ドアを入った途端、盛大なクラッカーが鳴る音と共に、ゴンから「じゃーん」という効果音が出る。
大きな皿にのった大きなケーキがキルアの目の前に出された。
「誕生日おめでとう、キルア!」
その言葉に今日は誕生日なのだと思い出した。 頭にかかったクラッカーの残骸を、キルアは落とす。色とりどりの紙の欠片だ。
「何で知ってんだよ、オレの誕生日」
「へへへ」
おそらく、何か登録した際に誕生日の事を書き、それをゴンは覚えていたのだろう。
「すげえな、このケーキ特注?」
「キルア甘いもの好きだから、豪華にして下さいって言ったら作ってくれた」
何といっても、クリームとイチゴが山盛りである。 かなり食べ応えがある。 そのケーキの上にはチョコのプレートが置かれている。 そこには、キルア誕生日おめでとうと書かれている。
「書いてくれたんだ」
ゴンは自分のことのように、嬉しそうだ。 その笑顔を見ていると、堪えていたものが一気に吹き出しそうになる。 ごちゃごちゃした室内のテーブルの上にゴンはケーキを置いた。
「蝋燭点けようか。吹き消そうよ」
蝋燭まで年の分用意していたらしい。 テーブルの上には、12本の蝋燭が置いてある。
「ほんと、お前は」
自然と自分の顔が見えないように、顔を俯かせていた。
「え?て、いたたたた。痛いよ、キルア!」
顔を覗き込もうとしたゴンの両頬を、すかさず引っ張ったのだ。 もちろん、痛いに決まっている。 けれど、こうでもしないと、泣いてしまいそうなのだ。 見せられる表情に、今は辛うじてなっているだろうが。
「ありがとう、ゴン」
誕生日を祝ってくれたことだけではない。
出会ってくれて。
友達になってくれて。
ありがとう。
誰よりも、ゴンがオレの誕生を祝ってくれるのが嬉しいよ。
「ううん、こちらこそいつもありがとう」
頬を引っ張られて話辛いだろうに、ゴンがそう言うのが、はっきりとわかった。



キルア誕生日SS。
ゴンに祝われたら、キルアは泣くと思います。