アルカと呼ばれるキルアの家族。
ゴンはまじまじとアルカを見てしまった。
長い黒髪に大きな瞳。 お兄ちゃんとキルアにくっついている姿に何だかほっとした。 キルアのことが大好きな家族がいるのだとそのことがわかって。 他のゴンが見た家族とは対照的で、思わずじっと見てしまう。
別れは既に近づきつつあった。 ただ、なんとなく先延ばしにしているだけで。 街にいる人たちはそんなゴンたちを通り過ぎていく。 早くジンのいる世界樹へと急かされているようだった。

「アルカはキルアのことが大好きなんだね」
衒いもなく、アルカは頷いた。
「うん!」
「おい、ゴン。恥ずいだろっ」
キルアの顔が更に赤くなっている。
何だか、少し寂しい気持ちになったのは何故だろう。

ゴンはふと、自分が人と約束をするときのことを思い出す。 親指と親指をくっつけて約束のチューというものだ。

ゴンも、ふと、引き寄せられてキルアの柔らかそうな頬に唇を当てた。
「キルア、ほっぺた柔らかい」
感想を口にすると、キルアがゴンがキスをした頬に手を当てたまま固まっていた。
どうやら言葉が出ないらしい。
「あー、ずるい、アルカも」
アルカがキルアにもう一度と抱きつく。
「あー、後でな」
硬直が解けたらしく、キルアがゴンを睨んだ。
アルカに頭が上がらないキルアがおかしかった。
思わず、にかっと笑ってしまう。
「何すんだよ」
「だってオレもしたくなったんだもん」
「何だそりゃ」
「………アルカと一緒で、オレもキルアが好きだよ」
こうやって口に出したことがあったかなとふと思う。
伝わっているとそう思っていたけれど。
キルアは別れることに対して何か思うことがあったのか、一瞬悲しい顔をしてみせたが、「オレもだよ」と直ぐに笑った。