まさかお返しが来るとは。
でーんと出雲に渡されたのは、手作りのケーキが入った箱である。 紗英からだ。 箱を開けてみれば、苺が綺麗に盛り付けられた真っ白のショートケーキが顔を出す。 反応を待っている紗英には残念だが、無表情に出雲は箱を閉じた。
「何だこりゃー、学校に何てもん持ってくるんだ!」
先ず嗜め、それから出雲は息を吐く。
まさか、紗英がケーキを作れるとは思わなかった。しかも、こんなに綺麗なケーキだ。元々器用だと思ってはいたが、まさかケーキまで作れるとは。 紗英は一瞬凹んだようだが、直ぐ立ち直った。
「だって國崎くんに食べてもらいたかったんだ」
響きはひたすら甘い。 砂糖菓子のようだ。
「馬鹿」
自分はメイド喫茶のイベントで市販のチョコレートを渡しただけだというのに。 御曹司の上に、容姿も優れていて紳士で優しくて器用というのは、一体どうしてか。
馬鹿の癖に。
「馬鹿」
言葉が見つからなくて、再び馬鹿と呟いてしまった。



紗英様器用だから、ケーキ作れると思った。