いつも暖かいお言葉と励ましを下さるながた様に捧げます。


木の上からあくびを一つ。
今日も一日天気が良くてサボり日和と来たもんですぜぃ。

あくび

真選組屯所内にある中庭の一角。
そこには大きな木があって、沖田のお気に入りポイント。
沢山の葉が茂っているので、一度この木に登ってしまえばそう簡単には人に見付からない。
つまりは、沖田の格好のサボり場所なのであった。

その筈だったのだが。

「お〜い!総悟!ま〜たそんな所で油売ってんのか!」

うとうとしていると、下から聞き慣れた声。
愛用しているアイマスクを片手でちょっと上げると視線を下に向ける。
そこにいたのは沖田の大事な人。
黒い隊服に身を包み、顎ヒゲを生やした自分より十近く歳の離れた男だ。

「近藤さん。よく場所が分かりやしたね。土方さんですら知らないのに。」
「なんとなくだ!総悟は高い所が好きだったと思い出してな!総悟に用があっていろんな場所を回ったんだが、屋根裏まで見に行ってでっかいネズミと鉢合わせしちまってな〜!」

握り拳を腰に当ててでったい口で大笑いしている近藤局長。

「そいつが凄い顔で襲って来てだな〜」とかなんとか言って、あいつは強かったとか強敵だったとか語り始めた。
そんな近藤を見ながら、沖田は「用があって探してたんじゃないんですかぃ。」と言ってやろうかと思ったが、一人で話しを進めている近藤が可笑しくて言うのをやめた。

そんなこんなで早十五分。
話しはどうでもよくてあくびが出ちまうけど、それでもこの人の話しは聞いていたい。
なんせあんなに楽しそうに笑うものだからねぇ。

これは愛と言う事でいいと思うんでさぁ。
だって他の人なら聞く気もしませんぜ。
土方さんなら斬りかかっちまうかもしんねぇ。

それなのに、変なもので近藤さんだけは違うんでさぁ。
話しはつまんないのになんで飽きないんだか。
あくびだって出るのに、最後まで聞いていたいしもっと話して欲しいと思っちまぅ。

不思議な事だけど、俺ん中じゃあこれも近藤さんに対する愛って事になっちまってるでさぁ。