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フィンワーク
軽く進める魚のフィンワーク
 内容
 
  関連技術
  参考
なぜフィンワーク?  フィンの形  基本動作 (T字プッシュ フローティングからの練習 フィンワークの幅)
連続運動 (両足のコンビネーション 切り返し 3拍子のリズム 順足・逆足 スピードチェック フィンワークのスピード)
ドルフィンキック (フィンワークとの違い ドルフィンキックの方法 ドルフィンキックの使い方 練習方法 ドルフィンキックの例)

 足を魚のフィンのようにして、水の斜面を「後ろにだけ押す」方法です。
 足が疲れないで軽く進むことができて、高速時でも加速力が出て、抵抗が少ないのが特徴です。

なぜフィンワーク?


キックは抵抗の大きい泳ぎ 

 一般的な「キック」動作は、体の前にあるものを、「前に」、蹴る動作です。

 サッカーボールを蹴るようにプールの底に向かって水を「キック」すると、足の筋肉の強力なパワーを
 使えて大きな推進力が出る気がします。

Cristiano Ronaldo video
2006.07.02World Cup
 しかしキックは、同時に後退力も発生するため力の無駄も多く、水を掻き回して体の後ろに渦をたくさん作りますので大きな抵抗を発生します。

 渦の抵抗は、高速になると、速度の2乗に比例して大きくなります。ブレーキを踏みながらアクセルを踏むのと同じです。その分、体力を消耗します。

フィンワークは魚の泳ぎ

 魚のマグロは人間と同じくらいの体ですが、一日中休まず時速100キロメートル前後で泳ぎ回っています。
 それでもフィンを軽く動かすだけです。

 フィンワークではマグロなどの魚のひれと同じ泳ぎ方をします。
サイエンスカフェ
  サイエンス・カフェ 
 動画が見られます。
 フィンワークは、高速になればなるほど、水の壁が形成されて、軽くなって加速できます。
 抵抗が少ないので、全然疲れないで、楽に、速く泳げます。

 プールの底に向かって水を蹴るキックや、下に打ちつける「むち打ち」動作とは違う動作になります。
 (キックは、後ろに渦をたくさん作ってこの渦を引きずるために、高速になると速度の2乗に比例して抵抗が大きくなりブレーキになります。)


フィンの形

 
 下の図のように、足首を内側に曲げて、足の軸から外れた青い部分のフィンを使います。 
 横に開くことによって、流れてくる揺れる水を押し返して速く泳ぐことができます。
  (揺れる水を押し返すと水の加速力を利用するために、大きな推進力が得られます。揺れる水
   
 魚のフィンも軸から
 横の方に開いています。

 フィンワークは、「翼の原理」を使って推進力を出しますので、足の断面を、きれいな翼形状にします。  
 湾曲して歪んだ翼にならないように注意しましょう。

 魚の胴体とフィンの間にある空間は、「揺れる水」を利用するために重要です。フィンワークの場合も、脚の内側とフィンの間にある空間が重要です。

 足首を内側に曲げた状態で、一番反らした時にフィンの翼が、下の図のような角度になればOKです。
   

 正しいフィンワークの場合は、フィンをこれ以上曲げるのは逆効果です。曲げすぎると限界速度が落ちます。
  (限界速度とは、加速力がゼロになる速度です。極端な例として例えばフィンを90度曲げると(立てると)限界速度がゼロとなって全く進みません。)
  
(参照 → 手の翼の原理 > 斜面の効果 加速の効果)


基本動作


 フィンの形を覚えたら、次にフィンの動かし方を覚えましょう。 基本は滑らせながら「後ろに」押すことです

 フィンワークは陸上を歩いている足の動きとは全く違う感覚です。
 更に人間にとって、足首は後ろに曲がりにくく、ひざは前には曲がらないという問題があります。
 この脚で、魚のような「フィンワーク」をするためには、特別な技術が必要になります。

T字プッシュ

 水の斜面を後ろに押すために、「T字プッシュ」という方法を使います。

 少し傾いた T の文字のイメージを使います。

 T 字プッシュは、「Aプッシュ」、「Bプッシュ」、「Cモーション」の3つからなります。

  Aプッシュ (緑の矢印)

Bプッシュ (青の矢印)

Cモーション (紫の矢印)

 

