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深夜一時四十分。 明日は朝早くから高杉の寝ぐらに突入する作戦会議があるからとほとんどの隊士が早い時間から寝て静まり返っている屯所内。 そんな中、一番奥の一室にある近藤局長の部屋の障子に映し出された黒いシルエットが一つ。 遠慮がちに障子が開かれ、そこにいたのは白い着流しを着た沖田総悟であった。 あなたの寝てる間に...++06.06.28++ コオロギの鳴く声と葉の掠れる音が響く深夜。 息を殺して部屋に入って来た沖田は、部屋の真ん中で豪快ないびきを掻く近藤の脇に座りその寝顔をまじまじと見ている。 軽く酒でも飲んだのか、吐かれる息は少し酒臭かった。 部屋の机には、半分も減っていない一升瓶と途中まで飲んでやめたのか酒の入った湯のみが置かれていた。 こんなに近くにいるというのに起きる事なく寝ている近藤に対し、沖田はゆっくりと近藤の鼻を親指と人差し指で摘んでみる。 すると、一瞬だけいびきが止み「・・・んがっ。」と苦しそうな声を出すと右手で自分鼻を摘んでいる沖田の手を払い除けた。 そして気持ちよさそうな寝息からまた豪快ないびきが始まる。 起きる気配のない近藤に、沖田は呆れつつも口元が緩んでいた。 そして、そっと耳元まで顔を近付けると、 「・・・近藤さん、こんな警戒心がないまま寝てちゃあ襲われちまいますぜ。」 と小さい声で呟いてみるが、近藤は沖田に背を向けるように寝返りを打っただけだった。。 一瞬起きるかと思ったが、いびきが止む事はなくやはり寝ている。 沖田はまったくと言うように顔を上げて一つ大きなため息をついて、さっきよりも高い位置から近藤を見下ろした。 「・・・。」 暗くて気付かなかったが、見れば掛け布団が腰の辺りまで捲れていて着流しから近藤の腹が露わになっていた。 まるででっかい子供だと思いながら、沖田は近藤が風邪を引かないようにと布団を掛け直してやる。 「こんなんで大丈夫なんですかねぇ・・・。」 また一つ、ため息が出る。 近い内に一戦あると言うのに、この人は本当に大丈夫なのだろうか。 こんな無防備で大丈夫なんだろうかと、そんな事を思ってしまう。 仮にも真選組局長を務めている近藤だ、他の隊士よりも刀の腕は優れてはいるが何ぶん人が良過ぎる為ちょくちょく命の危険に晒される事も多い。 沖田にしてみれば、もっと自分の身を大事にし心を殺して刀を振るってもらいたい。 もっと、鬼になって欲しいとさへ思う。 ・・・でもそんな近藤さんなんて俺の好きな近藤さんじゃねぇけど。 「近藤さ〜ん。俺が守ってあげますからねぇ。だからゆっくり寝て下せぇ。」 もう一度耳元で呟くと、近藤は「う〜ん。」とまた寝返りを打った。 今度は沖田の方を向いて、でっかい口を空けながらいびきを掻いて眠っている。 そんな姿がなんだか無性に愛しくて・・・沖田は近藤の手をギュッと握るとその手にキスをした。 「近藤さんはこのままの方がいいゃ。」 そう言って見た事もないような顔で微笑むと、来た時と同じように静かに障子を開けて自分の部屋へ戻っていた。 戻 |