超個人的・旅コラム

01.3.17

【パート4:行ってみなけりゃわからない?】

  定刻から35分遅れ、さほど遅れを取り戻せないまま、直江津に到着した。ホームで次の乗り継ぎ列車を確認すると、1427分発金沢行き特急<はくたか10号>と、34分の普通富山ゆきは、何と定刻の運転だった。実はここ直江津は、JR東日本とJR西日本の境界駅。列車の運行も東西で別系統になっているため、直通の列車以外は基本的に遅れは波及しない、ということか(おそらく少々の遅れであれば、常識的に考えて連絡待ちするだろうけれど)。とにかく、ここから先は時刻表どおり、連絡が読めるわけで、何とか今日中に帰りつけそうだ。(実は予定では金沢でしばらく観光時間を取っていたので、それがクッションとなったわけです。)

  改装して間もない、大型客船をイメージしたという直江津駅の駅舎を、外に出て眺める。駅前のバスのりばやタクシーポートはまだ工事中で、駅舎だけ周囲から浮いた感があるが、デザイン的にはなかなか気に入った。ただ土曜日だからか、あるいは雨が降りそうだからか、駅前の商店街には人気が少なく、ちょっと寂しい雰囲気だったのは気になる。ここから離れたところに中心市街地があるのかもしれない。

  直江津1434分発の普通富山ゆきは、JR西日本の475系3両編成である。さっきの列車からの乗り継ぎ客や、<はくたか>からの乗り換え客を含めても、ボックス席が1人で占領できる程度の混み具合で直江津を発車した。この先も線路は海のそばを通るが、さっきの柏崎〜直江津間を違ってトンネルが多い。トンネルの合間に海がチラッと見える、といったところだ。途中の筒石という駅は、頚城トンネルの中にあり、今回停車して初めて知った。長いトンネルの途中で、急に列車が減速するので何事か、と心配していたら、止まった場所にはちゃんとした駅標があり、ほんとにビックリした。完全にトンネルの中にある駅としては、上越線の土合駅が有名で、地上からは605段もの階段を降りていくため、発車10分前に改札が終了することで知られている(ただし下り線のみ)が、この筒石も、地上から290段の階段をおりてやっとホームに辿りつくという、変わりダネの駅である。毎日の利用者には大変な駅だが、私のような旅行者には非常に興味を引かれる。今度是非降りてみたい駅だ。

  筒石の次の駅、能生で、特急退避のため停車する。普段なら途中下車駅を増やすために途中で列車を降りたり、退避待ちの駅を探して急いで改札まで出てきたりするのだが、今日はダイヤが乱れていたから、列車がいつ発車するか分からないのでうかつに列車から降りるわけにもいかないし、次の列車がいつ来るかも分からない。そんな状況だったから、新発田に続いてやっと今日2駅目の途中下車駅である。能生駅の近くには海水浴場があるようだが、海まで行っている時間は当然ない。民宿を訪れたグループがいくつかマイクロバスに乗り込んでいった。またホームがちょうどいい感じにカーブしているので、通過する特急<北越6号>(485系東日本リニューアル車両)の写真もきれいに撮れた。そういえばこの時点で既に、新潟からの<北越>の遅れも解消されたようだ。

  今夏デビューする山陰本線の特急用新車両(187系気動車)と思われる車両(違うかも?)を垣間見ることができた糸魚川を過ぎ、列車はいつしか親不知海岸へさしかかる。今まで曇りを保ってきた空も、このあたりでついに雨が降り出したが、しかしここでも波は穏やかであった。確かに波しぶきが線路までかかって、運転に支障が生じるようでは困るが、それでもやはり、冬の荒れ狂う、鉛色の日本海を見てみたかった。おそらく時期が遅過ぎたのだろう。雪が本格的に降っている季節ならば、もしかしたら列車の中からも見られるかもしれない。その時までの楽しみとしておこう。

  親不知の手前で降り出した雨は、富山に着く直前に雷をともなう大降りになった。列車の屋根を雨粒が叩く音が響く。富山ではすぐの乗り換えなので雨は直接影響しないのだが、遠くの空の稲光が不気味に見える。富山で乗り換えた金沢行き普通列車は、同じ形式の413系6両編成だったが、たまたま乗った最後尾の車両はクモハ413−1!このシリーズのトップナンバーである。トップナンバーとは言っても他の車両と差があるわけではないが、なぜか嬉しくなってしまう。単に気分的な問題でさほど意味があるわけではないが、逆に言えば、他の人にとってはどうでもいいことでも私には楽しめる、嬉しく思えるというわけで、なにやら得した気分でもある。

  倶利伽羅峠を超え、金沢の2つ前の森本駅の手前に、突然工事中の高架橋が出現する。確認してはいないのだが、おそらく北陸新幹線用の高架橋であろう。確かに金沢駅は10年前に高架駅になり、その際に北陸新幹線用のスペースを駅に確保してあったが、その周辺でも既に新幹線を迎え入れる準備が着々と進められているようだ。そのまだ途切れ途切れの高架と隣り合って走り、右側に車庫が見えるとまもなく終着金沢に滑り込んだ。金沢駅は前述の通り高架駅であり、コンコースも古都の玄関口にふさわしく落ち着きがあって、なおかつ北陸の中心都市らしく活気に溢れている、すばらしい駅空間が広がっていると思う。私の好きな駅の一つである(実はまだ一部工事中ではあるけれど)。ホームの発車ベルのかわりに、琴の音色を使っているのもいい。但し、雪対策のため屋根をつけているので、ホームが全体的に薄暗いのはちょっと問題である。

<パート5へ続く>

<ここまで来て・・ほんとに帰ります?>