Aプッシュ

 フィンを上に曲げたまま、すねの、ひざから1/3(注1)の所のA面を、T字の足から、T字の頭の中央に向かって「後方に」押します。

 フィンが中央を過ぎたら、フィンの「力を抜いて」、揺れる水に任せます。
 下側に振れた時のフィンの角度は25度くらいです。(上の図ではピンクの線が25度になっています。)

 (注1) 最初はひざ曲げキックを防ぐために、ひざに近い所で後ろに押します。慣れてきたら足首に近い所で後ろに押します。
 (注2) 水を蹴らないで、水の斜面を滑らせるように後ろに押します。

Bプッシュ

 足の裏(フィンのB面)は筋肉的にも、形状的にも、フィンワークに適しているので、非常に効果的です。

 フィンの先端のB面を、T字の頭の下端から、T字の頭の中央の「外側」に向かって、進行方向の「後方に」押します。

 フィンが中央を過ぎたら、フィンの「力を抜いて」、揺れる水に任せて、T字の頭の上端にいきます。
 上側に振れてから次のAプッシュの始めに一番傾く時のフィンの角度は25度くらいです。(上の図では緑の線が25度になっています。)

 ひざの裏は、軽く伸ばしたまま上昇させます。

 (注1) むやみに押さないで、水の斜面をフィンの翼で滑らせるように押します。
 (注2) キックは足の甲が主力で下にキックしますが、フィンワークは、足の裏が主力といってもいいくらいBプッシュは重要です。

Cモーション 

  Aプッシュ、Bプッシュが完全にできたら、Cモーションを補助的につけます。
  
    
 C モーションは、Aプッシュと、Bブッシュの効果を大きくするための動作です。

 Aプッシュのとき
 太ももの表面のひざから1/3の所の、 Ca 面をT字の足からT字の頭の中央に向かって、A面より少し先行して、わずかに動かします。

 Bプッシュのとき
 太ももの裏面のひざから1/3の所の、 Cb 面を上端に向かって、B面より少し先行してわずかに動かします。

 (注1) Cモーションで足先が前後する距離は、爪の長さくらいの非常に小さな動きです。これ以上になると逆効果になります。
 

なぜ後ろに押すの?
 
 1 機械的にフィンを両側に動かすと、半分の時間は後ろに押し、後の半分の時間は前に押して、結局ほとんど進まないことになります。
 2 前に進むためには、中央を過ぎたら、完全に力を抜く必要があります。しかし中央を検出してこれを意識的に行うのは不可能です。
 3 でもやり方は簡単です。後ろにだけ押せばいいのです。一番後ろに行くとそれ以上後ろには押せないのでそこで力は終わってしまうからです。
   あとは、惰性で揺れる水に任せておけば逆向きの力を発生せずに反対側にいきます。
  実験方法
「うちわ」や下敷きなどで風を、ゆっくりあおると、中央を過ぎても
風が送られるので、中央を過ぎても斜面に力が働いていることを
確認できます。斜面に力が働けば左の図のピンクの分力が発生します。

フローティングからの練習

 フィンワークには、下半身を浮かせる力は少ししかないので、フローティングで下半身を浮かせた状態から練習を始めます。
 最初は片足ずつ練習します。水の中では息が続かなくなりますので、陸上練習で覚えた方が早いかもしれません。
 水が足の甲や、足の裏を流れる感触を覚えます。この感触を保ったまま、水の斜面を「後ろにだけ」押します。

フィンワークの幅

 フィンワークの幅は、足の平の幅くらいです。

 地面の上に、かかとまでつけて立った時、片方の足の親指の先が、もう一方の足のかかとにつくくらいの幅です。

 大きすぎると、高速になった時に、斜面の効果が低下して、スピードが出なくなります。
  参考: 振り幅が大きいほど推進力が出ると思いがちですが、それは低速のときだけです。
       振り幅(角度)を大きくすると斜面の原理で加速のできる限界速度が落ちます。(体の速度が限界速度を超えると足の傾きが抵抗になる速度です。)



 
 まずこの幅で覚えて、フィンの感覚が身についたら、自分に最適な幅を探してみるといいと思います。

 頭の前の正面から見ると、お尻の上にかかとが見えて、胸の下に足の指が見える位の感じになります。
 イアン・ソープの動画
 フローティング姿勢とフィンワーク
 

 Ian Thorp nnnnnn- slow motion
カメラが少し下から写していますので、足の甲が見えていますが、
正面からだと足の指先が見える感じです。
水面の下にはゴーグルまでしか見えません。

