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スクリューモーション
高速域に入れるスリップ現象
 内容 






  参考
スクリューモーションって何? (スクリューの原理 3つのモード 連続モード) 
泳ぎに利用するには? (上昇ステップ ひねりステップ 沈み込みステップ 連続ステップ) 
スクリューモーションを起こす力  (掻き始め フィンワーク 肩と腰のひねり ツイストストレッチ 手の引き込み)
頭と肩の動き (頭の動き フローティング姿勢と頭の位置 肩のドリフト 目線チャート) 
コンビネーション  (3拍子のリズム オーバーヘッドプルと順足)  
スリップ現象  (なぜ「沈み込みスリップ」は起きるの? なぜ「反転スリップ」は起きるの? ひねりステップでは起きないの?)
抵抗の種類 (圧力抵抗、造波抵抗、アクティブドラッグ、ネジの抵抗、攪拌抵抗)

  

スクリューモーション (Screw Motion) は、高速域に入るための重要な技術です。

特に、スリップ現象が起きると、水の抵抗が小さくなって水の裂け目に吸い込まれて別次元に行く感じになります。

吸い込まれた次の瞬間に、次元が反転して前の方に引っ張り込まれます。

連続してスリップロールに入ると、軽くなってくるくる回ってすいすい進む感じになります。


スクリューモーションって何?


スクリューの原理を利用して泳ぐ方法です。 一般にローリングと言われている技術です。

 

スクリューの原理

 
  水の中でスクリューを回転させると前に進みます。    

スクリューの原理を使うと、軽く速く進むことができます。


スクリューモーションは、肩の面と腰の面を少しずらせて回転させるとによって推進力を発生する方法です。

  

  

3つのモード

スクリューモーショには次の3つのモードがあります。


 
   
板がスクリューになるモード

スクリューが回るモード

スクリューが板になるモード
  


  1 傾いた平板の前だけを回転させると前に進みます。    2 ねじれた状態で全体を回転させると前に進みます。    3 ねじれた状態で後を回転させて平板にすると前に進みます。  
 
 

連続モード

上の3つのモードを、左回転、右回転と連続させると、6つのモードになります。


右の図は、1 ストローク=0.9秒で泳ぐ場合の動きです。

ゆっくり動いていますが、斜面の原理で高速でも加速できます。

 
参考: 片側だけみれば、魚の泳ぎと同じになります。板の両側でそれぞれ魚の泳ぎをしている感じになります。(魚の動画は高速のPCで見られます。)
Screw Motion
連続モード


 

斜面の原理: 
傾斜角(この場合は面のねじれ角)が小さいほどスピードが出る原理です。
平板が曲がり始める時と、スクリューが平板になる時に、伸びたスクリューのようにねじれ角が小さくなり、スピードが出ます。
右の図はアルミシートの上に氷を置いて上から押す実験です。楔角が小さいほど速い速度で氷が飛び出します。(→手の翼の原理:斜面の効果



 

泳ぎに利用するには?

  

上の3つのモードに対応して、「上昇ステップ」、「ひねりステップ」、「沈み込みステップ」の3つのステップを組み合わせてスクリューモーションを行います。

 

基本的には、先に肩を傾けてから、それより少し遅れて腰を傾けるという動作になります。


 右の図は、1 ストローク=0.9秒で泳ぐ場合のスクリューモーションの動きです。
     他のピッチの例→ 1 ストローク= 0.65秒 1.30秒 
 

 傾ける角度は、 45度以上 傾けます。右の図は55度になっています。
  
Screw Motion
 
 
参考動画:  イアン・ソープ、リスベス・レントンのローリングはきれいです。
イアン・ソープ(アテネ400m) イアン・ソープ(アテネ200m) リスベス・レントン 2007WC
大角度のスクリューモーションは、マイケル・フェルプス、ウサマ・メルーリ、ケイト・ジーグラー、ジャネット・エバンスなどが使っています。
マイケル・フェルプス 2007WC ウサマ・メルーリ2007WC ケイト・ジーグラー 2007WC ジャネット・エバンス 
2009年のRomaでは、パウル・ビーダーマン、フェデリカ・ペレグリーニ、張琳(Zhang Lin)、ウサマ・メルリが取り入れています。ローマ2009解説


