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520センズ話 未来パラレル。 「君はホークアイ中佐に似てきた」 「褒め言葉として受け取っておきます」 目の前に座るロイのデスクの上に、容赦なく書類の山を積もらせる。 ロイの目が少し疲れているが、書類を溜めた本人が悪いのだ。 「エルリック少佐」 「何ですか?」 「私への愛情が足りなくないか?」 もう少しお手柔らかに、と言いたいのだろう。 ロイの補佐官になってからというものの、何度かするやりとりの一つ。 「いえ、そんなことありませんよ」 にこりと笑ってみせる。 ふざけんな、早く仕事しろ、と心の中で毒づきながら、エドワードは執務室を出る。 何が愛情が足りない、だ。 直ぐに口をついて出そうな言葉は押し込めた。 誰の為にオレが軍にいると思ってるんだ。 青い軍服、その右のポケットを上から探る。そこには硬い感触がある。 大総統になったら、彼に520センズを返す約束をした。そのコインをエドワードは直ぐ返せるように常に持っていた。時々使ってしまうこともあるが、その度に補充をしている。まるで、願掛けのようだ。 早くこのコインを返したい、早く彼が大総統になる日が来て欲しい。そう思いながら、エドワードは前を向き、歩き出した。 全ては全部、あの男に向かっている。 「ただいま、エドワード」 靴を脱ぎ、そう玄関で言葉を吐き出すが、返事はない。 「寝てるのか?」 リビングに入れば、ソファでエドワードが寝ていた。しかも、軍服を着たままだ。皺になってしまう。 普段ならちゃんとエドワードは着替えている。 多分疲れが溜まっていたのだろう。慣れない仕事が続いている。仕方ないことだが、自分でどうにか管理していく他はない。 ワインをお土産に持って来たが、とても飲めそうにない。 ワインのボトルはテーブルに置き、エドワードの上着を何とか脱がせる。 そのときに、ふとポケットに何か入っていることに気付く。 硬い感触がある。 何だろうとポケットを探る。まさか、ハボックに影響され、煙草を吸うようになったのかとライターを疑ったが、中身はコインだった。 コイン3枚。 合計で520センズだ。 偶然か、それとも。 交わした約束が、鮮やかな記憶と共に蘇る。いつか貸した520センズ。 愛されてるなと思いつつ、コインをポケットに戻す。 エドワードが何故軍人でいるか、ロイは知っている。 悲願を達成したら、別の道を選べたのに。 クロークに軍服をかけた後、エドワードの身体を両腕で持ち上げた。 昔に比べ、彼は立派な成長をしていた。最早、青年だ。 成長を見ている程の付き合いがそれだけ続いたのだ。 ベッドに寝かせた後、愛しさのあまり、ロイはエドワードの柔らかい髪に口づけた。 「愛してるよ」 使い古された陳腐な愛の言葉。 それでも、今の自分にはぴったり当てはまる。 「オレも愛してる」 ロイが部屋を出た後、普段言わない言葉を、目覚めていたエドワードは小さく口に出した。 |