足のフィンを内側に曲げています。
横から見てこのくらいですから、
上から見るともっと曲がっています。

 スピードを出す場合は、振り幅を大きくするのではなくて、ピッチを上げます。


連続運動


両足のコンビネーション


 両足を同時に交互に動かす運動です。左右違う動きを、頭でなくて体で覚えましょう。
 片足づつAプッシュ、Bプッシュ、とぎこちなく動かすのではなくて、連続して、よどみなく、ヒラヒラと、しなやかに動かすことが大切です。

右クロス

 右足のAプッシュと左足のBプッシュを同時に行います。その反作用で体に右回転がかかるから右(回転)クロスといいます。

左クロス

 左足のAプッシュと右足のBプッシュを同時に行います。その反作用で体に左回転がかかるから左(回転)クロスといいます。

切り返し

(Reversal)
 両足のコンビネーションができたら、切り返しを覚えましょう。切り返しによって魚のように軽く速く泳げるようになります。

 ギクシャクしないでよどみなく左右に「ひらひら」としなやかに動かします。

 終端(エンド)までいってから切り返さないで、早目に切り返します。

 切り返しによって、「揺れる水」を押し返してフィンの翼の効果を大きくすることができます。
  黄緑の2Sまで行くと
揺れる水が通り過ぎて
しまいます。
青の1A、1Bのように
早め早めに切り返します。
 参考: 後ろに押している限りはセンターを過ぎると力が抜けますので、すぐにフィンの裏側に水が流れ出します。
      この時のフィンの裏側に水が流れる感覚が切り返しのタイミングです。
      足のフィンに水が流れ出すのを感じられるとわかりやすいです。


揺れる水って何?

 揺れる水は、ひざと足首の間の脚から流れてくる水です。
 脚の左右交互の動きによって、水は上下内側に揺れます。
 体が前方に進むと、この揺れる水が、フィンの所に流れてきます。

 この揺れる水の流れがある内に、これを押し返すことによって
 水の加速の効果が発生し、大きな推進力が得られます。
 灰色の丸は足のすねです。かき混ぜ棒と同じで水を上下に揺らす役目をします。
 オレンジの楕円は足のフィンです。

3拍子のリズム


 フィンワークは3拍子のリズムで覚えましょう。 

 1→2→3  1→2→3  右→左→右  左→右→左  の連続で覚えます。
 3拍子のリズムは、サークルスカーリングや、スクリュー・モーションと合わせるために必要です。

 リズムは3拍子とも、「規則正しく」、「一定の間隔」です。 「歩幅」も「強さ」も同じです。
 スカーリングと合わせると、「強、弱、弱」になりがちなので、注意しましょう。

 リズムが乱れていると、その度に、体と水が合わさった慣性力が働き、そのたびにブレーキがかかります。
 また、その度に、水の斜面の効果が失われてしまいます。

   GIFアニメ 滑るように滑らかなフィンワークです。3拍子とも、同じ歩幅で同じ強さです。
  歩幅も大きすぎず小さすぎず、足の幅くらいです。(上半身を手で隠してみると良くわかります。)
  長距離でもきれいな6ビートで泳いでいます。 (中間的なリカバリープルで泳いでいます。)
  Adlingtonが19年前のジャネットエバンスの記録を破った時のイメージです。(8: 14.10/800m)
  画像処理でややスローにしています。 反対側での息継ぎ:GIFアニメ
 
 キックで泳ぐ選手は、一拍目が強く、 強・弱・弱 のリズムで、一拍目の歩幅が大きくなります。
  参考例: 体育水泳 体育水泳 の中の h1cr11.mpg をクリックすると見れます。 体育 体育 
         規則正しい滑らかなフィンワークですが、S字スカーリングぎみに泳いでいるので一拍目が僅かに強いように感じられます。
 (萩原智子選手は私は足で泳ぐタイプといっているくらい足のパワーが大きいです。日本のトップスイマーの中でもきれいな泳ぎをします。
 一時は6個の日本新記録を持っていました。)
 

順足・逆足

 スマートスイミングは軽くてスピードが出る順足で泳ぎますが、ポピュラーな泳ぎ方では泳ぎやすい逆足で泳ぎます。
 最初に逆足の説明をして、その後で順足の説明をします。


