可愛くて甘え上手でフワフワして、スリスリ頭擦って近藤さんに抱っこされてスリスリしてもらって・・・まさかこんなライバルが出てこようとは夢にも思っていなかったですぜぃ。

子猫 その2

あのチビが真選組屯所にやって来たのは三日前だった。
朝近藤さんを起こしに部屋に入ったらちっこい子猫が一匹布団の上に丸くなっていたんでさぁ。
そりゃあビックリしましたぜ。
近藤さんの布団に今までいなかった子猫が我が物顔で寝てやがったんだ、誰だって驚いちまうだろう。
でも、たかが動物だと思ってそん時は気にもしてなかったんですがね。

それが・・・それがまさかこんな事になるとはねぇ。

一日目は良かったんでさぁ。
俺も動物は嫌いじゃないからなんだかんだでちょっかい出しては可愛がってやったもんでねぇ。
今まで動物を飼った事なかったから内心嬉しかったんだけど、な〜んか変だなぁって思い始めたのはその次の日。
この猫、やたらと近藤さんにベタベタしてやがるんですぜ。

近藤さんが座れば膝の上にちょこんと座る。
近藤さんが立てば一緒に立って後を追う。
近藤さんが撫でれば嬉しそうに喉をゴロゴロならして甘える。

まぁ連れて来たのは近藤さんだからなつくのはわからんでもないですけどねぇ。
もしかしたら親だと思っているのかもしれねぇ。

でも・・・なんだか気に入らないのは俺だけですかぃ?

「・・・近藤さん。」

「お〜総悟!見ろ、可愛いなぁコイツは!スリスリしてくるんだぞ。毛が柔らかいから凄く気持ちがいいな。お〜よしよし、ミルクでも飲むか?」

名前呼んだだけだっつ〜のになんで猫の話しばかりなんですかぃ。
なんかムカついて来ちまった。

ムッとした顔をしても近藤さんは気付いてくれねぇや。
猫の事ばかり気にしてやがるんでさぁ。
ほら、今となっては猫に意識がいってるから俺の事を軽く無視していやがる。
ちょっと傷付くんですけど。

そりゃあコイツは可愛くて甘え上手でフワフワしてる。
スリスリすればスリ返してくれる。
素直な反応がきっと近藤さんには堪らなく可愛いっつぅ事なんですかねぃ。

俺にはない素直さをコイツは持っているんだろうなぁ。

これは軽い嫉妬ってもんですかぃ。
子猫に嫉妬するなんて可笑しな話しですがね、俺にしてみればなんであろうと近藤さんを取るもんはライバルって事になっちまうんでさぁ。

俺は負けやせんぜぃ。

「近藤さん。」
「ん〜。」

こっち向いて下せぇよ近藤さん。

「・・・えぃ!」
「おっ!」

ガバっと近藤さんの背中に抱き付いてやる。
ぎゅ〜って思いっ切り抱きしめてやりまさぁ。

どうしたんだっってこっち向いてくだせぇよ。
いつもみたいに俺に笑いかけてくだせぇよ。

「ど〜した。」

俺もかまってくだぜぇ。
子猫ばっかりでひでぇですぜ。
酷過ぎまさぁ。

「なんかあったのか?さっきからなんか元気ね〜ぞ。」

あんたが原因だっての。
あんたが俺をかまってくれなくて子猫ばっかり相手してるから拗ねちまったんですぜ。
どうしてくれるんですかぃ。

「総悟〜?」

背中に抱き付いて、近藤さんがやっと俺の事を気にしてくれる。

俺の事をもっともっと気にかけてくだせぇ。
子猫なんか後回しにして俺をかまってくだせぇよ。

・・・そんな事、死でも口には出せねぇけど。
素直になりゃあこんな思いしないですむんだろうがねぇ。

それでも、なんだかさっきよりは気分がいい。
なんせ今は子猫よりも俺に意識が向いているからねぇ。
俺の事を心配してくれているんですぜ。

近藤さんには気付かれないようこっそり視線を子猫に向けると、でっかい瞳でじっと俺を見てやがる。

残念でした。
俺から近藤さんを盗ろうなんざぁ100万光年早いんでさぁ。
出直して来な。