真っ赤に染まった世界を見たことがありますかぃ?
鼻が曲がるんじゃないかっていう臭いを嗅いだ事がありますかぃ?
事切れる時の、人間の顔を見た事がありますかぃ?

いくらやっても慣れるなんてありえねぇ。
慣れるどころかどんどんドツボにはまって行くのがわかりまさぁ。

支え

人を始めて斬った時の事はいくら忘れようとしても忘れなれないんでさぁ。
たまに夢に出て来やす。

そん時は、近藤さんの部屋によく行く。
そうすると、近藤さんは何も言わないで同じ布団に入れてくれて、優しく頭を撫でてくれるんでさぁ。
そうしてくれると、ほっとして寝れる。

近藤さん。
あんたの為に俺は人を斬りやす。
あんたの為だけに人を斬りやす。

そうじゃないと、俺は壊れてしまいましょう。

「・・・今日、五人斬りやした。」
「そうか・・・。」

血だらけの隊服。
血まみれの刀。
顔にも髪の毛にも誰ともわからない血がベットリ。

一瞬世界が止まってしまったんじゃないかっていうあの感覚。

餓鬼ん時は、剣習ってるんだからいつかは人斬る事もあるだろうとか生ぬるく考えてて、いざ人を斬ってみるとなんて後味の悪い気持ちになるんだろう。

でも、始めてしまった以上止める事なんか出来ねぇ。
拒む事なんてもう遅い。

近藤さんに付いていくって決めたんだ、今更考えを変える気もありわしねぇさ。

でも、でも、近藤さん。
あんたがいないと、俺は人なんか斬れませんぜ。
あんたが目指すモノの為に俺はあんたの障害になるモノを斬り捨てるんでさぁ。

だから、だから、近藤さん。
俺がまた怖い夢見た時は、今みたいに優しく頭を撫でてくだせぇ。
今みたいに一緒の布団に入れて寝かせてくだせぇ。
そうすれば、俺は頑張れるんでさぁ。

真っ赤に染まった世界を見たとしても。
鼻が曲がるんじゃないかっていう臭いを嗅いだとしても。
事切れる時の、人間の顔を見たとしても。

近藤さんが、俺の壊れそうな心の支えなんですからね。