逆足

 掻く方の右手を伸ばした所から掻き始める時に、反対側の左足をキックしますので逆足といいます。            (Non-Orderly Fin Work)
 掻く方の右手が「胸からお腹を通過するとき」 に、同じサイドの右足をキックします。
 掻く方の手が「ふとももの横を通る時に」 同じサイドの足が一番下にきます。 
 S字スカーリングでは一般に、右手でキャッチ・プルをする時に、反対側の左足をキックし、「胸からお腹のあたりで真後ろにプッシュするとき」 に、
 同じサイドの足をキックします。

 リカバリープルで泳ぐ場合も一般的に逆足になります。
 泳ぎやすく一般的な泳ぎ方です。
 最初は中間的なリカバリープルの逆足で泳いだ方が泳ぎやすいです。(上のGIFアニメくらいが泳ぎやすいと思います。)

 逆足はS字スカーリングに適していますが、サークルスカーリングでも逆足で泳げます。


順足

 掻く方の右手を伸ばした所から掻き始める時に、同じサイドの右足をキックしますので順足といいます。            (Orderly Fin Work)
 遅くても掻く方の右手が「耳の所に来るまで」 に、同じサイドの右足をキックします。
 掻く方の右手が「おへそから腰の所を通過する時」 に、反対サイドの左足をキックし、同じサイドの右足は一番下にきます。
  
 【注意】
 順足で泳ぐにはサークルスカーリングでオーバーヘッドプルで泳ぐ必要があります。
 オーバーヘッドプルの順足で泳ぐためには、何も掻かない状態で失速しないで進む技術が必要です。
  (何も掻かない状態で失速しないで進むには、腰を傾けてネジの抵抗を無くし、滑らかなフィンワークですすむことが重要です。)

 水中では覚えにくいオーバーヘッドプルの順足、陸上コンビネーションの練習によって、簡単に覚えることができます。 参照→ 陸上練習

 オーバーヘッドプルの順足で泳ぐトップスイマー:
 例: イアン・ソープ 動画 Ian Thorpe Thorpe vs Van den Hoogenband 200M (1:28"あたりとゴール後のリプレイ)
     リスベス・レントン 動画 American Women Take Records, Gold in Relay 第1泳者4コース黄色と緑のスーツ10秒〜 (2X400リレー決勝) 
     ブリッタ・シュテフェン 動画 Video: Steffen's record swim 2006 Swimming - Germany break another World record - eurosport.com 
     ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンド 動画 YouTube - Pieter Van den Hoogenband 100m (Athens 2004) 30秒〜
     グラント・ハケット  マイケル・フェルプス(2007年片側のみ) ウサマ・メルーリ(2007年)


逆足になってしまいます

 Q: 最初順足で泳いでいても直ぐに逆足になってしまいます。どうしたら順足で泳げるでしょうか?

 

 A: サークルスカーリングでオーバーヘッドプルで泳いでいますか?リカバリープルだとどうしても逆足になってしまいます。


 オーバーヘッドプルの順足で泳ぐためには、何も掻かない状態で、ほとんど減速しないで泳ぐ必要があります。

 普通は1.5ビート待てなくて、前に出した右手を掻き始めてしまいます。その結果、右手が「胸からお腹を通過するとき」 に、

 同じサイドの右足をキックするといった一般的な逆足になります。


 コツとしては、リカバリーの時の3拍子目に腰を大きく傾けると、タイミングがとりやすくなります。腰を大きく傾けると減速も防げて

 前にすーっと進むというメリットがあります。

 陸上練習のコンビネーションの練習を一週間くらいすれば体で簡単に覚えられると思います。

 

 最初は、無理にオーバーヘッドの順足にする必要はありません。気にすると、他の事ができなくなりますので、中間的なリカバリープルの逆足で

 泳いでいて次第に順足にしていけばいいと思います。


スピードチェック

 フローティングの状態から、フィンワークだけで泳いで、スピードの変化をチェックします。
 
  タイルの流れを見よう

スピードが変化しないで、滑らかに進むかどうかチェックしましょう。
プールの底のタイルが、後ろに流れていく速度を見ます。
ゴーグルの真ん中ではわからないので、
ゴーグルの下の境目の所で見ます。
タイルの流れが、カクカクと小刻みに進むのは、不合格です。
電車が駅のホームを滑り出す時のタイルの動きのように
すーっと滑らかに流れていけば、OKです。
滑らかに滑ると体の感覚も気持ちがいいです。

