「梅さん、ええな、ええな」
「あ?何だ急に電話してきて」
「共学やないか、可愛い女の子めっさおるし、チョコもらえるやないか」
成程、もうすぐバレンタインデーだ。
「あのな、チョコなんてもらっても食わないぞ、俺は」
「鬼畜、罰当たるで!」
「切るぞ、関西弁」
「切らんといて〜。寂しいやないか」
泣きついてくる。
何故こういちいち梅樹に訴えるのか。そんなに懐かれるようなことをした覚えがないが。
「だったら、こっち来ればいいだろう」
「上方一の藤次郎様は仕事があるんや。行けないんや」
来てや来てやー。
藤次郎の訴えは止まらない。
「この前行っただろうがっ」
ぶちりとしまいには、梅樹は電話を切る。また藤次郎から着信があったが、無視した。
「あの関西弁は毎度毎度電話がうるさい」
ソファでゆっくり寝そべりながら、文句をぶつぶつ言っていると、松樹が聞いていたらしい。
「頻繁に掛かってくるのか」
ソファの向こうから松樹が顔を出す。
「たまにだけど、あいつ長いし、うるさいんだよ」
「なるほど」
何だか含みがありそうな言い方だ。 「あ?」
「仲良くなったもんだな」
「はあ?これのどこが仲良いんだ!?」
「それより、兄貴次の舞台の稽古をしよう。日にちが近いからな。足を引っ張られたらたまらん」
「誰が足を引っ張るって?ってか話はぐらかすな!しかも、また関西弁から電話かかってきてやがる」
しまいには、梅樹は電話を切った。
そして、松樹に負けるわけにはいかないと、梅樹は弟の傍へと駆け寄っていった。自分を追いかけてくる梅樹に対して単純な馬鹿兄貴だと思いつつ、少し松樹が笑ったのを、梅樹は知らない。


梅樹が藤次郎と電話してると、松樹は嫉妬すると思った。