上昇ステップ

板がスクリューになることによって推進力を出します。  (Ascent Step)


肩と腰が大きく傾いている「板状態」から、肩を先に回転させます。

腰も同時に回り始めますが、肩の回転速度の方が速いので、自然と体がひねられて「スクリュー状態」になります。


 注意1 このときサッカー式キックで水を下に強く蹴ると肩と腰が平板状態のまま一緒に回転してしまい推進力が出ません。

 注意2 肩を先に高速回転させるためには、体の中心から遠い肩の外側で掻き始めることが大切です。

  
肩が先に回転してスクリュー状態になります。
 
傾いた肩が水平になると、浮力の原理で、自然と上半身が上昇していきます。

(浮力の原理: 右の図のように、横長の方が縦長より水面に近づく原理です。)
 

ひねりステップ

スクリューが回ることによって推進力を出します。  (Twist Step)

 

腰に対して肩のひねりを大きくしていきます。

ひねりが大きくなることによって推進力が発生します。

  
スクリューのひねり角が大きくなりながら全体的に回転します。

スカーリングの後半とフィンワークによって下半身の回転は少しだけ遅くなりますが、肩のひねりを大きくすることによっ体全体としては慣性力で回転します。


肩と腰のひねりを大きくしていかないと、回転が止まり、ネジの抵抗が発生してブレーキになります。

このステップで生じた「ねじれ」が、次の「沈み込みステップ」で高速の加速を生み出します。


Q: 泳ぐとなかなか体をひねることができません。どうすれば体を大きくひねることができるでしょうか。

A: 水面から手が外側に飛び出す時に、一時的に手を”外に高く”上げてみましょう。

手を高くすること自体は目的ではないのですが、手を高く上げるくらいの方が肩を回しやすくなります。
慣れてきて肩だけを回せるようになれば、それほど手を高く上げなくてもいいです。
 

このステップでは、腰がふわっと浮く感じがします。先に肩が傾きますので、浮力の原理で体の前の方が下がり、腰が浮く感じになります。

  


沈み込みステップ

 スクリューが板になることによって推進力を出します。  (Sinking Step)

 

 肩を更に傾けながら、腰を傾けて肩の傾きに合わせます。 肩の傾きも腰の傾きも最大になります。

 
 肩が先に傾いていて、次に腰も傾いて行きますので、前の方から沈み込んでいきます。

  (上昇ステップと逆の浮力の原理で、断面が横長から縦長になると体の中心が自然に水面から下がります。)

 

 下り斜面を滑って前に吸い込まれる感じになります。

  
 「スクリュー状態」から、傾いた「板状態」になりながら、
 沈み込んでいきます。

Q: 腰を大きく傾けるにはどうしたらいいでしょうか。

A: 水面から外側に飛び出して上がった手を頭の方に引き込むといいです。その反力で腰が傾きます。


 参考 【頭の位置】
      1 沈み込みによって、頭の位置が下がっていきます。
      2 下を向かないようにします。下を向くとその反力で上半身が上がってしまいます。
      3 肩が45度以上傾くと、首の骨の構造から顔の縦の線を垂直にする事は難しくなります。少し傾向けると、回転がしやすくなります。


連続ステップ

連続すると右の図のようになります。


頭は体の中心よりも上にあるので、体の回転によって頭は左右に動きます。

  
Screw Motion
 
 45度以上傾けるといいです。
 右の図は傾きが55度で、
 1ストローク=0.9秒の例です。
 参考 0.65 秒 1.30秒 
 

 

右の図は上昇と沈み込みの動きを横から見たものです。

浮力の原理だけで自然にこのような上下運動が発生して、推進力が増します。

  
 
   
 