(実際のフローティング姿勢での視線はもう少し上を見ますが、スピードチェックのときはタイルの流れを見るために右の図くらいで見ます。)

ゴーグルの下の境目の所に
タイルが流れていくスピードを見ます。
 
 
  小刻みに進む原因
 1 切り返しが遅れている(間に合っていない)可能性があります。
 2 下に(プールの底に向かって)キックしている可能性があります。
 3 リズムが一定していない可能性があります。

フィンワークのスピードが出ないんだけれど

 フィンワークは、水の斜面を利用するものなので、スピードが遅いときは、水の斜面は出来ないので、スピードはあまり出ません。
 しかしスピードが上がれば上がるほど、水の斜面が硬くなって、加速効果が大きくなります。
 ジェット機の翼は低速では飛び立てませんが、助走でスピードがつけば、大きな機体を支えることができるのと同じで原理です。
 壁キックなどで最高スピードにして、すぐに速めのピッチにすればスピードが出ます。

 このことを知らないと、低速で練習する時に、頼りなくなって、キックの練習を始めてしまいますので注意が必要です。

フィンワークが覚えられない

 調子が出ないときは、片足づつの練習から始めるといいと思います。
 その場合、Bプッシュの練習から始めたほうがわかりやすいです。
 右8回、左8回、右4回、左4回、右2回、左2回という感じで覚えて行くといいです。


 休憩 

以下は、関連技術です。
フィンワークができたらやってみましょう。

 


ドルフィンキック


フィンワークとの違い

 ドルフィンキックも、フィンワークと同じ原理です。

 フィンワークを両脚同時におこなって、その反動で太ももの関節(股関節)を上下させれば、ドルフィンキックになります。

フィンワークと違うところ

 1 フィンの反作用で太ももの関節が上下します。

 2 上半身のドリフトを防止する必要があります。

    参考→ ドリフトとは、フィンの反力で回転力が働き、体全体がフィンを押した方向に回転する現象です。
    参照→ サークルスカーリング>スカーリングの問題>ドリフトロス スカーリングシフト 

フィンワークと同じところ

 1 下にキックしないで後ろに押します。
 2 足の平を使ったBプッシュが重要です。
 3 低速での推進力は弱いです。
 4 切り返して揺れる水を押します。
 5 揺れる水は、ドルフィンキックの場合も、ひざと足首の間の脚から流れてきます。

イルカの尾ひれ

 イルカは、クジラの仲間です。5,000万年に、カバ類から派生して海に出たものです。
 背骨の延長の尾がフィンになっていて、この尾ヒレを上下に動かして時速60Kmで泳ぎます。
 上下に振る理由は、時々水面上に急上昇して息継ぎをしなければならないためです。
 通常は上下にドリフトしながら泳いでいますが、真っ直ぐに速く泳ぐ時は上半身を固定してフィンだけを上下させて泳ぎます。
 お腹の辺りがフィンの反作用で逆方向にわずかに上下します。
 後脚は退化してその骨は体内に残っています。
 参考: Dolphin - Wikipedia 動画 Dolphin Dream Mix 3.1 music video scuba diving with 15 dolphins in Hurghada Egypt Dolphins in Mexico

ドルフィンキックの方法

 「胸−肩-腕−頭」を一体にして固定します。
 特に”みぞおち”を固定しておくことが大切です。

 最初に、 ”Aプッシュ” をしてA1になりながら、
 その反動で、太ももの関節が
 上に移動してA2になります。

 次に、 ”Bプッシュ” をしてB1になりながら、
 その反動で、太ももの関節が
 下に移動してB2になります。

 A2では、肩の間の背骨をそらせます。
 

 バーン、バーン、バーン、と下にキックしないようにします。上下に滑らかに動かして、後ろに押します。
 足首をむやみに反らせたり、振り幅を大きくし過ぎると、フィンワークと同様に、スピードが出なくなります。

 AプッシュまたはBプッシュをしたらすぐに力を抜いて流れにまかせ、足のフィンに水の流れを感じたらすぐに切り返して揺れる水を押し返します。

 肩の間の背骨と腕を反対側にわずかにシフトすると、ドリフトが少なくなって速く進めます。但しシフトは大きすぎると抵抗が大きくなり逆効果です。

 みぞおちが固定点になりますのでしっかり固定しておきます。                                (みぞおち:上腹部 epigastrium)

