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手で触るとザラザラしてなんだか気持ちがいい。 顎ヒゲ 仕事をする気がしないので、サボるくらいならと近藤の部屋へ向かった沖田はそろ〜と襖を開けて、大好きな大きな背中にドカっと抱き付いた。 「ぅおっほぃ!!?総悟か!!ビックリしちゃった!?」 「近藤さん、暇でさぁ〜遊びに行きやしょうょ。」 机にかぶり付きながらデスクワークをしていた近藤は、集中していたのだろう全く気が付かなかったらしく不意を付かれたと言わんばかりに大袈裟に驚くと、肩に顔を埋めて甘えている沖田の頭に手を伸ばした。 「無理言うなょ総悟。今は仕事中だろ。局長たる者仕事を投げ出すなんて出来ねぇよ。示しがつかんだろう。」 「ストーカーは示しがつくんですかぃ?」 「ぅ・・・それは言わないで。」 「だったらいいじゃないですかぃ。美味いうどん屋を見付けたんでさぁ〜一緒に行きやしょうょ〜。」 ガシガシと頭を撫でられながら、それでも沖田は動こうとはせず、駄々をこねる子供のように身体を揺らしている。 困ったものだと苦笑をすると、沖田の手が不意に近藤の顎に触れた。 「・・・?」 「どうした総悟?」 両手で近藤の顎に触る沖田は、何かを探るように撫で回し始めた。 近藤は訳が分からんという感じでされるがまま。 「近藤さん、なんでヒゲなんか伸ばしているんですかぃ?」 「ん?それはだな、成人男性たる者顎ヒゲは大人への大事な一歩なのだよ総悟君!それに、俺の知るところカッコいい男と言えば顎ヒゲと相場が決まっている!?」 「おっさん臭いですぜぃ。てか顎ヒゲ伸ばしたところでモテないと思いまさぁ。んで考えが古い。」 「ひどっ!!?これでもまだ二十代ですから!?流行にも敏感ですから!!?」 ガッツポーズをする近藤に有無を言わさず沖田はキツイ突っ込みをするとちょっと顔を上げてふふっと薄く笑った。。 内心かなりショックだったらしい近藤はギャーギャー騒ぎ立てる。 そんな近藤を無視しつつ、沖田は顎ヒゲを触る手を止める事なく動かしていた。 中途半端に伸ばされたヒゲはザラザラしていて、気持ちが良い。 (癖になっちまいそうだ。) 近藤の背中にもたれたまま沖田はそんな事を思った。 ザラザラしているだけだと言うのにどうしてだろうかと考えながら。 「はぁ、仕方ねぇな。」 無言になってしまった沖田にされるがままの近藤は、振り払う事も出来ず諦めた様に一つため息を付くとやり掛けの仕事に取り掛かる事にした。 静かな昼下がり、ドタドタと大きな足音をされながら勢いよく襖を開けて入ってくるであろう鬼の副長が現れるまで後十五分。 二人はまだ気が付いていない。 戻 |