背中から伝わってくるあんたの温もりは、俺よりも遥かに暖かくて、包み込んでくれるような安心感を俺にくれる。

ホッと

真選組屯所内は野郎共のドンチャン騒ぎで賑わっていた。
でっかいヤマが一つ片付いて、今日はその打ち上げなのだ。

「局長!お疲れっした〜!カンパ〜イ!?」
「お〜カンパ〜イ!!」

酒を片手に熱く語る者、怪我をしているにも関わらず踊りだす者、一升瓶をマイク代わりに熱唱する者、屯所内は陽気な雰囲気に満ちていた。

そんな中、一人ちびちびと酒を飲む土方がいた。
大好きなマヨネーズを目の前にある料理に手当たり次第ぶっかけて、土方の前だけマヨネーズワールドが出来上がっていた。
お陰で誰一人として同じ物を食べようとする者はいない。

酒もまだそんなに入っていないのか、周りの隊士達のように騒ぎ立てる事はせず、一人自分の世界に土方は浸っていた。
こうなってしまっては、土方にお酌しようと思っている隊士達は近付く事が出来ない。
下手に声を掛けてしまったら無言で睨まれる事この上なしである。

ホクホクとマヨネーズ料理に舌鼓していると、ドンっと背中に重みを感じた。

「おっと、すまねぇトシ!」

振り向けば、右手に一升瓶と持ちラッパ飲みでもしていたのだろうデロデロに酔っ払った近藤が土方の背中に寄りかかっていた。
ほっぺと鼻と耳は真っ赤で、もともと細い目はとろ〜んとしていて半分しか開いていない。

「・・・近藤さん、重いんですけど。」
「がははっ!気にすんな!俺は太ってるんじゃねぇ筋肉が重いだけなんだ!」
「いや・・・そう言うんじゃなくて。」

デロデロに酔ってしまった近藤にもはや何を言っても意味がないのは昔から知っている。
酒が入れば周りに迷惑がかかろうが騒ぎ立てる。
踊って歌って挙句には脱ぐ。
局長がこんなんだから、周りの隊士達も後に続けみないな事になっていつも宴は大賑わいだ。

「お〜!トシ飲んでるか〜!今日の酒は格別に美味いぞ〜!!」

背中にもたれたまま話しかけてくる近藤に、土方は「飲んでるから大人しくしてろ。」と言うと、グラスに残っていた酒を勢いよく胃に流し込んだ。
強い酒なのか、喉から胃にかけてカァーっと熱くなる。

背中越しでは近藤か他の隊士と楽しげに話していて、じっとしてくれればいいのにいちいち大袈裟に手を動かしたりするものだから上手く箸が使えない。
はっきり言えば邪魔なのだが。
それでも、直に伝わってくる近藤の温もりは想像していた通り暖かくてなんだかホッとしてこのままでもいいかもなとか思ってしまう。

「世に言う癒し系ってやつか・・・。」
「ん?なんか言ったか??」
「・・・なんでもねぇよ。」

お互い背中を向けているので、いくら近藤が後ろを向いても土方の表情は見えない。
近藤はぶっきらぼうに言ってくる土方には気にもせず笑いながら「そうかそうか!」と一人意味なく納得するとまた隊士と話し始めた。
良かったと土方は胸を撫で下ろした。

(こんな顔見せられねぇよ。)

真っ赤になっているであろう顔を酒のせいにするかのように土方はまた勢いよく酒を飲み込んだ。

抑えきれない胸のドキドキが背中越しから近藤に伝わらないよう願いながら、もう少しこのままでいたいと思い、もっと温もりを感じたくてゆっくり体重をかけた。