  参考: 特に意識する必要はないのですが、力の支点は、太ももの関節です。見た目の支点は、太ももの中間のように見えますが、
      力の支点は太ももの関節です。

【注意】
 (1) 低速で推進力が出る方法は力強くてよさそうですが、渦を起こして進む方法なので、高速になると抵抗ばかり増えてスピードが出ません。
 (2) 体をくねらせるといいという説がありますが、それはバタフライの泳ぎを見て言っている説です。バタフライは上下運動を使って泳ぎますので、
    ドリフトを起こして体がくねらせて泳ぎますが、ドルフィンキックは、水中深く真っ直ぐに進むものですのでドリフト泳ぎは不要です。

  参考→ 2007 世界水泳 200mバタフライ決勝 世界新 マイケル・フェルプス (スタート直後とターン後のドルフィンキック)
       バタフライの動画ですが、スタート直後とターン直後のドルフィンキックの部分はクロールと同じなので参考になります。
       バタフライの場合はターンがタッチターンになりますが、クロールの場合はクイックターンになります。
  参考→ 2007  世界水泳女子100m背泳ぎ決勝 世界新 ナタリー・コーグリン (決勝奥から3番目の6コース) (準決勝2組4コース)
       背泳ぎの場合は、バサロキックといいますが、上下が逆になるだけで同じなので、参考になります。
       (ナタリー・コーグリンは、4x200自由形リレーの第1泳者の時も、1分56.43秒でこの大会前の世界記録を上回っていました。)
       男子のライアン・ロクテもバサロキックが得意で7回くらい打ちます。→ 2007 世界水泳の200m背泳ぎライアン・ロクテ世界新で優勝
  参考→ 体育(水泳)-バタフライの水中ドルフィンキック 
       萩原智子(2000年シドニーオリンピック200m背泳ぎ4位、200m個人メドレー8位、8個の日本記録)の動画も参考になります。
  参考→ 足のフィンの推進力が主ですが、上半身に対する下半身の上下運動も推進力になります。
  参考→ ロープにつかまって、ターンより速いスピードで引っ張ってもらいますと、体が自然に動きますので、最適な動きを覚えることができます。


ドルフィンキックの使い方

 飛び込みまたはターンと同時に、速いピッチで打ち始めます。

 スピードが出ている時の方が、水の斜面の壁が硬いので、軽い力で、滑るように加速できます。
 減速してから補助的に使うと、水の壁がやわらかくなり重くなります。

 スピードを出すには、幅を大きくするのではなくて、ピッチを速くした方が、軽い力で速く進めます。

  参考→ マイケル・フェルプスの例 Phelps 200-free (2007 世界水泳 世界新記録)
         マイケルフェルプスは、ターンと同時にドルフィンキックを始め、1 サイクル 0.53秒くらいで速く8回くらい打って、10mくらい進んで、
        先の方にいってから浮かび上がってきます。一回のターンで他の選手を0.5秒くらい引き離します。
        また、スタートの飛び込み時は、1サイクルが0.3秒くらいで、すぐに1サイクル0.35秒くらいになります。
        水の斜面の効果を使っているので軽く速く進むことができます。
        参照→ スクリューモーション>参考>マイケル・フェルプスが速い理由

  参考→ ナタリー・コーグリンの例 女子では、自由形100〜200mでトップクラスのナタリー・コーグリンのドルフィンキックのスピードが速いです。 
        ナタリー・コーグリンは、飛び込み時9回、ターン時横向きで7回くらいで9mくらいまで進み、ターンで他の選手を引き離します。

  参考→ 水面と背中の間を体の厚さの1.5〜2倍以上空けた所を進むと水の抵抗が60%くらいに小さくなるといわれています。

  参考→ 「けのび姿勢」で固まって進むよりは、ドルフィンキックで進んだ方が、アクティブドラッグの効果で抵抗が半分くらい小さくなるといわれています。
        固まった時の抵抗はパッシブドラッグといいいます。
        参照→ スクリューモーション>抵抗の種類>アクティブドラッグ


ドルフィンキックの練習方法


練習方法

 フィンワークができていれば、ドルフィンキックの動き自体は単純です。

 水面上で練習する方法と、水中で練習する方法の2つの方法があります。

 水面上で練習する方法: フィンワークの練習の時と同様に、フローティング姿勢で練習します。 (下半身が沈まないようにするためです。)
                  反作用で太ももの間接が上下する感覚や、みぞおちを固定しておく感覚や、肩の間の背骨をそらせてシフトする感覚を
                  覚えるのに適しています。
                  連続して練習できますので早く覚えられます。
                  フィンワークの練習よりも、軽く速く進めるまで練習するといいです。