スクリューモーションを起こす力


 各ステップで次のような力を使います

掻き始め


サークルスカーリングの掻き始めに、肩の外側で手の平を外に向けた状態で、

 一瞬だけ手を真下(プールの底)に向かってプロペラ運動をさせます。

   

その反力で、いっぱいに傾いていた肩が、高速に回転します。

 
ここで手の平を下に向けて水を掻き込むと、上半身が立ち上がって抵抗が大きくなってしまいます。
(手の平は、体の下を過ぎるまでは、下に向けないようにします。)
 
プロペラ運動によって掻き始めから推進力がでます。

  
 

フィンワーク


順足で滑らかなフィンワークをすれば、軽い力だけでスクリューモーションを起こすことができます。

逆足では、3つのステップともスクリューモーションの妨げになります。


 腰の回転

フィンワークは、次の効果があります。

 
「上昇ステップ」では、腰に弱い回転力を与えます。

「ひねりステップ」では、腰の回転が回りすぎるのを防いで等速回転を維持します。

「沈み込みステップ」では、腰を加速回転させます。

 
フィンワークの回転力が強すぎると、逆効果になります。

キックのように力を入れると、上昇ステップでは腰が回って平板状態のまま回ってしまい、ひねりステップでは腰の回転が止まってしまい、

沈み込みステップでは、腰の沈み込みができなくなり、すべてブレーキになります。

フィンワークは後ろにだけ押して、一定のリズムで、一定の幅で、滑らかに動かすことが大切です。

 
フィンワークと腰の回転を水中だけで覚えるのは大変なので、陸上練習を取り入れると簡単に覚えられます。

 
 

ツイストストレッチ (Twist Stretch)

 「沈み込みステップ」で腰と肩の傾きを一致させる方法です。スピードを出すために非常に重要な技術です。 

 スクリュー状態から、腕と腰をひねって、真っ直ぐに伸びて、平板状態になることによって推進力を発生させる技術です。
 陸上で、次のような形をとるとわかりやすいです。 
  【ツイストストレッチの形】
  1. 壁に手の平をつけて「腕の付け根」を ”内側” にひねって
    肩の関節を ”反転” させます。
     
  2. 前の手を ”外側” に伸ばして、両足と片手を引き伸ばした状態にします。 
     
  3. 反対側のリカバリーの手を外から内に引き込みます。
     
  4. その反力を使いながら、腰をひねって、腰を回転させます。
     
  5. 伸ばした手と同じ側の足は伸ばして床を後ろに押します。
 
     
マイケル・フェルプス
世界水泳 2007で見た・・
ウサマ・メルーリ
世界水泳 2007で見た・・
リスベス・レントン
世界水泳2007で見た・・

手の引き込み (Drawing in)

 
  「手の引き込み」は、「沈み込みステップ」で、腰を回転させる時の反力を出す技術です。
 
サークルスカーリングの掻き終わりで、外側に上昇した手を、リカバリーで頭の方に向かって
引き込みますと、その反力によって、体全体が回転します、このときに腹斜筋を使って腰をひねれば、
腰の傾きが肩の傾きに一致して平板状態になります。
 
  
 ターンの直前のシーンです。 
 
1は、右手のリカバリーで、外側に手が出たところです。 2〜3では、手を頭の方向に向かって引き込んでいます。
 4で、肩の延長線上にエントリーしています。

 5は、左手のリカバリーで高く上がった手を頭の方に引き込んでいる所です。体が90度近く傾いています。ここから肩の延長線上にエントリーします。 
          1                  2                  3                   4                   5

Michael Phelps U.S. Men Reclaim Relay Record 2007WC Free 4X200
 
   参考1 : ジャネット・エバンスの泳ぎは、掻き終わりの手が外に飛び出し、その手を頭の上まで引き込んで体を大きく傾けています。
   参考2 : イアン・ソープの泳ぎは、掻き終わりの手が外に飛び出して、そこから肩のラインまで少し引き込んでいます。


 

