久しぶりに女子生徒に囲まれている紗英を見た。
「誕生日おめでとうございます!」
その言葉と共に差し出されるプレゼントの品。
紗英はありがとうと、正しく「王子様」と言えるような、そんな笑みでプレゼントを受け取った。
校舎の裏道。
何故か咄嗟に樹の背後に隠れてしまった。どうしてそうしたのかはわからない。
出雲が誕生日のときに、紗英が祝ってくれたことを忘れてはいない。かなり迷惑なプレゼントだったが、出雲の誕生を祝ってくれたのは確かだ。 紗英の誕生を祝ってあげたい。
「紗英、今日誕生日なんだ」
噛み締めるように思わず、ひとりごちた。


何が一番プレゼントにいいかいつもの歌舞伎メンバーと話していたが、あまりいい話が出来ず(全員出雲自身がプレゼントがいいだろうと言っていたが、もちろんそんなん出来ると却下した)結局家庭科の授業で時間で、余った材料でケーキを作ることにした。料理、菓子作りは出雲にとってお手のものである。 昼休みは、大概屋上に皆で集まる。そこにやってきた紗英の手を突然引き、家庭科室へと連れてきた。
「國崎くん!?」
家庭科室の調理台にはスポンジに生クリームをシンプルにのせただけのケーキが用意されている。もちろん、出雲が作ったものだ。
紗英は目をぱちくりさせている。
因みに黒板には、紗英誕生日おめでとうとチョークで書いてある。 昔の紗英なら、決して喜びはしない誕生日のお祝いの仕方だ。
「ごめんな。今日誕生日って知ったから、こんなケーキしか作れなかったけど」
もっと早く知っていれば、出雲は何を用意しただろう。
「誕生日おめでとう、紗英」
それでも、当日に言えて良かった。
「國崎くんの手作り!?僕ずっと取っておくよ!」
「腐るからやめろ」
女子生徒に向けるものとは違う、表情豊かな嬉しそうな顔を、紗英はしている。
少しだけ、女子生徒たちに何故だか優越感を感じながら、出雲は紗英にケーキを勧めた。



紗英様、4月誕生日なので、かなりの妄想で書きました。4月1日だと学校休みかな?
っていうか、その頃には出雲との関係はどうなっているのか( ̄▽ ̄)