超個人的・旅コラム特別編
2014.11.02 東北・北海道ドライブA


【part-1:瀬棚線に思いを馳せて】

 函館の街はこれまで何度か訪れているものの、いずれも鉄道での旅行であり、行動範囲は自ずと鉄道路線中心に限られていた。函館駅から北寄りの、北埠頭、万代埠頭あたりに連なる倉庫群は、有名観光地である金森赤レンガ倉庫とは違う、質素で素気なくも実用的な雰囲気。観光地ではなく、より現実的な港町・函館を感じられた気がした。

 とは言うものの、まずは函館朝市に向かい、ウニが口でとろける豪華な海鮮丼をいただき、北海道観光もしっかり満喫する。改装工事により新たな装いとなった函館駅をじっくり観察したのち、9時過ぎに函館市内を出発。函館新道を通って市街地を通り抜け、国道5号線を経て大沼へ。信号もほとんどなく森の中を快適に進むものの、交通量は多い。大沼の畔をかすめ、大沼公園ICから道央道に入る。天候は曇り。時折雨がパラつくもののすぐに止む程度。

 道央道は、意外にアップダウンが多いものの、見通しがいい区間が続く。晴れていれば美しい風景が眼下に広がることだろう。片側1車線が続くのでフラストレーションがたまる場面もある。いや、それより、昨日の今日でもあるため、時折眠気が襲ってくる。しかし、PAが1箇所あった以外は、停めるところ自体が結局出てこなかった。

 なんとか無事に、大沼公園ICから67.6km、右手奥に噴火湾(太平洋)を垣間見る国縫ICで降り、国道230号線を西に進む。国鉄末期の1987年に廃止された国鉄瀬棚線と同じルートをたどる。特に下調べをしたわけでもなかったので、線路跡を認識することはできなかったが、のどかな山あいをスムーズに駆け抜けるドライブは本当に気持ちいい。もうすぐ雪のシーズンに入る頃にもかかわらず、窓を開けて爽快にドライブしてみる。

 国縫ICから約1時間で、11時半頃、日本海側の街・瀬棚に入る。市街地の北寄り、奥尻島に向かうフェリーが発着する瀬棚港を一通り眺め、もと来た国道の一本手前に入ってみると、偶然にも、国鉄瀬棚駅の跡地を記念するモニュメントを発見した。瀬棚線は国鉄末期の1987年(昭和62年)に廃止となっているが、私が幼少のときに読んだ鉄道の本には、(現時点でその真偽は確認できなかったが)路線別営業係数の比較において日本一の赤字路線と紹介されていたことを妙にハッキリ覚えており、いつかは行ってみたい街リストにランクインしていたのだった。駅名標とモニュメントのほかは特に無く、当時の駅舎ももはや残っていなかったが、幼少の記憶との思わぬ遭遇が実現した。


 収穫の多かった瀬棚の街を後にして、進路を南に転じ、海岸沿いに道道740号線をたどる。瀬棚駅跡から約20km、太田トンネルにさしかかる。全長3.36kmの長大トンネルであるが、その途中(北側入り口から約400m程)で、北海道最西端地点・尾花岬に最も接近する。こんなにメモリアルなポイントにもかかわらず、尾花岬まで一般人が到達できる道は無く、常識的には到達できないところになっている。太田トンネルの中に「北海道最西端」「尾花岬」といった案内は無く、またトンネルの中なので駐車するわけにもいかない。(そもそも、この太田トンネル自体が、平成25年に開通した区間であり、厳しい道路環境だったことがうかがえる)

 国道229号・228号に合流し、さらに南にたどる。沿線の道の駅のほか、静御前最期の地の伝説が残るという突符岬(北緯42度岬)、約半年前(平成26年5月)に廃止となった旧江差駅・旧上ノ国駅にも立ち寄りながら、さらに南に進む。市街地の他は信号がほとんどなく、線形もいいのでついついアクセルを踏みたくなってくるが、自由な速度で走れるほど他の車がいないわけではなく、またそういうときに限ってパトカーと遭遇したりするので、結果的に自制したドライブができていた。(ちなみに、旧江差駅は、訪問の2週間後から駅舎が撤去されたそうであり、最後に駅舎を見ることができたラストチャンスであった)


<パート2へ続く>

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