頭と肩の動き


頭の動き

 スクリューモーションの動きによって頭が上下左右に動きます。 (この動きを止めると、自由な回転ができなくなります。)
   
 頭が上下に動く理由は、縦長より横長の方が中心が水面に接近するためです。
 頭が左右に動く理由は、水平姿勢を保つために、頭を体の中心よりもずらして上に上げているためです。

 注意: 左右に動く量はわずかで首の太さの半分くらいです。
      それ以上に頭を左右に振ると、肩のドリフト(横ズレ)を起こして推進力が低下してしまいます。


 肩が大きく傾く時に、顔の縦の線を少し傾向けると、回転がしやすくなります。
  (無理に垂直に立てると、自由な回転ができなくなります。)

フローティング姿勢と頭の位置

 
フローティング姿勢でも頭は沈む

 上の図では、スクリューモーションの全てのステップで、フローティング姿勢をとっていますが、頭はかなり沈んだ状態になります。

 静止状態の時のように頭が水面に出ないのは、どのステップでも、常に「肩」や「腰」が傾いているためです。「肩」や「腰」が傾くと
 浮力の原理で、体の中心軸が下がります。

 スクリューモーションの時でも、フローティング姿勢をとることが大切です。フローティング姿勢をとることによって肩の所の背中が沈みますので、
 下半身が浮き、体の水平状態を維持できて、水の抵抗を小さくできます。

 参考→ トップスイマーの泳ぎを見る場合、頭があまり水面から出ていませんが、これは肩を大きく傾けているためと、頭の前の水面が盛り上が
      るためです。


猫背だと体が立つ

 スクリューモーションの時でも、猫背にすると背中が湾曲S字形状になり、体が立って、水の抵抗が大きくなります。

肩のドリフト

 肩がローリングする時に、水の斜面で肩が横滑りしやすくなります。
 横滑りをすると、肩の中心が直進線から横にズレて、肩のドリフト(Drift)(D)を起こします。
 【肩のドリフト】
 肩がローリングする時に
 肩が横滑りをしやすくなります。

 水中に立てたプラスチックの板を離せば
 浮上時の横滑りを確認することができます。

沈み込みステップ         上昇ステップ

 ドリフトを起こすと、ドリフトロスといって、横滑りで力が横に抜けてしまい、スクリューモーションの推進力が減少してしまいます。
 

肩のドリフトを防ぐには

 1 沈み込みステップでのドリフトは、「ツイストストレッチ」と「手の引き込み」をしっかり行っていれば、特に意識しなくても防ぐことができます。
   無理に逆に移動させるとかえって抵抗になります。
        参照→ 手の引き込み  ツイストストレッチ 

 2 上昇ステップでのドリフトは、スカーリングのタイミングと同じタイミングですから、スカーリングシフトによって防ぐことができます。
        参照→ サークルスカーリング>スカーリングの問題>ドリフトロス
 
 
スカーリングシフトを加えると
 

今まで上に示したスクリューモーションの動きの図は、スクリューモーションの動きを説明するための図ですので、上半身の軸と下半身の軸を一致させています。

 

この動きにスカーリングシフトを合わせると、右の図のようになって、ドリフトロスをなくせます。

 

薄い線に対して濃い線がシフトした場合の線です。

シフト量は僅かですので、プールの外から見た目では、頭は同じように左右に動いて見えます。

Screw Motion
 
 

