飛行船は最終試験への目的地に向かっていく。 飛行船の中を歩いていたら、キルアはゴンを見掛けて、声を掛けた。
「ゴン。ここにいたんだ」
何処いるかと思ったぜ、とキルアはそう続けた。
「うん、ちょっと外見てたんだ」
「へえ。面白いもんあった?」
「うん、ないけど、どんどん景色変わっていくから見てて飽きないよ」
「そっかあ。ていうか、お前顔酷いぞ」
「へへへ」
顔のあちこちが何かで刺されたのか、腫れている。 きっと、同じ受験者同士で争った際に負ったのだろう。 それにしても、少しだけ、ゴンがいつもより、元気がないような気がしたが、気のせいだろう。
何せ、四次試験に合格したのだ。 次が最終試験。 合格すれば、晴れてハンターになれるのだ。 ゴンにつられて、キルアも外を見遣った。 少しずつ景色が変わっていく。確かに空の色合いが移り変わっていく様には、目を奪われても仕方ないのかもしれない。
「一人でいたのか?」
「ううん、さっきまでクラピカといたよ」
「ふうん、そのクラピカは?」
近くにクラピカはいない。気配もなかった。
「レオリオのところだと思う」
仲いいから、とゴンは言った。
「ふうん。相性合わなさそうだけど」 「うん、最初は決闘してたよ」
「決闘?」
そこまでやるのか、と思ったけど、二人ならそういうこともやるような気がする。
「うん」
「よく、一緒にいるようになったな」
「多分、お互いのことがわかったからじゃないかな」
「そっかあ」
「歳も同じくらいだろうし」
「レオリオの年齢聞いたときはびっくりだったけどなあ」
10代とは。 正直、レオリオは20代だと思った。
「まあ、好きじゃなかったら一緒にいないだろうしなあ」
そう言った自分に驚いてしまう。自分の今の状況を振り返る。隣には同い年のゴンがいる。

オレ、今すごいこと言ったかも。 暗にオレがゴンのこと好きって言ってるみたいじゃん。 好き、とか今までそんなこと思うようなことなかったけど。 友達もいなかったしなあ。 作るような環境になかったのは確かだけど。
それでも、これからも、ゴンと一緒にいられたらいいなあとそう思ってしまう。 暗殺一家の人間がこんなことを望むのはおかしいかもしれないけれど。
お袋とミルキを刺して出て来ちゃったし、帰るつもり全然ないけど。

自分の道は自分で決めたい。 その気持ちは変わっていない。
キルアの考え込んだ姿に、頭に疑問符を浮かべてゴンが見ている。 何となく笑うと、ゴンも笑って返した。
「ゴン、ハンター試験合格しような」
「うん、一緒にハンターになろう」
照れ隠しにそう言うと、ゴンは当然だとばかりにそう楽しそうに言った。 一緒に、という言葉がどれだけ自分にとって嬉しいか、きっとゴンにはわからないのだろう。
そんなゴンがキルアの目には、少し眩しくて一瞬目を細めた。