もう直ぐ年が明ける。
紅白歌合戦を見て、加賀斗が作った年越し蕎麦を食べて終わると思っていた12月31日は紗英からの電話で、少しだけ変わった。
「やあ」
自室で寛いでいた出雲が外を見やると、にこにこしながら電話をしている紗英がいる。
思わず、窓を開けた。 12月の風はひたすら冷たい。
「どうしたんだ、紗英?」
手を振る紗英には、出雲の呆れが伝わらなかったらしい。 周囲は電灯があるとはいえ、暗い。 こんな中、外に出てくるとは一体何の用なのか。
「新年になる前に君に会いたかったんだ」
気障な台詞だが、非常に紗英には合っている。何より、言葉が真っ直ぐで、出雲の頬は一人でに熱くなる。 男なのに。
そう理不尽な思いに駆られながら、出雲は「俺は男だっての」と小さく口の中で抗議する。
「君と出会って、毎日僕は楽しいよ」
「そーかよ」
ぶっきらぼうな言葉にも、紗英は動じない。ふふふっと楽しそうだ。何がそんなに楽しいのか。
「来年もよろしくね」
きっと、それが言いたかったのだろう。
「おー。風邪引くなよ」
少しだけ、紗英に合わせ、出雲も手を振った。

来年もよろしく。