目線チャート

  「頭の動き」、「ツイストストレッチ」、「手の引き込み」、「スカーリングシフト」、「息継ぎ」を、3拍子のリズムに合わせて、リズミカルにおこないます。
  
  頭で考えると難しくなりますが、「目線チャート」を頭にイメージして泳げば簡単に覚えることができます。
 
  目線チャートの説明は、サークルスカーリングのページを参照してください。


コンビネーション


3拍子のリズム

 スクリューモーションは、3拍子のリズムで、サークルスカーリングとフィンワークとをタイミングよく合わせることが大切です。

 これらのコンビネーションは頭で考えるより陸上練習の方が作用反作用がはっきりして覚えやすいです。  参照→練習方法>陸上練習

オーバーヘッドプルと順足

 スマート・スイミングは、スクリューモーションを効果的に使うために、オーバーヘッドプルと順足で泳ぎます。

   参照→サークルスカーリング>プルのタイミング>オーバーヘッドプル
   参照→フィンワーク>連続運動>3拍子のリズム>順足 

 
オーバーヘッドプルと順足は、スクリューモーション、フィンワーク、フローティング姿勢などがうまくできるかどうかがポイントです。
 覚えにくいい場合は、陸上練習の「ツイストストレッチ」の練習や、「コンビネーションの練習」を合わせて覚えるといいです。
  参照→練習方法>陸上練習

 どうしても、オーバーヘッドプルや順足が難しい場合は、最初は無理にする必要はありません。
 気にすると、他の事ができなくなりますので、あまり気にしないで、全体の泳ぎが十分できるようになってから、覚えるといいです。

  
━━ 休憩 ━━
  
以下は、スクリューモーションの効果です。泳ぎを覚えるには特に必要なものではありません。


スリップ現象


タイミングがうまく合いますと、スリップ現象が起きて、水の抵抗が小さくなって水の裂け目に吸い込まれて別次元に行く感じになります。

吸い込まれた次の瞬間には、次元が反転して前の方に引っ張り込まれます。

この現象はスリップ現象といって陸上にはない不思議な感覚になります。                                 (Slip Effect / Slip Roll)

 

連続してスリップロールに入ると、軽くなってくるくる回ってすいすい進む感じになります。

 

スリップ現象には、「沈み込みスリップ」と「反転スリップ」があります。

 

    

なぜ「沈み込みスリップ」は起きるの?

「沈み込みステップ」で下り斜面を滑って、水の抵抗が小さくなって、前に引き込まれ、水の隙間をすり抜ける感じになります。        (Sinking Slip)

  

【理由】

1 腰が浮いて体の中心軸の後ろが上がっている状態から、「沈み込みステップ」で、肩を更に傾け、腰を肩まで傾けることによって、

  体の中心軸が前から下がっていきます。そのため、下り斜面を重力の力(*浮力の原理)で前に滑っていきます。

2 スクリューが板になるモードの推進力が発生ます。(→上記 スクリューの原理>3つのモード 参照)

3 スクリューが平板に近づくとねじれ傾斜角が小さくなって斜面の原理でスピードアップします。(→上記 斜面の原理 参照)

  スピードアップする力は体の回転慣性力を止める力によって生じます。

4 アクティブドラッグで水の抵抗が減少します。(→下記 アクティブドラッグ 参照)

5 肩と腰が傾く事によって造波抵抗が減少します。(→下記 造波抵抗 参照)

これらが重なってスリップ現象が起きます。

 
この場合でも、フィンワークで後ろの斜面から力が継続して伝わってくることが大切です。

      

なぜ「反転スリップ」は起きるの?

 【反転スリップ】 沈み込みスリップに引き続いて、上昇ステップの初期の段階で、
            力が反転して前の上の方に引き上げられていく感じになります。                                 (Flip Slip )

 【理由】
 1 スカーリングの掻き始のプロペラ運動によって、上半身に強力な回転力が入ります。
   この回転力と斜面の原理が組み合わさって非常に速いスピードが発生されます。
   描き始めは肩と腰のねじれ角がまだ小さい状態ですので、
   引き伸ばされたスクリューを回転させる時と同じ状態になり非常に高速になります。
 2 反転の時にいったん推進力が消えて、パッシブドラッグ状態になり圧力抵抗が発生しますが、
   その次の瞬間にすぐに逆回転が始まり、再びアクティブドラッグ状態になって抵抗が減少して引き上げられる感じになります。
   このとき一瞬次元が切り替わって違う種類の力で引き上げられる感じになります。(→下記 アクティブドラッグ 参照)
 3 反転の少し前に肩から腰に向かっていてた流れが反転によって流れの向きが変えられますので、加速の原理で推進力が拡大されます。
   (→ 泳ぎの原理>加速の効果 参照)
 4 肩と腰がまだ傾いている状態なので、造波抵抗が小さいです。(→下記 造波抵抗 参照)
 5 浮力の原理で上半身から上昇していきます。
   (水面を下に押して縦のドリフトを起こしますとブレーキがかかりますので、縦のドリフトはできるだけ起こさないようにします。)
 これらが重なって反転スリップ現象が起きます。

