あんたなんか大嫌いでさぁ。
俺の大事な近藤さんと仲良くなりやがって。
後から来たくせに無二の親友みたいになりやがって。
今までずっと俺だけが近藤さんの大事な存在だったのに。

大嫌い

ちっさい頃から近藤さんの道場に通ってはいつも剣の稽古に励んでいたもんでさぁ。
まだ門下生は俺しかいなくて兄弟がいなかった俺は近藤さんを本当の兄のように慕っていたし、心の底から信頼していやした。

稽古はきつくて面倒くさかったけど、なんだかんだで近藤さんと一緒ってのが楽しくて嬉しくて厭きる事なく剣の腕を磨いていやした。
きっと、ちっさかった俺は幸せ者だったと思うんでさぁ。
今とは違って近藤さんをこれでもかってくらい独り占めしていやしたし、いつも一緒にいましたからねぇ。
そん時は当たり前の事だったから気付いていなかったけどねぇ。

でも、そんな幸せをぶっ壊される出来事が起こっちまった。

いつものように道場で稽古をしていたそんな日に、あんたはやって来た。
近藤さんに背負われて、傷だらけで血だらけで、ボロ雑巾みたいになって運ばれて来たあんたを俺は興味なくてすぐいなくなるもんだと思っていたんですぜ。

それなのに・・・あんたときたらいなくなるどころか居座っちまいやがって。
挙句の果てには近藤さんと肩を並べて話しをするほど出世しちまいやがった。

餓鬼だった俺はあんたに嫉妬しまくっていたもんだ。
二人で仲良く酒なんか飲んでる夜なんか、仲間外れにされたようで悲しくて悔しくて、でも割って入る事なんか出来なくて、布団の中で泣いた事だってあったんですぜ。
一人ぼっちになっちまったような孤独感に悩まされたもんでさぁ。

んで、一生懸命考えて考えて俺は一つの解決策を思い付いちまった。

『盗られたもんは盗り返せ。』

大好きは近藤さんを土方さんなんかに盗られたままなんか嫌ですからねぃ。
だったら盗り返すってもんでしょう。

そう思っていろいろ土方さんには嫌がらせをしまくったもんでねぇ。
最初は落とし穴から始まって次は丸太が飛んでくる罠を仕掛けてみたり布団にナメクジとかカエルとか忍ばせてみたり・・・まぁ上げれば切りがないんですわ。

それでも土方さんは打たられ強いっつ〜か鈍いというか。

俺の努力空しく近藤さんとの仲は深くなるばかり。
最終的には真選組の副長になっちまった。

努力を買われたってのはわかりまさぁ。
頭が切れるってのだってわかるし頼りになるってのも知ってまさぁ。

でも、でもなんで俺じゃないんですかぃ。
俺の方が土方さんよりもずっと前から傍にいたってのに、どうして俺じゃないんですかぃ。
俺がまだ餓鬼だからですかぃ。
もし、俺が近藤さんとそう歳が変わらなければ違ったんでしょうか。

俺は餓鬼だからそういう風に思っちまってね。
そしたら前よりもあんたを消したくなっちまたんでさぁ。

前はいなくなってくれさえすれば良かったんですけど、今となっては土方さんが近藤さんの前からいなくなるって事はありえないと知っちまったからねぇ。
さぁどうすると考えて、だったら消すかと結論が出ちまった。

道場時代よりも大人になったんですから、上手くやってやりやしょう。

一番いいのは事故と思わせて葬る。
俺がやったなんてわからないよう計画を念入りにたてて実行する。
つまりは完全犯罪ってこってす。
警察官とは思えない企み、きっと俺は地獄に落ちてしまうでしょうよ。

そんで、いつも土方さんを葬り去る為にあれこれ考えていろいろやろうと思っているんですけどね、どうしても躊躇しちまうんでさぁ。
一応バズーカぶっ放したりわざと挑発して真剣でバトったりしても、最終的には自分の中でストップが掛かっちまう。
俺が本気を出せばきっと致命傷くらい負わせる事だって出来るだろうに。
どうしてなんだかわかんねぇな。

わかんねぇけど、いざって時いつも浮かぶのが近藤さんの笑顔だったりするんでさぁ。
そうすると手が狂っちまって上手くいかねぇ。
それ以上やっちゃいけねぇって頭ん中で声がする。

『そいつを葬り去ったら近藤さんが悲しむぞ』ってね。

近藤さんが悲しむ姿なんか見たくねぇし。
あの人にはいつもあったけぇ笑顔で笑っていて欲しいし。
しかも、土方さんがいなくなって近藤さんが悲しむなんて癪に障るってもんでしょう。
気に入らねぇしね。

仕方がないから俺は近藤さんを悲しませない程度に土方さんに嫌がらせしてるって訳。
命取らないだけ有難いと思って欲しいねぇ。
我慢してるんですぜ、俺は俺なりに。

近藤さんは「お前ら仲が良いよな〜!」とかなんとか言ってやすがね、違うんですぜ近藤さん。
俺は土方さんなんか大嫌いなんですよ。
頼りになって信頼されて、俺なんかにいちいち面倒掛けてくれる近藤さんに続いたお人好しの土方さんなんか宇宙一大嫌いなんですからねぇ。

そこんとこ、間違わないでくだせぇよ。