 水中で練習する方法:   蹴伸び姿勢で練習します。高速でハイピッチで進む練習に適しています。
                  壁を蹴ったらまた戻ってこなければならないのが難点です。

 遅いピッチで練習する時は、推進力は弱いけれど気にしないで、正しい動きで練習しましょう。
 早いピッチで練習する時は、壁キックでスピードをつけて速いスピードで練習しましょう。

 ドルフィンキックは、いかに速いピッチで動かせるかがポイントです。

 特に”みぞおち”を固定しておくことが大切です。
 太ももの関節が上に上がった時に肩の間の背骨をしっかり反らせます。
 中間を過ぎたら力を抜いて流れにまかし、足のフィンに水の流れを感じたらすぐに切り返して揺れる水を押し返します。

ビート板は?

 息をしながら練習したいということでビート板を使うと、下半身の沈みを防ぐためにキックの養成になってしまいますので、
 ビート板は使わない方がいいです。

ドルフィンキックの例

 マイケル・フェルプス   Phelps 200-free 2007 世界水泳 Free 200m 世界新
                 2007 世界水泳 200mバタフライ決勝 世界新 マイケル・フェルプス (スタート直後とターンの後) 
                 Michael Phelps' 200 Individual Medley World Record 2007 200m個人メドレー世界新
                 
U.S. Men Reclaim Relay Record 2007WC Free 4X200 - Michael Phelps   

 1 手が外側に出ます。
 2 手を内側に引き込みます。肘は肩を越す時に80度くらいに上がります。続いて左でも同様にリカバリーをします。
 3 クイックターンの始まり。
 4 手の平で水を上に押して反転。
 5 ひざを曲げて壁を押す時に、両腕とも背中の方に10度くらい曲げて進行方向に向けてます。そのまま肩の間の背骨をそらせて壁キック。
 6 すぐに横向きでドルフィンキックを開始。 体は次第に下向きになっ  ていきます。
 7 足が上に行ってAプッシュで切り返す直前です。(ここからAプッシュをします。)
 8 Aプッシュをした後で力を抜いて惰性で伸ばしていきます。(このときに肩の間の背骨を反らせて腕を上にシフトしていきます。)
 9 足が下に行って、Bプッシュで切り返す直前です。(ここからBプッシュをします。)
 10 Bプッシュをしたところです。


          1                  2                  3                   4                   5

          6                  7                  8                   9                   10


 ナタリー・コーグリン   背泳ぎの例です。上を向いているだけで、動きは同じです。
                 2007  世界水泳女子100m背泳ぎ決勝 世界新 ナタリー・コーグリン 
 
 1 足が一番下に行った状態で、Aプッシュで切り返す直前です。(ここからAプッシュをします。)
 2 Aプッシュをした所で、力を抜いて惰性で上に伸ばしていきます。(このときに、肩の間の背骨を反らせて腕を下にシフトしていきます。)
 3 足が一番上に行った状態で、Bプッシュで切り返す直前です。(ここからBプッシュをします。)
 4 Bプッシュをした所で、力を抜いて惰性で下に伸ばしていきます。(このときに、肩の間の背骨を少し丸めて腕を上にシフトしていきます。)
 5 足が一番下に行った状態で、Aプッシュで切り返す直前です。
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 2007  世界水泳女子100m背泳ぎ決勝 世界新 ナタリー・コーグリン (決勝では奥から3番目の6コース) (準決勝2組では4コース)

 
 【固定点とシフトの関係】

  固定点: みぞおち
  シフト : 肩の間の背骨と腕
 
1サイクル  =    0.7秒(スローモーション) 0.55秒(ターン後) 0.3秒(飛び込み直後)  




参考


 特に必要なものではありませんが、理解に役立つかもしれません。

参考(入り口)
 
 参考 内容  フィンワークの感覚 後方浮力 水中の深さ 水中のアクティブドラッグ フィンワークのスピードと振り幅 迫力あるキックを打ちたい
          イアン・ソープの泳ぎ 魚の泳ぎ フィンワークのアクティブドラッグ 2007年世界水泳選手権で見たフィンワーク


 2007.04.13   2007.10.02 

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