 この場合でも、フィンワークで後ろの斜面から力が継続して伝わってくることが大切です。

   * 参考:加速の効果
       斜面が加速運動を起こすと、揺れる水を押し返すので、斜面の効果が大きくなります。
       例:魚の尾ひれの切り替えしや
うちわを切り返すときに発生する力と同じです。。
       ニュートンの加速運動の法則によるもので定常状態の流体抵抗では起きない現象です。 参照→ フィンワークの原理

ひねりステップでは起きないの?

 ひねりステップでは、サークルスカーリングの後半の掻く力は働いているし、スクリューモーションの力も働いているのですが、
 スリップ現象は起きません。

 【理由】
 1 肩と腰のひねりが一定になって一定回転していますので一定のスピードに制限されます。 
   (このときにひねりが小さい板状に近い状態で一定回転をすると、大きな抵抗になってしまいます。)
 2 一方向にローリングし続けている状態なので、加速の効果が働きにくいです。
 3 腰の中心が上にいますので、重力で滑り降りる力が働きません。
 3 肩と腰が水平に近い状態で傾いていないので造波抵抗が大きいです。
 などのためにスリップ現象の条件がぜんぜんそろいません。


抵抗の種類


水泳では、圧力抵抗と造波抵抗が問題になります。

圧力抵抗も造波抵抗も速度の2乗以上の率で上昇しますので、高速域では大きな抵抗の壁となります。

 

右の図は男子トップスイマーの全抵抗と造波抵抗と圧力抵抗の図です。
 



圧力抵抗

 【体の後ろに渦】ができると圧力抵抗が大きくなります。
 (渦を引きずって泳がなければならないためです。渦を引きずると、渦と周りの水との間に引きずり抵抗が発生します。)
 魚は、胴体の後ろが少しずつ細くなっていって、渦が発生しない(渦を引きずらない)形になっています。
 圧力抵抗は速度の2乗に比例しますので、高速になればなるほど大きな抵抗が働きます。
 元の抵抗差は小さくても高速になるとその差は拡大されます。
 例えばゆっくり泳ぐ時の抵抗を1キログラムとすると、2倍の高速時には4キログラムの抵抗が発生します。

 【圧力抵抗を小さくする】には次のようにします。
 (1)フローティング姿勢によって、下半身を浮かせて、「前後方向の水平姿勢」をとります。
 (2)キックを打つと体の後ろに渦ができますので、渦の少ないフィンワークで泳ぎます。
 

造波抵抗
 

【造波抵抗の実験】

 1リットルの牛乳パックを横にして水に浮かべ、前後に動かします。

 次に縦にして浮かべて同様に前後に動かします。抵抗の違いを手の感触で確認します。

 縦にして動かした方が波が小さく、抵抗が小さいことがわかります。

 

(詳しい原理は、スクリューモーション 参考:造波抵抗の実体 を参照してください。)

 

【泳ぐ場合の造波抵抗】


1【水面近くの水】は、体に押されて盛り上がり、体の両側に移動して波を作ります。(→1)

  波になった水は、体の後ろにはほとんど戻ってきませんので、後ろの水面が下がります。(→1)

  水面は前が上がって後ろが下がる波型になりますので、水面に浮いている体も

  「前上がり後ろ下がり」の形になります。(→1)

