり、たくさんの種類の車両が駅の近くに並んでいる。山間の小さな駅である。もともと神戸に住む上流階層の人の別荘地として開けたところであるが、今は付近に広がる住宅地の中心地となっており、駅の乗降客も多い。私もここで人の流れに乗って粟生線ホームへ乗り換え、といいたいところだが、三田方面から粟生線への乗り換えはあまりなく、ちょっと閑散としたホームでしばし待つ。

  程なくやってきた志染ゆきの列車は、鈴蘭台を出るとすぐに左にカーブをきり、これまた50パーミルの急勾配をゆっくり登る。しかし有馬線(今まで乗ってきた線)と違ってこちらは単線であり、同じ急勾配でもローカルな雰囲気がグッと強まる。しかし、利用客はほどほどあり、周辺の風景とのギャップが面白い。

  しかし、風景と合わせるかのごとく、2駅目の西鈴蘭台(ここがこの辺りの中心駅)で大半の乗客が降り、車内ものんびりした空気に包まれる。ここからは緩やかな下りに変わり、森の中を軽快に駆けてゆく。窓から入ってくる暖かな春風がここちよい。

  山を下りきると、再び平坦な田園地帯が広がる。こう言えば聞こえがよいが、単調な景色が続くわけで、暖かい空気に包まれて時折眠たくなってくる。途中の志染で乗り換えても、途中三木や小野などの小さい街がアクセントになるものの、やっぱりほとんど変わらない景色が続く。途中の駅も、ホームに上屋もなく小さい駅舎しかない駅がほとんどである。しかし、どんなに小さい駅でも、自動改札機がある。各駅への自動改札の設置はスルッとKANSAIに加盟する条件であり、大手私鉄である近鉄は広すぎる路線網がゆえにこの条件がクリアできず、未加盟である(2001年2月1日に加盟)。自動改札を見るとやはり都会の列車の感じがするものであり、ホームも短いこの小駅でも、ここは都会へ直通できる路線なんだ、という自己主張にも思えて、なにやらかわいい。

  延々と続いた平坦な道のりから転じて、ちょっとした森の中でアップダウンを繰り返し、川を渡って右に大きくカーブを切ると、左側からJR加古川線が並びかけ、終点の粟生に到着した。粟生は約1年ぶりの訪問であり、特に周囲の変化も見受けられなかった。しかし、前回訪れた時が雨であり、また周りが新緑で覆われる季節でもあったので、以前より明るい印象が残った。加古川線の列車がない時間帯なので、ホームに人はない。静かなときが流れる。穏やかに流れる暖かい風が、ここでも気持ちいい。

<パート3へ続く>

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