  波型の水を、「前上がり後ろ下がり」の体で、前に押して行く抵抗を造波抵抗といいます。

2【深い所の水】は、体の前から、体の側面を「速く通って」体の後ろに戻ってくれますので、

  後ろの水面をあまり下げません。深い部分が多いほど造波抵抗は小さくなります。

3【造波抵抗】は、毎秒1.5mでは全体の抵抗の10%くらいですが、毎秒2.0mになると、

  泳ぎ方によって差がありますが、全体の抵抗の20〜30%くらいになります。

  しかし同時に、水面が盛り上がりますので、体をこの波にならって傾けた場合は、

  水の抵抗全体がかなり増加します。

4【造波抵抗を小さくする】には次の方法があります。

  (1)体の断面形状を「深さ方向に長く」して、水面近くの水が当たる面積を小さくすれば、

    造波抵抗は小さくなります。そのためには、「体をできるだけ左または右に傾け」ます。→1

  (2)「沈み込み」によって、「前後方向の水平姿勢」をとります。→2  

  (3)「フローティング姿勢」こよって、「前後方向の水平姿勢」をとります。→3

1

2

Oussama Mellouli 2007.03.28 800m
3

Laure Manaudou 200m WC2007
              
 
 
アクティブドラッグ

 水中動物の多くは、体をくねらせて泳ぎます。
 「体」自体が推進力を出すと、体の側面の水が速く後ろに送られて体の前の水圧が減少して、圧力抵抗が小さくなります。
 この抵抗をアクティブドラッグ(能動的抵抗:泳いでいる時の抵抗)といいます。

 スクリューモーションも同様に、「体」自体が推進力を発生しますので、抵抗が小さくなります。

 死んだ魚や模型の魚の場合は、体の前の水圧が高くなり圧力抵抗が大きくなります。
 この抵抗をパッシブドラッグ(受動的抵抗)といいます。

 ターンの後でも、ドルフィンキックで進むと、蹴伸び姿勢で固まった状態で進むよりも小さな抵抗で遠くまで進めます。
 
泳いでいる状態の抵抗をアクティブドラッグといいます。同じ形状の物体でも物体自体が推進力を出している場合は頭部の水圧が下がって圧力抵抗や造波抵抗が小さくなります。

これは船のスクリューを回すとスクリューの前の水圧が下がるのと同じ原理です。
圧力抵抗も造波抵抗も速度の2乗以上の率で上昇しますので、高速域では大きな壁となります。この壁を消せばアシカや魚のように高速で進むことができます。
 

ネジの抵抗

 ネジは回さないで引き抜こうとすると大きな力が必要になります。
 肩と腰の関係もネジと同じです。
 スカーリングをすると自然と「肩」が傾きますが、
 「腰」を水平にしたままで肩を傾けますと、肩と腰がネジ状態になりますので、
 肩が回転している内はいいのですが、肩の回転が止まる時に、
 急に「ネジの抵抗」が働き始めて、急ブレーキがかかります。
 ネジの抵抗をなくすためには、肩が最大に傾いた頃には、
 腰も傾けて体を平板状にします。


ネジは回さないと

抜けません 。

急ブレーキが
かかります。

抵抗が減少して
よく進みます。
 
 
攪拌抵抗
 
 肩と腰を合わせて板状のまま回転すると攪拌抵抗が発生します。
 体が平板の状態で回転しながら進むと、体の周りの水が掻き回されて渦をつくり、引きずる渦の範囲が大きくなり、推進抵抗が大きくなります。
 回転するときは「スクリュー状態」になり、回転しないときは「板状態」 になることが大切です。




参考

 
 特に必要なものではありませんが、理解に役立つかもしれません。
 
参考(入り口)

 参考 内容  沈み込みステップでの回転力  スリップ現象が起きないんだけれど  スピードへの寄与率
          上下運動の利用  マイケル・フェルプスが速い理由  ナンバとウォーキングとスクリューモーション
          コンビネーションのタイミング  造波抵抗の実体  世界水泳2007で見たスクリューモーション 


 2007.04.25 2007.07.06 2009.12.10  

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